第136話 屋敷の現代化改修4
誤字報告ありがとうございます。
そば屋では、みんなそろってカレーを食べてしまった。俺は比較的辛いカレーが好みなのだが、俺の舌では全く辛くないカレーだったが、美味しゅうございました。子どもたちも少しずつ辛さに慣れていけば、辛いカレーでも食べられるようになるはず。
翌日。今日は朝から俺以外みんな楽園だ。はるかさんも昨日作業の説明を終えているそうで今日はみんなと一緒だ。
午前8時55分。防衛省の広場には昨日同様3台のトラックが並んでいた。1台のトラックには小型クレーンが付いて、荷台にはどう見ても発電機と浄化槽。それにおそらく油のタンクが積まれていた。後の2台のトラックには幌が掛けられており、昨日同様自衛隊員と、資材が積み込まれているのだろう。今日の作業の隊長は、昨日の隊長さんだった。
前日同様3台のトラックと一緒に俺は見送りのD関連室の野辺副室長が見守る中、屋敷の裏庭に跳んだ。
すぐに自衛隊員たちがトラックからキビキビ降車して作業が始まった。
まず、小型クレーン付きの大型トラックが表の物置小屋にできるだけ近づいていった。
そして、地面の上にコロの付いた板を何枚か敷いて、その上に発電機を降ろした。
「この発電機を運ぶのならお手伝いしますよ。収納して運べば簡単ですから、置く位置を教えてください」
4人がかりで発電機を動かそうとしていたので、俺が声をかけた。
自衛隊員たちが返事をする前に、俺は発電機を収納して、いったんコピーしてしまった。これはもう癖だな。
「は、はい。よろしくお願いします」
そう返事しないわけにはいかないよな。
物置小屋の扉を開けたら、俺の知らないうちに2台のガソリン発電機とタンクが奥の方に片付けられて、入り口から横2.5メートル、縦1.5メートルほどのコンクリートらしきタタキが打たれており、4カ所にゴムか何かが敷かれていた。そこから少し離れて1メートル四方のコンクリートらしきタタキができ上っていた。さらに入り口の向かい側の壁の上の方に四角い孔が空いていた。
「発電機はタタキの上のゴム板に合わせるように置いてください」
言われた通り俺は小屋の中のタタキの上に置かれたゴム板に合わせて発電機をアイテムボックスから出してやった。
「申し訳ありません、方向を逆にお願いします」
逆だったようだ。再度収納して向きを変えてゴム板の上に発電機を置いた。かなり大きな発電機だ。
次に円筒形をした外付けタンクが運びこまれた。タンクは発電機の横の1メートル四方のコンクリートのタタキの上に置かれ、そこからパイプが発電機に直結された。排気管は俺が壁に作った孔が拡張されそこに通されていた。
そして、今度は、平べったくて長四角の重そうな箱が2つ物置部屋の中に運び込まれてきた。この2つにはキャスターが付いて、発電機から離れた土間上に直接置かれた。
てきぱきと配管されて、次に配線され、コードが屋敷の玄関まで延ばされた。配電盤につながったのだろう。
次に俺は、ドラム缶を斜めにして転がしていた自衛隊員が、土の上でうまく転がらなかったので地面に寝かせて転がしていたので、そのドラム缶と、あと5本あったドラム缶を物置小屋までアイテムボックスを利用して運んでやった。ピッタリ位置決めするようなものでもないので俺は突っ立ったままドラム缶を収納して、物置小屋の前に出しただけだ。
まず別途に運び込まれたオイル缶からオイルが発電機のオイルタンクに注がれ、次に、ドラム缶から電動ポンプで本体に軽油がどんどん入っていき、結局ドラム缶1本分が入ってしまった。
残った5本のドラム缶からは外付けのタンクに軽油が移された。1キロリットルのタンクだったようだ。意外と小さかったが、1キロリットルは1メートル立方なのでそんなものかもしれない。
発電機周りはでき上ったようで、隊長さんが軽油の配管のバルブの開閉順とか、教えてくれ、最後にかなり分厚いマニュアルを渡された。
引き続き、発電機のパネルを開けて起動方法とか教えてくれた。
「岩永さん、発電機の起動はこのキースイッチを始動の位置まで回してください。停止する時は停止の位置に。
タンク容量は本体200リットル、外付け1キロリットルです。おそらくかなり低負荷の運転でしょうから、1時間当たり5リットルも軽油は消費しないと思います。
1200リットルで240時間ですからちょうど丸10日分です。この発電機のディーゼルエンジンは自衛隊仕様なのでオイル交換等の通常メンテナンスは別ですが、低負荷なら年間365日連続運転可能と思っていただいて結構です。
オイルは警告灯が点滅しますからそうしたら早めに交換してください。
そういった作業を行う場合は、エンジンを停止するわけですが、その間自動的にそこの2つのバッテリーから合計40kWh分の電力が供給されます。200V系統のエアコンには電力は供給されませんからご注意ください。
軽油の量が量ですので本来役所に届け出が必要なのでしょうが、ここでは届け出先がありませんから、大丈夫でしょう。ハッハッハ。
それじゃあ、起動します」
奥の二つの長四角の箱はバッテリーだったようだ。40kWh分というとそこまでと思うが、電池という意味ではかなりの容量なのだろう。
隊長さんがキースイッチを回すと、すぐにエンジンがかかり軽快な音が聞こえてきた。急に明るくなったので天井を見たら、天井に2カ所おそらくLED電球が下げられていてその電球が点いていた。発電機が回ってしばらく眺めていたら、自衛隊員がやってきて、扉の向かいの四角い孔に換気扇をはめ込み、木ネジで固定して、近くのコンセントにつなげた。至れり尽くせりだ。
「重量物の運搬はお手伝いします」
ということで、俺はトラックの上に積んであった浄化槽を運んで昨日掘られていた大穴に置いてやった。自衛隊員たちの手で位置が微調整されパイプや電源コードが接続された。途中気付いたが、風呂場の表に設置されたガス湯沸かし器の近くに大きなガスボンベが6本鎖につながれて並べてあった。ボンベの頭にはバルブ付きのホースパイプが金属製のガスパイプにつながっていた。
昨日掘られた溝の中にも厚手の樹脂製カバーに覆われた電源コードが這わされ、屋外の機械に繋がれていった。作業の終わった溝は小型バックホウで埋め戻されていった。
そんなこんなで午前中の作業が終わったようで、自衛隊員たちは前日同様庇の下に入って昼の休憩に入った。差し入れしたかったが、昨日断られているので、俺は自衛隊員たちを残して楽園に跳んだ。
楽園では、昨日と同じようにブルーシートの上でみんなで童謡を歌っていた。
「昼食を届けにきた」
そのひとことでみんな歌を止めた。お腹が空いていたのか?
さて、昨日はハンバーガーだったが、今日は何にしようかと考え、吉野○の牛丼を買っていたことを思い出した。
「今日は牛丼にしよう。
牛丼というのは、ご飯の上に甘辛く煮た牛肉と玉ねぎを乗っけて、その煮汁を上からかけたものだ」
「つゆだくと、普通の牛丼があるが、みんなどっちにする?『つゆだく』は上からかける煮汁が多くてつゆでご飯が半分浸かってる感じだ。味が少々しつこくはあるが、好きな人はこっちを好むそうだな」
「それじゃあ、わたしは、つゆだくで」と、華ちゃん。
「わたしも、つゆだくで」と、はるかさん。華ちゃんはまだ食べたことはないと言っていたが、日本人だけあって丼物に対して抵抗は低いだろう。
「わたしは、ふつうので」とエヴァが言ったら、残りの3人もみんな普通になった。最後のリサも普通になった。
牛丼と割りばし、それに紅ショウガと七味の入った小袋がみんなにいき渡ったところで、
「いただきます」「「いただきます」」
紅ショウガと七味については説明しなかったが、華ちゃんとはるかさんが説明していたので俺が説明しなかったのは結果的に良かったみたいだ。
飲み物はインスタントの味噌汁の方が良かったが、面倒だったので、例の魚篇の湯呑を8個、緑茶入りで作ってみんなに回しておいた。
今ではリサも子どもたちも箸の使い方はバッチリだ。俺の教育の賜物だな。
俺自身は牛丼の並を食べ終えたところで、生玉子を乗っければよかったと気付いたが後の祭りだ。さすがにもう一つ牛丼を食べることはできない。
「屋敷の工事はどうです?」と、はるかさんが聞いてきたので、
「はるかさんと自衛隊のおかげで、凄いことになってきました。まさに現代ハウスです」
「気づいたところをレポートしただけですから。やはり、自衛隊ってすごいんですね」
「アレは普通じゃないですね」
「そんなに凄いことになってるんですか?」と、今度は華ちゃん。
「見てのお楽しみじゃないか? 明日は電気製品の買い出しだな。できれば、軽油とプロパンガスも仕入れたいが、軽油はガソリンスタンドで買うとして、プロパンガスはどこで売ってるのか調べないと分からないな。売っていなければ、コピーすれば済むがな。
そろそろ向こうにいってるから、迎えに来るまでよろしく」




