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始まりは魔法科高校から  作者: 眼鏡 純
8章:新 KING OF MAGIC

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60話 三つ巴の決着

こんにちは!作者です!今回で新KOM編が完結です!

そして2024年も残り数日で終わりですね。皆様は年末年始、ゆっくりお休み取れていますか?私はシフト制の会社勤務ですのでお仕事です…。

この小説が、年末年始のお供になることを願います。



──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。

 フィールドの真ん中。ダクネスとトワイラが睨み合う。

「サービスだ。そっちから攻撃してこい。」

ダクネスが余裕をみせる。

「いいの?さっきまでシャンと戦っていたのに。」

口では心配するトワイラであるが、指はパキパキと鳴らしている。

「やる気充分じゃねぇか。」

「えへへ、バレた?じゃ、遠慮なく。」

トワイラは上目遣いで数秒間ダクネスを見詰めた後、水を纏った拳でダクネスの鳩尾に一撃を入れた。そしてダクネスがうずくまりかけるところに、畳み掛けて攻撃を仕掛ける。

[滝登拳(ろうとうけん)]!!」

水を纏った拳にアッパーカットがダクネスの顎を捉え、ダクネスを空中へと吹き飛ばす。間髪入れず、トワイラはダクネスと同じ高さまで跳び上がる。

[落滝踵(らくろうしょう)]!!」

水を纏った踵落としで、ダクネスを思い切り地面に蹴り落とした。ダクネスは地面スレスレで体勢を立て直して着地した。

「うっそ…結構マジだったんだけどな。」

何事もなかったように平気な顔で自分を見上げるダクネスを見ながら地面に着地するトワイラが悔しがる。

「神の力を使わないのか?」

ダクネスが問う。

「私は周囲に神力(じんりき)種のことは隠しているって開会式の時に話したでしょ。だから下手に人前で使えないだけ。」

トワイラがコソコソ声で答える。

「何故隠すつもりがある?大いなる神の力だぞ。これほど相手を圧倒し、潰せる力もないだろうに。」

「私はそんなことに神の力を使いたくない。使うなら、人を守る時に使いたい。」

トワイラの返答に対し、ダクネスは少し不機嫌になる。

「下らない。宝の持ち腐れもいいところだ。──ならばお前の望み通り、()()()()()()に神の力を使わせてやる。」

ダクネスが魔力を高めると、髪が金色から赤色に変化した。

(……私に否が応でも神の力を使わせる場面を作るつもりね。)

ダクネスの思惑を見抜いたトワイラは、グッと拳を強く握りしめて構えた。



 ダクネスとトワイラが戦闘している少し離れた場所では、人竜(じんりゅう)化のオウカと、吸血鬼化のヴァンが対峙していた。

「ヴァン先輩のその魔法、なんて名前なんですか?」

血で形成された大鎌を振るいながら問いかけるヴァン。

「教える気はねぇな。」

血の大鎌を回避しつつ、竜の爪で反撃するオウカ。

「じゃあ当てにいっていいですか?」

「ああ?遊びに付き合う気はねぇよ。」

「大丈夫ですよ。一発で当ててみせます。」

そう言うとヴァンは血の大鎌を傷口から体内に戻すと、オウカの一瞬の隙をついて一手で懐に入り込み、

「『幻竜(げんりゅう)魔法』、ですよね?」

鋭い爪でオウカの頬をスーッと撫でながら耳元で囁いた。オウカはピクッと眉を動かして反応すると、竜の爪を振ってオウカを後退させる。撫でられた頬からは血がゆっくりと流れる。

「その反応を見るに当たりですね。」

ニコニコと笑うヴァンに対し、オウカは一気に警戒心を高めた。

「……何でその名前を知ってやがる?」

「さぁ、何ででしょうかね?」

笑顔のヴァンがあからさまに誤魔化す。その態度にイラついたオウカは感情任せに竜の爪で襲いかかる。その時、ヴァンは自分の爪に付いているオウカの血をペロッと舐めた。

次の瞬間、オウカは自身の体に違和感を抱いた。まるで力が抜けていくような感覚に陥り、みるみる竜化していた体が元に戻っていくのだ。

「テメェ…何しやがった?」

完全に人に戻ってしまったオウカ。原理は分からないが、ヴァンが原因ということは直感で理解できた。

「これが僕の血鬼(けっき)魔法の真骨頂です。」

微笑みから不敵な笑みへと変貌させたヴァンの体から血が噴き出る。噴き出た血は爪や歯、翼、そして鱗などを形成していく。その姿はまるで『竜』の鎧を着ているかのようになっていった。

「まさかお前…!俺の魔法を…!」

オウカは今のヴァンの姿を見て理解した。自分の魔法が『奪われた』、と。

[叫竜(きょうりゅう)]。」

ヴァンはオウカの技と瓜二つである叫びによる衝撃波を発生させ、オウカを吹き飛ばした。まともに喰らったオウカは為す術もなく壁に激突すると、力なく地面に倒れた。

ヴァンは起き上がれないオウカの元へ近寄ると、竜の鎧を解除して見下ろした。

「僕は血を吸った相手の魔法を奪い、そして使用することが出来るんです。吸った血の量が多ければ多いほど、使用できる時間が長くなります。」

ヴァンはタネ明かしをしながら屈むと、小声で告げる。

「思わぬ良い血液(サンプル)が採取できました。ありがとうございます、『タツリュウ』先輩。」

「んなろ……やっぱ……知ってる系……かよ……」

オウカは最後にヴァンを睨んだ後、力尽きて気を失った。

「さて、愛しきトワイラ先輩を助けに行きますか。」

すぐに目標を切り替えたヴァンは吸血鬼化すると、遠くで戦うトワイラの元へ飛んでいく。




 ヴァンとオウカの戦いに決着がつく少し前。ダクネスとトワイラの戦いは、ダクネスの一方的な戦況となっていた。

(はぁ…はぁ…あんだけシャンと戦った後なのに…スタミナお化けかよ。)

満身創痍のトワイラは、息を切らしていないダクネスを目の当たりにして少し引いた。

「どうした?さっさと神の力を使わねば死ぬぞ。」

ダクネスが頑なに神の力を使おうとしないトワイラを挑発する。

「死なないよ。だって本当にダクが殺す気できて、私がそれに答えていたら、私もダクもルール違反で退場しているはずだもん。『度を超えた死闘に近い戦闘を行った際は、お互いに失格とする。』でしょ?」

冷静に拳を構えるトワイラが問いかけると、ダクネスは沈黙という形で答える。

「黙るってことは、ダクも理解して攻撃したんでしょ。失格は嫌だもんね。」

「……成る程。ルールの上ではお前と本気で殺し合いが出来ないということか。」

「どんな時だって、私はダクとは殺し合いなんてしたくないよ。シャンと同じ親友なんだから。」

トワイラが真っ直ぐダクネスを見詰めながら告げる。

「…………」

ダクネスは何か思っている顔をしながら、数秒の沈黙を生んだ後、髪色を赤色から金色に戻した。

「どうしたの?」

ダクネスから戦闘意欲がなくなったことに気付いたトワイラが尋ねる。

「興が醒めた。やはりこのようなルールに縛られた場では、俺が求める力こそ全ての戦いはできないようだ。KOMの優勝もくれてやる。俺はもう、この大会に興味がなくなった。」

ダクネスはトワイラに背を向け、歩いていく。

「ちょっ…!?待って!」

トワイラが呼び止めるが、ダクネスは止まることなくフィールドを去った。

「あれ?もしかして決着がついた感じですか?」

1人残されたトワイラの元に、オウカを倒したヴァンが合流した。

「ヴァン、オウカ君倒したの?」

「ええ。強敵でしたが。それで、ダクネス先輩はどうしたんですか?」

「自分が求める戦いじゃない、ってさ。」

少し呆れた様子で答えるトワイラ。

「つまり、ダクネス先輩も棄権したってことですか?」

「ルール上ではそうなるね。──それで、この状況、どうすんの?」

今、トワイラとヴァン以外フィールドに立っていない。つまり、勝負に決着はついているが、なかなか運営側が動かないため、会場もざわついた雰囲気に包まれている。

すると、医療班らしき人達が担架を持って気を失っているオウカの元に駆け寄り、手際良く治療室へと運んでいった。同時に司会の男もフィールドに現れ、進行を始めた。

「決着ーー!前代未聞の去年トップ3の三つ巴の戦いを制したのはーー…蛇帝高校だーーー!」

司会の男がざわめいた雰囲気を吹き飛ばすように、半ば強引に盛り上げる。会場も司会の男のテンションに合せて盛り上がる。

「この不完全燃焼感ある空気を、無理矢理終わらそうとしてますね。」

司会の男、というより運営側の思惑を見通すヴァンが告げる。

「うーん…ま、こんな空気にさせちゃった責任はあるし、今は乗ってあげたほうがいいんじゃない?」

そう言ってトワイラは会場からの歓声に、両手を振って笑顔で応えた。愛しき者の行動にケチをつけるわけもなく、ヴァンもトワイラと同じように手を振るのであった。




 こうして龍、虎、蛇の三つ巴は決着した。

 しかしあくまでこの戦いは予選リーグ。ここから順位トーナメントが始まる。


 3位トーナメントはナイトがメインに立ち回り、シャインがサポートするという連携で勝ち上がって優勝。龍空高校は総合順位9位となった。


 2位トーナメントはオウカは何もせず、ダクネスのワンマンショーで全てをなぎ倒して優勝。虎神高校は総合順位5位となった。


 そして1位トーナメントは、トワイラとヴァンの無双状態となって優勝。今年の総合1位は蛇帝高校で、KING(キング) OF(オブ) MAGIC(マジック)は幕を閉じたのであった。




 KOM閉幕から翌日。大会の結果に不満をもった生徒を全て返り討ちにしたダクネスは今、高架下にいた。

「お前の魔法を知っていた?」

缶ジュース片手に壁にもたれかかるダクネスが告げる。復活したオウカが、ダクネスにヴァンとの一連の会話を報告したようだ。

「ええ。それに俺の名字も知ってやした。──あのガキ、只者じゃないっすよ。」

オウカがいつになく真剣な面持ちで告げる。

「ダクネス様。」

会話に入ってきたのは、ダクネスのもう1人の側近、身長177cm、オールバックにした黒髪に青色の瞳をもち、縁無しの眼鏡をかける少年──クレインであった。

「なんだ?」

「KOM開催まで上空から監視していた召喚魔ですが、あれがヴァンとやらの力で生み出されたものだとしたら──」

「奴は俺らの正体を知っていた上で監視していた、ということか。」

ダクネスの発言にクレインが頷く。

「だったらすぐにぶっ潰しましょうよ!」

ヴァンが意気込むが、ダクネスが制止する。

「止めておけ。」

「俺がまた負けると思ってるんすか!」

「そうじゃない。あの吸血鬼野郎を潰したところで意味がねぇってことだ。」

「もしかして、ヴァンの後ろには何かがいると?」

クレインが問いかける。

「よほど吸血鬼野郎が天才か、情報収集のプロでなければ、個人でオウカの魔法の正体、ましては一族までの特定なんざ不可能だ。そうなると、吸血鬼野郎のバックには、かなり巨大な組織がいると考えたほうがまだ納得できる。」

「なんなんすか、その組織って?」

オウカが尋ねる。

「知ったことか。どうせ俺達に用がなるなら勝手に向こうから来る。わざわざこっちから喧嘩を売る必要はない。」

ダクネスは缶ジュースを飲み干すと、話題を変えた。

「さて、腹が減ったことだし、何か食いに行くか。」

「おっ!いいっすね!ラーメンどうっすか!」

オウカが即座に提案する。

「ふっ、悪くねぇ。行くか。」

「でしたらダクネス様、こちらのお店なんてどうでしょうか?」

クレインがすぐにスマートフォンで検索して店の候補を提示する。

3人は他愛もない話をしながら、夏の日差しの中、ラーメン屋に向かうのであった。




 ダクネス達が高架下にいる時と同刻。とあるカラオケ店にて。

「じゃあ改めて〜〜……トワ!優勝おめ〜〜!!」

ギャル風女子──クイメがマイクを使ってトワイラを祝福する。合せて2人の女子が拍手を送る。

「ありがと〜〜!」

トワイラは変な動きをして喜びを表現する。

「てか、マジでスゴいよね。只者じゃないと思っていたけど、まさか優勝するなんて。」

クイメがマイクを置いて褒める。

「それな〜。」

サイドテール女子──ルイネがジュースを飲みながら相槌を打つ。

「まぁほぼ漁夫の利って感じだったけどね。」

友達が奢ってくれたパンケーキを頬張るトワイラが笑う。

「それでも凄いっしょ。神様の力使ってくる相手によくやるわ〜。」

ショートヘア女子──ショファンがスマートフォンを触りながら告げる。

「もしかしてトワの水魔法も神様仕様だったり?」

クイメが冗談のように訊いてくると、トワイラはビクッとしながらも、そんなわけないと慌てて嘘をついた。

「てか、()()()()()()は呼ばなくて良かったの?」

ルイネが訊く。ちなみに『ゔぁんゔぁん』とはヴァンのことで、子犬のようにトワイラに近寄ってくる姿と、ヴァンという音が犬のワンという鳴き声が似ていることから付けられたニックネームである。

「いいよいいよ。あいついたら面倒だし。」

パンケーキを食べ終えたトワイラが露骨に嫌な顔をする。

「あんなに一緒に戦ったのに全く脈ナシなのウケる。」

ショファンがヴァンに憐れみながら笑う。

「てかさ、実際ゔぁんゔぁんって何者なんだろうね?昔の話とか聞こうとしたら絶対はぐらかすし。」

クイメがヴァンについての話題を振る。

「別に私は昔のことなんて気にしないかな〜。ゔぁんゔぁんノリ良いし、可愛いし。友達として遊ぶくらいの関係なら充分じゃね?」

ルイネがストローでジュースを飲む。

「でもちょっと怖いとこもあるくない?だって魔法が吸血鬼だよ。」

ショファンがスマホを触ったまま答える。

「トワはなんか聞いてないの?ゔぁんゔぁんの過去とか。」

クイメがトワに尋ねる。

「ん〜…普段のあいつって口説くか求婚しかしてこないからな〜…過去とかは知らないかも。」

「なんか今の言葉、めっちゃモテてるアピールに聞こえんだけど。」

クイメがケラケラと笑いながら返してくるので、トワイラも笑いながら「そんなんじゃない〜!」と否定する。

「とりま、今はトワを祝おうぜ。トワ〜、まだ何か食べる?今日は奢るよ〜。」

ショファンの太っ腹な発言に、トワイラは目を輝かしてメニュー表を見た。

そして、女子高生達のカラオケ祝賀パーティは日が沈むまで続くのであった。




 ダクネス達、トワイラ達と同刻。去年シャイン達が親睦会で訪れた山──天龍山(てんりゅうざん)

この山には危険区域があり、魔物が生息しているため、当然一般人は入ることが禁止されている。しかし、現在進行で1人の一般人が危険区域に侵入し、バッタバッタと魔物を薙ぎ倒していた。

「はぁ…はぁ…はぁ……」

黄緑一色の髪に金色(こんじき)の瞳と化している少年──能力解放(アビリティリリース)のシャインの周囲には様々な種類の魔物が倒れていた。

(やっぱ闇雲に魔物を倒したところで、何の修行にもなんねぇか。)

青い空を仰ぐシャインは、大きく深呼吸して能力解放(アビリティリリース)からもとに戻る。

(体が長時間の能力解放(アビリティリリース)に耐えられなかったのがKOMでの敗因だ。つまり、今の俺に必要なのは持続力。さて、どうやって鍛えたものか……)

シャインが方法を考えていると、自分に近付いてくる音を聴いた。瞬時に風砕牙()を構えたが、現れた姿を目視すると同時に鞘に戻した。

「どうしてお前がここいる?アレン。」

現れたのは緋色の髪を三つ編み一つ結びにしている少年──アレン・ルビーであった。

「通報があったんだよ。危険区域に子供が入ったかもって。その特徴が君の能力解放(アビリティリリース)の姿と酷似していたから、僕が確認役として派遣されたの。──それで、シャインはここで何していたの?」

アレンが自分の説明をした後、シャインに尋ねる。

「長時間の能力解放(アビリティリリース)に耐えられる体を手に入れるため修行をしていた。まぁ成果は実ってないだな。」

「成る程。修行は好きにして構わないけど、たとえ魔物でも無闇に殺生されると、生態系が崩れる恐れがあるから止めてほしいな。」

「だったらどうやって修行しろっつうんだよ。アレンが相手をしてくれんのか?」

「冗談はよしてくれ。──修行相手を求めているなら、一度掛け合ってみようか?」

「掛け合う?誰に?」

「君と同じ域に達している人にだよ。」

アレンはニコッと微笑み、シャインは首を傾げるのであった。

本日はお読み下さり誠にありがとうございます!

少しでも先が気になった方、面白かった方はブックマーク、☆の評価などをお願いします!


『キャラクタープロフィール』ですが、前回のソノで主要キャラ分が終了しましたので、一旦終了とさせていただきます。またどこかのタイミングで、トワイラやダクネスなど、他のキャラのプロフィールも紹介するつもりですのでお楽しみに。


そして今回の話でまた一旦ストックが切れましたので、また区切りが良いところまで執筆しましたら投稿しますので、気長に待っていただけると幸いです。


それでは皆様!2024年もありがとうございました!来年も何事もなければゆっくり投稿しますので、どうぞよろしくお願いします!


では!良いお年を!次回をお楽しみに!



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