70話 聴こえる声
こんにちは!作者です!3年目一発目の話です!だからと言って特別な話ではないです。至って普通にストーリーが進行されますので、まったり読んで下さると幸いです。
──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。
トイレから戻ってきたレビィは、シャイン達にムサシと鉢合わせしたが、何事もなかったことと、救助隊員からの言伝を伝えたことを話した。
そうこうしている間に、龍空高校一同が大穴に入る時間となった。
女性ガイドから大穴内での注意事項などを聞き、いざ千年桜の中へと入っていく。
中はライトアップ用の照明が少し配置しているのみで、その他は自然そのままの状態を維持している。有名な絵画や彫刻のような一目見て魅了されるということはないが、自然が生み出した神秘的な空間にいる、という体験は何事にも変えられない不思議な気持ちを抱かせてくれる。
「すっご〜!迫力満点〜!」
エアルが素直に感じた感想を叫ぶ。
「正に自然の芸術ですね。」
ヒューズは感心しながら全体を見渡している。
「……ただの木じゃねぇか。」
スノウが身も蓋もないことを告げる。
「右に同じく。」
シャインも何の感情もない顔でスノウに賛同する。
「もう少し感性を持とうよ……」
レビィが呆れた顔で溜め息をつく。
「………」
呆れるレビィの近くで、サナが真剣な面持ちでとある箇所を見詰めていた。
「どうしたの、サナ?」
それに気付いたアレンがサナに問いかける。
「アレン、ここ見て。」
サナが指差す先に、アレンも注目する。そこには小指の爪程度の大きさの鉄製の何かが埋まっていた。
「これは…鉄?誰かがいたずらで鉄の何かを埋めたの?」
「そんなもんに私が食いつくわけないでしょ。──この鉄、恐らく千年桜が生み出したものよ。」
「──!?どういうことだい?木が鉄を生み出したってこと?」
「理屈は分からない。でもこの鉄は外部から埋め込まれたんじゃない。明らかに千年桜と融合している。」
「埋め込まれた鉄を千年桜が吸収した、という可能性は?」
「だとしても、木が鉄を吸収する時点で異常よ。」
サナは警戒するように見渡す。
「この木、もしかしたらヤバい木かもしれないわ。」
サナとアレンが話している間に、龍空高校一同の体験時間が終了した。
──(見つけたぞ…!)
大穴から出ようとした時、最後尾を歩くレビィの脳内に直接声が響いた。ハッキリと聴こえた見知らぬ声に、レビィは慌てて振り返った。
目を見開いたまま、レビィは他の観光客がいるだけの大穴内を見詰める。しかし、自分に声をかけた素振りがある人物はいなかった。
「──ィ!──ビィ!──レビィ!!」
名前を呼ばれていたことに気付いたレビィがバッ!と振り返ると、シャインが心配した目でこちらを見詰めていた。
「どうしたんだレビィ?皆行っちまったぞ。」
「ご、ごめんね!直ぐに合流するね!」
バレバレな愛想笑いを浮かべるレビィが目の前を通り過ぎるので、肩を掴んでシャインが止めた。
「お前、何か隠しているだろ?」
「そんなわけないじゃん。さっきはただ虫か何かに後ろからぶつかられてビックリしただけだから。」
目を合わせないまま、その場しのぎの嘘をつくレビィ。
「そんな見え過ぎた嘘、馬鹿な俺でも分かるぞ。お前は優しいから、咄嗟に周りに迷惑をかけまいとしてるんだろ?1年以上の付き合いだ。今更遠慮すんじゃねぇよ。」
シャインに諭され、レビィは数秒の思考の後、真実を告げる決意し、シャインのほうに振り返った。
「声が…聴こえたの。」
「声?」
「うん。知らない声だった。すぐに周りを見ても声をかけてきた感じの人がなかったから、多分テレパシー的なもの。チュラルナに到着してからたまに呼ばれたような感覚はあったけど、その時は気のせいかなって感じだったけど、今回で確信に変わった。私は今、誰かに呼ばれているわ。」
レビィは怯えた青い瞳でシャインを見詰める。
「でも、他の皆には言わないで。せっかくの楽しい修学旅行を台無しにしたくないから。」
情報を共有しているほうが何か遭った時に対処できる者が増える。流石のシャインでもそれくらい理解出来る。しかし、レビィの思いを無下にすることは出来なかった。
「……分かった。でも何かあればすぐに言えよ。」
シャインはレビィの想いを汲み取り、2人だけの秘密とした。
「ありがとう、シャイン。」
「取り敢えず今は戻るぞ。」
シャインとレビィは急いで龍空高校一同の元へ戻るのであった。
千年桜の大穴の観光を終えた龍空高校一同。次なる目的地であるシュッドサウスの歴史を見学出来る博物館へとバスで移動を開始する。
その道中、明日開催される千年桜満開祭の会場が見えてきた。千年桜を絶景できる草原に屋台やステージが建てられており、野外フェスのような空間となっている。正式な開催は明日だが、既に多くの人々が集まっており、屋台では美味しい匂いが立ち上り、ステージではアーティストが人々を熱狂させていた。
そんな会場を見送って、龍空高校一同は目的地の博物館に到着した。
博物館裏側の社長室のような豪華な部屋。扉の近くでスーツ姿の男性が電話をしている。
「代表、龍空高校の皆様が博物館に到着されたようです。」
電話を終え、スーツ姿の男性は内容をエグゼクティブチェアに座る女性に伝える。
「西の女王様はおられるのかい?」
桜をイメージとした豪華な装飾に桃色の漢服を身に纏う女性がエグゼクティブチェアから立ち上がる。
「はい。おられます。」
「そうか…おられるか…」
漢服の女性は大きくため息をついた。
「ならば挨拶をしなければ無作法になるではないか。………面倒だ。」
最後に小声で本音を漏らしつつ、漢服の女性は部屋を出ていき、到着した龍空高校一同の元へと向かうのであった。
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