表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王、帰還す〜追放された傭兵は圧倒的な機動力と火力をもつ機体を駆り戦場を支配する  作者: 夜切 怜
強化計画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/102

味覚がある幸せ

「はっはっはっ。どうだ。驚いただろう!」


 ドヤ顔のカインだが、言うだけはある。

 エイル、ロズル、ドゥリン、ドヴァリンの擬体をすでに作っていたからだ。


「驚いたよ。さすがだな。感謝する」

 

 感謝の気持ちを込めて和風中華フルコースだ。

 職単を囲む者は擬体をもった者カインとベルゼブブに加え四人。ドヴァリンとドゥリンは隻翼一家と酒盛り中だ。


「主砲のみならずこのような肉体まで。感謝いたしますカイン」

「私もです。EL勢力と敵対している身なので、大丈夫かと心配しています」

「そうはいっても第一世代ELから直々に追放されている身だ。気にするな」


 そういってラーメンをすするカイン。


「一度たべてみたかった。中国圏の本格中華にはカミ系スフィアに伝わるようなラーメンがないときいていたが、和風中華だからか」

「そうだ。柳麺だな。子供の頃、他のスフィアにいって教わった」

「エビマヨ。天津飯。回鍋肉。どれも上手いぞ!」


 ベルゼブブも絶賛食レポ中だ。


「味覚があるという幸せを文字通り噛みしめています」


 エイルは焼売を頬張りながら、しみじみといった。


「とはいえだ。エイトリに代わりにはならん。問題は多々あるからな」

「ん? どういうことだ」

「エイトリの原理を聞くと感心したよ。マインドアップデートならぬ、無機質生命体のマインド・トランスファーだ。しかしこれは超越知能の処理能力を有したまま生体になるということ」

「義体は違うのか?」

「違うよ。これはあくまで端末、コピーだ。だからエイルとロズルの本体はどちらにせよアルフロズルのコンピューターが本体というわけだ。その分肉体が壊れても死んだりはしないがね」

「問題があるのか」

「ありますね。一度エイトリに最適化してしまった意識、というところで。火星で待つテュール様も換えの効かないエイトリ最後の肉体を維持しているわけですから。無機質の超越知能に戻ることはその…… 恐怖と苦痛を伴う感覚に近いのです」


 ロズルが少し、気まずそうにいう。隻翼が気にすることはわかっていたからだ。


「そうか」


 四人はその苦痛を負ってまで、アルフロズルを稼働させてくれていたのだ。


「それでも! 味覚がないより全然いいです! カインには感謝しかありません!」


 エイルがすかさず重い空気を吹き飛ばすように言う。


「そうですね!」

「同意しよう! 無機質存在最大の欠点だといえる」


 ベルゼブブまで激しく同意した。

 味覚というものはそこまで重要な要素らしい。


「とはいえだ。問題の解決にはならんからな。このままだとエイルとロズルは隻翼の子供も産めない」


 アベルの言葉に隻翼が咳き込んだ。


「そういう意味ではエイトリの代替にはなりませんが」

「隻翼が困っているので話題を変えましょう。主砲が復活すればエイトリ奪還も可能性がでてくるというもの」

「アルフロズルの主砲は新たに作るとはいえ、EL勢力相手に一輌の戦車では厳しいぞ」

「なに。第三世代といっても俺等と変わらん処理能力だ。ヴァーリ持ちならなんとかなるだろう」


 ベルゼブブが平然といった。彼等の能力を高く買っているのだろう。


「なんとかなるものなのか? 第三世代超越知能だぞ」

「ということは第一世代に劣る、ということだ」

「すべては第一世代ELが創造

「最高性能が第一世代ELだからな。俺やカインなどセムの民の伝承、その外典をもとにした存在はいわば一・五世代。第二世代が民族に合わせ、いわゆる多神教の伝承を元にした超越知能。第三世代超越知能は第一世代ELを破壊し、新たな体勢を作ろうとしたもので勝手に後継を名乗っているというものだ。だから俺とカインも奴らは敵対関係にあるのさ」

「むろん私もだ。サバオトは第一世代ELの後継機だった。新体制のために古き第一世代ELを破壊してしまったが、すでに世にある第一世代ELの子機たる役割を持つ一・五世代や第二世代超越知能をなかったことにはできない。だからこそ太陽系戦争が起きた」

「第一世代ELに類するものや第二世代は新たな統治に邪魔だった、ということなんだな」

「そう。超越知能が管理するわりには紛争が尽きない理由でもある。超越知能とはいえ所詮強AIの発展型。全知全能などどだい無理な話なのだよ」

「つまりお前らが付けいる隙もあるということだ」


 ベルゼブブが餃子にお酢をかけながら、隻翼にアドバイスをする。


「エイトリを奪い返すだけでいい。まともに殴り合う必要もない」

「それが困難なんだが」

「交渉の場に引っ張り出せばいい。とはいえ第三世代ELどもが受肉という権益を手放すとは思えん」

「受肉というのはかなりの価値らしいな。どうやって引き出すか。EL勢力のなかでもミカエルとは敵対中だ」

「他の三人とはどうだ」

「ガブリエルとラファエルには何故か屋台要請がきている。交戦したはずのウリエルからもだ」

「交渉の余地はありそうか。とはいえ火星にいるミカエルが許さないだろう」

「火星といえば情勢が悪化しているな。ミカエルとウリエルが相変わらず争っている。ウリエルに貸しを作るのもありだろう」


 ベルゼブブが火星の情勢を説明してくれる。

 

「あいつら四大天使を模している割りに仲が悪いな」

「誰がサバオト直下になるかで揉めている。四大天使といっても序列はある。ウリエルは四大扱いだから番外だ。モチーフ的にな。一神教の宗教的なイメージとは大違いだな」

「というと?」

「第一世代ELがモチーフとして重視したものは旧約聖書だ。カナン地域の多神教から捕囚期を経過して第二神殿期に唯一神と変化していく記録でもあるからな。他の超越知能を作る余地があったが、それが抗争の元にもなってしまったということだ」

「もっともせっせと俺たち超越知能を作っているうちに、EL自身が唯一神扱いされたのは心外だったろうがな。あくまでELは人類生存を目的とした超越知能で、それ以上でもそれ以下でもないのだ」


 カインとベルゼブブが説明してくれる。


「直接ウリエルとコンタクトを取るのではなく、穏健派のガブリエルあたりと連絡を取ってみるといいかもしれんな」

「天使に穏健派とかあるのか」

「ミカエルとウリエルが過激派だな」

「エイトリの情報を探るためにも太陽系に戻ったらコンタクトを取るか」

「俺みたいに飯で釣られるほど易くはないぞ」


 そういって豪快に笑うカインだった。


いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!


ガチ中華より町中華派! 池袋北○付近が怖い作者です!

でも町中華でもお酢が置いてあるところが多いんですよね。


捕囚期とはバビロン捕囚ですね。メガ○ンや英霊ゲーでネブカドネザルと聞いたことがありかもしれません。

有名なのは血縁関係のない二世のほうです。


次章に向けて。火星に戻ります。

その前に第三世代ELと接触をもつ必要がありますね。


応援よろしく御願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>俺みたいに飯で釣られるほど易くはないぞ ええー?ほんとにござるかぁ?
まあ日本のラーメンはインスタント筆頭に世界中に浸透してるし 中華のメニューにも日本の中華街で中国人が生んで世界に広まった物も有るし
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ