階層守護者
新章突入です!
隻翼はヴァーリとともに再びアフリカ大陸に降り立っていた。
かの可変地下工場――アンダーグラウンドファクトリーを攻略するためだ。
『現在地下3F。車輌型無人兵器が五両います』
ヴァーリのAIが隻翼に情報を伝える。
第一次太陽系戦争以前から稼働している無人工場は今なお最新兵器を生産している。
「この生きている地下工場に対するルールは一つのみ。――一機のホークでしか侵入は不可能。二機以上のホークだと十秒以内に離れないと防御機構が集団で押し寄せ、壁が狭まり破壊される」
しかしその防御機能は極めて強固であり、単身のホークでしか侵入は許されない。
防御機構は極めて強固。兵器の大軍ならまだましで、最悪区画変動機能を利用して圧壊を行う。
一攫千金を狙うナイトホーカーはこの地下工場に挑み、散っていく。
「誰がなんのためにこんな兵器工場を作ったのか。いまだに不明だ。EL勢力の連中さえ知らない」
ヴァーリのレーダーは優秀だ。
無人兵器をことごとく発見してくれる。
この浅いフロアでは、まだシールドバインダーのビーム砲で対処可能だ。
「地下8Fまではいきたいところだ」
最深部ほど古代の先端技術で作られた防御機構を備えている。地下8Fより下は前人未踏の地。
スパタでは2Fを降りることが限度だった。それでも破壊した無人兵器の残骸さえ回収できれば収支は若干プラスになる。
何を捨てて何を持ち帰るか。その選択すらも技量が問われる。
『地下5Fに侵入しました』
「さて。ここから先はろくに情報も出回らない領域に辿り着いたか」
ネフィリムもいたが、ヴァーリの敵ではない。
ここから先のネフィリムが同型機とは限らないのだ。
『レーダーに反応あり。視覚化します』
「ステルス機能のネフィリムか!」
熱源反応も最小。光学迷彩で周囲の景色に溶け込み、接近戦を仕掛けようとしていたネフィリムが三機いる。
ヴァーリは見えない敵を感知し、視認できるように表示していた。人間の視界に映らないということは位置が判明しても細かい動作への反応が遅れることも多い。
「いきなり難易度が上がったな」
隻翼はヴァーリを操作して、盾を構えたまま接近する。
ネフィリムがティルフィングの射程内に入ると、神速で抜刀を行い距離を詰める。
音もなくネフィリムは斬り倒された。
「装甲は金属ではないな。ナノマテリアル系か」
残り二機のネフィリムも返す刀で切り伏せて倒す。
ネフィリムの制御中枢は頭部である。昆虫のようにコックピットが食道下神経節の役割を果たすようなこともない。
天使や巨人をモチーフとしたAIである以上、昆虫のような構造を拒否した結果と考えられていた。
頭部を破壊すれば動きは止まる。頸部を切断しただけでは動く場合もあるので注意が必要だった。
「まったく。こんな迷宮ならセーブポイントか休息所が欲しいものだ」
隻翼がぼやいた。
『それならここにあるぜ』
「誰だ?」
『セーブポイントといえば天の声に決まっている。砲弾補給ぐらいならしてやろう』
「お前はどんな超越知能なんだ?」
隻翼は声には付き合わず、問いかける。
『決めつけはよくないぞ。正解だがな』
「この意味不明な地下工場の所有者か?」
『代理管理人さ』
隻翼は少し考え、レーダーを確認する。
敵になりそうなものはない。切り出した。
「俺はヴァーリを所有している。いわばEL勢力からすれば異神の類い。本当に休ませてくれるのか?」
『それは幸いだ。俺はラファエルに封印された。EL勢力とは敵対関係にあるといってもいい』
「ほう?」
思わぬ回答に、隻翼が唸る。
『詳細を教えてやる。地下六層に来ることができたら、の話だが。待っているぞヴァーリ』
そういって通信が遮断された。
「つまり簡単に6Fにはいけそうにない、か」
隻翼はヴァーリを進める。
大きな広間が出現した。
ホークよりも一回り大きい、人型兵器らしきものが佇んでいる。
背面には蝙蝠を思わせる巨大なウイングスラスターがあった。
「階層守護者という奴か!」
聞いたことはあるものの、実際に目撃したことは初めてだ。
ヴァーリは有無をいわさずエクスプレスを構え、ビーム弾を放つ。
フロアガーディアンはウイングスラスターで自分を覆い、ビーム弾を防ぐ。
あまりの威力にフロアガーディアンが数歩あとずさる。無傷とはいかないようだ。
「エクスプレスで抜けないか」
現行機なら大半が撤退を選ぶだろう。
しかしヴァーリはティルフィングに持ち替え、突進する。
フロアガーディアンがミサイルポッドから無数のミサイルを発射する。汎用のローンチポッドとは違い、ミサイルに特化している兵装だ。
ヴァーリはすかさずシールドバインダー内蔵のビームで迎撃する。
その間にも移動は欠かさない。側面を回り込むように加速するヴァーリ。
しかしフロアガーディアンはヴァーリを上回る加速で側面を取ろうとする。
速度は若干だがフロアガーディアンがヴァーリを上回る。
「こいつはなかなかの初見殺しだ」
専用の装備がないと、対応は難しいだろう。
フロアガーディアンは牽制代わりにビームを放つ。
シールドで受け止めることはできるが、直撃を受ければただではすまない。スパタなら半壊するほどの威力だ。
「やるか」
舌なめずりする隻翼。
このフロアガーディアン自体、宝の山だ。解体すればどの部分も金になる。
そして彼が駆るヴァーリは、解体が得意なホークなのだ。
いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!
新章です!
屋台回もかなり書いたので、そろそろ本人と味方戦力増強を。セルフ飯テロ状態だったので辛いものがありました!
前章でも出てきた不思議なダンジョンです。上下平面移動あり立駐超巨大版みたいな構造です。
地球だけでは無く火星や金星や水星にもあります。水星が一番難易度が高く、次に地球。
惑星の金属埋蔵量にも影響しています。第一世代EL時代の遺跡なので、現行戦力には手が余る代物。
ネリフィムはコックピットにある部分にも第二脳が……と考えたところで某黒い悪魔が浮かんだので却下。
誇り高い天使をモチーフにしている以上、脳は頭です。
ヴァーリもそうですが、仲間のホークも強化する必要があります。
今回でてきた謎の超越知能の正体は次回、明らかに!
ご連絡です。筆者、来週東京のゲーム業界の情報交換会出席のため日曜まで東京です。
現地でも原稿は書きる状況にはしておきますが魔王、帰還すの更新が月曜になる可能性が高いです。
月曜にも更新されていなかったら東京の暑さでへばっていると思ってください……!
応援よろしく御願いします!




