【教えて、愛梨せんせー!!】
『Q1.有酸素運動と無酸素運動どっちがいいの』
「愛梨さん、有酸素運動と無酸素運動ってあるじゃないですか?」
「有酸素運動がウォーキングなんかの継続的に行うことのできる運動で、無酸素運動がウェイトトレーニングみたいに短時間で強い力を使う運動だね。」
「痩せる為に消費エネルギーを稼ぐとしたら、どっちが良いんですか?」
「まず前提として、痩せる為には摂取カロリーを消費カロリーより低くしないといけない。その為には摂取カロリーを抑えるか消費カロリーを増やすか、少なくともどちらかをしないといけないの。」
「はい、それはなんとなくわかります。」
「摂取カロリーを抑えるのはもちろん食事管理。そして消費カロリーを増やすのは運動なんだけど、これは正直かなり効率が悪いんだよね。」
「食事管理しないと絶対に痩せないって、愛梨さんいつも言ってますもんね。」
「例えば200kcalの摂取を抑えようとしたら、おにぎり一個分くらいのご飯を食べるの我慢したらクリアできるの。」
「まぁそれならできそうですよね。」
「でも200kcalを運動で消費しようとしたら、体重60kgの人で1時間くらいは歩かないといけない。」
「それは…ハードルが高いかもしれませんね。」
「でしょ?だから運動で痩せるっていうのは非効率的で、食事管理の方が断然簡単なのよ。」
「なら有酸素運動も無酸素運動もあまり意味はないんですか?」
「ノンノン。もちろんそんなことはないよ。無酸素運動…特に筋トレは長期的に見て筋肉を増やして代謝を底上げする事ができるし、理想の体を作る為には必要不可欠だよ。」
「食事管理では理想の体はできないんですか?」
「その人が痩せ細ったひ弱な体になりたいなら食事管理だけで十分だよ。でもほとんどの人はそうじゃないんじゃない?」
「確かに。男ならマッチョに憧れる人は多いですし、女性でもやっぱりモデルさんみたいな綺麗なスタイルになりたい人が多いですよね。」
「そういう体になる為には食事管理と筋トレが一番効率的なの。それに短期的に見ても筋トレをしたら暫く代謝が上がることがわかってるから、一日の消費エネルギーを稼ぐことにも繋がるね。」
「有酸素運動はどうなんですか?」
「有酸素運動の消費エネルギー自体は無酸素運動よりも高いよ。脂肪燃焼という目的に直結するのは無酸素運動よりも有酸素運動なんだ。」
「その有酸素運動でさえ、消費エネルギーはたかが知れてるから決して効率は良くない、と。」
「そゆこと!でもボディメイクはそういう小さな積み重ねが大事だから、しないよりした方が結果的には良いんだけどね。」
「有酸素運動と無酸素運動、どっちからやったら良いのかとかってあるんですか?」
「もしその両方を続けてやるんだとしたら、無酸素運動が先の方が良いと思うよ。」
「どうしてですか?」
「簡単に言うと、有酸素運動を先にやっちゃうと筋トレの強度が下がっちゃうからってのが一つ。それから先に無酸素運動をしておいた方が有酸素運動をした時に効率よく脂肪をエネルギーにできるってのが一つ。」
「筋トレの強度…」
「息上がるくらい歩いた後にいつも通りベンチプレスできる?スクワットは?」
「いつもよりは下がっちゃうでしょうね……スクワットは絶対無理です。」
「でしょ。」
「有酸素運動の効率っていうのは?」
「例えばウォーキングなんだけど、歩き始めて20分経過してから脂質のエネルギーが使われるって聞いたことない?」
「あー、なんかネットで見たことある気がします。」
「実際には全く脂肪が使われないなんてことはないし、そもそも普通に生活してたら有酸素運動という意識はなくても歩いたりしてるわけだから、どこから数えて20分だよってことにもなるんだけど。」
「ですね。」
「でもある程度運動を継続すると脂肪が優先的に使われるようになるっていうのは正しいの。」
「ふむふむ。」
「無酸素運動だって全く脂肪を使わないわけじゃないでしょ。だから先に無酸素運動をしておけば…」
「あっ、その後に有酸素運動をした時に最初から脂肪のエネルギーを優先的に使える…?」
「理論的にはね。ただ、できればその二つは別々の時間にした方がより効率的だよ。」
「え…」
「筋トレの後に有酸素運動をしちゃうと、筋肥大効果が下がるっていう研究結果もあるの。それに栄養摂取のタイミングも逃しちゃうしね。」
「なるほど。」
「あとあんまり長く有酸素運動をやると筋分解が促進されるっていうのもあるから、やっても30分くらいで良いんじゃないかな。」
「つまり、無酸素運動と有酸素運動は基本的に続けてしない方が良い。どうしても続けてするなら無酸素運動からの有酸素運動の順番で。そして有酸素運動は30分くらいに抑える、と。」
「ざっつらいと!」
『Q2.筋肉を追い込むってどゆこと?』
「オールアウトオールアウトオールアウトオールアウトオールアウトオールアウト……」
「じ、じんくん!?どうしたの!?」
「あ、愛梨さん。今日もよろしくお願いします。」
「う、うん、よろしく…じゃなくて!目がいっちゃってるよ!」
「実はさっき脚トレの神の動画を見てモチベーション上げてたんです。」
「あぁ、"Quadfather"ね……それでそんなことに。」
「今日はオールアウトしますよ!」
「うーん、追い込むのは大事なんだけど……あのレベルでやるにはまだちょっと早いかなぁ…」
「そんな!愛梨さんもいつも筋肉は追い込むのが大事っていうじゃないですか!」
「追い込むって言っても、誰でもかれでも顔真っ赤にして脳の血管はち切れそうになるほどやって良いわけじゃないよ。」
「え、そうなんですか?」
「じんくんは今日初めてスクワット始めましたって人と脚神様とどっちが強いと思う?」
「強いといわれても…」
「筋力、関節、神経系、技術……それらを総合的に見て。」
「そりゃ脚神様ですよ!」
「だよね。あの人は長年積み重ねてきたそれらを使ってあそこまで追い込んでるの。関節や神経系が未熟な人が同じようにやったらすぐ怪我しちゃうし、技術がないと筋肉にも効かせられずただ形を真似てるだけになっちゃう。それは果たして筋トレなのかな?」
「む…そう言われると…」
「だから人はそれぞれ自分に見合った限界を追求する必要があるの。」
「自分に見当たった限界を追求……」
「それがオールアウトっていうんじゃないのかな?たとえばじんくんはいまベンチプレスが100kgで1回挙がるよね?」
「はい、そうですね。」
「ならじんくんにとって100kgを2回挙げるとか、105kgを挙げるとか、そこを求めるのが現実的だと思うのよ。筋肥大を主目的とするなら80kgで8回挙がるところを10回挙げてみるとかね。」
「なるほど…」
「その上で"もう上がりません"っていうところまでもっていくのが理想だね。とにかく、追い込むと無理をするを一緒にしちゃ駄目だってこと。」
「わかりました!適度に死ぬまでやります!」
「ダメだこりゃ。」
『Q3.スクワットや腕立て伏せのバリエーションについて』
「愛梨さんはたまに家で自重トレもしてるんですよね?」
「うん、たまーにね。」
「どんなのしてるんですか?」
「プッシュアップとかスクワットとかかなぁ…」
「自重のスクワットもするんですね。」
「フォームの調整にもなるし、いつもと違った刺激が入って意外に良いんだよ。」
「テレビで腕立て伏せをゆっくりやると効果的とかって見ますけど、どうなんですか?」
「刺激を入れたい筋肉に意識を集中できるのは間違いないね。私はプッシュアップをする時はベンチプレスの動きとスピードを意識してるし、スクワットでもバーベルを担いでる気持ちでやるから、自然とゆっくりにはなるね。」
「逆に早くしたりはしないんですか?」
「んー、そうするとターゲットの筋肉に効かせるのが難しいんだよね。たとえばプッシュアップを早くしようとすると、ほとんどの人は大胸筋じゃなくて上腕三頭筋に効いちゃうんじゃないかな。あと反動も使ってしまうから、あんまり効率はよくないよね。」
「なるほど……動きの途中でキープするとかはどうなんですか?」
「それはもう体幹トレーニングみたいになっちゃうよね。前にも言ったけどいわゆる体幹トレーニングは等尺性筋収縮運動だから、筋肥大には非効率だよ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
『Q4.筋トレが長続きしません』
「あぁ…今日の筋トレも楽しかった…」
「お疲れ様!じんくんはほんとに筋トレが好きだねぇ。」
「お疲れ様です。筋トレほど楽しいことないですよね。」
「そう思えるのが一番の才能だよ。いい子いい子!」
「ちょっ、撫でるのやめて下さい!勘違いするんで!」
「にゅふふ…勘違いしてもええんやで…」
「どんなキャラですか……それはそうと、筋トレが楽しくない人なんているんですかね?」
「むしろそういう人の方が多いと思うよ?だからみんな長続きしないんだし。」
「そんな!」
「だってきついし、成果も出にくいし、面倒だし……って、そう思う人は多いよ。」
「そういう人はどうしたら良いんですかね?」
「嫌ならしなくて良いと思うよ。」
「えっ」
「その人の目的や目標、理想によると思うんだよ。」
「ふむふむ?」
「痩せたいだけの人だったら食事を管理するだけで良いよ。無理に筋トレなんてする必要ない。」
「そうですね。」
「理想の体があって、その為に筋トレが必要だとわかってるなら飽きたりなんてしないよ。」
「でも続けられない人も"こういう体になりたいんです!"とか思ってるんじゃないんですか?」
「それは"かっこいい"と思ってるだけ。"なりたい"とは思ってない。」
「うむむ…なんとなくわかるような…?」
「"あんな凄い体になれていいなぁ"と"あんな体になりたい"は大きく違うよ。そこにはマリアナ海溝より深い溝があるの。」
「チャレンジャー海淵よりもですか…?」
「いや、それはちょっとよくわかんないけど。とにかく、本当に憧れてるなら続けられるの。そこにコツとかないの。」
「厳しいですね…」
「ボディメイクの道は厳しいのよ。」
「そういえば僕も最初に理想を見つけるところから始めましたね。あれはそういう狙いがあったんですか。」
「そーゆーこと!」
『Q5.筋トレする時間がありません。』
「仕事が忙しかったりしてなかなか筋トレの時間作れない人っているじゃないですか。」
「それでも時間は作るものです。」
「え…」
「しっかりと自分のタイムスケジュールを見直したら、意外と時間ってあるものよ。忙しいっていうのはやらない理由を探しているだけがほとんどね。」
「そ、そうなんですね…」
「まぁでも世の中には本当に忙しい人もいるし……何度もいうけど痩せたいだけだったら筋トレしなくても食事管理だけで大丈夫よ。食事の時間もないわけではないでしょうし。」
「それ何度も言いますね。」
「何度でも言うよ。それくらい大事だから!」
「時間はないけど痩せるだけじゃなくて筋肉つけたい人はどうしたら良いんですか?」
「贅沢な考えだね……パーソナルじゃないセルフのジムに契約してマシン系のトレーニングをするとか?」
「あれ、自重じゃないんですね。」
「自重トレだと慣れてきたらすぐ負荷が足りなくなって、追い込もうとすると逆に時間かかっちゃうよ。マシンならしっかりやれば1種目3セットくらいで追い込めるからおすすめだよ。」
「腹筋とか前腕とか、いかにも男らしいようなところを手軽に鍛えるには何をすれば良いですかね?」
「正直そういう小さな筋肉をターゲットにして鍛えてもあんまり体はよくならないよ。それなら胸や背中、脚みたいな大きなところを鍛えた方が整った体になるし、それらをやるだけで腹筋も前腕も最低限鍛えられるしね。」
「確かに、プレスやプルの種目やるだけで前腕は勝手に鍛えられますよね。腹筋にフォーカスしてやるならやっぱりクランチになるんですかね?」
「家でやるならアブローラーもおすすめだよ!」
「いわゆる腹筋ローラーですね。僕はまだできません…」
「あれはなかなか負荷が強いからね。でもできるようになれば腹筋は間違いなく強くなるから、家で腹筋鍛えるならアブローラー買うと良いよ。そんなに高くもないし。」
「もうちょっと痩せたら買ってみます。」




