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ぎゃくさつ! ~JKのどきどき紛争傭兵ライフ~  作者: ルト
第五章 ラストミッション
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ラストミッション(6)

 平凡な街並みに突如湧きおこった銃撃の雨に、アメリア機は装甲を震わせる。


「っくぅ! なに!?」

『敵FHだ!』


 ジゼルが叫ぶ。

 民家を待ち伏せ(アンブッシュ)の殻として、ヴォーリャが潜んでいたらしい。

 被弾の衝撃に揺れるアメリア機を越えて、ジゼル機が猛然と跳びかかった。空き家に収まるヴォーリャは逃げる暇もなく、ジゼル機の銃撃を浴びて膝を突く。ナイフにコックピットを切り飛ばされた。

 伏撃の伏撃――仲間を釣り餌にジゼル機を狙うヴォーリャへと、アメリアは頭を抑える銃撃を浴びせていく。その二秒でジゼル機が取って返し、ナイフで止めを刺す。


『ありがと』

「こちらこそ。沙希のところに急ぎましょ――」


 アメリア機の背中が爆発した。

 WBだ。裏を取られてRPGで爆撃された。


『アメリアッ!』


 ジゼルは二点速射でWBを粉みじんに吹っ飛ばす。

 回避行動を取るアメリア機はひとまず後回し。ジゼル機は腰部マウントからマスカラのようなハンドグレネードを取った。振り返りざまに投擲。

 投げられたハンドグレネードを、飛び込んできたヴォーリャが目で追っている。ジゼルはそのヴォーリャを撃ちまくった。


『待ち伏せだからって、先手が取れると決まったわけじゃないよ。おまぬけさん』


 全身に跳弾の火花を散らすヴォーリャは、降ってきた擲弾(てきだん)に頭をぶつける。炸裂。

 赤熱した燃料が装甲を過熱させ、銃弾に対する防御性能を失わせた。貫通弾に全身を射止められて大の字に倒れる。


『一機撃破!』

「わぁ、どいて――!」


 飛んでいたアメリア機が、居合わせたヴォーリャに正面衝突してずってんころりん。お互いに吹っ飛んで道路に転がる。

 銃口を振ったジゼルがヴォーリャを銃撃する。アメリアも倒れたまま十字砲火に合わせた。アメリア機の目と鼻の先で爆発する。

 息を吐く暇もあればこそ。

 倒れるアメリア機にWBが飛び乗った。機体の顔面が銃撃される。


「わああ、わああ!?」

『アメリアーッ』


 ジゼルはアメリア機に駆け寄って鉄腕で打ち払い、WBを弾き飛ばす。


「うぅ……助かったわ。ありがと、ジゼル」

『不幸なのか敵がやり手なのか、わかんないね』


 アメリア機を助け起こしながら、ジゼル機は苦笑をにじませた。

 通信機が騒音をがなり立てる。

 沙希機からの通信に衝突音が乗っていた。顔をあげて見れば、粉砕された民家の土煙が立ち上っている。FHで突っ込んだらしい。


「沙希が危ない」


 決断は即時。


『助けに行こう』


 二人はブーストを輝かせてガザ市を翔る。

 その間にも銃撃に狙われ、ロケット弾頭が周囲を駆け抜ける。ウォーキーボックスは容赦なく町中に浸透しているようだった。

 ウォーキーボックスによって戦争が本格化していく。

 いちいち反撃していたら身動きが取れなくなる。二人は無視して街を突っ切る。


「よし……、もうすぐ!」


 データリンクが確立される。

 沙希とロザリーは無数のヴォーリャに包囲されていた。


『沙希、ロザリー! 助けに来た!』


 ジゼル機がヴォーリャの脇腹にナイフを突き立てて無力化する。蹴飛ばすようにすれ違って、包囲を構築するヴォーリャへと踊りかかっていった。


「二人ともこっちへ!」


 アメリアもまたマンションの陰から投擲弾を放り、銃を撃って撃って撃ちまくる。

 熾烈な撃ち返しにマンションが瓦解していった。


『サンキュー! ジゼル、アメリア!』


 沙希とロザリーは横目に機体でアイコンタクト。同時に飛び出していく。

 別々の方向へと。

 ジゼル・アメリアの強襲によってこじ開けられた包囲の穴。それを埋めるべく無理な動きをしたヴォーリャを次々と食い散らかしていく。


『ごうごうごう!』

『おらァ! 舐めるなザコどもがッ!』


 叫ばれる戦意を通信機に聞いて、アメリアは苦笑する。


「ふつう、ここで反撃するかな。意気軒昂すぎるでしょう?」


――ほどなく、敵の殲滅は完了した。




 奇しくもそのとき。


『撤退だ!』


 身を切るようなジョシュアの命令。


『敵の数が想定を超えている! 敵の狙いは我々を誘い込んでの殲滅だ……! ――撤退しろ。生き延びてくれ……っ』


 待ち伏せを殲滅した広場で、沙希たちは聞いた。

 戦争の音は遠い。機械仕掛けの軍靴の音色が刻々と近寄ってきている。

 くそ、というロザリーの毒づき。


『目の前にスカしたクソ野郎がいるのに、尻尾撒いて逃げるってのか?』

「仕方ないわ。あの数のヴォーリャを四機で支えるなんて無理よ」


 行進する敵部隊の隊列を見ているアメリアは肩をすくめた。多勢に無勢だ。

 ロザリーは腹に据えかねるように喉を鳴らす。


『撤退っても、どうすんだよ? ヘリなんか着た途端に撃ち落とされるし、戦車隊だのFH隊だのを呼べるなら初めから出してるだろ』

『援軍なんて来ない。逃げて良いよって、敵前逃亡で怒らないよって言っただけじゃない?』

『最悪だな』

「生きて帰りましょう」


 曲がりなりにも部隊長のアメリアが宣言。無理にでもまとめにかかり、次の動きを始めようとする。

 返事は二つ。

 沙希は黙したまま沈思していた。


「……沙希?」

『え? あっ、うん。逃げるんだよね。大丈夫、逃げ足には自信があるよ」

『そいつは期待できそうだな』


 ロザリーがどうでもよさそうに鼻で笑った。

 おーい。遠くそんな声がする。

 遠くはなかった。装甲の外だ。


「悪いが、撤退をエスコートしてくれないか」


 車両隊のライザが、ジープの窓から身を乗り出して言った。


「よろこんで」


 アメリアはもちろん請け負った。

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本作は金椎響様「さよなら栄光の讃歌」をもとに、本人の許可を得てスピンオフとして描いた作品です。

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