61話 更なる上の力
こんにちは!作者です!
そして、明けましておめでとうございます!
今年も『始まりは魔法科高校から』をよろしくお願いします!
さて、本当はもっとストックをしてから投稿しようと思いましたが、流石に新年1発目が3月とかはヤバいなと思い、1話だけ投稿させて頂きます。
──皆様に、少しでもワクワクできる時間を。
安全な区域の休憩所へと移動してきたシャインとアレン。シャインは木製ベンチに腰掛け、アレンは2人分のスポーツドリンクを自販機で購入し、シャインに渡して隣に腰掛けた。
「俺と同じ域ってことは、そいつも能力解放になれるのか?」
シャインが尋ねる。
「うん。普段は長期任務に出ていることが多くて、なかなか本部に帰還されないんだけど、今はたまたま帰還されていてね。」
「強いのか?」
「それは勿論。なんせ『第一戦闘部隊隊長』の肩書きを背負う人だからね。」
「へぇ、いいじゃねえか。」
シャインの戦闘狂の部分が反応し、強く興味を持った。
「ちょっと連絡してみるね。」
そう言ってアレンはスマートフォンで連絡を始める。
そして数分後、会話を終了したアレンが結果を告げた。
「シャインが大丈夫なら、今からでも会ってくれるみたい。どうする?」
返ってくる答えが分かっているアレンは少し笑いながら尋ねる。
「ハッ、そんなの決まってんだろうが。」
シャインは黄緑色の瞳をギラつかせた。
天龍山に極秘で設置してあるOGのワープ装置により、OGへと到着したシャインとアレン。すれ違う隊員達に物珍しいものを見る目で見られながら移動し、到着したのはトレーニングルームと書かれた部屋であった。
中には様々なトレーニング器具が置かれており、隊員達が己が体を鍛えていた。その中でも、懸垂をする男が周囲の視線を集めていた。
身長190cm。オールバックの銀髪に青色の瞳をもち、トレーニングウェアの上からでも分かる筋骨隆々の肉体。
とても御年45歳には見えないこの男が、初見のシャインでもすぐに見抜いた。
──こいつは強い、と。
「お疲れ様です。連絡をさせていただいたシャインを連れてきました。」
アレンが筋骨隆々の男に声をかけると、懸垂を止めて着地すると、アレンとシャインに近付いてきた。
「おう、アレンから話は聞いているぜ。俺の名は『マベル・ダウニー』だ。よろしくな。」
マベルと名乗った男は渋めの声で気さくに握手を求めてきた。
「シャイン・エメラルドだ。」
シャインも手を差し出し、マベルと握手を交わした。
「早速だが、お前さんの能力解放を見せてもらおうか。」
「話が早いな。」
「おうよ。能力解放の奴と戦り合えるなんて久々だからな。」
「いいね。あんたとは馬が合いそうだ。」
出会って一分未満で意気投合したシャインとマベルは、トレーニングルームの奥にある実戦ルームと書かれた場所へと移動する。アレンはやれやれと少し呆れつつも、2人の後を追うのであった。
実戦ルーム内は広く真っ白な空間となっており、別室で操作することによって様々な地形に変えることが出来る。
「平坦じゃ面白くないな。アレン、簡単な障害物を作ってくれないか?」
マベルからの指示にアレンは素直に従い、別室に移動して操作パネルを使用する。するとシャインとマベルの周りに大小様々な灰色のキューブが出現する。
「よし、じゃあ早速なってもらおうか。能力解放に。」
「ああ、いいぜ。」
マベルに言われた通り、シャインは一気に魔力を高めた。すると髪は黄緑一色に、瞳は金色へと変わった。
「ほぉ〜、その若さでここまで力を解放できるとは驚いた。正しく天賦の才だな。」
マベルはシャインの力に素直に感心する。
「お前はならないのか?」
シャインがマベルを見上げながら問う。
「いいや、ならせてもらうぜ。じゃなきゃ意味はないからな。」
そう言うとマベルがスッと構えた。その瞬間、マベルの全身を銀色と青色を基調とした鋼鉄のアーマーが包み、顔にはフルフェイスヘルメットが装着され、外見が完全にロボットと化した。
「それは、魔法なのか?」
魔法にしてはあまりにも機械技術な外見に、シャインは思わず尋ねた。
「ああそうさ。魔法の名は『鋼鉄男』。元はただ体を硬化する魔法だったが、能力解放によって『進化』した魔法だ。」
「進化?どういうことだ?」
「まぁ詳しい話は後にしようや。まずは戦おうぜ、若人よ。」
マベルがボクサーの如く拳を構えた。シャインも風砕牙の鞘を握って構える。
数秒間の睨み合いの後、動いたのはシャインであった。
「[瞬ノ斬光]。」
シャインが高速の抜刀と同時に強い光を放った。瞬間、マベルは腹部に強力な一文字の居合斬りを喰らった。その衝撃でマベルの体は大きく後退はしたが、アーマーに傷一つ付くことも、跪くこともなく防がれてしまった。
「良い一撃だった!ならばこの一撃、返してやらんとな!」
マベルは鋼鉄のアーマーを身に纏っているとは思えぬ速さでシャインとの距離を詰めた。掌には何かしらのエネルギーの玉が形成されていた。
「[カウンターインパクト]!!」
エネルギーの玉がシャインの鳩尾に触れた瞬間、爆発級の衝撃波が生じ、シャインを大きく吹き飛ばした。シャインは小さな灰色キューブを数個破壊した後、大きな灰色キューブに激突して地面に倒れた。
「げほっ…!げほっ…!くっそ…」
シャインは立ち上がろうとするが、ダメージが大きく片膝をついてしまった。
「今のはお前から受けた攻撃を反射させたものだ。ま、威力は倍にしているけどな。それをまともに喰らって片膝をつく程度なのは根性がある。」
マベルが攻撃の種明かしをしながら近寄ると、
「……まだ、終わってねぇ!」
シャインは更に魔力を高め、身体を強制的に動かして立ち上がった。
「ほう、これは驚いた。まだそんな力が出せるのか。」
マベルが感心していると、シャインが一気に距離を詰めて連続で斬りかかってきた。マベルはシャインからの攻撃を防御しつつ、隙を突いて反撃に移る。
2人の攻防は実戦ルーム全体を使って繰り広げられ、生成した灰色キューブも殆ど破壊された。
激しい攻防は数分間続き、シャインの動きが先に鈍くなってきた。それはシャイン自身も自覚しており、どこかのタイミングで一撃を入れないと勝てないと悟っていた。
そして攻防の途中で互いに距離が空いた状況となった瞬間、シャインが勝負にでた。
素早く風砕牙の柄を槍投げのように掴むと、魔力を刀に集めた。
「[飛刃閃風]!!」
シャインは輝く風を纏う風砕牙を渾身の力を込めて投げ放った。
(これは…貫かれる…!)
マベルは直感で、この攻撃は受け止めてはならないと感じ、ギリギリのところで回避行動をとった。その際、少しだけ刃が体をかすめ、この手合わせで初めて傷が付いた。
(なんて威力だ。あのままアーマーで防御していたら体を貫通していたぞ。)
マベルは後ろの壁に真っ直ぐ突き刺さった風砕牙を見て少し冷や汗をかいた。
そして、風砕牙の威力に気を取られていると、シャインが目前まで迫っていたことに気が付かなった。
「[閃風拳]!!」
輝く風を纏う拳が、マベルのフルフェイスヘルメットに直撃する。だが、拳での一撃ではマベルを怯ませることは出来なかった。
マベルは透かさずシャインを両腕を掴むと、膝で鳩尾に一撃を入れた。まともに喰らったシャインは意識が遠くなっていき、視界が暗闇に覆われたと同時に気を失った。
数分後、シャインが飛び起きるように目を覚ました。場所はそのまま実戦ルームで、周囲にはマベルとアレンが座って待機していた。
「おっ、目を覚ましたか。」
マベルがシャインの目覚めに気が付くと立ち上がった。
「……くそっ。」
シャインは自分に起きたことを思い出し、敗北した事実に悔しがる。
「まぁそう落ち込むなって。一時的な力であれば俺より上だからよ。──さて、お前さんの能力解放なんだが、その使い方じゃあかなり燃費が悪い。持続力はそんなにないんじゃないか?」
「流石ですね。1回手合わせをしただけでシャインの課題を当てるなんて。」
アレンが感心する。
「話が早い。どうやったら持続力を鍛えられる?」
シャインが早々と本題に入る。
「そうだな…『能力解放を当たり前の状態にする。』それが一番効果的だろう。」
「───?どういうことだ?」
「お前さん、能力解放を『一時的なドーピング能力』みたいな認識をしていないか?」
「まぁそんな感じのイメージを持ってる。」
「その認識は間違いだ。能力解放は、うまく魔力を調整すれば半永久的になれる代物だ。」
「そうなのか?」
「ああ。現に俺がそうだ。俺は魔法を発動している間は常に能力解放になっている。つまり、あのアーマー状態=能力解放状態ってことだ。」
「成る程、どうりで強いわけだ。──それで、結局なところどうやって能力解放を当たり前にするんだ?」
シャインが方法を尋ねる。
「確か今夏休みだよな?なら、この夏休み中は如何なる時も能力解放の状態でいろ。」
「如何なる時もって…飯食ってる時も?」
「勿論。」
「風呂入っている時も?」
「無論。」
「まさか…寝ている時もか?」
「当たり前。」
「マジかよ……」
シャインが苦笑いする。
「ただこれが上手くいけば、魔力の最低ラインが能力解放の状態になるってことだ。そうすれば、『更なる上の力』を目指すことが出来る。」
「それがお前が戦う前に言っていた『進化』ってやつか?」
シャインの問いに対し、マベルはニッと笑うだけで答えはしなかった。
「さて、善は急げだ。アレン、あの首輪ってあるか?」
マベルが尋ねると、アレンがギョッとした顔になる。
「アレをお使いになるのですか?アレは囚人に使用するものですが…」
「監視するにはアレが丁度良いだろ。それにこいつならちょっとやそっとじゃ死なねぇだろ。」
マベルとアレンが物騒な会話をする。
「……俺、死ぬ可能性があるの?」
シャインがポツリと呟くのであった。
「なぁ、これは何だ?」
シャインの首には今、犬の首輪のようなリングが装着されており、ピカピカと怪しげに光ったりしている。
「それは『バインドリング』というもので、僕達が捕まえた囚人の動きを監視するリングなんだ。」
アレンが説明をする。
「俺は囚人扱いかよ…」
シャインは嫌な顔をしながら自分の首に付く鉄のリングを触る。
「リングに設定されたルールを違反したり、反抗的な態度をした場合、リングが首を絞めるようになっていんだ。それで、今回シャインのリングに設定されたルールが──」
「『能力解放を解除した場合、システムを発動する。』ってことにしている。」
アレンの説明の続きを、マベルが楽しそうな笑みを浮かべながら告げた。
「さて、能力解放になった瞬間から開始だ。」
マベルがシャインに能力解放になるように促す。
「分かったよ。やってやるよ。」
覚悟を決めたシャインは魔力を高めた。そして髪は黄緑一色になり、瞳は金色へと色を変えた。するとバインドリングが反応し、どうやら本格的に起動したようだ。
「あっ、そうだ。流石に本当に死ぬのは後味が悪いから、この夏休み中は常にアレンと共に過ごすこと。」
「えっ?聞いてないんですけど。」
アレンも初めて聞いたようだ。
「ああ。今言ったからな。──じゃ、頑張って強くなれ。若人よ。」
そう言い残し、マベルは実戦ルームから去っていった。
「……取り敢えず、寮に戻るか。」
「……そうだね。」
シャインとアレンは夏休みの生活について話すべく、学生寮に戻ることにした。
本日はお読み下さり誠にありがとうございます!
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出来るだけ早く投稿するつもりですが、恐らくペースは変わらないので、まったり待って頂けると幸いです。
またストックができればドバッと投稿しますので、よろしくお願いします。
それでは!次回をお楽しみに!




