旅達と秘密基地
ガチャでほしいキャラが出ない
キサラギ達に能力をあげてから一週間ほど経ちキサラギ達はそれなりに能力を使えるようになった。
キサラギは漫画やゲームの魔法使い程度に火とか水を拳くらいの玉を出して10mほど飛ばせるようになった。(狙った的に当たるかは別として)本人は魔法に似たことをできるようになってずっと黙ったままだけど少し明るくなった気がする。
タントは念力でまだ足を細かく動かすことはできないようで身体を少し浮かせて移動している。そして身体を浮かせながら軽い物なら動かせるみたいだ。視界飛ばしもなれて索敵ができるようになった。自由に身体を動かせるようになって、この一週間能力の練習のために森に通うようになって人気のない場所でこっそり優雅に宙を泳いでいるところを見るようになった。
ユンは怪我を治せるようになって少し自信が付くようになって念話を使い話しかけるようになった。練習で怪我をしたキサラギやタントを治癒するのに10分で完治できるようになった。怪我を治した後にキサラギやタントに話しかけるのにオドオドしているけど仲間思いで優しい子なのはわかった。
アズサやジュンによる細胞についてのレクチャーは細胞の構造からDNAについてまで5時間にもわたる説明会が開催された。俺も通訳役として参加したが、人の生殖について説明するとは思わなかった。それを顔を赤く染めながら聞くユンを見て、そこまで話す必要があるのかと疑問に思いながらも通訳に勤しんだ。そのお陰か治療にかかる時間が大幅に短縮された。
一週間の間、ギルドで受けた角ウサギのクエストを達成しようとキサラギ達の練習の合間に視界を飛ばして角ウサギを狩ったのだが、倒した角ウサギをギルドに持って行ったら、もう既に達成してあると言われた。
ギルド側の不備で危険な魔物がいた森に入って角ウサギの上位種の魔物の魔物を納品したことにより達成したとなことだった。
だったらあの時に説明しろよと思ったがギルド側もいろいろ忙しそうだったし、クレームは言わないでおいた。倒した角ウサギは相場より少し高値で買ってもらった。
今日、キサラギ達とお別れになる日だ。
冒険者として一人前として活動できるようになった三人は索敵や近接攻撃を担当するタント、魔法のような遠近攻撃担当するキサラギ、怪我の治療を担当するユン。それぞれに欠点があるもののバランスのいいパーティーだと思う。
三人で力を合わせればどんな困難もなんとかなると思うのは俺個人の感想だが、三人に与えた能力は不老族の能力だ。この世界ではチート級の力だから魔物なら遅れをとることはないだろう。
タント達が活躍すればヒロ達が所属する三人不老族の国たいしての陽動できると思っている。
前に能力を与えたルルーンの街の孤児のハンリーはどうなったのかわからないから陽動が聞くのか実験中だ。
これからはタント達とギルドを通して手紙のやり取りはするし、生活に必要な分の金銭も渡したから当分ニートでも生きていけるだろう。わかればなれになっても今のタント達なら問題ない。
「タカシ達も旅も気を付けてな。もらったこれで僕達は王都でもやっていけるから。なっ、キサラギ」
「うん」
「達者でな。面倒ごとは降りかかってくると思うけど三人で力を合わせてな」
この世界では不老族の能力は不思議で正体不明の力だ。そんな力を悪用しようと悪い大人達が近づいてくるのは確定事項だから三人で力を合わせ、お互いに助け合えばいい。
面倒ごとを呼び込む力を与えて俺も悪い人間だな。この能力のせいで自分が嫌な実験をやらされて、つらい思いがある憎いほど嫌な能力を他人に与えている。キサラギ達も俺と同じ経験を味わうかもしれないと思うとキサラギ達に殴られても文句は言えないな。
そのときは受け止めよう。
最低な物を与えてしまった。嬉しそうに能力を使う彼らを見ていると心が痛いと感じるのは罪悪感に苦しんでいるのか、はたまた彼らと自分を重ねているのは自分でもわからない。
ミリ達の約束を守るための犠牲だ。まだ犠牲になるかはわからないし、ヒロ達に拾われていい方向に転ぶかもしれない。何せヒロ達は被験者の保護しているって話だ。俺から能力をもらったから被験者の括りになっているはずだ。たぶん。
『あのお金は』
「そうそう。タカシ?こんな大金本当にもらってよかったの?」
「あぁ、いいさ。お金なんてまた稼げばいい。慰謝料だから」
ユンの消え入りそうな念話で思い出した金の話の始めたタントは再度聞いてきた。これで三回目だ。金貨数十枚程度でしつこいと感じたけどそんなに大金なのかな?この世界の貨幣の価値がいまいち理解していないが俺金銭感覚麻痺しているのか?買い物する時は言われた金額を払っているからボラれていてもわからない。
一度あげた物を返せとは言えないし、金はまだあるから金貨数十枚あげても大丈夫だ。また森に入って魔物狩れってギルドに売れば金貨数十枚ならすぐに稼げる。タント達が面倒ごとに巻き込まれる前提の慰謝料なのだからなおさら返せとは言えない。
「ユンちゃん王都で頑張ってください。応援してます。私もユンちゃんと同じ年だったら一緒に冒険者として活動できましたのに」
『ミリちゃんも旅で怪我をしないようにね』
「何かあったらあの二人に頼りなさい。あの二人は男の子なんだからユンちゃんが変な男の人がいい寄られても守ってくれるはずよ」
『うん、わかったよ。スフィアちゃんはエルフだから人攫いに会わないようにね』
「ユンおねえちゃんまたあおうね」
『うん、また会おうね。アルムちゃん。次会えたらタカシさん達の冒険話を話してね』
ミリ達もそれぞれにユンに別れを告げている。
ユンの名前は話せなかったからユンと読んでいる。元々の名前はノーマと言うらしいが、ユンはその名前は捨てたみたいだ。親に口減らしのために奴隷商に売られて、故郷の村から王都に行く途中に盗賊に襲われたそうな。それから自分にそっくりなジュンと出会いそれから俺達にユンと新たな名前をもらい今に至るとのこと。
ユンって名前は俺達が勝手に読んでいただけなのだが、等の本人が喜んでくれて何よりだ。
王都での別れを告げた俺達は次の目的地であるエルフ達が住む森目指すことにした。
王都で情報を収集しているなかでその森はルルーンの街とは反対側の位置にあるらしく。通常の馬車で一年以上かかるようで、しかも隣国の領土に位置しているようだ。
その森にエルフ達が住んでいることがわかっているがスフィアの故郷なのかはわかってない。スフィアも故郷の森から出たことがなく、不老族云々以外はあまり森の外に興味がないことから故郷の場所がわからないそうだ。
誘拐された結果、憧れた不老族に出会えたから本人は今の状況を楽しんでいるようだ。誘拐からルルーンの街で俺達に出会うまで怖い思いをしたと言っていた。
その森がスフィアの故郷じゃなくても同じ民族だから何かわかるだろう。
もしかしたらルルーンの街周辺にエルフの隠れ里があるのかも知れないな。
他に情報収集いたことでアルムについては収穫がなかった。アルムもユンと似た状況下で俺とミリとで出会った経緯だからもしかしたらと思ったが全く情報がなかった。王都とルルーンの街は距離が離れているし、離れた街の周辺に暮らしていた村の情報なんて無いに等しいだろう。調べるならルルーンに言ったことがある冒険者の人に話を聞いた方が情報が集まると思ったが、ルルーンの街はともかく周辺に村なんていくつもあるって言われた。
アルムが住んでいた村の名前なんてわかんないからそれ以上聞けなかった。アルムに聞いてもアルムが住んでいたおうちって言うからアルムも村名は知らないのだろう。
村を焼かれて行く当てないから俺と一緒に旅をしているわけだからな。両親も亡くなっているだろう。
アルムも薄々気づいているのかな。ミリは親に捨てられたようなもんだから二人には真っ当に生きてもらいたい。普通の人として暮らせるようにサポートをするし、今の現状は維持して人生の選択肢を増やしたい。
俺も自分の不可解で謎なことが多いからな。一緒にいても苦労させちゃいそうだ。
俺の謎はこのまま旅を続けてれば自ずと解を見つけられそうな気がする。
今現在はエルフが住む森まで馬車で走っている途中だ。ここら辺は平原が続いていて、魔物が全然いないから安全に走行している。
面白味が全然ないからみんな暇をもて余している。
アルムなんかは御者に座る俺の隣に座り、眠たそうに俺に寄りかかっている。
視界を飛ばしても面白い物は見つからないし、ずっと変わらない風景を眺めるしかない。
始めは談笑とかしていたが一時間したら、話声消えていたから暇潰しにタブレットを渡している。
荷台ではタブレットをいじくるジュンにそれを優しく見守るアズサに、タブレットをいじくるジュンを観察するミリとスフィアの不思議な構図ができあがっていた。
タブレットの中のファイルはパスワードがついているので開けないから写真を撮るか、トランプゲームをするために渡しているのにジュンの好奇心が触れたのかジュンがタブレットを独占しているからアズサやミリ達が遊べない。
本人達から不満な声が出てないから様子を見ている。
いじり飽きたらデスクトップのトランプゲームをやり始めるだろう。
俺は馬車の操縦しながら視界を飛ばして行く先に異常がないか確認している。不思議なほどに魔物がいないのは冒険者が定期的に狩っているから見つからないのだろうか?
一般人とか冒険者じゃない人達が王都に向かう中魔物に襲われたらたまったもんじゃないし、平原にいるのは夜行性の魔物が多いのかもしれないな。今は隠れて寝ているのかも。
大量発生しているわけではないし、冒険の稼ぎを奪う訳にもいかないしから探してまで倒す必要ないな。
目的地の森までまだまだある。もうスピードで飛ばしても着かないからこのままだと野宿するしかなくなる。
食料は王都で買ったやつがあるからいいが、野宿の準備するのをうっかり忘れていた。
毛布とかあるけど地べたに女の子を寝せるのは可愛そうだ。馬車の上で寝るのも荷物が邪魔で寝れない子が出てきてしまう。
どうすればいいか。
とりあえず雨風をしのげる洞窟とかあればいいのだが都合よく見つかるか。
王都に向かう途中みたいに街や村があればいいのだが、事前に調べた情報だとこの先に街も村もがない。
国境を越えるまでは平原が続くだけで何もない。
通常隣国に向かうには貿易都市に通っていくつかの街や村を経由して隣国に入るらしい。それでも何回か野宿するらしいけど。
「もう少しで日が落ちそうですけど、今日は野宿でしょうか?」
太陽が傾き空がオレンジ色に覆われるのを見てミリがそう聞いてきた。
「そうなるかもしれない。窮屈な思いをさせるけど大丈夫か?」
「はい。毛布があるので野宿は問題ないですよ。スフィアちゃんも大丈夫ですよね?」
「えぇ、大丈夫よ」
スフィアはシュン達の観察に徹しているからミリの問いには空返事で返している。
いつの間にかアズサとジュンはタブレットでチェスを始めていた。それをスフィアが横から見ていた。
よくチェスのルールがわかるな。って思ったらアシスト機能を使って適当に駒を移動させているだけだった。
「アズサ達は今日野宿になるかもしれないけど大丈夫か?…聞いてるか?」
「ちょっと話しかけないでよ。今いいところなのよ!」
「ルールを理解してない状態で適当に駒を移動させているだけだろ?無意味な遊びやっていて楽しいかい?」
「アハハハ、バレた?どの駒がどこに置けばいいのか正直わからないんだ。だから雰囲気でやっているのさ」
「私達のルールで遊んでるのよ。悪い?」
俺もチェスのルールはわからないから何にも言えないけどチェスって相手の駒を取るゲームじゃなかったか?二人がやっているチェスはお互いの駒を取らずに駒をマスに移動させているだけなんだが。
それが二人のローカルルールなわけなのか?アズサは適当に駒を移動しているだけだが、ジュンは次の手を考えているのかうーんと唸って駒を移動させるだけ。
それ本当に面白い?
「別に悪くはないけど俺は今日、野宿になるけど大丈夫かって聞いているんだけど」
「野宿?キャンプなのさ?」
「テントかとのキャンプ用品はないけど毛布ならあるぞ。悪いけど今日は毛布にくるまって夜を明かすしかないんだ。今のところは」
「私は構わないわよ。私はタカシ達と合流する前は薄い布を体に巻いて寝ていたことがあるから我慢できるわ」
要するに実験をやらされるよりはマシと言うことなのだろう。
できることなら洞窟を見つけたいところだが視界を地面に潜らせても空洞すら見つけられない。平原の真っ只中で野宿確定だ。
って、えっ?何でこんなものかここにあるんだ。
視界を飛ばして驚くものを見つけた。幸運にもそれに泊まることができそうだ。
「みんな良い場所見つけたよ。今日はそこに泊まろう」
「いいところって何?もったいぶってないで教えなさいよ」
「なんだろうね。着いてからのお楽しみかな?」
ジュンに詰め寄られて肩を揺らされた。直ぐに着くから揺らさないでアルムが起きちゃう。
アズサとジュンは無意味なチェスが飽きたのかタブレットをミリとスフィアに渡していた。ミリとスフィアはアズサ達が遊んでいたチェスを熱心にやっている。
真似をして無意味な駒移動を楽しんでいる。ルールがわからないからすぐに飽きてルールを知っているトランプゲームを始めるだろう。
「っで?どこに向かっているのよ?」
「前に話した場所と似た施設だよ」
「似た施設?わからないわ。アズサどう?今向かっている場所に心辺りある?」
「タカシ達が行った場所?あれかな?でもあれは泊まることはできなさそうだしな。うーんわかんない」
二人にヒントを与えたりして焦らしながら遊んで目的地に到着した。
ミリ達も入ったことがあるから聞いてみたらって言ったけどゲームに集中しているから今声をかけたらかわいそうだから聞かないわって言われた。
ジュンにとってミリ達に答えを聞くのはカンニングみたいでプライドが許さなかったのだろう。
「到着したよ」
「到着したって泊まれるところも何もないじゃないの。大きな岩が二つあるだけじゃない」
「何か仕掛けがあるのかな」
ジュンは到着した場所に不満を漏らす。確かにここには大きな岩しかない。けどその岩をどかすと。
「タカシさん今日はここに野宿するのですか?」
「平原にこんな大きな岩があるのは不思議ね。誰かが持ってきたのかしらね」
「野宿じゃないよ」
タブレットの画面から顔をあげた二人は大きな岩を見上げた。二人はここに野宿するとでも思ったみたいだから訂正しておく。
アルムはぐっすりと寝ている。
「見ててね。今日はここに泊まるよ」
俺は扉を塞いでいた岩を退かした。
岩下から扉が出てきた。普通の扉じゃなくて自動ドアだ。
今夜泊まる場所はルルーンの街の近くにあった遺跡(今後は不老族の宿泊施設とでも呼ぶことにしよう)と同じ施設が地下にあった。




