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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第127話 二度目のお買い物1。和菓子、牛丼


 翌朝。


 朝の支度を終えて、朝食のあと、食事の後片づけを終えた子どもたちに配達用のポーション箱持たせて送り出した。


「リサ、はるかさんを頼む」


 そう言って金貨の入った小袋を渡しておいた。生活費についてはリサに別途渡しており、それについては、一週間ごとに報告を受けている。少々の金銭のことなど俺にとっては面倒なだけなのだが、こういったことをおろそかにすることはあまり褒められたことではないので、自分なりに真面目に対応している。


 はるかさんとリサが連れだって屋敷を出ていき、しばらく居間でまったりしていたら子どもたちが配達を終えて帰ってきた。俺と華ちゃんはもう着替えていたので、子どもたちに向かって、


「今日は日本の本屋にいくからあっち用の服に着替えてこい」


「「はーい!」」「「わーい」」



 子どもたちがバタバタと階段を駆け上がっていき、5分ほどで居間に集合した。


 まだ9時前だったので、少し早いのだが、街歩きも悪くないと思い、


「それじゃあ、みんな俺の手を取ってくれ」


 5人の手が俺の手を持ったことを確認して、隣街の本屋の近くに転移した。ちょうど人通りも少なく俺たちがいきなり現れたことに注意を向ける人は見当たらなかった。


 もちろん、今日はウィークデーなので、義務教育年齢に見える4人がこの時間街を歩いていることは本来問題があるのだろうが、どう見ても子どもたち4人は日本人には見えないので、逆に注意されないのかもしれない。



 本屋は思った通りまだ閉まっており、開店は10時からだった。まだ1時間あった。


 時間を潰すため、どこかの店に入っても良かったが、近くに寺があったことを思い出した。それほど大きな寺ではないが木造建築物という意味ではそれなりに大きいし、子どもたちの社会科見学、日本語教育の一助になるかもと思ってその寺にいってみることにした。



 こっち辺りだったろうと適当に歩いていったら、それらしき山門があった。俺には何の木か分からないが境内には大きな木が何本も植えられており、その先に本堂が見えた。


 山門をくぐり境内に入って本堂を前にして、


「華ちゃんの国語の中で習ったかもしれないが、これがお寺だ」


「木だけでできた建物なのに大きい」


「それに凄く古く見える」


「このお寺も何百年も前に建てられたはずだから凄いもんだろ」


「火事にならなかったんですね」


「日本の中にはたくさんの寺があるから、火事になる寺もあるぞ。たまたまかどうかは分からないがこの寺は火事にならなかったようだな」


「ここで何をしているんですか?」


「少し違うが向こうで言うと、神殿みたいなものかな。

 お寺はほとけさまというのを祭っているので、神さまを祭っている神殿とはちょっと違うが、仏さまも神さまに近いようなものだからそんなに違いはないと思う。

 こことは違うが、神殿と同じように神さまを祭った神社というものも日本の中にはたくさんあるんだ。

 国語の勉強をしていたらそのうち出てくるかもな」


 お釈迦さまも釈迦如来だし観音さまは観音菩薩で何となく神格化されているような気もする。まあ、神さまであろうと仏さまであろうと、信じるものは救われてきたんだろうからそれでいいだろう。


 あまり、子どもたちに突っ込まれると盛大なボロが出てしまうことに気づいたので、俺は早々に寺から退散することにした。


 寺から退散し表通りに戻った俺は、今度は子どもたちに道に並んだ店屋の説明をしてやることにした。店の開くのはたいてい10時からのようで、ほとんどの店が閉まっていてあまり説明するものはない。


「そこの店は和菓子屋だ。開いているからちょっと買ってみよう」


 和菓子の説明をしようと思ったが、実物を見た方が早いし、食べてみればもっとよく理解できる。さすがに今は食べられないが、今日の勉強の後にでも出してやろう。


 ガラガラと横開きの扉を開けて、店の中に入りショーウィンドウに入っていた和菓子を見ると、俺の知っている大福もち、イチゴ大福、きんつば、おはぎ、羊羹、それに最中を売っていた。他には細工物のような和菓子も並べられていたが、俺にはあまりおいしそうには見えなかったので買う気はない。


 ということで子どもたちがショーウィンドウを見つめる中、大福もち、イチゴ大福、きんつばを8個ずつ買って、あとは無難に羊羹を4棹買った。


 後ろの方で子どもたちが見た目だけはいい和菓子を見て「きれい」とか「かわいい」とか日本語で言っていたが、それは無視した。シンプルイズベストとは言わないがベターだと俺は思っている。無意味な見た目へのこだわりは否定する主義なのだ! 菓子業界のルッキズム反対!


 結局、和菓子屋でもあまり時間が潰せなかった。


 和菓子を包んでもらい、精算して店を出たら和菓子屋の2軒隣りが吉野○の牛丼屋だった。


「華ちゃん、牛丼も買っておけば重宝するんじゃないか? アイテムボックスの中に入れておけばいつでも出来立てだし」


「わたしも吉野○の牛丼を一度は食べてみたかったんです」


 生まれて16年間だか17年間いったい何をしていたのかは知らないが、華ちゃんは吉野○の牛丼を食べたことがなかったらしい。


 そう言われれば買わざるを得まい。


 ということで、俺は華ちゃんたちを店の外に待たせて、吉野○に入っていき、牛丼の並をテイクアウトで8個注文した。今まで俺は実際に注文したことはなかったのだが、「つゆだく」なるキーワードを使って2つは「つゆだくで」と注文しておいた。つゆだくが不評であれ好評であれどうせコピーするのでどうとでもなる。


 牛丼が8個と紅ショウガ、七味、それに割りばしの入ったビニール袋を持って店を出た俺は、すぐにアイテムボックスに仕舞って、袋ごとコピーしておいた。


「まだ時間があるな。いまさらだが屋敷を出たのが早すぎた。

 おっ!」


 牛丼屋のすぐ先に、先日口座を開いた証券会社があった。10億振り込んでいるのでいつでも株が買える(・・・)はずだ。


 よし、いっちょ揉んでやるか。


 俺は、華ちゃんと子どもたちをぞろぞろ引き連れて証券会社の中に入っていった。


 前回来店した時貰った窓口の女性の名刺をアイテムボックスから取り出して、入り口の受付で俺の名まえを告げてその名刺を見せたら、すぐに窓口に呼ばれた。窓口には椅子が1つしか置いてなかったので、華ちゃんと子どもたちはズラリと俺の後ろに立っている。


「少々お待ちください、椅子をお持ちします」


 窓口から表に現れた受付の女性が、空いていた椅子をかき集めて、俺の椅子の後ろに並べて、椅子を勧めた。俺の後ろに5人が並んで座っている格好だ。


「岩永さま。失礼いたしました。

 大変な金額のご送金で、こちらからごあいさつに伺おうと思っていましたが連絡が取れず重ね重ね失礼しました」


 確かに個人で証券口座に10億も預けている人は少ないだろう。そういう意味では俺は大口顧客になるわけだが、10億でこの対応だと100億だと一体どうなるのだろう。まして1000億も預けたらとんでもないことになるんじゃないか?


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― 新着の感想 ―
証券会社の思いがけない大口顧客、さぁ〜お手並み拝見!! オマケのギャラリーも居てなおどうなる!!
[一言]  確かに個人で証券口座に10億も預けている人は少ないだろう。そういう意味では俺は大口顧客になるわけだが、10億でこの対応だと100億だと一体どうなるのだろう。まして1000億も預けたらとんで…
[良い点] 儲けた場合の税金も免除対象なんだろか?確定申告で払わなくていいのは羨ましいなぁ [気になる点] そりゃ御大人様やろなぁ、しかも、担当者の成績になるんやろ?儲けようが負け様が、要するに取引回…
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