63話 瓦礫の故郷
こんにちは!作者です!
何とか1ヶ月とちょっとで執筆しました!龍○如く8外伝とモ○ハンワイルズは存分に遊ばせていただいております!ありがとう!SEGAさん、CAPCOMさん!
さて、本編はエアルとスノウ、両方の視点を書く予定でしたが、長くなりそうだったので分割させていただき、今回はスノウ視点でございます。
──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。
夏休み。長き休暇の過ごし方には『帰省』という方法もある。
そんな方法を採用したのは、エアルとスノウである。
アレンにOG内を通らせてくれと交渉したが、OGは交通機関がじゃないと断られた為、正規の手順で故郷であるザーパトウェストの首都『ヨロパ』へと帰ってきた。
「帰ってきたー!」
Tシャツにショートパンツ、サングラスをかけ、頭にポップな帽子を被るのは、ザーパトウェスト女王──エアル・フィン・ダイヤモンドであった。
現在、首都ヨロパの平民エリアから、遠くに見える実家のダイヤモンド城を眺めていた。
「あっちぃ…何でこんな暑い時に帰省なんてしなきゃなんねぇだ…」
元気いっぱいのエアルとは対照的に、夏の暑さでバテるのはスノウ・シルバーである。
「もー、来る前に賛成したんだら文句言わない。」
バテるスノウを一喝するエアル。
「だいたい、帰省する理由が『お忍び行動をしたい』ってなんだよ。」
スノウはエアルの帰省理由に納得いっていないようだ。
「いや〜せっかく女王って立場なんだし、少しはセレブっぽいことしたいなぁって思って。」
エアルがエヘヘを笑う。
「はぁ……」
エアルの楽しそうな笑みを見て、スノウは溜め息をついて諦めることにした。
その時、自分達の周りがザワザワしていることに気付いた。
「やば…早速バレそうな予感…」
エアルが慌てて身を隠す動作をする。
「たく…ほら、行くぞ。」
スノウはパッとエアルの手を握ると、慣れたように人混みの間を通り、昔泥棒をしていた頃の逃走経路を使って人気がない所へと駆けていく。
エアルはいきなり手を握られたことにドキッとしながら、スノウに引っ張られるがまま共に駆けていくのであった。
人気のない路地裏まで走ってきたスノウとエアル。
「ふぅ…ここまで来れば大丈夫だろ。」
一安心するスノウは、エアルが何故かモジモジしていることに気付く。
「ん?どした?」
「あの、手……」
エアルはスノウに握られている自分の手に視線を向ける。
「──!!わ、悪い…」
状況を理解したスノウは急に恥ずかしくなり、慌てて手を離した。
「べ、別に謝ることじゃ……」
2人が青春の空間に包まれそうになった時だった。
「女王たるものが、このような所で何をなさっているのですか…」
呆れたような声量で、誰かが2人の死角から声をかけてきた。
スノウとエアルは飛び跳ねながら驚く。そして声の主を見たエアルは、パァッと顔を明るくした。
「『ハーグ』!!」
70代とは思えぬほどピンと伸びた背筋に、茶色の髪と瞳をもち、この夏空の下でも燕尾服をピシッと着こなす女性の名を、エアルは叫びながら抱きついた。
「ハーグ!会いたかった!何でここに?その服、暑くないの?てか、ここで何やってるの?」
抱きついたまま、エアルが無邪気に笑みを浮かべる。
「エアル様、質問は絞ってするものですよ。」
ハーグは母親のような笑みを浮かべながら、エアルの頭を優しく撫でる。そして撫でたまま、視線をスノウに向ける。
「初めましてですね、銀野良さん。いえ、スノウ・シルバーさんですね。」
「……どちら様で?」
スノウが正体を訊く。
「私はメイド長としてエアル様にお仕えしておりますハーグと申します。2人がヨロパに戻ってくることは入国された時から存じておりましたので、ここまでお迎えにきたのです。」
「ええっ!?バレてたの!?」
エアルがハーグから離れつつ驚く。
「当然です。お二人が入国された時から、既にこちら側は把握しておりました。」
「なんだ、最初から『お忍び』なんて出来なかったわけだ。」
スノウがニヤニヤしながら告げると、エアルはガックリと肩を落とした。
「成る程。帰省理由だけ分かりませんでしたが、そういうことでしたか。」
ハーグがフフッと上品に笑う。
「では、城へと向かいましょう。」
ハーグが2人を連れ、ダイヤモンド城へ移動をしようとした時、
「いや、俺は自分の故郷に戻るよ。」
スノウが共に行くことを断った。
「えっ…?一緒に来ないの…?」
完全に一緒にくるものだと考えていたエアルが、急に寂しそうな顔をする。
「あのな…どの面下げて襲撃した城に行けばいいんだよ。気まずくてしゃーないっつうの。それに最初から俺は故郷に帰るつもりだったしな。──そういう訳で、ハーグさんでしたっけ?エアルを城に頼みます。」
スノウはエアルをハーグに託すと、ヒラヒラと手を振ってその場から去っていく。
エアルは寂しそうな表情を浮かべながら、小さくなるスノウの背を見送った。
瓦礫やブリキ、木材などで作られた小屋が大量に建ち並ぶこのエリアは『ボウビン』と呼ばれ、ザーパトウェストの貧民達が集う貧民街であり、スノウの故郷でもある。
ボウビン内、2人以上で窮屈になりそうな家に今、スノウとニクスは向かい合って座っている。
「どういう風の吹き回しだ?勝手に出て行ったと思ったらしれっと帰ってきやがって。」
年齢24歳、身長175cm、金髪ロングヘアに黄色の瞳をもち、スノウの兄貴分にあたる男──『ニクス』が尋ねる。
「エアルの付き添いだよ。でも城に入るわけにはいけないから、こっちに来ただけだ。」
スノウは使い古されたコップに入っている謎の水を躊躇なく飲む。
「……あっそ。」
ニクスも謎の水を飲む。そして特に会話が続くわけもなく、無言の時間が暫く流れる。この空気に痺れを切らしたのはニクスのほうだった。
「おい、もしかして女王様の用が済むまでこのままダラダラと居座るつもりか?」
「あー、まぁ特にやることもねぇしな。」
「そんな勿体ねぇ時間の過ごし方があるかよ。」
「だったら何すんだよ?」
「そうだな…折角時間があるんだ。鍛え直してやろうか?」
ニクスが拳をパキパキと鳴らす。因みにスノウの戦いのいろはは、昔ニクスが教えている。
「はぁ?こんな暑いのにそんな事してやれっかよ。──それに、俺はもうニクスより強いしな。」
スノウがニヤッと挑発気味の笑みを浮かべる。ニクスはまんまと挑発に乗り、ピクッと眉を動かす。
「ほ〜、言うじゃねぇか。だったらまず白黒つけようぜ。」
ニクスが外に出るように促すと、スノウも自分から挑発したくせに、結局乗せられてしまい、2人は家の外へ出て、広間へと移動した。
「ん?なんだ喧嘩か?」
「てか、スノウ帰ってきてるじゃん。」
「帰って早々喧嘩って…仲が良いね、まったく。」
ボウビンの住民達が2人の騒ぎを聞きつけて、野次馬となっていく。
「来いよ、スノウ。」
ニクスが拳を構える。
「言われなくとも!」
スノウは拳同士をぶつけて気合いを入れた後、スノウに殴りかかる。
ニクスはわざとギリギリでスノウの一撃を回避することにより、見事なカウンターをスノウの鳩尾にきめた。
「ぐっ…!」
スノウは顔を歪ませながらも反撃にでる。しかしあっさり見切られ、二度目のカウンターを顔面に受けると、鼻からタラリと血が流れた。
「俺があの日、お前に負けた時と一緒なわけがねぇだろうが。」
拳を構え、ボクシングのようなステップを踏むニクス。
スノウは垂れる鼻血を手の甲で拭き取ると、同じように拳を構える。
「だったら…ニクスに出来ねぇ芸当でいくぜ!」
スノウが拳に炎を纏った。
「[フレイムナックル]!!」
炎の拳を握り締め、渾身の一撃を狙う。
「いくら威力を上げようが、当たらなければ意味がねぇんだよ!」
ニクスはバックステップを踏み、スノウの一撃を回避する。しかし、これはフェイクに過ぎなかった。
スノウは空振りした炎の拳で地面を殴った。
「[ボルケーノアッパー]!!」
次の瞬間、ニクスの足下から拳の形をした炎が噴き出し、全身を包みながら空中へと吹き飛ばした。
「どうだ!ちょっとは効いただろ!」
見上げるスノウがニヤリと笑うが、その表情はすぐに消えた。
炎が消え、姿を見せたニクスの拳には雷が纏っており、既に攻撃へと転じていたからだ。
「[フォールライトニング]!!」
ニクスがスノウ目掛けて拳を振るうと、落雷が発生した。直撃はしなかったものの、衝撃波によってスノウは吹き飛ばされ、瓦礫の山に突っ込んだ。
野次馬は勝負あった喧嘩に歓声を上げてから、そそくさと解散していくのであった。
「くっそ…何で…」
体が痺れて動けないスノウにニクスが近寄る。
「ニクス、てめぇ…昔は魔法使えなかっただろ…」
スノウは自分を見下ろすニクスを睨みつける。
「昔は、な。」
ニクスはニッと笑うと、動けないスノウの近くで胡座をかいた。
「魔法に詳しい奴に訊いてみたらよ、人間誰しも魔力を宿しているみたいなんだ。で、そこから魔法を使えるかどうかは運が絡むんだってよ。お前みたいにガキの頃からすぐに魔法を使える奴いれば、俺みたいに大人になってから突然使える奴もいる。」
「……で、いつから使えるようになったんだよ?」
「今年に入ってからだ。労働の最中にひょんなことに感電しちまってよ。それがきっかけなのか、そこから雷魔法を使えるようになったのさ。」
「やべぇ覚醒の仕方してんじゃねぇか。」
綱渡りな経緯を聞き、苦笑いするスノウはようやく痺れが治ってきて、瓦礫の山から体を出した。
「さて、白黒ハッキリさせたところで、女王様を待っている間、鍛え直してやろうじゃねぇか。」
「それはいいけどよ。具体的に俺はどう鍛えたらいいんだ?」
スノウが自身の強化方法を尋ねる。
「そうだなぁ……お前のメインの属性って何なんだ?」
ニクスの問いに対し、スノウが首を傾げる。
「だから、お前って昔から色んな属性の魔法使うじゃねぇか。俺も詳しくはねぇけどよ、それって魔力を各属性に分散して与えていることになると思うんだ。その分散されている魔力を1つの属性に『一点集中』させれば、滅茶苦茶強い一撃とか放てるんじゃねぇか?」
「成る程。確かに考えたことなかったな。で、それってどうやってやんだ?」
「知るか。あくまで仮説の話だし、出来たとしてもやり方を見つけるのはお前だ。」
「あっそ。──まぁいいや。取り敢えず試してみるかよ、良いサンドバッグになってくれよ。」
スノウが楽しそうにコキコキと首を鳴らす。
「は、口が減らねぇ野郎だ。」
そう答えるニクスも、どこか楽しそうな笑みを浮かべるのであった。
本日はお読み下さり誠にありがとうございます!
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これからも様々なゲームを楽しみつつ、なるべく早く投稿していきますので、のんびり待って頂けると幸いです!
それではまたお会いしましょう!次回をお楽しみに!




