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始まりは魔法科高校から  作者: 眼鏡 純
5章:西の国

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36話 ザーパトウェストへ

こんにちは!作者です!エアル&スノウ編9話目です!


今回も短い回です。前回の分と一緒にすると長く感じたので分けてみました。



──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。

 スノウが過去の話をして数日が経過。その間、シャイン達は表向きには特に目立った動きを見せなかった。ナナリーの警戒の目から逃れながら、裏で着実に準備を整えていくシャイン達。

 そして遂に準備が終わり、ザーパトウェストへ向かう日となった。



 空から雪が降る日。首にマフラーを巻いたレビィは玄関で靴を履いた。

「それじゃあ行ってきます。」

鞄を持ち、母親のフィリアに話しかける。

「いってらっしゃい。先生達に迷惑をかけちゃダメよ。」

「大丈夫だって。また帰る時になったらNELI(ネリ)に連絡するから。」

「ええ。でもよく学生寮でのお泊り会なんて許可が出たわね。」

「友達がすっごいしつこく説得したの。そしたら先生側が音を上げたって感じ。」

レビィがクスッと笑いながらドアノブに手をかける。

「じゃ、行ってきます。」

レビィが元気よくドアを開けて出掛けていった。フィリアは笑顔でレビィを見送ると、誰もいなくなった玄関で呟いた。

「ホント、昔から嘘が苦手な子ね。」

やれやれと小さく笑うと、毎朝の作業に戻るのであった。




 (ごめんなさい、お母さん。)

レビィは母親に嘘をついたことに罪悪感を抱きながら雪の中を歩く。

(流石に今から他国を襲撃するなんて言えないよ…)

ハァと白いため息をつく。

(嘘をついたことにそこまで気に病む必要はないぞ。)

夜叉魔法の化身──ナイトが心の中から告げる。

(どうして?)

(母君はお主が嘘をついていることをずっと気付いていたからだ。)

(そうなの!?全然気付かなかった…)

(ああ。数日前にお主がお泊り会があると言った時からな。故に嘘をついたということに罪悪感を抱くのは、無駄に心を病ますだけだ。)

(そっか。お母さん気付いていたのに何も訊いてこなかったんだ。)

(母君の優しさを無下には出来ぬ。絶対にエアルを取り戻すぞ。)

(うん…!)

レビィとナイトは改めてエアル奪還への決意を固めるのであった。




 龍空高校へと到着したレビィ。冬休みの為、見かける生徒や教師の姿もまばらである。そんな中、レビィのことを待っていた教師と対面した。

「ナナリー先生……」

それはいつものキチッとしたスーツの上からコートを羽織り、黒縁眼鏡をかける担任教師──ナナリーであった。

全てを察している瞳でレビィを見詰めるナナリー。レビィも真っ直ぐナナリーを見詰め返す。



──この瞬間がシャイン達を止める最後のチャンス。

──大人として、教師として、止めなければならない。

──そんなこと分かっている。理解している。

──だけど、今自分を真っ直ぐ見詰める生徒の瞳に宿る覚悟を見て悟った。

──止めることは出来ないと。

──だから…だからせめて、今私が出来ることは……



「私は立場上、あなた達を手を振って見送ることは出来ない。むしろここで止めなければならない立場よ。」

ナナリーはゆっくりとレビィに近寄る。

「でも貴女のその眼を見たら分かる。何を言っても無駄なんだって。なら、私から言えるのは1つだけ。──三学期に()()で笑顔を私に見せに来なさい。これはあなた達だけへの特別な宿題です。」



──私に出来ること。

──それは彼らの計画を宿題として、あくまで形式上は自分が課したものだとすること。



「はい、必ず。」

レビィは力強く頷いた。

「なら、早く行きなさい。」

「ありがとうございます。」

レビィは深々とお辞儀をすると、ナナリーの隣を通って学生寮へと向かった。

「……大人ってホント、卑怯で面倒。」

ナナリーは小さくなるレビィの背を見詰めながら呟くのであった。





 学生寮に入ると、レビィは真っ直ぐアレンの部屋へと向かった。そして部屋の扉をノックすると、ガチャリと開いて緋色髪を三つ編みにした少年──アレンが出迎えた。中には既にレビィ以外の全員が揃っていた。

「遅かったじゃねぇか。」

シャインが告げる。

「ごめん、ナナリー先生から宿題を出されていたから。」

「このタイミングで宿題?」

サナが内容を訊く。

「うん。全員で笑顔を見せに来なさい、だって。」

レビィが笑いながら宿題内容を告げると、全員その意味を理解し、アハハと笑い合う。

「んじゃ、宿題の提出のためにもそろそろ行くか。──エアルを必ず取り戻すぞ。」

シャインの言葉に、全員が頷いた。

そしてアレンがクローゼットにカードキーをかざして認証させると、開いて光る空間が現れた。シャイン達は順々に光る空間へと入っていき、最後にアレンが入ると、クローゼットは独りでにパタンと閉まった。




 光る空間は所謂ワープ装置の機能を持っており、シャイン達がワープしてきた先は、アレンが所属する秘密組織『ORDER(オーダー) GUARDIAN(ガーディアン)』、通称OGの本部であった。

 サイバー的な壁に囲まれた部屋に着いたシャイン達は、アレンの案内の元部屋を出て、白く機械的な壁の通路を歩く。

「しかし、よくOG内を通過することの許可が下りましたね。」

先頭を歩くアレンに対し、ヒューズが話しかける。

「交換条件を付けることでなんのか許可を出してもらったんだ。まぁ殆ど僕にデメリットしかない交換条件だったけどね。」

「どういう交換条件だったの?」

レビィが訊く。

「それは……聞かないでくれ。」

アレンが急に顔を暗くするので、誰もそれ以上の追求をしなかった。

「あっ、ここだよ。」

少し気まずい空気が流れた後、目的地の部屋に到着した。部屋の中に入ると、アレンが機械を操作してワープ装置を起動した。

「この先はもうザーパトウェストだ。皆、覚悟は良いかい?」

アレンの問いかけに全員が頷いた。そしてワープ装置に乗ると、光に包まれてワープした。






 シャイン達がワープしていく光景を、『司令室』の椅子に座りながら、空中ディスプレイで眺めているとある女性がいた。

「あ〜ん♪」

弟との交換条件で手に入れたマカロンをパクッと一口で食べ、幸せそうな顔をする。

「ん〜♪パティツーのマカロンはいつ食べても美味しい〜♪」

残りのマカロンも上機嫌に食べていると、司令室のドアがコンコンとノックされた。

「どーぞー♪」

女性は上機嫌に入室を許可すると、白を基調とした軍服を身に纏った50代半ばの見るからにベテランな男性が入ってきた。

「『ローラ司令官』。少しよろしいですか?」

年齢25歳。身長172cm。緋色のショーボブの髪に灰色の瞳をもち、白を基調とした軍服の上からマントを羽織る女性はローラと呼ばれた。

「なーにー?」

マカロンを食べながらローラが返事をする。

「先程、司令官の弟様が保護対象2名とその関係者と共にOG内に入り、ザーパトウェストへのワープ装置を使用したと報告があったのですが。」

「知ってるよ〜。だって私が許可を出したんだもん。」

また一つマカロンを食べるローラ。

「何故許可を出したのです?ここは秘密組織。そもそも簡単に部外者を組織内に入れられては困るのですが。」

「大丈夫♪交換条件として1週間毎日パティツーのマカロンを買ってくるようにしたから♪」

ローラはマカロンを片手にピースをする。

「いや…それのどこが大丈夫なのですか…」

「あはは♪冗談冗談。他にも交換条件付けてるから。ちょっとでも今回の件に関することでOGの事が表にバレた場合、即刻OGから存在を消すってことにしてる。」

ローラの声が急にシリアスになる。

「あっ、消すって言ってもクビみたいなものだからね。そんな奴ウチの組織には所属してませーんってことにするだけ。まぁ場合によっては本当に消すかもしれないけど。」

「……肉親にも容赦がないですね。」

「大前提として、私もあの子もOGの人間。たとえ肉親だろうと組織のルールを破った者には罰を与えないと周りにも示しがつかないもん。」

「左様でございますか。」

「うん。だから君達は気にしなくていいよ。今回の件は全部私が責任を持って管理するから。」

「……畏まりました。上層部の方々にもそうお伝えしておきます。」

「うん、よろぴく〜♪」

ローラは手を振って早く出ていくように促して退室させた。再び1人となったローラは最後のマカロンを食べると、

「頑張りなさいよ、アレン。」

と、小さく呟くのであった。

本日はお読み下さり誠にありがとうございます!

少しでも先が気になった方、面白かった方はブックマーク、☆の評価などをお願いします!


さぁ次回から舞台は変わりザーパトウェストとなります!ですので、勝手ながら次回より『エアル&スノウ編』から『ザーパトウェスト編』へと言い方を変更させていただきます。ま、特に意味はないですけどね。



それではまた明日、お会いしましょう!お楽しみに!

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