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魔王、帰還す〜追放された傭兵は圧倒的な機動力と火力をもつ機体を駆り戦場を支配する  作者: 夜切 怜
過去との対峙

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姐さん

「エイル。ロズル。みんなに挨拶を」

『皆様。はじめまして。戦術支援コンピューターエイルです。みなさまを歓迎いたします』

『星間巡航戦車アルフロズルを制御するロズルです。皆様のご乗車並びにテュールスフィアの移籍の件。心より嬉しく思います』


 二人の声が広間に響く。


「肉体を喪ってもなお俺の傍にいて支えてくれる。俺は彼女たちに屋台料理を食べさせてやりたい。お前たちの屋台料理も食べて貰いたい。ただ、それだけなんだ。だがそのためにはEL勢力とやりあわねばならない。しかし俺一人ではこの戦車は広すぎる。だからみんなに協力を要請した」

「――若。よくぞ声をかけてくださりました。我ら全員、エイル様とロズル様の在り方に心を打たれました」


 センノスケが配下を代表して宣言する。

 異論を申したてる者はいなかった。


「とはいっても戦闘に駆り出すわけじゃない。みんなには屋台の腕を揮って欲しい。敵の襲来時は、できることをしてくれたらいいんだ。アルフロズルは兵装を剥がされている。まずは装備を集めていくところからだな」


 屋台職人たちには、無理をして欲しくない気持ちはある。

 

「若。恐れながら。我ら一同命を惜しむ者などいません。みたところアルフロズル様の積載能力は膨大。ホークや搭乗可能な兵器が増えれば戦えましょう」

「センノスケの言う通りだ。アルフロズルの積載能力はかなりのもの。ホークを揃えたいところだ」


 負の質量を利用したMN装甲を持つホークは兵器として飛び抜けている。

 多ければ多いほどいいだろう。


「申し訳ありません。本来ならホークも用意しておけば良かったのですが……」

「いや。ホーク持ちも来てくれている。無茶をいうつもりはない」


 いわばニシノミヤスフィアの住人は難民だ。生活するだけで精一杯だったのだ。

 ナミのようにホークの傭兵も数人いる。パイロットはホークごと移籍してくれている。


「トレーラーも戦闘能力は持つが、緊急用だ。――そうか」


 やはり本当の指導者はセンノスケが相応しいだろう。


「センノスケ。頼みがある」

「なんなりと」

「あのトレーラーハウスをお前に預ける。思う存分屋台の腕をふるってくれ。あのキッチンカーはどんな料理も可能だが、今この場にいる全員は料理できないからな。お前が腕のいい屋台職人を決めろ」


 一同に衝撃が走る。

 つまりキッチンカーに搭乗する料理人として少ない席を争うことになるからだ。


「ありがたき幸せ」

「戦闘支援もだ。戦闘支援と屋台職人は別に考えてくれ」

「はい。席が二つ増えることはいいことです」

「俺は親父じゃないから、もう少しフランクでもいいが…… 若頭として俺をサポートしてくれ。代貸だと俺が貸元になっちまうからな」

「はっ!」


 正式に若頭として任命されたセンノスケは、拳を畳みにつけて深々と頭を下げる。


「当面は俺がホーカーとして宇宙を巡る。一緒についてきて欲しい。その間に屋台を各地で開いていこう」

「屋台としての伊良一家が復活するのですね」

「親父の屋号を継ぐ気はない。俺達はアルフロズルとともに移動する屋台職人集団として再出発する。隻翼一家にしてくれ」

「――隻翼一家だ。お前ら、わかったな!」

「は!」


 センノスケが背後にいる者たちに号令をかける。

 全員が声を揃えて返事をした。


『こんなに屋台職人が私の戦車にいてくれる。これほど嬉しいことはありません』


 食生活に乏しいテュールスフィアの超越知能には嬉しいことなのだろう。

 

『皆様の料理を是非振るってください。私達は視覚でも楽しめます』

「そうそう。二人は肉体を持っていないが視覚情報で味わいたいそうだ。準備ができ次第、順番にキッチンでみんなの腕を揮って欲しい」

『オソナエというものだそうです』

『楽しみにしています』

「俺は二人に肉体でも俺達の料理を味わって欲しいと思っているんだ。ニシノミヤスフィアの復讐ではなく、未来に繋がる目標だ。そのほうがきっと死んだ親父も喜ぶ」

「同意しかございません。成し遂げましょう。若。(あね)さんたちのためにも」


 復讐ではなく、未来を。

 レイジを変えた者がこの二人の女性だとセンノスケは痛感した。

 隻翼が一瞬固まる。姐さんといいだしたからだ。


「エイルの姐さんにロズルの姐さんと呼んでも差し支えないでしょうか?」


 センノスケは二人に確認する。レイジの女なのだから、彼等にとっては姐になる。

 

「それはどうだろう?」


 隻翼はまた不吉な予感がする。


『様付けよりエイルの姐さんのほうが好ましいです。みなさんもそう呼んでください』

『私がロズルの姐さんです。困ったことがあったらそう呼びかけてください』


 隻翼が話をする前に本人たちによって承認されてしまった。

 二人が気に入ってしまったようだ。


「ドワーフ二人は職人気質の工廠管理をしている。兄貴と呼んでやってくれ。返事はないかもしれないが、俺とともにある」

「了解しました。ドヴァリンの兄貴とドゥリンの兄貴ですね」

「俺の話はこれでおしまいだ。方針はとくになし。いきあたりばったりだからよろしくな」

「一つだけ。俺達屋台職人の者としては理想の環境過ぎて怖いぐらいです」


 センノスケが本音を吐露した。配下の者たちもそう感じていたのだろう。


「屋台料理を楽しみにしてくれる姐さんたちが管理する戦車。乗員の個室も完備。家庭持ちの部屋まである上、出店のキッチンカーまである。これ以上ない贅沢ですぜ」

「小型の屋台も作ってもらうように頼んである。キッチンカーに選ばれなかったといってふてくされることは許さないからな」


 笑いながら隻翼が言う。

 旧ニシノミヤスフィアの住人はアルフロズルを気に入ってくれたようだ。

 

いつも応援ありがとうございます! 誤字報告助かります!


エイルとロズルが生前の姿を出さない理由は女性陣に配慮したのと、偶像化を考慮したからです。

姐さんを気に入った理由は隻翼の女だと集団がそう理解したのだからと外堀を埋めるためです。


ちゃっかりナミが隻翼の背後にいますので、あとで追求されるでしょう。


ドヴァリン「俺等が兄貴だそうだが……」

ドゥリン 「ボディビルダーにならないとだめか……? 頭から砲は撃ちたくないぞ」

ドヴァリン「違う。そっちはオプションだ」


と懐かしいレトロゲーネタも込めつつ。


応援よろしく御願いします!


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― 新着の感想 ―
まあ兄貴なあのゲームは主人公のイダテンとベンテンよりアドンとサムソンのメジャーだし
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