宿泊施設
岩から出てきた扉のスイッチのようなものに触れてみたがうんともすんとも動かない。どうも扉には電力が通っていないみたいだ。視界で中を見てきたが地下の方は電気が通っていたから何かの衝撃で扉が壊れたみたいだ。
岩の重みで凹みがあるが、無理やり開けることは可能ようだ。
「なんでこんな扉があるのよ?ここってもしかして研究所なの?」
「違うよ。地下には誰もいないけど食糧とかの物資があるよ。中をみる限り何年も使っていないみたいだよ。電気は生きているみたいだけど」
ここを研究所と言ったジュンに否定を入れてここに数年以上誰もいないことを説明した。
現代的な自動ドアを見たから研究所のトラウマを思いだしてしまったのだろう。
ヒロ達の組織の破棄された仮拠点と言ったところだろう。
電気は生きているものの中は落盤を起こしてメインルームぽい大きなモニターがある部屋へ行くことができる通路を塞いでいる。その先にテレポート装置みたいなSFチックな台座がある。落盤のせいでそっちの方には電気が通っていないみたいだけど。
「それにここは異世界だよ?あの研究所があるはず無いさぁ。見る限り自動ドアなのは一目瞭然だけどこの世界のどこを探してもあの研究所は無いよ」
「そうね。でも私はただ驚いただけよ?ファンタジーな世界で場違いな物があったから、ついよ!」
ジュンは「ついよ」のところを強調して言う。
自動ドアと言うだけでここを地球の研究所の入り口と重ねたと思う。中は研究所とはかけ離れているし、被験者を解剖する部屋や臓器を冷蔵保管する保管庫は無い。銃器を保管しているけど。
アズサは空気のヤロウとの旅先でいろいろ見てきたのだろう。見てきた先で自信を持ってあの地獄のような場所が無いと言いきれるのだろう。
「タカシさんここはもしかしてあの時の場所と同じでしょうか?」
「あの場所?」
「ルルーンの街の近くで調査した遺跡よ。どうなの?」
「あぁ、全く一緒の施設だよ。あそこより5倍ぐらいでかいみたいだよ」
「本当ですか!?」
「ルルーンの遺跡よりも大きい」
へこんだ扉をペタペタ触っていた不老族スキーなミリとスフィアが焦れったそうに質問してきた。
ルルーンの街のやつより5倍ぐらいでかいと言ったが、行ける部屋でも落盤で通路が塞がれて全体の3割は行けない。
行けない部屋には危険な兵器とか気持ち悪い生きものが入ったカプセルが並んだ実験室があるみたいだけど。
あんなものを地下深くにどうやって持ってきたのか気になるがテレポートとかであそこにおいたのだろう。
「開けるから退いてくれ」
扉を興味深く調べていた4人を扉から距離を置かせて、念力で凹んだ扉をこじ開ける。
開けた扉の先は3台のトラックみたいな車が並んでいる。俺が知っているガソリンで動くタイプじゃなくてエンジン付近に黒い石が入っているタイプの車のようだ。
そういうのは詳しくないのでバラバラにして使えなくしたらもったいない。動かしかたもろくに知らないから触れないでおいた方がいい。近くの作業台に車の鍵みたいなのが5つほどおいてあったからそれらを使えば動くかもしれない。
棚とか調べたら説明書が入っているかもしれない。
「タカシさん入っていいでしょうか?」
「いいよ。でも珍しいからって何でも触るのは止めてね。それと中は暗くて小石があるから足元に気をつけてね」
「わかりました。スフィアちゃん早く入りましょう」
「そうね。この遺跡には何があるのか楽しみだわ」
入り口にあたる車庫には危険な物は全然無いから大丈夫だと思うけど変なスイッチが何個もあるからそれらを押して何を起動してしまうのかわからないから無闇に中の物を触れないように注意をいれとく。
ルルーンの街の遺跡が現代家電ばかりだったからミリ達には珍しく凄い物みたいだったようで二人は楽しげに自動ドアだった入り口の奥に消えていった。
現在トラウマを思い出している青い顔をしたジュンはミリ達に続いて中に入ろうかと迷っていた。
「ジュン?ここでじっとしてもしょうがないんだし入ろうよ」
「わかっているわよ!タカシもボサッとしてないで私達も行くわよ」
「ハイハイ、ちょっと待ってよ」
馬車を車庫の中に入れる。それにしてもこの車庫は無駄に大きい過ぎる。馬車を入れてもここにおいてあるトラック4台分は置けるスペースがある。
最初はもっと置いてあったのかな?
「そんなに強ばらなくても大丈夫だよ。研究所じゃないんだから。震えてるよ。本当大丈夫?水とか飲んだら」
「しつこいわよ。そんなのわかっているわ。これって照明のスイッチじゃない?」
アズサがガチめにジュンを心配している。中に入ったらガクガクと震えているジュンは誤魔化す為なのか壁のスイッチを押した。
ジュンの予想通り壁のスイッチは照明のスイッチだったらしく、薄暗かった車庫内を照らした。
心配だしジュンの面倒はアズサに任せよう。
「ミリ、スフィア、探検しているところ悪いんだけどリュックサックを持ってくれないか?」
「わかりました」
「タカシあのでかいのは何なのよ?!どうやったら動くの?!」
「自動で動く馬車みたいなものだよ。燃料にガソリンを使って動くものだけどこれは動くかどうかはわからないな」
車はガソリンを燃料にしていると思うけどこれの燃料として入っている黒い石のなんだろうな。魔石とも違うみたいだし、燃料に使っているぽいから火とか近づけたら燃えそうだ。
物珍しげに車を見ていたミリと車を見て興奮するスフィアに声をかけてリュックサックを背負ってもらう。誰かが車庫に入ってきても馬車に置いておくのは食糧しかないから盗んでも別に構わない。下には缶詰などの保存食が幾らかあるからここから出るときに持っていこう。
リュックサックを持つのに念力を使わないのは下でいろいろ準備しているから彼女に頼んだ。
車のことを聞いてきたスフィアの質問にわかる範囲で答えた。車に関しては全然知らないし、これに関しては全くもってわからない。
静かに眠るアルムを起こさないようにお姫様抱っこで抱き上げる。
一回下の準備を中断して念力で車庫の出入り口を閉じた。
「ねぇ?タカシ、ここ前みたいにお風呂無いの?」
「あるよ。あそこから地下に行けるからみんなで行こう」
車庫の奥の自動ドアを指した。
自動ドアは近づいても開かない。ドアの隣にくぼみがあることに気がついた。
ルルーンの街の遺跡もバーコードを読み取って宿泊施設へテレポートしたから今回もバーコードを読み取ってドアが開くと予想した。
そのくぼみにパスがついている左手を差し込む。するとピーと電子音となり扉が開いた。
「よし開いた」
作業台です置いてあった鍵は念のために持っていくことにした。きっと車の鍵だと思うけどもしかしたら倉庫とかの鍵かもしれないから。それに小さくて邪魔にならない。
視界で地下を探索したところ鍵が必要な倉庫は見当たらないけどね。
「みんなこっちにキッチンがあるみたいだからまずはそっちに先に見に行こう」
「「はーい」」
引き連れてキッチンに向かう。
向かう途中の廊下には箱が無造作に置いてあった。中身を確認したら資料と工具などの道具が入っていた。資料に書いてある文字は読めなかった。
みんなに見てもらっても誰も読めなかった。そのまま放置した。
スフィアが資料の数枚を自分が背負ったリュックサックにこっそり入れていたのは他のみんなに内緒だ。
大きな街に行ったら売れそうだし。
この世界の紙は獣の皮を加工して作った物だから変にツルツルしていて気持ち悪かった。でもこの紙は俺が知っている紙で地球にいたときに触った紙と同じ素材で作られているみたいだ。
「ここがキッチン何ですか?前の遺跡には無かった物があったり、同じ物があるみたいですけど?あの箱はタカシさんが持っているたぶれっと?でいろんな料理が出てくるのと似てますが動くのでしょうか?」
「あの黒い絵ってあにめが見れるヤツよね?どうやって付けるのよ?」
キッチンに入るとミリとスフィアは部屋のいろんな物を物色し始めた。
珍しい物に興奮するのはわかるけど落ち着いて欲しい。
ここのキッチンはマンガで見たことがある電気コンロなどの多種多様なキッチン用品の他にバカでかいモニターが壁に設置してある。対面に大きなソファーが置いてある。
ここはキッチンというよりもリビングと言った方が合っているだろう。
「一気に質問にされると答えられないからちょっと待って」
「私は少し休んでるわ」
「ジュン大丈夫?水持ってくるね」
「毛布はそこに置いとくからな?」
寝ていたアルムをソファーに寝かせた。隣の部屋が倉庫みたいに物が大量に置いてあり、そこに毛布があったから念力で数枚ほど持ってきて、アルムに持ってきた内の1枚をかけてあげる。
ジュンがしんどそうに横に寝ているアルムの隣に腰かける。心配していたアズサがそこら辺に置いてあったコップに水を汲んでジュンに飲ませる。
ミリ達はジュンが具合悪そうにしているから心配していたがアズサとジュンの言っていることがわからないから何で具合悪い理由を聞かれたから馬車で少し酔ったと二人に適当なことを言ってある。俺が操作する馬車は念力で浮かせているから揺れない。
ジュンもここに慣れたら元気になるだろう。
さてと、ミリ達が変に弄ってキッチン家電を壊される前にちゃんと説明しておこう。
軽く使用方法を話したらミリはうまく使いこなすだろう。
誰でも操作しやすいようにキッチン家電には難しい操作はなく、最低限のボタンの数が少ない上にボタンに温めるとか書いてあるから操作は簡単そうだ。
モニターを見ればわかるので電源ボタンを押して電源をつけたがどこもやっている番組がない。画面が黒いままだ。電源ボタンが青く光っているから電源がついているのは間違いなんだけど。無駄に操作しても黒い画面が変わらなかった。
電源がついたと言うことは、モニターはどこもこわれていないのがわかる。前は見えたのにどうして今回は見れないんだ?
施設問題なのか?設備の通信システムが壊れているから通信が映らないとか。
「ねぇ?タカシ隣のこれってDVDを見るヤツじゃないかな?」
「でも中は何もないな。これじゃ何も見れない」
アズサが何かに気づいた。
モニターから伸びる配線の先に何かの機械に繋がっていた。アズサの言う通りDVDのプレイヤーだ。
肝心の中は何も入ってない。
これじゃ何も見れないじゃないか。いや待てよ。廊下にある箱の中にDVDで見れるディスクが入っているかもしれない。それか他の部屋にあるかも。
前の遺跡にも個人の私室みたいな部屋にフィギュアとか明らかに私物が置いてあったから他の部屋にある可能性が高い。
すぐさま視界を飛ばして1部屋づつ確認する。軽く全体を見たときに私室のような部屋が何個かあったからその部屋中心にDVDのディスクを探す。
探しているなかでエッチな物を見つけたり、ホラーなゲームぽい小さいディスクを見つけた。これじゃない。エッチな物は小さい子がいるから一緒に見られない。でもこれはこれでお宝だから元に置いてあった場所に大切に戻しておこう。
今度ここに戻ってきた時にでも見よう。
ホラーゲームぽいディスクはDVDの差し込み口の半分もない大きさだ。発見した部屋にそのディスクと同じ差し込み口のゲーム器本体(コントローラー含め)があったからそれのだろう。
棚にそのサイズと同じ物ディスクが何種類かあったから後で持ってきてみんなで遊ぶのもいいだろう。小さい子でも遊べる物限定で。
「タカシ?急に考え込んでどうかしたの?」
「いや、今探しているんだけど中々見つからないなって思ってさ。ゲーム機とか見つけたんだけどみんなで楽しめそうなDVDがなくて」
「その口振りだと何か見つけたんだね?どんなの?」
「どんなのって言ってもな。簡単に言うと小さい子には見せられない成人向けの物だよ」
エッチなDVDをそんな風にアズサに説明した。女の子に裸の女性がドンとプリントされたDVDを持ってきて見せられない。
アズサが変に勘違いしてもいい。どうせみんなと一緒に見えないものだから。
DVDはそのうち見つかるだろ。
放置していたミリがかわいそうに電気レンジの扉を開け閉めを繰り返していた。
「ごめんごめん。それは物を温める機械だよ」
「もういいんですよ。私なんかよりもあっちの方がいいんですよね?アズサさんもあっちに興味津々で」
ちょっと放置したらミリが拗ねちゃった。
「いやいや、そんなこと無いよ。王都にもモニターはなかったけどここにある物すべて王都に無いものばかりだよ?」
話が噛み合ってないけど適当なことを言って無理に話を反らす。
「その機械だって食べ物を温める物で、冷めた料理を温め直すことで温かい料理を食べることができるんだよ。前にも言ったかな?でもここにはタブレットで遠隔操作してできた料理が出てくる機械は無いみたいだよ。その代わりにこんなものがあるよ。おいで」
DVDを探すために視界を飛ばしているので、キッチンの奥の部屋にミリを連れて入る。
「寒いです」
「この部屋は食糧を保管するために室温を凍るほどの寒さにしてあるようだね」
視界では寒さを感じなかった。冷凍保存してある食材があるから寒いのは当然なんだろうけど。薄着でこの部屋に入るのはバカだった。取るもの取ったらすぐに出よう。
果物の写真がプリントされてある缶詰を数個手にとって、念力でカンチコチンに凍った冷凍食品を人数分持ってキッチンに戻る。
「タカシさん。それは食べ物ですか?」
「そうだよ。食べるために解かす必要があるけど。そこの戸棚から大きな鍋を取って」
「ここですか?」
ミリとキッチンに立って持ってきた物を解凍していく。
ミリに取ってきてもらった鉄製の大鍋を電気コンロの上に置いて、鍋に念力で水を入れる。(シンクの蛇口をひねったら美味しそうな透明の水が出てきた。水道水を飲んでも大丈夫だろうか?)
鍋の半分くらい水を入れたらコンロの炎のマークのスイッチを押して鍋を温める。
数分したら鍋の水が沸騰し始めた。そのまま凍った冷凍食品をぶちこむ。
全部鍋に入れたら、ミリが驚いた顔で俺見ていた。
俺おかしいことしたのかな?
数分待って鍋にブチ込んだ冷凍食品が解凍できたのを確認してパッケージから中身を皿へ取り出していく。
冷凍食品はステーキ肉だった。パッケージを見たら牛に似た動物の写真がプリントされていた。
凍っていたから中身がわからなかった。
ところで心配事が一つできた。長い間放置していた冷凍食品の肉を食べても大丈夫なのか?肉は焼いてから凍られた物で美味しそうな匂いを放っている。
凍っていたから腐ってはいないと思う。食べてお腹を壊さないことを願おう。




