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夕食後
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さま」
「それで姉さん、昨日の事だけどどうしたらいいの?」
「それなんだけど、お母さんが話があるって。もう少ししたら帰って来るはずだからそれからね」
「わかった」
コンコン
「お母さん、縁を連れてきました」
「ええ、入って」
「お久しぶりです円さん」
「お久しぶりね縁。本当は着替えておくべきなんだけど、ごめんなさいね」
「いや、それは」
「ふふ。さて、2人とも」
優しい母親としての雰囲気からそこで一変した
「座りなさい」
「「‼︎ はい!」」
「桜花から聴きました。貴方達ナニカに立ち向かうそうね?」
その瞳は普段とは違いただ冷徹さだけがあった
「はい。ナニカを倒して結衣を助けます」
「そう。ですが話を聞く限り問題があるわ」
「……」
「先ず一つ。貴方の髪が桜色に変化するまでに濃く曽名井の血を引いている事は聞いています。ですがその程度でナニカを討伐出来るのならば、白桜は封印などせず自身で討伐が叶ったはずです」
「二つ。貴方は一週間で“反転術式:滅”を習得し、さらにナニカの呪いの力をも混ぜ合わせるつもりだそうですが曽名井の千を超える時が培ってきた歴史と力はそんなに甘いものでは有りません」
「三つ。仮に滅を習得できて、ナニカの呪いの力と混ぜることが出来たとしましょう。それは本当にナニカに通用するのですか?」
「そして四つ。仮にそれでナニカを討伐出来たとて『ユイ』を助けられるとは限らない。結界となった者がどうなっているのかを知る術など無く、またそんな事をした記録すら存在しないのです」
「貴方達はそのような不確かなものに世界を賭けると言うのですか?」
「やります。僕は何としてでも結衣を助けたい」
「貴方にとってはユイにはそれ程の価値があると?」
「はい、何よりも大切な人です」
「ふぅ、覚えてもいない私が言うのも何なんだけど。それほどまでに娘を思ってくれてありがとう縁」
「!!それじゃあ⁉」
「落ち着きなさい。それ程の想いと決意があるのならば、ナニカと対峙する事を否定はしません。ですが世界を賭けるに値する力があることを私に見せなさい」
「それと桜花」
「はい」
「貴女には以前より事があれば縁をその手にかけろと言っておきましたね?」
「はい。その覚悟は揺らいではおりません」
「よろしい。ですが事、ここに至っては必要なのはその決意ではない事は理解していますね?」
「はい。挑みそれがならなかった場合この身を捨ててでもナニカを封じます」
「縁。聴いた通りです。貴方が賭ける物は貴方の命それだけではありません。桜花の命と更には桜花を知る者の想いそれら全てがかかっているいるのです。その重みは理解しておきなさい」
「結衣の事を忘れても想いが残っている娘がいました。そんなのをふやしはしません」
決意を込めて円さんの目を見る
「その目、貴方が産まれた時の姉さんの目にそっくり。わかりました」
「曽名井家当主代行、曽名井円が命を伝えます」
「曽名井縁、曽名井桜花。両名はナニカを見事打ち倒し、曽名井結衣を助け出すこと」
「この命、違える事許しません」
「「はい!」」




