48話 ごめんなさい
こんにちは!作者です!ゼーレ編最終話でございます!
暴走したソノを一体誰が止めるのか!
──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。
悪魔の姿と化したソノは、スッと右腕を小太りの男に伸ばした。すると、青い炎が巨大な悪魔の腕となって伸び、小太りの男を掴み握り締めると、空中へと持ち上げた。
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!!」
小太りの男が悲痛な叫びを上げるが、声はすぐに聴こえなくなり、二度と動かなくなった。
ソノは小太りの男をゴミを捨てるかの如く適当な所に捨てる。
「おいおいおい!ヤバいぞこのガキ!!」
ライクティーンの男達は再度一斉に武器を構えた。
「……ソノ?」
ゼーレは困惑した。先程まで知っていた魂が、目の前で全く知らない魂へと変貌したのだから。
ソノはゼーレの声に反応し、ゆっくりとゼーレに悪魔化した瞳を向けた。そして一言。
「守カラネ。」
それだけを告げると、ソノは青い炎で形成された悪魔の羽を羽ばたかせ、ライクティーンの男達に接近した。
「ひぃっ!?」
間近に悪魔が現れ、男達は反射的にその場から逃走を図った。ソノは逃げていく男達の背中を見ながら悪魔の羽を構えた。
「[幽鬼の羽根]。」
ソノは羽を動かし、青い羽根を放った。放たれた青い羽根は的確に男達の心臓を貫いた。貫かれた男達は内側から青い炎に燃やされ、魂が焼滅した。
ソノは次の標的を定めると、鋭い爪を構えて羽を羽ばたかせた。瞬間、標的の男達の元に目にも止まらない速さで到達し、攻撃を仕掛けた。
「[切り裂く魂]。」
青い炎を纏った鋭い爪を振るい、男達を切り裂いていく。しかし外傷はなく、魂に直接ダメージが通り、切り裂かれた男達は次々に苦しみながら倒れ、そして二度と起き上がることはなかった。
「ヤバいヤバい!!逃げろ逃げろ!!」
残された男達は流石に命の危機を感じ、一目散に出入り口へと走り出した。しかし、あっという間にソノに回り込まれてしまった。
ソノは掌の上に青い炎を集め、巨大な火球を形成した。
「[蒼炎の太陽]。」
ソノは巨大な青き火球を男達に放った。
──次の瞬間。
「[守護風陣]!」
何処からともなく一本の刀が飛んできて、地面に突き刺さると同時に輝く風の壁が展開され、男達を青き火球から守った。
「黒猫に連れて来られたかと思えば……何やってんだよ、ソノ。」
黄緑一色の髪に金色の瞳の少年──能力解放状態のシャイン・エメラルドが風砕牙を地面から抜き、呆れた表情をソノに向けた。
「──!!この魂は……!」
倉庫内に新たな魂が出現したことに気付いたゼーレ。その時、自分の側にとても馴染みのある小さな魂が近寄ってきたことにも気付いた。
「スキニオ!!」
ゼーレは近寄ってきた愛猫の黒猫──スキニオを抱きかかえた。スキニオはゼーレに抱かれたまま、ニャ~ンと甘えた声で鳴いた。
「お嬢様ーー!」
その時、紳士服を身に纏ったガッチリとした体格の老人──バートラが駆け寄ってきた。
「ご無事ですかお嬢様!スキニオがここまで案内してくれましたぞ!」
「バートラ、ボクは大丈夫だ。──それより危ない。魂を見るに恐らく暴走のようなものをしているのだろ?」
「ええ。しかし、私と共にスキニオが連れてきた少年が今、ソノ様と対峙されております。」
「ならばこの魂がソノが信頼を置いている少年、シャイン・エメラルドさんか。」
初めてシャインの魂を見たゼーレは、ソノが信頼している理由が分かる頼もしい魂だと感じるのであった。
「あ、ありがとな。誰か知らないが。」
ライクティーンの男の1人がシャインの背中に向けて礼を言うと、シャインは少し振り向いて睨み付けた。その威圧に圧倒されたライクティーンの男達は分かりやすく怯んだ。
「勘違いすんな。これ以上ソノに罪悪感を背負わせたくねぇから生かしただけだ。後でキッチリ警察に突き出してやるから、今は黙って隅で怯えてろ。」
完全にシャインの威圧に負けているライクティーンの男達は、ただただ首を縦に振るしかなかった。
シャインはソノに向き直すと、スッと風砕牙を構えた。
「事情は後で説明してもらうとして…まずはソノ、お前を止める!」
シャインは地面を蹴ってソノに斬りかかる。しかし、寸でのところで刃はピタッと止まった。
(……ちっ!)
シャインはすぐにバックステップを踏んで距離を空けると、改めて警戒態勢となる。
(んなろ…俺が斬れないことを理解して避ける素振りも見せなかった。あんな状態でも、自分と俺との関係性を自覚してやがる。……根っから悪に染まっててくれた方が楽だったな。)
シャインが攻めあぐれていると、
「ドイテ。ソイツ等、殺セナイ。」
片言な口調で告げるソノが、スッとシャインの背後にいるライクティーンの男達を指差した。
「そいつは出来ねぇな。」
「ドウシテ?ソイツ等、ゼーレニ悪イ事シタ。」
「それでもだ。」
「悪イ人ノ味方ヲスルノ?」
「違う。これ以上の殺傷はお前が正気に戻った時、罪悪感で心が壊れる可能性があるからだ。」
「デモ!ソイツ等ハゼーレヲ……!!」
サナの感情に反応し、青い炎の火力が上がる。
「ゼーレハ私ガ守ル!守ルンダ!」
湧き上がる怒りに身を任せ、サナは青い炎を纏う鋭い爪を構えてシャインに攻撃を仕掛けてきた。シャインは自身を包むように円形型の[守護風陣]を展開し、ソノの攻撃を防御した。
「目ぇ覚ませソノ!今のお前じゃ!守りたいものも一緒に壊しちまうぞ!」
シャインの声が届いたソノの脳内に、ゼーレとの楽しい思い出が駆け巡った。
「毎日毎日!飽きもせずに俺に話すほど嬉しかったんだろ!同い年の友達が出来たことに!そんな大切な友達を!今のままじゃ守るどころか自らの手で傷付けるぞ!だから戻れ!また友達と笑い合いたいならな!」
シャインが説得を続けると、徐々にソノの力が弱まり、相対的に青い炎の火力も下がっていった。
「………ごめんない。私は…この先もずっと…ゼーレと楽しくお喋りしたいです。」
爪も歯が元に戻り、青い炎が完全に消滅したソノは、ボロボロと涙を流しながらシャインを見詰めた。
「ばーか。謝る相手がちげぇだろ。」
シャインは風砕牙を納刀し、少し微笑みながら告げた。ソノは涙を流したまま、ゆっくりとゼーレの元へと歩いていく。ゼーレに寄り添っていたバートラはスキニオを抱えると、少しゼーレから離れ、ゼーレとソノだけの空間を作ってあげた。
ゼーレの前に立ったソノ。するとソノが声を出す前に、ゼーレがソノに抱きついた。
「良かった。ボクの知る優しい魂だ。」
ゼーレの言葉を聴いたソノは、更に大粒の涙を流した。
「ごめんなさい!怖い思いをさせてごめんなさい!ごめんなさい…!ごめんなさい…!」
ソノはゼーレをギュッと抱き締め、ただひたすら謝った。ゼーレはあえて何も言わず、ただソノの言葉を受け止めるのであった。
シャインはアレンに連絡し、ORDER GUARDIANの力を借りて、ライクティーンの逮捕及びソノの暴走による痕跡の抹消を終えた。
「あのね…OGは便利屋じゃないんだよ…」
アレンが呆れた表情でシャインに告げる。
「だってよ、普通の警察に連絡したら色々面倒だろ。でもOGならこういう時空気を読んでくれるじゃねぇか。」
シャインが鼻で笑って返答する。アレンはやれやれと呆れた後、少し離れた場所で待機するソノ達に視線を向ける。
「それで、ソノの暴走というのは君も一度なった絶魔憑依というものかい?」
「恐らくそうだろうな。ただ青幽鬼魔法は直接魂にダメージを与える魔法、今回はなんとか鎮まったが、手が付けられないほどの暴走となると、一国全滅レベルで人が死ぬ可能性があるかもな。」
「そうだね。改めて考えると、恐ろしい魔法だよ。」
「ああ、全くだ。」
シャインとアレンは絶魔憑依への警戒度を高めるのであった。
「ではリアルタイムで、ゼーレはスキニオちゃんに私達の位置情報を魂に直接送っていたのですか。」
ソノはゼーレからスキニオがシャイン達を案内できたタネを明かしてもらっていた。
「ああ。[ソウルリンク]をした相手とは、互いに位置を共有することが出来るんだ。そこに加えてバートラの買い物先の情報と、シャインさんの情報を渡してあげれば、自ずとここに2人を案内出来たってことだ。」
ゼーレが抱きかえるスキニオの頭を優しく撫でる。
「シャインの情報は何故知っていたんですか?」
「それはソノの魂から情報を拝借させてもらった。得られる情報はあくまでソノ主観での情報のみだが、ソノがシャインさんに対してかなり想いが強かったお陰で、十分な情報を得ることが出来た。」
「そう言われると、何だかちょっと照れますね。」
ソノが照れ臭そうに笑った。
「おーい!そろそろ帰るぞ!」
その時、シャインが帰るように促してきた。
「では行こうか。」
ゼーレはバートラに介抱してもらいながら移動を始める。
「あの、ゼーレ…」
ソノが少し曇った表情で声をかけた。
「ん?なんだい?」
ゼーレがソノの方を振り向く。
「あの…今日は本当にごめんない。でも、これからも友達でいてくれますか?」
「ああ、勿論だ。」
ゼーレが爽やかな笑みを浮かべて返答すると、ソノはパァッと顔を明るくして、満面の笑みを浮かべるのであった。
本日はお読み下さり誠にありがとうございます!
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さて、次回もまたまた新キャラが登場予定でございます!こんなハイペースで新キャラだして、未来の私はちゃんと活かせるんでしょうかね。ま、なんとか頑張りますので、応援よろしくお願いします!
それではまたお会いしましょう!次回をお楽しみに!




