星空への招待状
ガラガラ
「あら、今日は輝晴ちゃんが一番ね」
「橋本先生、こんにちわ」
橋本先生はこの学校の司書さん。
高校に入学してからずっと図書委員で図書室に通っているからもう顔見知り。
まぁ、来る人が少ないからっていうこともあるだろうけど。
さて、今日は何読もうかな。
そういえばもうすぐ流星群が流れるってニュースでやってたから星の神話でも読もうかな。
私はそんな感じで今日読む本を決めた。
それから何分たっただろうか。
「星好きなの?」
突然声をかけられた。先生ではない低い声。だけど大人の声ではない。
今、部活中ということもあるがここに来る男子生徒はあまりいない。
いたとしても大半が三年生。
一体誰?
そう思い顔を上げた。
・・・・・・・・・・・・・え?
そこには何故か彼の顔があった。
「僕のこと分かるよね?現生徒会長だし、同じ学年みたいだし」
ええ、分かりますとも。この学校で知らない人なんていませんから。
いるとしたら経って日もない転校生ぐらいでしょうから。
「あ、安斉君」
震えながらも出した声はとても弱弱しかった。
それもそうだ。
彼との接点はあの夏の終わりしかないのだから。
しかも彼が覚えているとは限らないほどほんの些細の出来事だったし。
それなのになぜ?
弱弱しい声だったのに聞き取ってくれていたみたいで彼はほっとしたような表情を見せた。
遠くから見つめていた彼のしぐさを見てドキッと心臓がはねる。
し、静まれ、静まれ。
せっかく安斉君が話しかけてくれたんだ。答えなきゃ。
「あ、あの」
「ん?」
「星・・・・・好きです」
・・・・・・・・・・撃沈。
男子と話すことがめったにない私には荷が重たいようでした。
ああもう。穴があったら入りたい!!!!!!
「ねぇ、今度流星群が流れること知っているよね」
ええ、それで星の神話を読んでましたから。
コクリとうなずく。
「それを今度科学部が観測しようとしてるんだけど一緒に見に行かない?」
・・・・・・・・・・・・・へ?
びっくりしてうつむいていた顔を上げた。
「嫌だったらいいよ。でも面白そうじゃない?」
「い、行きたい」
だって生で観測できるんでしょ。望遠鏡、私持っていないし。
それし安斉君のお誘いだもん。行かないわけないよ。
――――――――――こうして私は安斉君とともに星を見に行くことになった。




