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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第五章 ザ・バッドエンド
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異国の姫と異形

実験的にこの時間帯に投稿しました。

 中へ戻ろうと扉のくぼみに手を差し込もうとしたら呼び止められた。


「二人だけ?それでいいの?中はどうなっているのかわからないのに全員で中に入った方がいいんじゃないの?話し合った方が」

「いいや、その方がいいのかもしれないが、残りはここでいい」


 男が何を考えているのかわからない。施設の回りには魔物はあんまりいないけど夜になり始めて狼や猪みたいな魔物が出歩きはじめている。そんな魔物が車庫にはいるかもしれないのにいいのか?

 それに二人だけ中へ入れてくれなんて、中がどうなっているのかわからないのにそんなことよく言えるな。

 しかも小さな女の子と若い女の人だけでよくわからない施設に入れるのはリスキー過ぎやしないか?

 それとも俺が不老族なせいか?どんだけ不老族信用されてんだよ。こっちの世界に不老族を語って人を騙せそうだぞ。


「なんで僕と姫だけなんですか!?」


 勝手に施設に入ることが決められた女の人が声をあげる。

 そうだよな。普通そうだよな。何にも話し合わずに勝手に決められて普通は怒るよな。


「そう怒るなよ。お前は団長に認められたことがあるだろう。剣の腕は確かなんだ。中がどうなっているのかわからないがお前がいれば姫一人ぐらい守れるさ。それに姫にはあれがある。大丈夫さ」

「それならみんなで入ればよくないですか?」

「逃げるとき出口に人がいれば逃げやすいだろう」


 どうやら強いから姫という女の子の護衛として入るらしいが説得の内容がよくわからない。二人が入るだけわかった。

 ミリ達も知らないむさいおっさんがいるよりいない方が快適に過ごせるでしょ。

 後で食料を運んであげるか。


『これでよし』

『パスなんか言った?』

『いえ、何も言ってませんが?』


 パスが何か言ったような気がしたが気のせいだろう。


「タカシと言ったか?名乗るのが遅れたな。我々は隣国のダーシャー王国騎士団のミロクだ。ピイール王国の王都へ訳あって向かっている途中だ。そちらに泊まらせてもらう我が貴族令嬢のシンシアとお供のライラだ。二人を頼む」

「よろしく頼むのじゃ」

「よろしくお願いします」

「んじゃ。案内するよ」


 へー俺達がいた国ってピイール王国って言うのか。初めて聞いた気がする。今まで何回か聞いているはずだと思うが聞いた覚えがない。今思えばそもそも、出会った人達は自分達が所属する国名を言っていないな。そんなことどうでもいいけど

 ということでまず二人をキッチンに案内することにした。お腹が空いているだろうし、食料の在庫はまだまだたくさんあるし、誰もここへ入って来ないだろうから俺達が食べ尽くしても問題ないだろうから自由にさせてもらうか。


「そういうことなのでよろしく頼むのじゃ。ところでここはどういうことろなのじゃ?さっきほどの部屋は見たことがない物ばかりじゃったが」


 姫と呼ばれていたシンシアが疑問を投げ掛けてくる。

 アルムと同じぐらい幼い子だけどハキハキと喋る。好奇心旺盛でなんでもかんでも気になるみたいだ。


「昔の宿泊施設だったと思う。どのくらい昔って聞かれても答えられないけど個室にベッドとかあるからそうなのは確かだと思う。断定はできないけど」


 地下に実験装置が何台もあるから上層は宿泊施設であっているけど地下は研究所なんだろう。何の研究をしていたかわからない。研究の資料は読めないし、設備の中は何も入ってなかった。


「ここは噂に聞く不老族の遺跡なのじゃろ?見たことがない物たくさんあると聞いたことがある。鉄を一切使っていない光の剣、鉄の玉が飛び出す小さな大砲、破裂する玉。どれかここにあるんじゃろか?」

「全部武器ばっか。物騒なことを聞くな」

「そうですよ。姫。我々は泊まらせてもらう身。ずかずか聞いちゃタカシさんも困っちゃいますよ」


 シンシアは無邪気にもいろいろ聞いてきたが、護衛でついて来たライラって言う女の人はずっと腰につけた剣を握りしめていた。

 俺達は盗賊でも思っているのだろう。自分達を騙しているにちがいないと。

 何か変な動きを見せたら切りかかってくるのだろう。

 切りかかってきても特に問題ない。この人がどれだけ強かろうと念力で止めさえすれば動きを封じれる。


「とりあえずここがキッチンだけど」

「タカシさん戻られたのですね。そちらの方がタカシさんが言っていた方達でしょうか?」


 キッチンには風呂から上がったばかりの少女達がらんらんとした目でキッチンに設置してあるモニターを凝視していた。

 どうやらジュンとアズサが探しだしたDVDをDVDプレイヤーに入れて、DVDプレイヤーをモニターに接続したようだ。

 見つけたDVDはパッケージ版で今流れている映像は本編ではなく同じ会社が作成した映画の予告が流れている。

 アニメや実写映画など様々な映画が流れているから面白いと言えば面白いだろうけど君達これは本編じゃないよ?


「あら来たのね。タカシが遅いから先に見てたわよ?後ろの人達は言っていた人?」

「今流れている映像は本編じゃないからな。予告が終わるまでやることを済ませてから一緒に見るよ」

「タカシこの映画面白いよ。タカシも座って一緒に見ようよ」

「まだ始まってないだろう」


 シンシアとお供のライラはキッチン内の光景を見て固まっている。異世界だから絵画みたいな薄さのモニターから音と映像が流れているから驚きもするか。うちの子達は前に行った遺跡で魔法少女アニメを見ていたから今から始まる映画もワクワク顔で見ている。

 シンシア達を置いといて持ってきた荷物をキッチンの端に置いて冷蔵庫に入って漁る。


「タカシさん手伝います」


 冷蔵庫食品を選んでいるとミリが冷蔵庫に入ってきた。風呂から上がったばかりだからミリの頭は濡れている。

 タオルでちゃんと拭いて乾かしてほしい。ドライヤーとか無かったのだろうか。


「風呂から上がったばかりだから風邪引くよ。みんなと一緒に映画を見ててもよかったのに」

「私はタカシさんのお手伝いをしたいのです。手伝わせてください。それにタカシさんもお風呂上がりなのは同じじゃないですか。タカシさんも風邪引きますよ?あの方達のご飯を作るんですよね?二人でやれば早く終わりますしね」


 ミリがいい子過ぎて抱きしめたくなる。ミリもみんなと一緒に映画を見たいはずなのに俺の手伝いを言い出してくれるなんてありがたい申し出だ。

 従順過ぎな気がするけど甘えて手伝ってもらおう。

 よく見たらミリの可愛い猫耳が寒くて震えている。


「平たい皿を2枚と食器を準備をしてくれ。俺もすぐに出るから」

「わかりました」


 理由をつけてミリを冷蔵庫から待避させて、漁るのを続けて丁度いいものを見つけた。

 簡単なのでいいかなって気持ちがあるし、せっかく電子レンジがあるならこれでもいいかな?簡単に準備できて早く食べられるからこれに決めた。

 カップタイプのアイスクリームの箱を見つけて中から人数分持ち出す。


「お皿並べましたよ?何を作るのでしょうか?」

「まぁ、見ててよ。簡単に出来上がるものだから」


 それの二つの袋それぞれに切り込み入れて電子レンジに4分ほど温める。温めたら袋から中身を出して皿に移す。

 冷凍のチャーハンの出来上がり。デザートにアイスクリームも隣に置く。味はバニラだ。他にチョコやミント味の箱があったけどとりあえずはバニラを持ってきた。

 風呂上がりにアイスクリームを食べてみたかったんだよね。研究所の大人達が格別に美味しいって聞いていたから尚更。それにアイスクリームは被験者達の憧れの食べ物だった。研究所時代の食事はデザートもあったが薬風味のプリンやゼリーばかりでアイスクリームは食べたことがなかった。甘いだけであんまり美味しくなかったからね。

 アズサやジュンも同じでずっと食べたかったはずだ。渡してみたことろ。


「これはアイスだわ!」

「異世界にアイスがあるなんてすごいじゃないか!僕ずっと食べたかったんだよねぇ。これ何味、何味!?」


 大はしゃぎになった。

 電子レンジがチーンとなり、チャーハンを取り出そうとしたらミリが出してくれたので任せた。


「タカシさんがチャーハンというものを作ってくれたので食べてください。デザートにアイスクリームと言うお菓子もご一緒に食べてみてくださいだそうです」

「あっ、ありがとうございます。姫早速食べてみましょう」

「う、ウム」


 ミリが唖然としていたシンシアとライラに出来上がった冷凍チャーハンを勧めた。

 作ったと言うより温めただけなんだがな。

 二人がチャーハンをパクつく間に視界を車庫に送る。残った冒険者達は車庫の中を動き回ったり、泊まる準備をしていた。暇で車庫内を歩き回っている者は車や馬車をペタペタ触るだけで傷つけるような行為をしないでくれているようだ。

 何人かは外で作業をしているな。魔物が来ないか警戒しているのだろう。見張りをしないで全員車庫の中でいたら、一つしかない出口から魔物が入られたら逃げ場がないもんね。

 本当後で冷凍食品を差し入れに行こう。付近に魔物がいたら倒そう。ここから発つ時に魔物がいたら邪魔になるからね。

 しかし、シンシアとライラを心配している様子が微塵にも見られない。仲間なら中がわからない施設に入ったシンシア達を心配してもおかしくないのにこの人達は誰一人心配していない。浅い関係なのかもしれない。それとも不老族がいるから心配いらないとでも考えているのか?


「タカシ始まったよ」


 どうやら予告が終わり、本編の映画が始まったようだ。アズサ達が盛り上がっているよそにシンシア達がチラチラとチャーハンを食べながらアズサ達を見ている。

 何をしているのか気になるのだろう。


「タカシよ。盛り上がっているようじゃがあの子らは何を見ているのじゃ?それにあの絵画も気になるしのう」

「あれはモニターって言って映像を見る装置なんだ」

「映像?装置?」

「物語を見る道具だと思っていいよ」


 一から説明をするのが面倒になったから適当に言って納得してもらう。映画は物語でモニターは道具だ。何一つ間違っていない。ただBGMなどがあるだけだ。


「あの絵画で劇が見れると言うのかの?」

「そうそう、劇と違う部分が多いけどそれに近いよ」

「妾もみたいぞ」

「姫ゆっくり食べましょう。喉に詰まりますし、はしたないですよ」


 シンシアも映画を見たいのか急いでチャーハンを口の中へ入れる。テーブルからでもモニターは見えるから見ながら食べればいいのに。

 俺は視界越しに見ている。

 一通り見回った結果ここは安全だ。もう探索のために視界を飛ばしてない。それに出口は一つしかないのは確認済みでロックがかかっている。不老族じゃない限り開けることができない。

 研究に使われていた装置がある地下へ続く廊下も落盤で塞がっている。

 俺達は自由に行き来できるのは上層の居住スペースだけだ。パスもいるし、何かあれば声をかけるだろう。


『いつも悪いが頼む。施設の中は何も起こらないと思うけど』

『構いません。お任せください』


 だから視界越しで映画を楽しむことが出きる。完全な安全地帯でゆっくりしてもいいだろう。


 今見ている映画の内容は運命を見る能力を得た主人公がヒロインのために奮闘するストーリーだった。少しエッチなシーンやマフィアとの銃撃戦がド派手のアクション映画で主人公は運命、予知能力があるから敵の攻撃が当たらないけど主人公の少しのミスでピンチになったりしてハラハラする場面があった。能力を得る前の主人公はドンクサイ人物だったが能力を得てから能力を有効活用していたけどマフィアとの抗争と秘密結社に狙われたり、コメディー要素があったり、能力者との胸熱なバトル満載の一作品だった。

 みんなは主人公やヒロインがピンチになると頑張れと応援したり、コメディー要素で笑ったりして楽しめてくれたようだ。

 ただ二人だけあまり楽しめていなさそうだった。それはアズサとジュンだ。


「なんでそうなるのよ。主人公側も敵も間抜け過ぎるのじゃないのかしら」

「どこにでもありそうな映画だね。能力をもっと他に使えるんじゃないのかな?ヒーローになりたいなら予知能力をもっと人助けに使えばいいと思うんだけどな」


 といった感じで映画に対して自分が気に入らない部分を文句言っていた。二人ともこの映画に出てきそうな能力を持っているから主人公の能力の使用方法に対して思うところがあるのだろう。

 俺はこの映画は面白いと思うけど微妙な心理戦や知能戦を無くして考え無しで猪突猛進でいいと思う主人公も敵も。微妙な感じを無くしたら脳死で楽しめると思う。


 チャーハンを食べ終わったシンシアはアイスクリーム片手にうちの子達と並んで映画に飲めり込むように見ていた。異世界だから映画が珍しいのだろう。

 そしてライラはシンシアばかりを見ていた。護衛として入ってきたのだから警戒するのは当たり前か。


 みんなが映画に夢中になっている間、俺は差し入れの準備を始めた。冷凍庫にはいろんな冷凍食品があってどれがいいのか迷うほどだった。赤の他人で何が好みがわからないから尚更。

 冒険者だから肉とか入っていて量が多い方がいいだろう。

 シンシアとライラはチャーハンを食べ終わっていて、テーブルの上に空の皿とアイスクリームがポツンと乗っているだけだった。シンシアはソファーで映画を見ているから空になった皿を洗面器に移動して肉がプリントされているパッケージを適当に冒険者の人数分持ってきてテーブルの上にのせた。


 冷凍食品をテーブルにのせた時、ライラさんを驚かせてしまった。優しくのせたのにシンシアのことに集中していたみたいだ。


 小声で謝って、パッケージを開けていく。

 パッケージを開けたら中はプラスチックのトレイに凍ったパスタと肉が入っていたので、それをすべて電子レンジで解凍していく。


 解凍し終わって、念力で持って食堂を後にする。フォークも忘れずに持つ。


 食堂から車庫へ向かう途中にツクゥツクゥと奇妙な足音が聞こえてきた。ここには俺達しかいなかったはずなのに何かが動く音が聞こえるのはおかしいと思ったので音がした方向に視界を飛ばした。

 そしたらホラー映画に出てきそうなクリーチャーがいた。

 人の胴体に手足が蜘蛛の足で胸から上に顔がない変わりに股間部分に人の顔面をつけた異形な化け物がいた。

 一匹だけじゃなく数十体もいる。その奥には人と人がおんぶしているシルエットで腹と背中がくっついていてそれぞれ頭部がなく、おんぶされている方の胸に人の目や口、鼻がある化け物が3体がこちらに向かってきていた。


 運がいいことに食堂前の廊下を通らないルートで進んでいるからミリ達が目にすることはない。

 ここに住む人達なのだろうか?ただいったいどこに隠れていたのか。視界で見回った時はいなかった。

 それに何年も食堂や風呂場は使われた形跡がなかったから誰もいないもんだと思っていた。

 ゆっくりとしたペースで車庫(出口)へ向かっているからさっさとパスタを渡して接触してみようか。

異形の怪物はとあるゲームのモンスターを混ぜてみたモンスターです。


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