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始まりは魔法科高校から  作者: 眼鏡 純
5章:西の国

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28話 人の上に立つ一族

こんにちは!作者です!

今回から長編が始まります!メインメンバーの誰かがキーマンとなります!

かなりのボリュームとなりますが、最後まで楽しんで頂けるように頑張ります!




──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。

 月日は流れ、世の中は寒い寒い冬の季節を迎えていた。だが、そんな寒い季節には、学生達が待ち望んでいるイベントがある。



──そう、冬休みである。



 「ねぇねぇ!明日からの冬休みなんだし、折角だから今から何処かに食べに行こうよ!」

放課後の1年1組の教室。その一角で明日からの冬休みの計画を話すのは、オレンジ色のショートヘアーに赤色の瞳をもつ少女──エアル・ダイヤモンドである

「良いけど、何処か決まっているの?」

エアルの提案に乗ったのは、紺色のロングヘアーに青色の瞳をもつ少女──レビィ・サファイアである。

「ううん、まだ。だから今考える。」

エアルはその場で腕組みをして考え始める。

「ふふ。──サナは何か食べたい物はない?」

エアルが少し離れた席で本を読む金髪のショートヘアーに金色の瞳をもち、前髪を赤色でシンプルなデザインをしたヘアピンで留めている少女──サナ・クリスタルに訊く。

「私は行く気ないわよ。」

サナは乗る気ではないようだ。

「ええ〜!何で〜!行こうよ〜!」

エアルがサナに抱きつく。

「食事に行くくらいなら、少しでも研究をしたいの。」

サナが行かない理由を述べながらエアルを振り解こうとする。

「いやー!サナが行くって言うまで離れないー!」

エアルは更にギューッと抱き付く。

「あーもーー!分かった行くから!行くから離れなさい!」

サナはこのままでは一生エアルが離れないと感じ、観念して同行することを承諾した。

「やった〜!サナ大好き〜!」

エアルがサナに頬擦りすると、流石にムッとなったサナは、本の角でエアルの頭をコツンと叩いた。


 3人が会話していると、教室の扉が開いてとある人物が現れた。

「あっ!皆さん、シャイン知りませんか?」

紫色のミディアムヘアーに紫色の瞳をもち、黒を基調としたゴスロリを着用する少女──『ソノ・アメシスト』が、教室に入ってきた。

「ソノ〜!なんかもう当然のように学校に来るようになったね〜!」

エアルはソノに近寄り、ソノの頭をナデナデする。

「ホントね。確かシャインの遠い親戚ってことになったんだっけ?」

レビィが確認する。

「はい。私が初めて龍空高校に来たあの日、シャインが校長先生に直談判した際、『暴力的な家庭から逃げてきた悲劇の一人娘が、幼いながらも記憶に残っていた遠い親戚のシャインの元に助けを求めに来た。』ということにされました。」

エアルに撫でられ、満足そうな顔をしながらソノが答える。

「スゴイよね〜シャイン。その設定を即座に思い付いたんでしょ?そういうところには頭が回るのに、どうして学力は低いんだろ?」

エアルが感心しながらも小馬鹿にする。

「あんたもあんまり上から言えた成績じゃないでしょうが。」

サナにジト目でツッコミを入れられたエアルは、テヘッと舌を出して誤魔化した。

「そうだった!そのシャインは何処ですか?今日の夕飯、何がいいか聞きたくて。」

ソノが本来の目的を思い出す。

「えっ…シャインの奴、ソノにご飯作らせてるの?」

エアルが少し引く 。

「あっ、いえ。私がそもそも料理が好きでして、逆に作らせてほしいとお願いしているんです。」

「へぇ〜料理得意だったんだ。」

レビィが感心する。

「はい!機会があれば皆さんにも振る舞いますね!」

ソノがニコッと笑顔を浮かべる。

その時、三つ編み一つ結びに束ねた緋色の髪に灰色の瞳をもつ少年──アレン・ルビーがたまたま教室の前の廊下を歩く姿が見えた為、エアルが声をかけた。

「おーい、アレン。ちょっといい?」

エアルの呼び声に気付いたアレンが教室に入ってくる。

「何か用かい?」

「ソノがシャインのこと探しているんだけど、何処にいるか知ってる?」

「ああそれだったら、さっきスノウからNELI(ネリ)で、『たまには男だけで飯でも食べに行こうぜ。』と連絡があったよ。だから今から僕もそっちに合流するつもり。シャインも来ると言っていたから、スノウ達と合流しているんじゃないかな。」

「なにそれ〜私達はいらないっていうの〜?」

エアルがムッとした表情をつくる。

「そういうわけじゃないよ。君達も大切な仲間さ。でも、たまには同性だけで話すのも必要なことだと僕は思うけどね。」

アレンが爽やかな笑みを浮かべながら答える。

「アレンってさらっと恥ずかしいことを言うよね。」

大切な仲間、と言われたエアルは少し照れ臭そうに目を逸らした。

「あはは、事実を言ったまでだよ。──じゃあ僕はこれで。折角そちらも全員揃っているんだ。そっちはそっちで女子会を楽しんだらどうだい?」

アレンは1つ提案を置いていき、教室を後にした。

「よーし!じゃあ私達は私達で美味しいの食べて楽しんじゃおう!ソノ、どこか行きたい場所ある?」

エアルがソノに訊く。

「でしたら、少し学校から距離はありますが、気になるパンケーキ屋さんがオープンしたんです。そこに行きたいです。」

「よし、じゃあそこにレッツゴー!」

エアルは即承諾すると、勢いそのままに移動を開始する。ソノは嬉しそうにエアルの後を追った。

「ほら、サナも行くよ。」

レビィがサナの腕を掴んで連行する。サナは大きなため息をつき、観念した様子で連れて行かれるのであった。




 場所は変わり、とあるラーメン屋。シャイン達男性陣4人はラーメンを堪能していた。

「で、本題は何なんだ?」

味噌ラーメンを食べる黒色の中に黄緑色がメッシュの如く混じるセミロングの髪に黄緑色の瞳をもつ少年──シャイン・エメラルドが、右隣で醤油ラーメンを食べる銀色のウルカットされた髪に茶色の瞳をもつ少年──スノウ・シルバーに尋ねる。

「なんだよ本題って?」

スノウが訊き返す。

「お前がいきなり『奢るから飯に行こう』なんて、何かしら裏があるに決まっている。」

「それは私も思いました。ご飯のお誘いだけならともかく、『奢る』なんて行為をあなたがするなんて、疑いの目を向けざるを得ません。」

スノウの前に座る綺麗に手入れされた茶色のロングヘアーに琥珀色の瞳をもち、黒縁眼鏡をかける少年──ヒューズ・ウオーツが、シャインに賛成する。

「普段の俺、そんなに守銭奴か?」

スノウが苦笑いしながら普段の自分の行いを振り返る。

「それで、本当のところはどうなんだい?」

ヒューズの隣に座るアレンが改めて尋ねると、スノウは真剣な顔になって話し始めた。

「恐らくだが、8月のKOMからずっと監視されているみたいなんだ。」

「監視?ストーカー被害に遭っているのですか?」

ヒューズが尋ねる。

「そういうのじゃねぇ。文字通り監視だ。それにされているのは俺じゃなくて()()()だ。」

「エアル本人はそれに気付いているのか?」

シャインが訊くと、スノウは首を横に振った。

「多分気付いてねぇ。」

「そもそも、誰がエアルを監視しているの?」

アレンが尋ねる。

()()じゃねぇ。()()()、だ。」

「つまり、組織的な犯行だと?」

ヒューズが訊くと、スノウが頷く。

「ああ。恐らく相手は──」

スノウが名前を口にしようとした時、ラーメン屋に入ってきた2人の中年男性の声が聴こえてきた。

「本当に見たんだって!フードを被った変な奴等が屋根の上を跳び移っていくのをさ!」

顔が赤い男性がもう1人の青い服の男性に訴えながらカウンター席に座る。

「そんなわけあるか。酔ってるせいで鳥とかと勘違いしたんだよ。」

青い服の男性は酔っ払いの戯言だと思い適当にあしらう。

「本当だって!」

「はいはい。」

2人の中年男性にとっては何気ない会話。しかし、この会話を聞いたスノウの脳裏に嫌な予感が過った。

スノウは立ち上がると、カウンター席の男性2人に近寄る。

「なぁおっさん!そのフードの連中、どこ行った!?」

突然スノウに話しかけられ、顔が赤い男性は困惑する。

「だ、誰だい君は…?」

「いいから答えろ!」

「え、えっと…龍空高校の方角…だけど…」

スノウの気迫に圧倒され、すっかり酔いが覚めた顔が赤い男性が答えると、スノウは一目散にラーメン屋を出て行った。

「おい!ちょっと待て!」

シャインも追いかけるようにラーメン屋を飛び出した。

「おやおや、一体何事でしょう。」

ヒューズは冷静なまま2人を追いかけてラーメン屋を出て行く。

「ちょっと皆!お会計!」

アレンは急いで会計を済ませ、中年男性2人には謝罪をした後、急いで3人を追いかけた。

慌ただしく出て行った少年達を見届けた中年男性達とラーメン屋の店主は、ただ呆然とするしかなかった。




 男性陣がラーメンを堪能している時、女性陣はソノのリクエストであるパンケーキ屋でパンケーキやパフェを楽しんでいた。

 そして現在、夕日を浴びながら龍空高校に戻っている道中である。

 「いや〜!めちゃくちゃ美味しかったね!」

エアルが満面の笑みで隣を歩くソノに話しかける。

「はい!食べに行って正解でしたね!」

ソノも満面な笑みを返す。

「はぁ…口の中が甘ったるい。暫く糖分はいらないわ。」

エアルとソノの少し後ろを歩くサナが、甘味パラダイスにやられ、少しげんなりとした顔を浮かべる。

「フフッ、その割には食べている時は幸せそうな顔してたけど。」

レビィがクスッと笑いながらからかうと、サナは少し顔を赤らめてそっぽを向いた。


 太陽は沈み、周囲に夜が訪れた時、レビィ達は龍空高校の校門前に到着した。

レビィは実家暮らしの為、他の3人に別れを告げようとした時、

(おいレビィ。聞こえるか?)

レビィの心の中にいる夜叉魔法の化身──ナイトが不意に脳内へ直接声をかけてきた。

「わっ!ビックリした。どうしたのナイト?」

急なナイトの声に驚くレビィ。

(何やら嫌な気配が近付いてくる。しかも複数人だ。)

「レビィ、ナイトが何だって?」

当然ナイトの声は周囲には聞こえない為、エアルが伝達を頼む。

「嫌な気配が近付いて来てるって。しかも多いみたい。」

「嫌な気配…もしかして革命軍?」

サナが発した革命軍という単語により、4人に緊張が走る。

(──!!レビィ変われ!お前では無理だ!)

心の中にいるナイトが身の毛がよだつほどの気配を感じ取り、強制的にレビィと肉体を交代させた。それにより、髪の色は紺から漆黒、瞳は青から赤へと変化した。

「わっ!ナイトになった!」

エアルがレビィとナイトが突然交代したことに驚く。しかし、ナイトはエアルのリアクションには反応せず、真っ直ぐ嫌な気配がする方向を睨み付けた。他の3人もナイトに釣られるように同じ方向に視線を向ける。


 雲一つない夜空を背景に、複数人の影が周囲の家の屋根に集まった。黒色の外套(がいとう)を身に纏い、全員フードを深く被っている。何より特徴的なのは、顔に付けられた不気味な笑顔を浮かべた白い仮面であった。


 「あそこまで怪しさ満載だと、逆に清々しいわね。」

自分達を見下ろす謎の仮面集団にサナが皮肉を口にする。

「……?エアルさん?」

エアルの背後に隠れていたソノが、エアルの体が小刻みに震え、顔が青ざめていることに気付く。

「どうして…なんで……」

震える唇で呟くエアルは、明らかに動揺している。

「落ち着けエアル。君はあの者達を知っておるのか?」

ナイトが仮面集団の動きを警戒しながら問うと、エアルが震えた声で答えた。

「あの人達は『スマイリーマスク』。『ザーパトウェスト』の首都─『ヨロパ』の暗殺部隊よ…!」

「暗殺部隊か。纏う空気が不気味なのも頷けるな。」

ナイトはスマイリーマスクと呼ばれた仮面集団を睨みながら、己の影から漆黒のオーラで形成させた刀を取り出す。

「ダメだよナイト。絶対に刃向かわないで。殺されちゃうから。」

エアルが臨戦態勢のナイトを制止すると、深呼吸をして自分を落ち着かせる。そして背中に隠れているソノを優しく離すと、ゆっくり仮面集団(スマイリーマスク)に近付いた。

「家出した私を殺しに来たのですか?」

いつもの明るい声とは打って変わり、冷たさを感じる声でエアルが訊く。すると、隊長らしき人物が屋根から飛び降りてエアルの前に着地する。

「滅相もございません。我々は貴女をお迎えに来たのです、エアル様。」

丁寧な口調で告げる笑顔仮面が小さく御辞儀をして敬意を表す。

「今更?何故ですか?」

エアルが問う。

「理由は我々からではなく、『アルバーノ様』からお聞き下さいませ。」

仮面集団の隊長が答える。

「ザーパトウェスト…首都ヨロパ…アルバーノ……ダイヤモンド───!!」

サナの頭の中で単語がパズルの如く組み合わさり、1つの真実に辿り着いた。

「あんたの正体が分かったわ、エアル。」

エサナの声に反応したエアルが、赤い瞳から涙を流しながらゆっくりと振り返る。

「あんた、ザーパトウェストの現国王─アルバーノ・フィン・ダイヤモンドの一人娘、『エアル・フィン・ダイヤモンド王女』ね?」

本日はお読み下さり誠にありがとうございます!

少しでも先が気になった方、面白かった方はブックマーク、☆の評価などをお願いします!


今回から始まる長編の主軸となるキーマンは『エアル』でした。まさか一国の王女様だったとは…。一体これからどうなるのでしょうか。


それではまた明日、お会いしましょう!お楽しみに!

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