69話 のらりくらりと現れた者
こんにちは!作者です!祝!2周年!です!
少し過ぎてしまいましたが、7月15日をもちまして、『始まりは魔法科高校から』は2周年を迎えました!
これからもゆっくりではありますが、面白い小説を投稿していきますので、これからよろしくお願いします!
──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。
修学旅行2日目の朝を迎えた。スッキリお目覚めの生徒に大あくびをする生徒、徹夜でフラフラの生徒など、様々な状況の生徒達が駐車場の一角に集まっていた。
2日目の予定はバスに乗り、千年桜周辺の観光スポットや資料館を巡り、途中繁華街で自由行動となっている。
殆どの生徒の目的は自由行動である。食べ歩きフードやお土産など、どこをどのルートで回ろうか話し合っている。
シャイン達も例外ではなく、楽しく自由行動の計画を立てている。
「それでは皆さん行きますよー!」
ナナリーの言葉を合図に、龍空高校一同はバスへ乗車していく。そして何事もなく乗車を終えると、バスは目的地に向けて発進した。
龍空高校を一同を乗せたバスは順調に千年桜へ近付いていく。千年桜の迫力と美しさに圧倒され、どんなに性格が悪い人間だろうと、一度は見惚れてしまうほどである。
そんな千年桜を窓から見ていると、バスは1つ目の目的地──市街地から少し外れた場所に現れる『滝』に到着した。千年桜から飛んできた桜の花びらが煌びやかに流れる光景から『桜道の滝』と呼ばれている。
「ここで20分ほど自由時間にします!あまり遠くに行かないこと!柵はありますが、流れの強い水辺や滝壺には近付かないこと!これを守って下さい!では!一度解散です!」
ナナリーの声を合図に、生徒達は自由行動を開始する。映えスポットで写真をとる生徒達、周辺の屋台で食べ歩きをする生徒達、安全な浅瀬で水遊びをする生徒達など、各々楽しく時間を過ごす。
シャイン達も集合すると、屋台で団子を購入し、桜の花びらが綺麗に舞い散る滝を眺めながらモグモグ食べている。
(────!)
談笑中、レビィの耳にまたノイズのような声が聴こえた。
(まただ…耳鳴り…なのかな…)
レ突然不安そうな顔をするレビィ。それを見つけたシャインが声をかける。
「どうしたレビィ?」
「えっ、ああ…何でもないよ。ちょっと耳鳴りがしただけ。」
レビィが気にしないでと微笑む。
その時、シャイン達から少し離れた所からから女性の悲鳴が聞こえてきた。シャイン達含め、その場にいた者達が一斉に声がした方向に向いた。
「子供が滝に落ちたぞー!」
男性の声が簡潔に起きた出来事を叫んだ。
突如起きた水難事故。生徒達は勿論、他の観光客達もどうしたらいいか分からずオロオロとしている。
この間も子供はどんどんと流され、滝壺へと迫っていく。
「どうしよう…!シャ──!」
レビィがシャインのほうに向いた時には、シャインは躊躇なく落下防止の柵の上に足をかけ、飛び込む寸前の体勢であった。
しかしシャインが飛び込む前に、1人の男性が軽い身のこなしでヒラリと柵を飛び越えて水に入ったのだ。男性は流れをもろともせず泳いでいくと、あっという間に子供を抱えた。そしてスルリスルリと柵まで子供を運んでくると、到着した救助隊員に子供を預けた。
「さぁ、貴方も。」
救助隊員が男性も救助しようとする。
「ああ、拙者は構わんで。勝手に上がるさかい。」
にこやかに答えた男性は、壁や柵を利用していとも簡単にピョンと水から飛び出てきて、何事もなかったように柵の内側に着地した。
そんな男性の正体を見た瞬間、シャイン達は反射的に戦闘態勢となった。
無理もない。この男性は正体は、身長182cm、黒髪の無造作ヘアに緑色の瞳をもち、山吹色を基調とした少し明るめの袴を着た革命軍の三柱の1人──『ムサシ・ミヤモト』だったのだから。
「おや?いきなりどえらい殺気向けられたと思ったら、見知った童どもがいるやないか。」
濡れた袴を絞るムサシがケラケラと笑う。
「てめぇ、ここで何してやがる…!」
いつでも風砕牙を抜刀できる状態のシャインが睨みつけながら問いかける。
「別に何も企んでへんよ。純粋に観光を楽しんでいただけや。」
袴を絞り終えたムサシは、泳ぐために外していた二本の刀を腰に戻して下駄を履いた。
「そんなこと、誰が信じる。」
アレンが一蹴する。
「本当のこと答えたのにそらないわ。」
ムサシがオーバーリアクションでガックリと肩を落とした後、話を続ける。
「最近ウチの大将が忙しそうでな。派手な戦闘がなくて退屈しとるんよ。で、気晴らしにただ観光巡りをしとったら……このザマよ。」
ムサシは不満気な顔で敵意剥き出しのシャイン達を見回す。
「人のバカンスを殺気で水差しおって。──まぁええけどな。拙者も暴れるほうが好きやし。その代わり…この桜色で彩られる滝が、真っ赤な血で汚すことになるで。」
チャキリと腰の刀を手を伸ばすムサシ。その瞬間に放たれた殺気は、シャイン達の殺気を一瞬にして凌駕するほどであった。
しかしムサシはすぐに殺気を消すと、アハハと笑う。
「冗談や冗談。流石の拙者もこないな所でいきなりドンパチするかいな。」
そう言ってムサシはどこかに立ち去ろうする。
「どこに行く気だ?」
アレンがムサシの背中に尋ねる。
「観光巡りの続きや。──安心せい。そっちが何もしてこん限り、こっちからも何もせん。」
ムサシは背を向けたままヒラヒラと手を振って桜道の滝を後にした。
ムサシの姿が見えなくなると、シャイン達は戦闘態勢を解除して、緊張していた体から力を抜いた。
「1つ聞きたいが、君達は先程の人と知り合いかい?」
シャイン達の元に救助隊員が近付いてきて尋ねてきた。
「まぁ…知り合いと言えば知り合いです。」
レビィが代表で答える。
「ならば言伝を頼めるかい?あなたのお陰で少年は助かった、と。」
「分かりました。伝えておきます。刃を交えていなければ。」
レビィの謎の返答に救助隊員は少し困惑した顔をするが、少年を病院に連れていくためその場から立ち去った。
「さて、我々もここを離れましょう。少し目立ってしまっています。」
注目の的となってしまっているシャイン達は、ヒューズの言葉を皮切りに、その場からそそくさと立ち去るのであった。
予想外の相手と一触即発が起こりそうであったが、桜道の滝の観光を終えたシャイン達。今はバスに乗り、次なる目的地である千年桜へ向かっていた。
千年桜の幹には自然にできた大穴が空いており、入ると巨大な空洞が広がっている。人はそこに神秘的な魅力を感じ、今はパワースポットとして有名な場所となっている。
そんなパワースポットに到着した龍空高校一同。大穴の前には鳥居が建てられており、より神秘的な空間を作り出していた。
「中に入るまで少し時間がありますので、お手洗いに行きたい人は今のうちに行って下さい。」
龍空高校一同は近くの原っぱで待機してトイレタイムをとる。
「私、行ってくるね。」
そう言ってレビィはシャイン達から離れ、1人トイレへと向かった。そして用を足してトイレから出てきた時、出会ってしまった。
──ムサシ・ミヤモト、と。
「おや、今回は殺気を振り翳してこんねやね。」
挑発気味に問いかけるムサシ。
「こっちが何もしなければ何もしない、そう言ったのは貴方よ。」
「確かに。なら、このまま互いに観光を楽しもうや。」
そう言って去ろうとするムサシを、レビィが呼び止める。
「待って。滝での一件で、救助隊員さんから言伝があるわ。貴方のお陰で少年は助かった、って。」
「そりゃ良かった。めでたいことや。」
ムサシがケラケラと笑う。
「あとこれは私からの質問。どうしてあの時、子供を助けたの?」
「若き命を助けるのに、理由が必要かい?」
ムサシはそれだけを答えると、また何処かに去っていくのであった。
(……不思議な人。)
レビィは人混みに消えるムサシを見送った後、集合場所に戻るのであった。
本日はお読み下さり誠にありがとうございます!
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3年目を迎えた『始まりは魔法科高校から』を、これからも読んでいただけると大変嬉しいです!なるべく早く投稿できるように努力します!
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