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 怪しい館に忍び込んだ俺だったが、まるで何者かに操られるかのように体が動くのを感じていた。

 なんだか、頭がぼうっとしてきている。

 これは……やばい。絶対に何かの誘惑魔法にかかっている……。


 意を決した俺は、自分で自分の顎を殴った。

 一瞬目が覚めたが、すぐにまたトロンとしてしまう。

 ふと、目の前を見ると、忍び込んだ部屋の隅に、鏡が置かれているのが分かった。


 自分が今、どういう状態なのか確認しようと鏡の前に立つと、肩に装着されたウェアラブルカメラのライトが、反射により自分自身に向かって照らされた。

 その瞬間、はっきりと目が覚めた。


 アイゼンによれば、白い光は、太陽の光を模したものであり、そして聖なる光という話だった。

 邪悪な魔術を打ち破る……というと大げさかもしれないが、その光によって頭が冴えたことは間違いない。


 俺自身は魔力なんて全くないだろうし、それを感じることもできないが、この館は、なにか禍々しい雰囲気に包まれているということだけは感じられた。


 そして鏡から離れると、またすぐに頭がぼうっとしてくる。

 時折、自分自身をLEDフラッシュライトで照らして目を覚まさせながら、誘われるように館の奥へと進んでいった。


 気がつくと、重厚な扉を押し開けて、大広間に出ていた。

 真っ暗なその空間を、ウェアラブルカメラとフラッシュライトの二つの光源で照らす。

 そしてその奥の壁際に、メイド服姿の一人の少女が横たわっているのが見えた。


「ミクッ!」


 思わず大きな声を上げ、そちらの方に駆け寄ろうとする。

 その少女……ミクは、俺の方を見て、眩しそうに目を細めたが……俺のことに気がついたのか、目を大きく見開き、首を左右に振った。


 俺はかまわず、彼女の元へと走る。

 そしてすぐそばまで駆け寄ると、ミクが、両手を金属の、太い手錠のような物で拘束され、さらに太い鎖で壁につながれていることが分かった。


「……だめ……これはおびき寄せるための罠……」


 ミクがわずかに震えながら、涙をためて小さな声でそう警告してきた。


 と、次の瞬間、背後に何かおぞましい気配を感じて、その方向を振り返りフラッシュライトで照らすと、いつの間にか迫ってきていた、体は人間、顔はコウモリのような化け物が、不気味な金切り声を上げて悶え、目を両手で押さえてそのまま逃げるように広間から出て行った。


 一瞬の静寂の後……。


「我が下僕ながら、情けない限りだ。あれほど気をつけろと言ったのに、所詮知能は子供並みか。それにしてもその忌々しい光……この我が館の結界内では闇属性のもの以外は、魔法も、魔術具も使えないはずだが……おまえは一体、何者だ?」


 大広間に不気味な声が響き渡った。

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