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岩永善次郎、異世界と現代日本を行き来する  作者: 山口遊子


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第101話 一心同体2、北のダンジョン第2階層


 俺たち『一心同体』の二人は、階段を下りていき第2階層に到着した。第2階層も洞窟ダンジョンだった。


 俺自身は階段の段数を数えていなかったが、だいたい50段あったと思う。華ちゃんならちゃんと数えているただろうから、今の階段の段数を聞いてみた。


「すみません。前半数えていたんですが、途中から分からなくなりました」


 華ちゃんにすれば珍しい。まあ階段が何段あろうが、俺がどうこうできるわけでもないし、1段増えようが減ろうが大勢たいせいに影響はない。


 階段はどうでもいいが、ここからが本番だ。


 もとよりケイブ・ウルフの習性など知らない俺たちだ。適当に歩き回って、ケイブ・ウルフに遭遇するのを待つしかない。ケイブ・ウルフ討伐だけを考えれば、かなり割の悪い仕事だ。適当に歩いているあいだに、ほかのモンスターに遭遇すればその分が収益に上乗せされるからペイするだろうという考え方なのか、純粋に低位の冒険者たちのため奉仕活動としてのケイブ・ウルフ討伐なのか。


 なんにせよ単純にダンジョンの中を歩き回って遭遇を待つだけだと手持ち無沙汰だ。


 今度日本に跳んだら、携帯栄養食を仕入れておこう。今までのようにダンジョンで座り込んでピクニックみたいにハンバーガーとポテトを食べてコーラを飲んでいたら目立ちすぎるからな。携帯栄養食なら、座って食べていようが歩きながら食べようが目立ちはしないだろう。あと、チョコレートなんかもあればいい。


 最近アイスクリームをよく食べているが、ソフトクリームもたまにはいいよな。チョコレート味のソフトクリームとバニラ味のソフトクリームは一つずつ持ってかわるがわる食べるのもいいよな。


 などと考えていたら喉が渇いてきた。


 俺は冷たい炭酸水の入った500CCのコーラのペットボトルを錬金工房で2つ作り、華ちゃんに一つ渡した。


「華ちゃん、喉が渇いたろう。炭酸水だ」


「ありがとうございます」


 華ちゃんも喉が渇いていたようで、ボトルを受け取ってすぐに炭酸水を一口飲んだ。俺も一口飲んだ。そして二人そろって「ゲプッ」とゲップした。ゲップまで一心同体だった。



 第2階層に下りてからは、俺が華ちゃんの前を歩いている。最初は他の冒険者たちが往来する本道と思われる洞窟を進んでいたのだが、ケイブ・ウルフだろうとさすがに本道には姿を現さないだろうと思い、俺たちは何本目かの枝道に入っていった。そこからは他の冒険者の姿が見えなかったので華ちゃんはライトの魔法を唱え、用心のためデテクトなんちゃらも唱えた。向こうのダンジョンでは楽園の中を除いて大抵赤い点滅が見られたのだが、今回は赤く点滅する場所はなかった。


「このダンジョンは相当古そうだから、第2階層くらいじゃどこにも罠はないのかもな。とはいえ、用心に越したことはないから、今まで通り慎重に進もう」


「はい」



 そういった感じでいつも通り慎重に進んでいたら、30メートルほど先でじっとしているモンスターを見つけた。俺は如意棒を握り直ししっかり構えた。華ちゃんは腰にメイスをぶら下げているのだがそれには手を触れず、右手を伸ばしてひとこと「ファイヤーアロー」と口にした。言い終わった時には白い矢がモンスターを貫いていた。


 ファイヤーアローに貫かれたモンスターは声を上げることもなく、そのまま動かなくなってしまった。これでは、モブキャラはモブキャラでもそこらの小道具である。


 それでも、何の小道具だったのか確認のため二人で近寄ったら、華ちゃんのファイヤーアローのヘッドショットが決まったようで頭が半分なくなった大ネズミだった。見た目は相当(グロ)い。こういうのをオーバーキルと言うんだろう。それでも俺はその大ネズミをアイテムボックスに収納しておいた。


 大ネズミくらいだと大した値は付きそうもないからどうでもいいが、ケイブ・ウルフの頭が半分吹っ飛んでいると冒険者ギルドでの買い取り値段が安くなりそうなので、


「華ちゃん、ケイブ・ウルフの時は頭を吹き飛ばさないよう電撃系統で斃してくれ」と、ひとこと言っておいた。


「分かりました。

 今回大ネズミを簡単に見つけられましたが、これからもそうとは限りませんからディテクトアノマリーと一緒にディテクトライフもかけていくようにしましょうか?」


「華ちゃん、半日、緑でいたいかい?」


「安全のためですから」


 確かに華ちゃんの言う通りだ。変に目立つのは確かだが、安全第一。安全はすべてに優先する。ましてこのダンジョンは初見だ。ここは腹を括って緑になるしかないな。


「じゃあ、やっちゃってください」


「はい。

 ディテクトライフ!」


 俺たち二人は無論緑の点滅を始めたが、洞窟の先何個所かに緑の点滅が現れた。


 華ちゃんの言葉に従ってよかったぜ。緑の点滅の形がはっきりしていないところを見ると、相手はおそらくスライムだ。


「華ちゃん、もう少し近づいたら、ファイヤーアローで斃してくれ」


「はい」


 もう少しが1歩だったらしく、すぐに華ちゃんからファイヤーアローが数発放たれ、俺たち二人を除いて目に付く限り、緑の点滅はなくなった。


『ペアルックの次は、ペアで点滅ブリンク、一心同体の呪いなの? ……』


 ファイヤーアローが命中した場所まで歩きながらまた華ちゃんの独り言の幻聴が聞こえてきた。俺自身、自分が疲れているとは感じていないのだが、何らかのストレスが溜まって、俺の大事な脳がSOSを出して助けを求めているのかも知れない。



 華ちゃんがファイアーアローを命中させた場所にモンスターの死骸はなかったが、その代わり洞窟の床がべっちょりと濡れていた。


 前回スライムを斃した時はまだ溶けてなくなる前だったのである程度スライムの残骸を収納できたが、今回は近づくまでに少し時間があったので、華ちゃんの一撃で斃されたスライムは溶けてなくなったようだ。いちおう、スライムだったということは分かったので、小道具も立派に役目を果たしたようだ。





パーティー名『3人団』に比べればよほどまともな『一心同体』に相当インパクトがあったようで、作者としては満足です。

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― 新着の感想 ―
なんでも他人任せにするからだよ華ちゃん 今いるダンジョンは他の冒険者が多数いるわけで、そんなとこで魔物と人間の違いがわからない魔術を使ったら見分けつかないんじゃね? てか、他の冒険者も半日点滅してた…
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