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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第103話 一心同体4。


 昼食にハンバーガーを食べ、その後俺だけフライドポテトをつまんでいたら、またケイブ・ウルフ(かも)がやってきた。今度も3匹だ。


「華ちゃん、俺は思うんだが、大ネズミや俺たちの臭いじゃなくて、華ちゃんの頭の上のライトとか、俺たちのペア点滅がケイブ・ウルフを誘っているんじゃないかな。

 というのは、大ネズミの死骸だったら、リュックに入れている冒険者がそれなりの数いるだろうし、一仕事して汗をかいた冒険者もかなりいると思うんだ」


「確かにそうですね。

 ライトニング!」


 ドサ、ドサ、ドサと倒れた音がしたので、俺は3匹を見ることもなくアイテムボックスに収納しておいた。


「華ちゃん、アイスはどうだ?」


「今はいいです」


「俺は、いつものように抹茶を食べよ。やっぱ抹茶はいいわ」


 抹茶アイスを舐めながら、


「このままここにいたら、いくらでもケイブ・ウルフが釣れそうだな」


「そうですね。

 でも誰か人がやってきたら危ないから、落とし穴は埋めた方がよくありませんか?」


「それもそうだな。ケイブ・ウルフは全然落とし穴にかかりそうもなかったしな。大ネズミは収納。そして、岩から作った砂利を穴の中に詰めて。でき上り。

 そうだ、華ちゃん。グラビティで穴を固めてくれるかい」


「はい。グラヴィティ」


「サンキュウ」


「やっぱりわたしも、アイスのラムレーズンいただけますか?」


「はいよ」


「ありがとうございます。岩永さんはいつも抹茶だけど、わたしはこれが一番好きかな」


「そうなんだ。将来お酒が強くなりそうだなー。ま、その時は一緒に飲もう」


「はいっ!」



 そんな感じで俺と華ちゃんがまったりしていたら、罠のあった先、洞窟の奥の方から音が聞こえてきた。その音がだんだん大きくなってくる。ケイブ・ウルフの時は音など聞こえなかったので、おそらくケイブ・ウルフではない。となると、少し警戒した方が良さそうだ。


 俺は残っていたアイスのコーンを口にくわえて、壁に立てかけていた如意棒に手を伸ばしたところで、近づいてきたものの正体が分かった。冒険者だ。武器を持った数名の冒険者が息を切らせてこっちに向かって走ってくる。


 俺のラノベとゲーム知識(けいけん)から言って、こっちにやってくる冒険者はモンスターに追われている連中で、あわよくば俺たちに追ってくるモンスターをなすりつけようとしているセコい連中なのだ。


 そう思って少し警戒していたのだが、


「おーい、そんなところで休んでいないで、逃げろ! ケイブ・ウルフの群れだ! なんだその明かりは! 直ぐに消せ。明かりを見たケイブ・ウルフはお前たちに襲い掛かってくるぞ!」


 黒い革鎧を着た先頭の冒険者が、俺たちに警告してくれた。悪気で俺たちの方に逃げてきたわけではないようだ。一本道だから、悪気のあるなし関係ないか。


 次の冒険者も黒い革鎧で、


「逃げろ! 明かりを消せ! 何でお前たち緑に光ってんだ! ……」


 その後の女冒険者も黒い革鎧を着ていた。


「逃げてーー! あなた、口に何入れてんのよ!」


 最後に無言で走り去っていった冒険者も黒い鎧を着ていたので、4人ともが黒い革鎧で揃えていたわけだ。結構高位の冒険者パーティーだった可能性もある。


 最後の冒険者が駆け去って、しばらくしてケイブ・ウルフの群れが現れた。


「ライトニング!」


 立ち上がっていた華ちゃんの右手から白い稲妻が走り、次の瞬間にはケイブ・ウルフの群れは駆けてきた勢いのまましばらく洞窟の凸凹の路面を転がって動かなくなってしまった。華ちゃんの左手にはアイスのコーンが握られている。


 俺はそいつらの死骸を流れ作業でアイテムボックスに収納してやったところ、ケイブ・ウルフは12匹もいた。大漁だ。


 俺は口にくわえていたコーンのしっぽを飲み込んで、


「華ちゃん、お見事。今のは12匹だ。これで21匹もケイブ・ウルフを獲ったことになる。大漁だったな」


「もうケイブ・ウルフは追ってきてないけど、さっきの人たち、ずーとあのまま走って逃げていくんでしょうか?」


「おそらくそうだな。

 生命いのちの危険を感じながら必死に走れば、いつも以上にトレーニング効果が上がると思うぞ」


「それもそうですね」



 ケイブ・ウルフの群れを斃した後、また俺たちは腰を下ろして、次に現れるモンスターを待っていたのだが結局モンスターは何も現れず、1時間ほど時間が経ってしまった。


「このままだと目立ちすぎて、今日の成果を報告するのが億劫だな。

 ライトとかデテクトライフの効果を消せるような魔法が欲しいところだ。ラノベやゲームの中だとデスペルマジックとか言って、いろいろな魔法効果を打ち消す魔法があるんだ。その魔法は、自分にかけた魔法を解除するんじゃなくて、相手が自分自身にかけた強化魔法とかを強制的に解除するんだがな」


「強化魔術の解除。魔術の強制解除。……。

 なんだか、イメージが湧いてきたかも?

 ディスペルマジック!」


 今まで華ちゃんの頭上でギラギラ輝いていたライトの明かりが消えたとたん、周りがすごく暗くなった。気付けば華ちゃんは緑に点滅していない。俺は依然点滅している。


「ディスペルマジック!」


 今度は俺の点滅も消えた。


「できました!」


「華ちゃんの魔法も、なんでもアリだな」


「えへへ」


「これなら、外を歩いてもおかしくないから、そろそろ引き上げるか。

 もともとこの第2階層に何匹くらいケイブ・ウルフがいたのか分からないが、だいぶ駆除できただろう。

 これからギルドに寄って今日の成果を報告して仕留めたケイブ・ウルフも卸してしまおう」


「はい」


 ハンバーガーやアイスの紙くずを二人で纏めて、空になったペットボトルと一緒にアイテムボックスに収納し、華ちゃんが俺の手を取ったところで、俺は冒険者ギルドの近くのわき道に転移した。


 如意棒は持ったままだ。如意棒が黒くなってきていることには以前から気付いていたが、さらに黒ずんできたような気がする。華ちゃんのメイスも同様だ。さらに、赤茶けていた俺たちの鎧もだいぶ黒ずんできた気がする。やはり、ダンジョン内で戦うと何かの作用で装備が黒ずむようだ。ただ俺たちの被っているミスリルのヘルメットは銀色のままで全く黒ずんではいない。



 俺たちが転移で現れたわき道には人はいなかったが、その先の大きな通りの方はなぜか冒険者たちで騒然としていた。


「何かあったのか?」


 もちろん華ちゃんに分かるはずはないので、俺たちは人の行き来が激しくなった通りを、人を避けながら歩いていき、冒険者ギルドの中に入っていった。



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