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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第五章 ザ・バッドエンド
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施設の来客

雪が解けて春が近づいて来ましたね。

 風呂場は女の子の裸であふれていた。


「なんでなのよ。みんな体にタオル巻かないのよ。タカシに見られて恥ずかしくないわけ?」

「だって見られても減るもんじゃないかなって思って、それにタオルが体に張り付いて気持ち悪くて動きにくいから嫌なんだよね」

「じゃいいわよ。ただし!タカシは腰のタオルは取らないこと。いいわね?」


 俺はみんながタオルを巻いていると思っていたがジュン以外誰もタオルを巻いていなかった。こちらの世界組はジュンの言葉がわからないからタオルを巻いてないのはわかる。だってミリ達からしてみればジュンが騒いでいるだけにしかないし、ここの施設が驚愕しているもんだと思われても仕方ない。

 不老族スキーなミリとスフィアはここに入ったときから目をキラキラしながらいろいろ騒いでいたからジュンが騒いでもミリ達は自分達と同じでお風呂があることに喜んでいると思っていたから気にしていなかった。

 しかし、アズサはジュンの話を聞いていたのにタオルを巻いていない。タオルを体に巻くことが嫌みたいで巻かなかったようだ。

 濡れたタオルは肌に張り付いてなんか不快感がするから嫌なのはわかる。俺も腰に巻いたタオルが肌に張り付いて尻の割れ目に食い込んでいる。


「おにいちゃん、アルムのあたまあらって」

「いいよ」


 アルムに頭を洗うようにねだられたので風呂場内の棚にシャンプーがあったので念力で取って女の子座りで今かと待つアルムの頭を優しく洗ってあげる。


「ヒャっ。つめたーい。あたたかいのないの?」

「液状シャンプーだから冷たいのは仕方ないよ。アルム痒いところない?」

「ないよ。ねぇ?おにいちゃん洗ったらおゆに入ろう」

「お湯?ああ、湯船のことか!いいよ。だけど体も洗ったら一緒に暖まろう」


 可愛いアルムの頭を洗い終わった。一緒に湯船に入ろうと誘われたがまずは体を洗ってからと言ってアルムに自分の体を洗わせる。

 体も洗って懇願されたがジュンが睨んできたので自分でするように言った。最終的にミリに頼んで洗ってもらったみたいだ。

 その後が大変だった。


「タカシ?私も頭洗って欲しいな。頼める?」

「まっいいけど」


 アルムの次はスフィアの頭を洗うことになった。

 スフィアの頭を洗い終わると次は。


「私もお願いします」


 アルムの体を洗い終わったミリの頭も洗うことになった。


「タカシが頭を洗ってくれるの?ミリちゃんの次は僕もお願いしてもいいかな?」

「その次は私もお願い」


 アズサとジュンも洗うことになった。

 他のみんなとは違い、ミリの頭には猫耳が付いているので耳の中に泡や水が入らないように気をつけながら洗った。

 全員の頭を洗い終わて、自分の頭を洗おうとしたら。


「タカシが頭を洗ってくれたから私が洗ってあげるわ」

「私も洗いたいです」

「アルムもー」


 ミリ達が洗いたいと言い出した。


「ねぇ?タカシ、ミリちゃん達はタカシの頭を洗いたいって言ってるの?」

「そうだが、ジュンも洗いたいって言い出すのか?」

「何よ!悪い?」

「僕も洗ってあげるよ」


 なんでこうなった?


「待って、俺の頭は一つしかないから、そうだ。ジャンケンだ。ジャンケンで決めてくれ」


 咄嗟に頭に浮かんだジャンケンを口にした。


「ジャンケン?」

「ジャンケンとはなんでしょうか?」


 こちらの世界組はジャンケンを知らないらしく?を浮かべていた。

 ジャンケンを知らないとは一から説明するしかないじゃないか。


「ジャンケンとはな。最初はグーで始まる決め事を決めるゲームのようなものだ」

「最初はグー?暴力的な何かなのかしら」

「喧嘩で決めるのでしょうか?」

「違う違う、そうじゃない。相手を殴らないって、まずは俺とジュンがジャンケンしてみるからルールを覚えて」


 一から説明しようと思ったがだんだんめんどくさくなってきたから習うより見ろ方式で俺が少し説明しながら実戦して覚えてもらう。

 ジュンにはミリ達がジャンケンを覚えてもらうため、相手役として手伝ってもらおう。


「これがパーで、グー?チョキ?」

「パーはグーに強いけどチョキに弱いのね」

「チョキはグーに弱いようです。これがジャンケンと言うものなんですね。これに勝った人がタカシさんの頭を洗えるのですね」


 みんなジャンケンを覚えてくれたようだ。これでジャンケンができる。

 最初はグージャンケンポンを言う役は俺になった。アズサとジュンが言うと言語が違うミリ達がわからない。ミリ達の方で言うとどうも片言になっちゃうらしく出すタイミングがわからなくなってしまうそうだ。

 だから通訳役を任されている俺が言うことでリズムが取れるそうだ。


「みんないくよ。最初はグー、ジャン、ケン、ポン!」

「やったー!勝った。」


 勝ったのはスフィアだ。

 勝った要因はパーを出したスフィア以外グーを出したので決まった。


「五人でジャンケンするからみんなバラバラに出すから最初はあいこになると思ったんだけどな。スフィアちゃん以外グーを出すとは」

「巻けちゃいましたが次は負けません」

「体が覚めちゃうわ。お湯に浸かって暖まりましょ」

「アルムもおにいちゃんのあたまあらいたい」


 みんなそれぞれの反応をする。ジャンケンで負けて悔しがるミリやアルムに、少し残念そうにするアズサとさっさと湯船に入るジュン。

 勝って嬉しそうに笑うスフィア。


 俺の頭を洗うのに何があるのだろうか。何もいいことがあるはずもなく。みんなが洗いたがる理由が意味不明だ。


「じゃあ、洗うわね。痒いところがあれば言ってね」

「わかった。よろしく」


 俺は特に何も言わずにスフィアに任せて洗われる。

 一つ気になったのはスフィアの胸が背中に押し付けられている。なぜかは知らないけど本人は洗うことに集中して気がついて無いようだ。他のみんなは誰も気づいていない。

 本人が無自覚なのでここは気づいていないふりするしかないだろう。


 気を紛らわせるのに視界を飛ばした。ここの施設をみて回ればお風呂の時間なんてあっという間に終わるだろう。視界でもまだ見ていないところや瓦礫で塞がれた先の奥深くの研究室のような場所は念のため見ておく必要がある。

 危ない物は無いと思うが、何の研究をしていたのか気になる。俺が理解できないかもしれないが、便利な物を発見するかもしれないし、とりあえず見に行ってみよう。


 地下は所々崩落しているが視界はそんなことは関係なく、崩れ落ちた壁や土砂を通り抜けて進んでいく。

 研究室の付近の廊下は電気が来ていないのか薄暗く生活面が溢れる上層とは違って下層は別の施設に見える。廊下の壁の一枚の向こう側は薬液に満たされた人一人が入れるポッドがあったり、ビーカーに毒々しい色の物体が入っていたりした。

 崩落している以外普通の研究所に見える。

 見ている中で残っている研究資料で人体の図や資料は見かけていないから人体実験はしていなさそうだ。人体実験の様子が無いだけで良心的な研究所に思えてくるのは俺達がいた研究所が非人道過ぎていたから俺はここを良心的に見えていると思う。


 上層の電気が生きて使えているのは不思議だが、ここの施設は何年間も人がいた痕跡はないからすでに廃棄された施設と見ていいだろう。

 ここにある食料や私物と思われる服含め勝手に持ち出しても自由にしてかまわないと思っている。人の痕跡があったとしても我が物顔で持っていくつもりでいた。


 研究所には何もなかった。これ以上調べても何も出ないだろう。ミリ達が喜びそうな物は見つからなかったし、個室の私物を漁ってミリ達が着る服でも見繕うか。


 視界を俺達がいる階層まで戻して、三部屋ほど服を探したがサイズの大きい服しかなく、全てが男物しかなかった。大きすぎてミリ達に着させられない。

 子供が着られるサイズの服がないのかもしれない。


 いつも洗ってもらうのは悪いからまずは俺の服を洗濯機で洗うか。そのあとにミリ達の服を洗ってもらうことにしよう。


 街ではミリやスフィアが洗濯物を宿から桶を借りて水洗いしていた。タカシは知っていたけど本人達が喜んで洗っていたから本人達には何も言わなかった。けどタカシはミリ達ばかりにやらせていた感があり、罪悪感を感じていた。いざ、女の子の服というか下着を洗うとなると戸惑ってしまい今までミリ達の洗濯を任せていた。


 別々に洗うのは洗剤がもったいないと思うけど洗剤の在庫は倉庫に沢山あったから一回二回は変わらないと思う。

 この際だから俺と服と一緒に他の物も洗うか。馬車に積んである洗濯できるもの全て洗って綺麗にするか。木綿製の袋とかリュックサックモドキが使っていたから旅の途中泥ついたりして汚れたから洗うのはいいかもしれない。


 キッチンに置いてあったリュックサックモドキの中身を取り出して二つとも洗濯機に入れる。中身の全ては財布として使っている麻袋とタブレットの貴重品とナイフしか入れてない。他の洗濯できる物は馬車に置いてある。

 着替えや木綿製のハンカチ他もろもろの洗える物は馬車に置いてきてある。ここの出口はしまっているし、入れたとしても布切れを盗まれることは無いと思って貴重品とかが入っているリュックサックモドキ以外置いてきた。

 置いてきた物を取りに行く必要がある。ここの出口である車庫のような部屋に視界を飛ばした。

 しかし、とあることに気づいた。視界は視覚と聴覚を飛ばしているだけの能力だから壁や生き物を通り抜けることができる。実体の無い顔を飛ばしているのと同義で便利で普段から使っていたから気づけなかった。

 洗い物を念力で持って洗濯機の部屋まで運ぼうとしたところまではよかった。しかし、洗い物は物体であるため壁を通り抜けることはどうしてもできない。扉から運べばいいのではとなるが車庫から廊下へ入る扉にはロックがかかっているので鍵であるバーコードの腕輪でロックの解除が必要である。

 バーコードの腕輪を着けている俺やジュンにアズサはお風呂に入っている。状況的にロックを解除できない。アズサがいるからパスを着けている左腕を切断してパスをつれていってロックをパス(解除)すればいいかもしれない。その後にアズサに治してもられば全て解決だ。

 風呂場で左腕を切断すれば真っ赤になるし、たかが洗濯をするだけにそんな必要あるのかと思う。


 初歩的なミスだった。馬車の洗濯物はみんなが寝静まった時に足を運んで洗うしかないか。

 洗濯物を馬車に戻して洗濯機に入れた洗える物を洗い始めるかと思ったら、なにやら外から声が聞こえる。


「扉ぼこぼこしてる。新手のダンジョン?」

「なんだよ。それ?これは噂の遺跡って言うやつじゃね?中に入って大丈夫かよ?魔物が巣を作っているんじゃねのか?」

「近くに村が無いから今日はここに泊まるしかないだろう。文句言ってないでそっちを持ってくれ」

「姫、今日はここに泊まることになりました。今斥候のテモ達が中の様子を確認しています」

「うむ」


 外に六人ぐらいの男女がいた。年齢は様々で小さな女の子から初老のじいさんまでの六人が大岩で歪んだ扉を頑張って開けようとしていた。

 元気無さそうにうつむいている小さな女の子以外冒険者に見える。誘拐犯には見えないし、悪人では無いだろうから施設に入れてあげてもいいかも。

 俺達も勝手に泊まっているだけだから胸を張って言えないが、困っているようだから車庫じゃなくて中へ入れて上げよう。

 車庫に泊められて馬車を荒らされても困るしね。


「終わり。タカシどうしたの?」

「上が騒がしいんだ。どうやらお客さんが来たみたいなんだよ」

「えっ?ここの施設の関係者ってことなの?」

「違うみたい。ここの入り口を見つけて泊まろうとしているみたいだし、困っているみたいだから出迎えてくるよ」


 ようやくスフィアの頭洗いが終わって、みんなに軽く上にいる人達のことを言う。

 それを聞いたジュンはここの施設の持ち主と思ったみたいで不安そうに尋ねられた。上にいる人達は普通の冒険者で近くに村が無いから夜を過ごす場所を探していたようだと追加で説明した。

 わけありな事情を抱えているみたいだけど小さな子がいるから入れてあげるために出迎えに行くと言い残して濡れた頭をバスタオルで拭きながら風呂場から立ち去った。


 視界を戻して風呂場から出る時にアルムが「いっしょにはいろうっていったのに」と声が聞こえた。心の中で謝りながら着替えて車庫へ向かう。


 丁度いい、せっかく車庫に行くことだし、諦めていた洗濯物も一緒に持ってこよう。


 ドアのくぼみに左手を差し込んでロックを解除する。


「誰だ!」


 いきなりドアが開いたから車庫の中で泊まる準備をしていた冒険者の人達を驚かせてしまったようだ。


「おっと、驚かせてしまってごめんなさい。誰かが来ていたと思って様子を見に来たんだ」

「子供?お前はここの家主かなんか?」


 驚かせたことを謝りつつも様子を見に来たことを伝えた。

 冒険者の方々は現れた俺がこんなチンチクリンな見た目で士拍子抜けしているようで唖然としている。日が落ちて外はもう夜だ。車庫の中が暗いから俺から見えない位置に小さな女の子と二人の冒険者は車の影に隠れている。

 敵だと思われたのかな?どうでもいいけど車庫の中が暗かったから電灯のスイッチを押して明かりをつけた。

 これでお互い見えるはずだ。別方向からも視界で見ているし、不自然な動きも見れる。


「いや違うよ?俺達も旅の途中で日が落ちそうでここを見つけたんだ。中は凄く快適だよ。貴方達も入ってくればいいさ。どこの誰かだか知らない相手の誘いなんか信用できないって言うなら魔物が簡単に出入りするここで泊まるといいよ」


 施設の持ち主かと聞かれたが違うと訂正させて、軽く施設の自慢する。

 蛇口を捻れば水もお湯も出るから王都の宿より何十倍快適だし、車庫から中への出口をロックすれば外から誰も中へ侵入することができないから今のところは防犯面もすぐれている。

 車庫から外へ出る扉は壊れているから魔物が入ってくる恐れはあるけどね。冒険者の人達が車庫で泊まると言うならそれはそれでいいと思う。馬車に積んだ荷物を中へ運べばいいし、車庫に置いてある車の鍵は俺のポッケの中だ。車も特殊な素材でできているみたいだから剣で傷つけることができても外装を破壊はできないだろう。


「来る来ないはそっちの判断に任せるよ。そっちにも小さな女の子がいるみたいだけど大丈夫かなって気を使っただけだから気にしないで」

「こちらのことは筒抜けってことか。お前は何者なんだ?」

「自己紹介していなかったね。俺はタカシ、こういう者だ」


 冒険者達に左手に付いたパスを見せる。


「不老族の腕輪」

「初めて見た」

「あれは本物なのか?」


 それぞれ様々なリアクションをしてくれた。


「返事はどう?返事がないならこの部屋で泊まるって言うことでいいの?俺は中に戻るよ?目的の物は持ったからいい夜を過ごしてね」


 数分待っても返事が無いから念力で馬車に積んでいた荷物を全て持って施設の中へ戻ろうとしたら声がかかり止められた。


「待ってくれ、姫とコイツ一人だけ中へ入れさせてくれ」

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