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古代の技術

「なに、この景色……」


 どうやらソフィアは、初めて海を見たらしい。


「そうでしょう? 私も初めて見たとき、唖然としたんですよ。これが海です!」


 幾分元気になったシルヴィが、なぜか自慢げに話した。


「そうじゃ。これが海じゃ。しかも、我々の住むリエージェ王国とは異なる大陸から見る海じゃ。これほど離れた場所にこのような遺跡を築いておったとはな……」


「……まさか、アイゼンさんの魔法でも帰れない距離ってことはないですよね?」


 若干の不安を覚えた俺はそう尋ねた。


「うむ、それは大丈夫じゃが……少なくとも、儂が自分で作成した転移用の魔法陣は、数か月に一度はかなり魔力を注ぎ込んで手入れをせねばならん。入り口も、出口もじゃ。しかしこの遺跡は、何百年、あるいはそれ以上の時を経ても、誰も手入れなどしておらずとも稼働した。少なくとも儂はこのようなものを作れない」


 なるほど、そう言われれば凄いな。

 日本の優れた技術で作られた施設だって、何百年も手入れなしで動くなどあり得ない。

 大賢者であるアイゼンでさえ不可能なのだ、他の誰であっても真似できないだろう。


 ……いや、まてよ?

 大賢者とか、七大英雄の一人って言ってるの、三人の少女たちだけなんだよな……。


 いやいや、そこは疑ってはいけない。現に俺も魔法をかけてもらった。やっぱりすごい人なんだ。

 だとすると、あのトゥエルが作った異空間ゲートも、アイゼンは真似できないって言っていたし、やっぱりあの白ネコ、本当に神の化身なのだろうか。


 ……と真剣に考えたが、あの人をニコニコ観察するような顔で、ニャハハと笑う姿を思い出すと、少なくとも尊い神だとは思えないから不思議だ。


 まだ驚きの表情のまま海を見続けていたソフィアだったが、アイゼンが


「いろいろ見てみたいことも、調べたいこともあるが、まずはシルヴィとショウ殿の体力回復が先じゃ。ソフィア、一旦屋敷へ帰るとしよう」


 と言ったことに、はっとしたように振り向いた。


「そ、そうですね。私もそう思っていました……あと……」


 そこまで話して、少々バツが悪そうに俺の方を向いた。


「……ショウ殿、先ほどは申し訳なかった。さっきの様子だと、どうやらシルヴィの方が世話になったようだ……」


「いや……結果として俺がシルヴィのことを置き去りにしてしまったわけだし、それより君がシルヴィのこと、いかに大事に思っていたのかよく分かったから良かったよ」


 俺がまったく気にしていないように返したので、彼女はほっとしたように


「そう言ってもらえると助かる」


 と礼を口にした。

 そのやり取りをシルヴィアは不思議そうな顔つきで見ていたが、何かを悟ったのか、


「ソフィアさん、ショウさんは、わざと私を置いてけぼりにするような人じゃありませんよ!」


 と、笑顔で抗議した。


「あ、ああ、すまない……」


 ソフィアも本当に申し訳なさそうに謝る。

 俺はそれを見て、二人は仲がいいんだな、と思った。


「……では、そろそろ一旦屋敷へ戻るとしよう。ミクが心配しているだろうからな……皆、もう少し近くに寄ってくれ」


 アイゼンの指示通り、彼の側に皆が集った。


「では、行くぞ……ルラーラ!」


 アイゼンの短い呪文と共に、すっと体が宙に浮くような感覚を覚えた。

 そしてほんの一瞬の後、俺たちは、アイゼンの屋敷の中庭へと帰ってきていたのだった。

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