パリス講和会議
また遅くなりました、申し分ありません。今回は講和会議です。日本は前回の講和に比べて余裕があるのでかなり温厚になっております。まあ、私が支那嫌いなだけですが。
ロマルーシ帝国は日本側がおよそ2年もの間続いた戦争を終わらせるにあたって如何なる要求をしてくるか戦々恐々としながら講和会議を迎えた。
日本は嘗てシノセント帝国に対し、常軌を逸した賠償金を要求したのだ。その為、彼等の中では日本は金にがめつい大国とした印象がなされていたからだ。
ましてや今回、ロマルーシ帝国は極東総督の暴走という形であるものの、日本の勢力圏に侵攻し、日本の民間船に海軍が発砲したことが原因で始まり、終始負け続けて遂に根負けした形での終戦である。
戦争中ロマルーシ帝国は一度も戦術的、戦略的勝利を挙げられず、戦力は払底しており他国相手ならともかく日本に対して戦い続けることなど不可能である。
つまり、ロマルーシ帝国側は今回日本側が出す如何なる条件を呑まざるを得ないのである。これは日本側も既に理解している為、無理難題を出してくると考えられられていた。
そのような恐怖を抱いて交渉に臨んだロマルーシ帝国側に対して日本側が提出した講和の条件はこの通りであった。
1、ロマルーシ帝国は今次戦争の原因である民間船攻撃事件の首謀者に対し然るべき罰を下し、公的な謝罪を行う。
2、ロマルーシ帝国は日本に対し、賠償金として5000億ルーブルを支払う、乃至現在日本占領地域であるレナ川以東の地域を割譲する。
3、ロマルーシ帝国は日本との間に通商条約を締結する。
4、ロマルーシ帝国は日本との間に不可侵条約を締結する。
この内容を見た際、やはり来たかと感じつつも一筋の光明を見た。
まず賠償金として提示された5000億ルーブルであるが、史実帝政ロシアの10ルーブル金貨に含まれている金は7.7423グラムである。金相場を1グラム4900円として計算すると10ルーブル=37932円。5000億ルーブルはその500億倍、およそ190兆円。かかった戦費からすれば少ない位であるが、ロマルーシ帝国では到底支払える額ではない。
だが現在占領しているレナ川以東の割譲で棒引きしても良いとの条件付きだ。領土は正直惜しいが、レナ川以東のシベリアは産業の少ない地である。全く無いわけではないが、この莫大な賠償金の支払い義務を免除することができるならば仕方ないと言えるだろう。
何故なら今や帝国内はボロボロだ。都市部への戦略爆撃、革命や少数民族の独立騒ぎ、戦力不足に起因する国境地帯の不安定化等、早急に解決する必要のある問題だらけだ。今回帝国は最悪領土の割譲を提案して賠償金の減額も考えていた為むこうから提案されたのは正直願っても無いことであった。
その他の要求ははっきり言って何の問題も無い。1の問題もアレクセーエフに罪を全て着せれば良い。どの道アレクセーエフは最早失脚し、何の価値も無いのだから、ならば帝国の為の人身御供になってもらえば良い。
この後アレクセーエフは国家反逆の疑いで逮捕され有罪となり、即日絞首刑に処される事となった。 余談であるが、彼は国家にいらぬ災厄を招いた最悪の国賊とされたのであるが、この事件を境に各現地政府がアレクセーエフの二の舞を踏まないように中央、現地総督の両者が対策を徹底し、汚職が異常に減少したことも記しておく。
また、日本から非公式だが今後のパワーバランスの空白地帯の発生、あるいはロマルーシ帝国内の不安定化を避ける為、不可侵条約を更に発展させ日本がその影響国と構成する広域防衛機構への自国の加盟も打診されるとロマルーシ帝国は1も2もなく飛びついた。
帝国は今次戦争でその力を失った、となれば周辺の列強は禿鷹の如くその勢力圏を蚕食しようとするだろう。だが日本との間に防衛条約が存在すればおいそれと出だしは出来ない。
そうすれば軍の再建という最も時間と金のかかる問題を先送りに出来る。
結果、講和条約はアレクセーエフの引き渡し、レナ川以東の割譲、通商条約の締結について合意し、最後の不可侵条約の締結は多国間防衛条約機構への参加という形で合意に至った。
皇紀2708年2月2日、講和条約はパリス講和条約として締結された。両国の2年に渡る戦争はここで正式に集結したのであった。
次の話で一旦の終了とさせて頂く予定です。しかしこの小説がこんなに高い評価を貰えるとは思ってもみなかったです。重ね重ね皆様には感謝致します。




