表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛があると思っていた  作者: みのみさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/14

02 まさかのストーカー?

「今日もダメだった・・・」

「いい加減諦めたらどうだ?」

「相手が悪いと思うよ」

 机に突っ伏すスタンリーの頭に友の容赦ない感想が降り注ぐ。


 パトリシアの姿を見ることができるのは学園だけなのに、クラスが違ってしまい、一目見るだけでも叶わない。


「パティが体調を崩してないか、心配なのに・・・」

「婚約は白紙にされたんだろ? お互い瑕疵がつかなかったんだから、次の相手を見つければいいじゃん」

 スタンリーは友の言葉に憂鬱そうな顔になる。

「そう簡単に割り切れるモノじゃないよ・・・」

「んー、でも、君さあ。保護者というか、まるでおかんみたいだ」

 隣の席のレックスが呆れた顔になる。


 学園に通うようになって半月が経つ。

 スタンリーは陰ながらでもパトリシアを見守りたかったが、第三王子の周囲は女子生徒が侍るだけでなく、側近候補への自薦推薦者も後を絶たない。いつも取り巻きができていて、近づくのはおろか王子の姿を目にするのも一苦労だ。王子に気に入られて常にそばにいるパトリシアも同様だった。


「パティは丈夫になったと言っても、普通の人よりはか弱いんだ。無理はしていないか心配だ。

 強壮剤だって、あまり飲み過ぎはよくないから、普段の生活から健康管理には気をつけないと」

「婚約は白紙になったんだから、もう彼女とは関わり合いにならないほうがいい。幼馴染の情だとしても、お節介がすぎるぞ」 

 幼馴染のメルヴィンが慰めるように肩を叩いた。


 スタンリーとパトリシアの婚約は白紙になった。姉夫婦がバートレット家に出向いて話し合って決まったことだ。

 領地で薬草栽培と領政に励んでいる両親には手紙で知らせてある。両親ともパトリシアを可愛がっていたし、バートレット家とは絶縁状態だったから信じられなかったようだが、パトリシア本人の意思が固いことから仕方がないと諦めていた。

 バートレット家からはこれまでお世話になったお礼と慰謝料だと多額の金銭が渡された。断りたかったが、ケジメだと押し切られた。姉によると、パトリシアの心変わりへの口止め料も含まれているらしい。

 スタンリーはいらなかったが、受け取らないと代わりに高額の贈答品を押し付けられただろう。いつでも目に映る物とか、どうしたって婚約解消を連想させて心にダメージが大きすぎて最悪だ。

 それに高位貴族の矜持を傷つけるのも悪手だった。取引先や姉の店に圧力をかけられる可能性もあって受け取るしかなかった。


「婚約はなしになって十分な慰謝料も払われてる。もう彼女とは無関係なんだ。下手に関わると、ストーカー扱いされるかもよ? 

 殿下に目をつけられるのはマズイだろ」

 レックスは取引先の子爵令息だ。シトリン家が高位貴族に伝手があるのを知っているが、これ以上の関与はやめておけと忠告される。さすがに王家が相手では分が悪い。


 友人たちからの情報によると、入学当初からパトリシアはクリフォードと親しくしていたようだ。ヒューゴーの忠告はあっていたらしい。

 メルヴィンにも同情されて、スタンリーは項垂れるしかなかった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

評価やブクマ、いいねなどありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ