大きな光
夜。
ジャー、カチャカチャ。
ジャー、カチャカチャ。
んー、スミレさんの声が聞こえる。
「あの、ミカさん。洗ったお皿を無言で洗い直さないでくださいよ。怖いです」
ジャー、カチャカチャ。
キュッ、キュッ。
ジャー、カチャカチャ。
キュッ、キュッ。
「食洗機すら使わず乾燥もさせずに拭き始めた!」
「ハルさぁ、疫病神のやっくんって知ってる? なんか連絡取れないとか言ってたよ」
「わたしの存在は無視ですか? スミレですよ〜」
「ああ。今度、話があるとか言ってたな。連絡先を交換はしたけどブロックしてる」
「意図的だったんだ」
「わざわざ疫病神と貧乏神になんか会いたくないだろ?」
「なんか、この家に入れないとか言ってたけど…」
「あー、創造神様が結界を張ってますからね。わたしは優秀なんで入れてもらえてますけど!」
ソーちゃん、気まずそうに目を逸らしてるね。
これ、あの2人のこと忘れてたっぽいな。
しかし、色々なことを話したけど、運が良すぎると反動も大きいらしい。
人間の人生はバランスを取る為に良運と悪運があるんだそうだ。
わたしの場合は魂もズレていたので、なんか様々なことがアンバランスになっているとか言われた。
「ママ、おちゃらあらいおわった? あちょぼ!」
「お、サキちゃん。今日は何して遊ぼうか!」
「んーとね、かくれんぼ!」
「サキ、あまりママを動かす遊びはダメだぞ」
「かくれんぼくらいなら平気だよ。ハルは心配症だなあ」
「え、わたし優秀ですよね? なんでみんな無視するんですか?」
確かにスミレさんは優秀だと思うよ。
家政婦としてだけど。
最近、うちのお手伝いが板についてきたよね。
「そーねえちゃも!」
「かくれんぼか。いいわよ。天界使う?」
そこ、みんな仕事してるんでしょ?
ハルに聞いたよ。
そういえば出産すると、子供は天や親から運を与えられるらしい。
わたしの場合は産んだ直後が1番危ないだろうということだ。
なので、それまでに運を下げる必要があるんだとか。
しかし、平和だ。
(死にたくないなあ)
この日常を本当に失うんだろうか?
もっとハルやサキちゃんと過ごしたい。
気付けば自然と涙が出ていた。
『天界いいですね。ではいってらっしゃい』
急に後ろからソフィアさんの声がし、振り向いたら空中に本が一冊浮いていた。
パラパラとページが捲れ、大きな光に包み込まれる。
「まぶしっ!」
ん? でもこれ目にダメージないな。
とか思いながら、わたしは意識を失った。




