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始まりは魔法科高校から  作者: 眼鏡 純
4章:青き炎

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27話 魂を喰らう魔法

こんにちは!作者です!話すことは…ないです!



──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。

 龍空高校へ向かうソノを抱えたままのシャインとトワイラ。道中、シャインはトワイラに革命軍についての話をした。

「えっと…話をまとめると、その革命軍って奴等が激ヤバ計画を企てていて、実行するには絶滅魔法の魔力が必要。だから水面下で絶滅魔法の使い手を狙っている。ってこと?」

トワイラがシャインから聞いた説明を要約する。

「まぁそんなところだ。だからもしかしたら、いずれお前のところやダクネスのところにも現れるかもしれねぇ。」

「分かった。気を付けるよ。」

トワイラが素直に聞き入れた時、目的地である龍空高校に到着した。今は放課後の為、生徒の数もそれほど多くはない。

「わ〜!ここがシャンが通う高校か〜!あ〜ん、シャンが入学するって分かってたら絶対こっちに入学したのにな〜。」

トワイラが校内をキョロキョロと見渡す。

「あんまり変な動きするなよ。目立つだろうが。」

注意をするシャインだが、通り過ぎる生徒達の視線は、ゴスロリ衣装を身に纏う少女をお姫様抱っこするシャインに集まっていた。

「うーん、今のシャンには言われたくないなー。」

トワイラが真顔でツッコミを入れる。

「なんか注目を浴びている奴等がいると思ったら、珍しい組み合わせね。」

その時、シャイン達の背後から金髪のショートヘアーに金色の瞳をもち、前髪をシンプルなデザインで赤色のヘアピンで留めている少女──サナ・クリスタルが話しかけてきた。

「サナ、丁度良かった。お前に頼みがあるんだ。」

シャインがサナに頼もうと振り返る。するとサナはソノの存在に気付いた瞬間に見開き、ソノのことをジッと見詰めたまま釘付けとなった。

「どうした、サナ?」

固まるサナにシャインが声をかけると、サナはハッと我に返った。

「な、何でもないわ。それより誰よその子?あんた達の子供?」

「んなわけあるか。」

シャインがツッコミを入れる隣で、

「も〜サナったら♡そりゃあ将来的にはいるかもだけど〜♡まだ早いよ〜♡」

トワイラが体をくねらせ、顔を赤らめて恥ずかしがっている。

「そこ、妄想を捗らせない。」

シャインが冷たい目でツッコミを入れる。

「で、マジな話、その子は誰なの?」

サナが改めて尋ねると、シャインがソノについての説明をした。


 「記憶喪失に青い炎…なかなか興味深いわね。」

サナがソノの存在に興味を示す。

「サナは頭良いからよ、記憶喪失の治し方とか知ってるかと思って。」

「そう言われてもねぇ。取り敢えずその子を調べてみましょう。治せるかどうかはそれかよ。あんたも来る?」

サナがトワイラに訊く。

「あたり前よ!ソノちゃん心配だもん!」

トワイラが即答する。

「そ。なら学生寮に行きましょう。」

4人はサナの指示で学生寮へ向かった。



 サナに従い学生寮に到着したが、向かった先は寮の中ではなく、学生寮の裏側にある放置された廃れた倉庫であった。

「こんな所にこんなもんがあったのか。」

学生寮に住んでいるシャインも初めて見るようだ。

「撤去するタイミングを失った産物よ。多分教師でも存在を知らない人もいるんじゃないかしら。」

そう言いながらサナが廃れた倉庫の前に立つと、出入り口に向けて人差し指を伸ばし、鍵を開けるように手首を捻った。すると、かけられていた魔法が解かれ、出入り口がスパンと横に開いた。

「入って。」

サナに言われるがまま、ソノを抱えるシャインとトワイラは倉庫の中に入った。中には体育などで使っていたであろう跳び箱やマット、バレーボールの玉が入った籠などが放置されていた。

「なんか使われない感はあるけど、埃とかはないんだね。」

トワイラが周囲の物を見て回り、物自体は痛んでいるが、埃や汚れがないのに気が付く。

「私がそのままで置いとくわけでしょ。汚いのも埃っぽいのも嫌だし。」

サナは慣れたように跳び箱に近付くと、ポンと奥に押した。するとスーッと跳び箱がスライドして下から階段が現れた。

「なんか出てきた!?」

唐突な階段出現に驚くトワイラ。

「私の研究室に繋がっている階段よ。」

サナが階段を下りていく。

「なぁ…この研究室の存在、学校側は知っているのか?」

気になったシャインが訊いてみると、

「知ってるわけないでしょ。だから2人とも言わないでよ。」

と、さも当然のことように答え、サナが階段を下りていく。シャインとトワイラは顔を見合わせて苦笑いした後、サナを追って階段を下りていった。




 階段を下りきると一枚の鋼鉄な扉があった。サナはまた人差し指を伸ばし、手首を捻って鍵を開けるような動作をする。すると扉にかかった魔法が解かれ、鋼鉄の扉が開かれた。


 鋼鉄の扉の奥は白を基調とした研究施設となっていた。棚の中には謎の薬が入った瓶や道具、本などが収納されており、最先端技術が盛り込まれた実験道具なども設置されている。

「わぁ〜なんか頭良さそうな物がいっぱい。」

トワイラが興味津々で長い机に置かれている謎の液体が入ったビーカーに顔を近付ける。

「下手に近寄らないほうがいいわよ。死んでも責任取らないから。」

サナから警告されたトワイラは、慌ててビーカーから離れる。

「その子を実験台に寝かせて。」

シャインはサナに言われた通り、平坦な台に眠っているソノを寝かせる。

「さて、まずはこの子の詳細(プロフィール)を探るとしますか。──[プロフィールスキャン]。」

サナが魔法を発動させると、ソノの周囲の空間に様々なデータが映ったディスプレイが浮かび始める。サナはディスプレイを手慣れたようにタップしたりスライドさたりし、どんどんソノのデータを収集していく。やることがないシャインとトワイラは、潔く雑談をして待つことにした。



 10分ほど経ち、データ収集が終えたサナが魔法を解除した。

「終わったわよ。」

「何か分かったか?」

シャインが尋ねる。

「ええ。でもやっぱり一番興味深いのは魔法ね。」

「あの青い炎だよね?あんな魔法初めて見たよ。」

トワイラが公園での出来事を思い出す。

「そりゃ見たことないでしょ。なんたってあんた達と同じ『絶滅魔法』なんだから。」

「やっぱりか。で、どういう魔法なんだ?」

シャインが訊く。

「名前は、『青幽鬼魔法(ブルーファントム)』。」

幽鬼(ファントム)って…あの炎、お化けだったの?」

トワイラが首を傾げる。

「さぁね。絶滅魔法の情報なんて殆どないもの。私もこの魔法の名前をたまたま昔読んだ古文書に載っていたから知っていただけ。実際に青い炎が幽霊の可能性もあるし、記録を記した者がそういう風に表現しただけかもしれない。」

サナが答えた後、次はシャインが尋ねる。

「なぁ、何で名前が()()()ファントムなんだ?」

「この魔法には対になる魔法が存在するの。それが『赤幽鬼魔法(レッドファントム)』。根源しては青も赤も同じなんだけど、能力は違う。赤の能力は『肉体を喰らう力』をもち、ソノが使う青は『魂を喰らう力』をもつの。」

「魂を喰らう?」

シャインが聞き返す。

「そう。青き炎に包まれたモノは魂を──つまり生命を燃やされる。それにより生物は急激に寿命を失い、そのまま息絶える。」

サナは説明しながら魔法を発動させる。すると、白い壁に魔法陣が展開され、とある映像が映し出される。

「ここって私達がいた公園。……でもなんか変。めっちゃ枯れてるじゃん。」

トワイラが映し出された映像がイルファと対峙した公園だと気付く。加えて、公園の木々や草花が枯れていることにも気が付いた。

「やっぱりね。炎が暴走したって聞いた時、周囲はこうなってんじゃないかって思っていたわ。OGはどうやってこの状況を揉み消すのかしら。アレンが嘆いていそう。」

サナがアレンの苦労を想像して少し同情する。

「どういうことだ?てか、この映像どうやって映してんだ?」

シャインが訊く。

「[ハッキングアイ]。別のモノが視る視界を映し出す魔法よ。この映像は今この公園にいる鳥の視界を借りて映しているの。──話は戻すけど、この草花とかが枯れているのは、青き炎に燃やされたことにより、生命を一気に奪われたからよ。植物なら枯れ、水なら干上がる。人間や動物なら…寿命が尽きる。」

「あれ!?確かシャン、少しだけ青い炎に燃やされてなかったっけ!?じゃあシャンの寿命も減ったんじゃ…!」

トワイラが思い出して焦りだす。

「そうなの?なら、あんたの寿命は確実に減っているわね。」

サナが冷静に現実をシャインに告げるが、特にシャインは動揺しなかった。

「そうか。ま、減っちまったのは仕方がない。逆に俺の寿命だけを犠牲して青い炎の暴走を止められたのなら安いほうだろ。」

「えらくポジティブな思考ね。ま、本人が気にしてないなら私はとやかく言う気はないわ。」

サナも軽く流そうとするが、一番焦っていたのはトワイラであった。

「よくないよ!シャンの寿命が減ったんだよ!一大事だよ!」

「落ち着けトワイラ。減ったからって明日明後日で死ぬわけじゃねぇんだ。それに寿命を削る行動は、KOMでお前も俺を治療する時にしていただろ。あの時貰った寿命で、今回ソノを助けられたと思えば良いだろ。」

「……シャンがそう言うなら、それで良い。」

シャインの説得でトワイラが落ち着いた時だった。ソノがピクッと体を動かして目を覚ました。

「ここは…どこでしょうか?」

上半身を起こし、寝ぼけた眼で周囲を見渡す。

「やった〜!ソノちゃん目を覚ました〜!」

トワイラはすぐにソノに抱き付き、顔に頬擦りをする。

「トワイラさん!?こ、これは…どういう…?」

ソノは状況を掴めず困惑している。

「そうだな。説明してやる。」

シャインがここまでの経緯を話した。


 「ご迷惑をかけてすいません…」

ソノは椅子に座り、ズーンと落ち込んでいる。

「気にしない気にしない!ソノちゃんが無事だったらそれで良いの!」

トワイラが持ち前の明るさでソノを励ます。

「トワイラの言う通りだ。誰もソノを責める気なんてねぇ。落ち込み損だ。」

シャインも励ますと、ようやくソノに少しだけ笑顔が戻った。その時、サナが研究室の奥から人数分の飲み物を入れて戻ってきた。

「気が滅入っている時は温かい飲み物よ。」

サナが優しい顔でソノにコップを渡す。

「ありがとうございます。サナさん。」

ソノは礼を言いながら、貰った飲み物を口にする。

「にっが〜!これブラックコーヒーじゃん!」

ソノと同じタイミングで飲んだトワイラが顔を歪ませる。

「悪いけど私、ブラックしか飲まないからミルクも砂糖もないわよ。」

平然とブラックコーヒーを飲むサナ。

「うぇ〜…ソノちゃんも苦いよね?」

トワイラが同意見を求めてソノに訊く。

「すいませんトワイラさん。私、ブラックコーヒー好きなんです。」

ソノがクスッと笑って返答すると、トワイラがガクッと落ち込んだ。

美味しそうにブラックコーヒーを飲むソノに、サナが何かを思うような眼差しを向ける。

「そう言えば、ソノの記憶はどうなんだ?治りそうなのか?」

こちらも平然とブラックコーヒーを飲むシャインがサナに訊いてきた。

「それなんだけど、どうやらソノの記憶を誰かが『封印』したようね。」

「記憶を封印することなんて出来るのか?」

「ええ。かなり難しくて危険な魔法だけどね。」

「その封印って解けるの?」

トワイラが尋ねる。

「かなり複雑にかけられているから、解くとなるとかなり時間が必要そうね。」

「でもそれって、逆に言えば時間さえあれば封印を解けるってことだよな?」

シャインが訊く。

「確かにそうだけど、そうなるとソノには住み込みで居てもらうことになるわよ。」

「なら心配いらねぇ。元からソノには龍空高校に住んでもらう気だったしな。」

シャインの口からまさかの計画が告げられ、他の3人が驚く。

「私、ここに住んでいいんですか?」

ソノが困惑しながら尋ねる。

「まだ分からねぇ。でも良い感じにこう…説得したらいけるだろ。」

「なんて計画性がない……」

行き当たりばったり感が強いシャインの計画に、サナは呆れる。

「仮にオーケーが出たとして、ソノちゃんには何処に住んでもらうの?」

トワイラが尋ねる。

「理想は学生寮の一部屋だけど、まぁそれは高望みだからな……この研究室はダメか?」

「ダメに決まってるでしょ。ここに下りる前に言ったけど、この研究室は学校側は認知してないんだから。」

シャインの案を却下するサナ。

「じゃあサナの部屋は?」

「下手ものを触って死んでいいなら構わないけど…」

サナとシャインがソノの方に振り向く。ソノは怯えながら首を横に振った。

「じゃあエアルの部屋か?俺やスノウの部屋は流石にやべぇもんな……」

シャインが悩んでいると、ソノが口を開いた。

「あ、あの…大丈夫であれば、私、シャインさんの部屋が良いです。」

「いいのか?」

シャインが確認を取ると、ソノがニコッと微笑んで頷いた。

「はい。何だかシャインさんの近くだと落ち着くので。」

「そうか。なら、そうするか。」

シャインがニッと口角を上げる。

「はい、よろしくお願いします。」

ソノが再びニコッと微笑む。

「シャン!ソノちゃんに変なことしちゃダメだよ!」

トワイラがシャインに釘を刺す。

「するかバカ。」

シャインがトワイラからの忠告を一蹴する。

「じゃあ今日は解散しましょう。私は私でしたい事あるし。」

サナが解散の提案をすると、他の3人は同意する。

「そんじゃ、俺らは校長に交渉に行きますか。」

「はい!」

シャインとソノが階段を上り、研究室を後にした。トワイラも2人を追うように研究室を後にした。


 1人となったサナは、シャイン達が使用していたコップを片付け始める。

「ブラックコーヒーが好き…か……」

ソノが使用していたコップを見詰めつつ、サナはポツリと呟くのであった。

本日はお読み下さり誠にありがとうございます!

少しでも先が気になった方、面白かった方はブックマーク、☆の評価などをお願いします!


ブルーファントムと対になるレッドファントム、こちらの魔法は今後出てくるのか。それとも私が忘れるのが先か。……忘れずに頑張ります。


さて!次回からはKOM編以来の長編が始まります!しかもメインメンバーの過去ががっつり絡む長編ですので、是非とも読んで下さいませ!



それではまた明日、お会いしましょう!お楽しみに!

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