メタルちむぽこソリッド
「ところで兄弟」
「なんだ姉妹」
今日日、義体を入れ替えれば男性にも女性にもなれるのは常識である。人口子宮が家サイズだったのは昔話だが、それとは別の問題が出てきた。
「遠隔操作式潜伏型自立移動男性器には気をつけろよ」
「心得ている」
端的に解説するとタコやイカの交接腕と同じ機能があり、本体から分離自立移動できる。そして要塞化した人口子宮だろうと男性相手だろうと強引に関係を結ぶ凶悪なユニットだ。
私は今回の任務にあたり女性の身体になったが、戦闘能力や卵子統括バンク内に管理されたクローン卵子及び精子の都合から生殖器は外部にある。
「子宮が家の中にてかつての金庫の如く大切に保管される世の中だ。ならば男性器も自立移動できておかしくないが、面倒な世の中だな。ある日知らない、人種も違う子供を宿している可能性がある」
「皇族や王族、祭祀家などピリピリしているからな。だからおまえも女型にならないとならん」
私は機械体用のウイスキーを背中側の棚から出すことにする。ぼとり。
実際、手を分離してウネウネ動かすのは可能だ。
昔の映画に敬意を払い、ハンドくんと呼んでいる。
「いるか」
「うーん。それナイアガラフォールメープルだろ。甘すぎるから好かん」
美味しいのに。私は人間の部分が残っている喉をアルコールで軽く焼く。うまい。
「そういう酒はな、時間と共に気化していくのを器を転がして楽しむものだ。音楽でもやりながらな」
「俺らがヤルのは別のことだろが。音楽のんびり聴くほどおまえ遅かったかのかこの早漏め」
ふざけてみたが、別に女性型になったところで遠隔操作式潜伏型自立移動男性器が使えないなんてことはない。
「要人の娘を警護する仕事だから女性型の義体を使っているが、これでは義体を使わないお嬢様に余計な性癖を増やすだけだろう」
実際、警護を担う者のもとの性別が女で警護対象も女かつ双方異性愛者だったとしてもそういった性被害はある。
「遠隔操作式潜伏型自立移動男性器は一般的な愛を確かめ合うためにも用いられる世の中だぞ」
もちろん警護とはどこに潜んでいるかわからぬ野良遠隔操作式潜伏型自立移動男性器、別名野良触手ちんぼ対策も含む。
「守るつもりで自分の家の中にある人口子宮が攻略されたらたまらない」
「今日日子供の養育義務は厳しいからな」
愛のない子供に対してはそれなりの手続きが必要であり、いわゆるマザーシステムに委任せねばならない。かつてあった確定申告並にはめんどうくさいとは爺さん達のセリフ。
「で、どうするのこれから一発やってくか。一発やられていくか」
当面会えないとはいえ、遠隔操作式潜伏型自立移動男性器と外部子宮を用いればいつでもできなくはないが。
「ひょっとしたら」
「なんだよ」
やつは曰う。
「前世紀のジャパニメーションに出てきた触手ものって、文明崩壊後もかつての種を保存しようとして残ってしまった遠隔操作式潜伏型自立移動男性器かもしれんぞ」
やつはニヤリと笑って酒をかっくらった。
バカも休み休み言え。




