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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第109話 週明けの会議1


 それから週明けまでこれといった用事がなかったので、俺は本屋で買ったコミックを読んだりして過ごした。華ちゃんはさっそく国語の授業を始めている。


 そのほかの時間は居間で子どもたちとアニメを見たりしていたが、華ちゃんにもコミックを見せたら、生れてはじめて単行本のコミックを手にしたそうで、結構真剣にコミックを読んでいた。最初のころは俺も華ちゃんも居間で読んでいたが、今回買ったコミックはどちらも子どもたちには絵面えづらがきわどいものだったので、二人とも2、3冊読んだ後は自室に移動して読んだ。



 週が明け、俺と華ちゃんは約束時間の5分前に防衛省の例の会議室に現れた。


 会議室の中には、D関連室の室長以下4名と新たに制服を着た女性自衛官が1名、そしてスーツ姿の女性が一人席に着いていた。


 俺たちが現れたと同時に全員立ち上がり、スーツ姿の4人は軽く頭を下げ、制服姿の2人は敬礼した。


 俺と華ちゃんは軽く頭を下げておいた。


 お互いに着席したあと、川村室長が、


「さっそくですが、牧野一尉をご紹介します。

 牧野一尉は防衛医大病院で医官を務めています。

 牧野一尉」


「はい」


 そこで、川村室長から紹介された牧野一尉が立ち上がり、


「防衛大病院で医官を務めています、牧野です。よろしくお願いします。

 防衛医大病院でヒールポーションの臨床試験をさせていただいた者の一人ということで、この会議に出席しています。

 ヒールポーションの臨床試験結果について、すでに野辺副室長からお話があったようですが、さらに試験を継続しています。結果は変わらず、全ての病変に対してヒールポーションの有効性が確認されています。通常臨床試験で一つの結果を出すためには臨床試験を繰り返す必要があるため、数カ月はあたりまえにかかるのですが、ヒールポーションの場合、効果が劇的で結果が一目瞭然のためこれほど早く有効性を確認することができました」。そう言って彼女は軽く頭をさげて着席した。


 次に、川村室長が


「牧野一尉のとなりが理化学研究所の研究員で木内きのうちはるかさん」


 名まえを呼ばれた女性が立ち上がり、


「理化学研究所の研究員の木内きのうちです。今回スキルブックの分析を担当させていただきました」


 軽く頭を下げた木内きのうち女史はその後続けて、


「異世界語のスキルブックに対し3次元CTによりX線を照射したところ、スキルブックが消滅してしまいました。気付けば、どこの国の言葉ともわからない言葉が頭の中に浮かんできて、それから医療機関で検査などを受けた結果脳に異常もなく、東京外国語大学の言語文化研究所でその言語を分析した結果、言語的にも完成されていることが判明したため、おそらく異世界語スキルを習得したのだと判断されました。やはりこの言葉は異世界の言葉なのでしょうか?」


 木内きのうち女史が一気にしゃべった言葉はニューワールドの言葉だった。


木内きのうちさん。今お話になった言葉は確かにわたしと三千院さんがニューワールドと呼んでいる異世界の言葉です」と、ニューワールドの言葉で俺は返事をした。


「ありがとうございます」と、言って席に着いた彼女の顔はホッとした様子だった。


 その後俺は日本語で、


向こうの世界(ニューワールド)にはX線の機械などありませんから、X線が重要なのではなく、壊したことがスキル取得の引き金になったと思います。

 華ちゃん、試しにこのスキルブックを壊してみないか?」


 俺はそう言って華ちゃんにアイテムボックスから取り出したスキルブック:片手武器を渡した。片手武器を選んだのは、失敗してもそれほど惜しくはないし、成功すれば華ちゃんのメイスの腕前が上がると思ったからだ。


「それじゃあ、壊してみます。これって折ればいいのかな?」


「それでいいんじゃないかな」


 華ちゃんはスキルブックを両手で持って力を込めたら、スキルブックが中ほどで折れ、そのまま砂がこぼれるように崩れながら床に向かって落ちていったのだが、床に達する前に消えてなくなっていた。


 片手武器のスキルを得たとしても、実感があるとは思えないので俺は華ちゃんに断ってから人物鑑定した。


『スキル:魔術:Lv4、錬金術:Lv1、鑑定Lv1、片手武器Lv1』


「ちゃんと片手武器Lv1が付いてた。スキルブックを壊せばスキルが手に入るってことが分かったことは大きい。

 今のでLv1ということは、もう一回同じものを壊せばLv2になるのか? それとも変化なしなのかはまだわからないな」


「おそらく、スキルブックの名まえにはレベルの付かない片手武器だったから、もう一度壊せばLv2になるんじゃないでしょうか」と、華ちゃん。


「おそらくそうだな。打撃武器のスキルブックはまだ2つあるから帰ったら試そう」


 俺たちのパフォーマンスからの会話をぼうーっと聞いていた会議室の面々に向かい、


「おかげさまで、スキルブックの使い方が分かりました。ありがとうございます。

 それじゃあ、さっそくですがポーションをお出ししましょう」


「少々お待ちいただけますか、今回は全部で3000本と聞いておりますので、今係の者を呼びます」と、川村室長。


 野辺副室長が電話をかけたら30秒ほどして3台の金属製のコンテナの乗った台車を2名ずつ6名の自衛官が押して会議室の中に入ってきた。これなら3000本のリポ〇型ポーション3000本余裕で入る。


「それじゃあ、テーブルの横に出していきます」


 席を立った俺は、気を利かせて縦横10×10、上下2段、200本ちょうど入る厚手の段ボール箱を作ってその中にポーションを詰めてテーブルの横に積み重ねて置いていった。その段ボール箱を台車を押してきた自衛官がコンテナに詰めていく。


 全部で15箱。一つのコンテナに5箱で1000本。一箱あたり相当重かったはずだが、さすがは鍛えた自衛官。軽々と、とは言えなかったが問題なく段ボール箱をコンテナに詰め込んだ。


 コンテナにポーションの入った箱を積み終わった6人の自衛官は敬礼してそれぞれの台車を押して会議室から出ていった。


「これでヒールポーション2000本、スタミナポーション1000本の納品は終了しました」


 そう言って席に着いた。


「ありがとうございます。

 それでスタミナポーションの価格ですが、次回から1本あたり課税後価格で5万ということでお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」


「もちろん構いません」そもそも、スタミナポーションはこれからもおまけで付けてもいいと思っていたくらいだからな。


「この価格は、ヒールポーションでの回復後、スタミナポーションを服用することで体力の回復が劇的に促進され入院期間が短縮されることから算定しています」


 なるほどな。まあ、ちょっといいヒールポーションだから体力の回復に時間がかかるのだろうが、すごくいいポーションだとその必要はないはずだから、俺にとってはあまり使いではないのかもしれない。今まで通り何か特別なものを錬成して疲れた時に飲むくらいだな。


「了解しました。

 それで、来週もお持ちしますが、2000本と1000本でいいですか?」


「ご負担でなければ、スタミナポーションも2000本でお願いします」


「そちらも了解しました。

 そう言えば、ヒールポーションですが、おそらくそちらで成分を分析しているでしょうからお伺いしますが、何かわかりましたか?」と、俺は、医官の牧野一尉に聞いてみた。


「防衛医大に送って分析中ですが、分析で分かったことは水の成分しかないということで、あちらはあちらで大騒動になっているようです」


「青い色の成分も分からず?」


「そうみたいです」


「わたしも意識して錬成しているわけでもないので何が入っているのか興味があったんですが、水でしたか」


 われながら謎だが、研究者にとっては謎では済まされないだろう。研究者のみなさん頑張ってください。




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― 新着の感想 ―
ポーション類は現状ゼンジロウ頼みだから、彼がポーションを納品出来てる間になんとか別の生成手段を確保したいところだね ポーション生成出来る技能のスキルブックが入手可能だといいんだけど ところで華ちゃん…
[気になる点] そうか、水だけな筈なのに、色付きか、そりゃ、研究者は捗るわ、下手したら回復効果が体系化可能になれば、更に魔力?というかエネルギー保存の法則からも解明できれば、ノーベル賞総なめ可能ですも…
[良い点] 未知の成分ってことは科学的に発見出来たらノーベル賞ものだから大騒ぎにもなるよね。 [気になる点] ふと思ったのですが、スキルブックもコピー出来るのでは?(=゜ω゜)?
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