第112話 ピアノ受け取り
いつもながら誤字報告とうありがとうございます。
ピアノの楽譜と入門書、それにコミックを2種類買って本屋を出たら、ピアノの届く2時近かったので急いで華ちゃんを連れて俺のアパートの外に転移した。中だと玄関代わりの台所への上り口が狭くて二人では事故が起こりそうだと思ったからだ。
「ここが岩永さんが住んでいたアパートですか。何だか小さいですね。
あっ! ごめんなさい」
華ちゃんは正直者だからな。
「実際狭いからな。男一人で住むには十分、これくらいがちょうどいいとずっと思っていたけど、向こうの屋敷で暮らしてみると、俺でもすごーく狭く感じるから。
中に入って荷物が届くのを待っておこう。
と、思ったら、あのトラックじゃないか」
運転席の上に伸縮するクレーンが付き、荷台が箱のようになったトラックが、うちのアパートの駐車場にバックで入ってきた。後ろの扉はリフトになっているようだ。
トラックから降りてきた運転手さんに、
「岩永です。これはうちのピアノですよね」
「はい。こちらにお届けに参りました。どちらに降ろせばいいですか?」
「後ろの扉を開けてもらうだけでいいです。あとは、わたしが適当に運びますから?」
「へえ?」
「扉を開けてくれれば、こちらで何とかしますから」
運転手さんは釈然としないようだったが、荷台と運転席の間にある機械を操作して、トラックから四方に足を出してそれでしっかりトラックを固定し、その後、リフト兼用の後ろの扉を開けてくれた。いったん中に入った運転手さんが、ピアノを包んでいた厚手の布でできた防護材を解いたら、なかから梱包された大きな荷物が出てきた。
「これって、調律済みなんですよね?」
「はい。出荷前調律は済ませてあります」
「じゃあ、いただいていきます。
伝票かなんかにサインがいるのかな?」
「これになります。ここにサインをお願いします」
運転手さんが作業服の胸ポケットに入れていた伝票をボールペンと一緒に渡してくれたのでサインして返しておいた。
「それじゃあ」
そう言って、しっかりと段ボールと梱包用プラスチックテープで梱包された大きな荷物と小さな荷物をアイテムボックスに収納した。
運転手さんは半分口を開けていたが、だからと言って何も言うことはなく、黙って後ろの扉を閉めて、また機械を操作してトラックを固定していた脚を引っ込めた。
運転手さんは何も言わないままトラックに乗り込んで、きた道を帰っていった。
不思議現象を目の当たりにしたとしても、仕事内容に齟齬はなかった以上、運転手さんは自分を納得させて帰ったはずだ。仕事が無事完了した証拠に俺のサインした伝票を持っているし、運んだ荷物は荷台からなくなっている。
「運転手さんが何か言うかと思いましたが何ともなかったですね」
「そんなもんだよ。
ダンジョンが一般開放されて、スキルブックがたくさん発見されたら、アイテムボックスも普通になるかもしれないしな」
「そうでしょうか?」
「たぶん、おそらくな。
何もないけど、俺のアパートの中でも見ていくか?」
「いえ、男の人の一人暮らしのアパートですから、遠慮しておきます」
何か華ちゃんは俺のことを誤解しているのかもしれないが、俺はかなり綺麗に部屋を使っていると思うけどな。とはいえ、部屋に入れと強要するのは完全にアウトなので、
「じゃあ、屋敷に帰ろう。
おっと、その前に俺の銀行口座にお金が振り込まれているか確認しておこう」
スマホで預金額を確認したら口座に先週のヒールポーション1000本分の代金10億円がキッチリ振り込まれていた。1,000,000,000。ゼロが9個も並んでいると数えるのが大変だ。ハッハッハ!
「華ちゃん、10億振り込まれてた」
「えっ!?」
「言ってなかったかな。ヒールポーションの値段は1本100万になったんだ」
「ひゃ、100万!」
「そ。あんまり安いとかえって社会的にマズいんだってさ」
「ということは、今日の2000本で、20億ですよね?」
「そう。これから毎週、ヒールポーション2000本とスタミナポーション2000本を卸して合計21億が振り込まれるわけだ。ハッハッハッハ!」
「大丈夫でしょうか?」
「何が?」
「いえ、何となく」
「心配はいらないよ。
俺たちは自由なんだよい!」
語尾の『よい』は、何となく言ってみたかっただけ。
その後、俺はスマホを操作して、銀行から証券口座にそのまま10億振り込んでおいた。これでインヴェスターZとしていつからでも活動できる。
スマホを仕舞って、
「じゃあ、帰ろう。
そろそろ木内さんを連れ帰らないといけないしな」
「木内さん大丈夫でしょうか?」
「いろいろ面倒そうな感じもあるが、何とかなるんじゃないか」
「そうならいいですけど」
華ちゃんが俺の手を握ったところで、屋敷の居間に転移した。
二人して居間に転移したら、木内女史と子どもたちがおとなしくCDのクラシックを聴いていた。
俺たちが現れたので、
「「ご主人さま、おかえりなさい」」「「ハナおねえさんおかえりなさい」」
そう言って子どもたちが迎えてくれた。
最後に、木内女史が、
「岩永さん、ごめんなさい!」
何でかわからないが木内女史が謝ってきた。
「???」
ピアノの調律ですが、グランドピアノだと高級品に限るのか分かりませんが、納入時調律師が一緒にやってきて調律するようです。アップライトの場合はどうなのか分からなかったので、工場でちゃんと調律してあるものとしました。どちらも、新品の場合、数年間は半年に1度は調律した方がいいそうです。




