孤児の暮らし方5(ギルドでお仕事)
と言うことでまたやってきました王都のギルド。昨日来たって言うのに今日も来てしまった。
普通は2日連続で来るものなのかは俺には知らないけど今日も用事があるからしょうがない。
王都にいるうちに角ウサギの依頼をこなさないとこのまま違約金払わなくちゃいけなくなるな。明日辺り森に入って角ウサギを狩りに行くか。
「チター!、孤児達を連れてきたよ!」
「お?リコンか?その子達が今朝お願いしていた素材洗いしてくれる子達なのか?確かその子達は」
女性の案内でギルドにやってきた。女性は真っ先に昨日俺達の依頼を受注していれた受付の人のカウンター向かった。どうやら知り合いみたいだ。
俺達を見て少しビックリした表情をした。
「何?チターはこの子達のこと知っているの?何か悪いことでもしていた子達なの?」
「そうじゃないけどその子達は今王都で話題の子達だよ。ギルドの人間だから詳しいことは言えないけどリコンも子達の噂を聞いているはずだよ。特にそこの男の子のね。多分貴族様の屋敷で嫌でも知ることになると思うよ」
「何の噂よ?教えてよ」
女性の人、リコンは受付の人、チターにタカシ達のことを問うが答えない。ギルドの規則に従って冒険者の個人情報を漏らさないのだろう。チターはリコンの職業を知っており、リコンがこれから行く職場でタカシ達の噂を嫌でも知ると含みある言い方で言う。
リコンはタカシ達が今や王都で話題になっている不老族とは夢にも思ってないだろう。
現在、不老族はギルドを出てから行方不明になっており、国中の人間が血眼になって探している。不老族が王都の外れ貧民街で一晩を過ごしたと知ったなら驚きの連続である。
昨晩、王都の犯罪ギルドの一角を倒した話は王都の人間の耳にはまだ入ってないがそのうち王都の不老族の噂の一つに加えられるだろう。
受付の人は俺達のことをむやみに話すことはなさそうだ。ギルドのルールを守っているだけだと思うけど。変な噂がいろいろ追加されてワケわからなくなって、今俺達が不老族と回りに知られるのはめんどくさい。
俺達は二人のやり取りを黙って見ていた。
「そう言えばリコン。時間大丈夫なの?今日は大事な打ち合わせじゃないのかい?」
「そうだった!チター、その子達に説明よろしく。私は行くから。それと君達もちゃんと仕事をするんだよ」
リコンは午後の仕事へ行った。
「さてと作業部屋に案内するね。そこでやってもらう作業について話すよ」
残った俺達は受付の人チターに作業部屋に案内されて仕事の説明を受けた。
「説明は、今回の魔物の素材はそこの籠に入っている鱗ね。ブラシを使って丁寧に汚れを水で洗い落としてね。ギルドの裏に井戸があるからそこから自分達で水を汲んで運んでね」
チターは籠と言うより鱗の山を指した。
俺を全部ですか?9人で手分けしてやればざっと四時間ぐらいで終わりそうだけど。さすがに子どもの仕事量としてこの量は多すぎないか?
もしかしたら普段頼んでる孤児の人数が多いのかもな。
「説明は以上だけど質問はあるかな?」
「休憩はアリなのか?」
「休憩は各々の判断で取っていいよ。夕暮れまでに全部終わらせてほしいけど。小さい子どももいるんだし、夕暮れまで働いたら一人に銀貨3枚は出したあげるよ。真面目にやってね」
なるほど夕方までにこれを処理すれば一人銀貨3枚も出るのか。300ニヤドか。丸一週間は食っていけるぐらいの値段だ。
孤児達にとって1日の仕事量の対価として破格のお値段なのかもしれない。
「早速始めましょう。早く始めた分だけ早く終わりますので皆さん一緒に」
「そうね」
「アルムキレイにする!」
俺以外のみんなは質問はないらしく黙ったいる。ミリとスフィアは受付の人の説明でだいたいの手順を理解したらしく、受付の人から渡されたブラシを手に鱗の山の攻略にかかる準備としてスフィアが木でできたバケツに魔法で水を満たして鱗を磨き始めた。
アルムも二人の真似をしてブラシと鱗を手にとってゴシゴシと汚れを落としている。
ユンも最初どうすればいいかわからないそうにしていたけどミリ達を見て鱗洗いを真似始めた。
「キサラギとタントもサボるんじゃないぞ。俺はアズサ達に受付の人がした説明するから先に始めてくれ」
「みんなが真面目にやっている中でサボれないよ。キサラギ僕をあっちに運んで」
「うん」
キサラギはタントを鱗の山の隣に置いて仕事に取りかかった。
「仕事の内容は鱗についている汚れをただ洗い落とすだけの作業のようだ」
「小さい子でもできそうな作業ね」
「ただ黙々とひたすらやるのは飽きてきそうだよね。仕事ってこんなものなのか。なんか新鮮だよね?」
タカシはアズサとジュンに受けた説明をして不老族三人は初めてする労働の辛さを経験することになった。
「貴族様達はまさか、自分達が探している不老族が孤児に混ざって雑用しているなんて思わないんだろうな」
チターはタカシ達がとりかかったのを確認した後、最後にそう言い残して自分の持ち場に戻っていった。
それから30分~50分に一回ぐらい俺達の様子を見に受付の人が来たり、それ以外にギルド職員の人が道具をとりに作業部屋に訪れては、俺達のことを孤児だと思っているのかお菓子をわけてくれり、噂話を聞かせてくれた。
仕事に集中できなくて少し迷惑だったがわけてくれたお菓子をアルムが気に入ったので文句は言ってない。
永遠とこなす作業に俺は徐々にイライラし始めた。
「うーん。まだこんなにあるわよ。まだ終わらないの?」
「ジュン、文句ばかり言ってまだ始めたばかりだよ。ギルドの人は親切にお菓子をくれるからまだいい方だよ。世の中にはブラック企業ってのがあるらしいからそれよりはマシだと思うよ。さっきの人が持ってきたクッキーがあるからそれでも食べて落ち着きなよ」
あれから2時間ぐらいは経った。
ジュンは飽きてきたのかイライラしたようにぼやく。それを宥めるためにクッキーを渡すアズサ。
「ジュンさんはどうかなさいました?何か気に触ることでも?」
「作業が飽きてきたみたいだよ。そのうち大人しくなると思うから作業続けよう」
俺はジュンみたいに口に出すことはないが何時間も同じ作業するのはこんなにも辛いことなんて始めて知った。
念力を使って何個も同時進行で洗うのは簡単そうだ。だが、ここで能力使って俺達が不老族だとバレたりしたら面倒くさくなる。
気分転換がてらにギルド内を見回るか。
作業しながら視界を飛ばした。みんなが黙々とやっているのに俺だけ手を止めてギルド内を見回るなんてダメだろう。だから作業を止めずに視界を飛ばした。
気分転換だからって作業を止めるわけにはいかない。
ギルドの作りはルルーンの街にあったヤツとあんまり変わらない。同じ国ある建物だから似ていてもおかしくはないのだけど全く同じじゃなくてルルーンの街のギルドに無かった物もあった。もしかするとルルーンの街のギルドにもあって俺が見てなかったかもしれないけど。
壁に貼ってある紙とかも何書いてあるかわからないけど案外廊下を走るなとか書いてあったりしてな。
家具とか書類を見ても特に面白味はあんまり無い。書類なんか見ても書いてある文字が読めないから意味ないよね。
他に何か面白いのはないのか?魔力で動く電卓とか、プリンターとか珍しい物はないのか?もしあっても面白くはなさそうだけど、事務関係はそう言うものはあってもへー異世界にも電卓はあるんだーって終わりだけど。
電卓は見つからなかくて、受付や事務作業をしている人を見ていたが、もしかして全部暗算で仕事しているのか!
スゲー、俺なら三桁の暗算はできないぞ。二桁すら怪しいのにギルドの人達は冒険者から魔物の素材の買い取りや他の事務作業の数字に関わる仕事はすべて暗算なのか。
それと冒険者へのサービスとして冒険者の武器のメンテナンスもやっている。預かった剣とか斧とかの刃を磨いだり、弓矢の糸が切れかけているなら交換したりしていた。
結構値段がかかるみたいだけど多くの冒険者がそのサービスを利用している。大事な商売道具だからメンテナンスを怠ったって大事な時に使い物にならなかったら自分や仲間の命を危険晒す可能性があるから必要な経費として利用しているのだろう。
今度俺の剣もメンテナンスしてもらおう。あれは拾い物だからちょっと切れ味が悪かったり、装飾が欠けているから見てもらって刃を磨いでもらおう。ミリが頑張って磨いでいるけどギルドのちゃんとしたサービスが存在しているならそれを利用してミリの負担を減らしてあげないと。
他に無いかな?一通りギルド内を見て回ったんだけどあんまり興味を引く物はないようだ。
ん?あそこでギルドの女の人が三人集まって喋っているな。盗み聞きはよろしくないけど女の人達が喋っている場所の近くに仕事をしている男の人が聞き耳をたてている。女の人達は男の人がいることに気づいていて喋っているから俺が聞いても問題ないよな?
たぶん仕事中の合間の雑談といったところだろう。
「んでね。受付のチターとギルドマスターが話しているのを聞いたんだけど今雑用をしている孤児の中に噂の不老族がいるらしいのよ」
「あのルルーンの街の?」
「そうそう。ルルーンの街の貴族様のご令嬢を助けたっていう不老族よ」
「その話なら聞いたことがあるわ。ルルーンの街に迫っていた魔物の群れを蹴散らした話ね」
どうやら俺の噂をしているようだ。て言うか俺達がギルド職員には不老族とバレバレのようだ。
有名人は辛いな。チターってさっきの受付の人が上司に報告してそれを盗み聞きした女性職員が同僚に話しているじゃないか。
ここの情報管理はどうなっているんだ。それとも聞いた女の人が噂好きの地獄耳で俺達の話題を話の種として雑談しているのか?
まいい、ギルド側はどこまで俺達のことを知っているのか知りたかったことだし、しばらく話を聞いてみよう。話している内容はギルドの外に流れている恐れがあるから内容によっては今日中に王都から出なちゃ行けなくなる。
「だからギルドマスターの指示で孤児達にお菓子を与えておくようにって言っていたのね。あの中に不老族がいるからギルドに好印象を持ってもらうためなのね」
「そうそう。若いドルナがぼやいていたよ。忙しいのに何で孤児のためにお菓子の買い出しに行かなちゃいけないんだって。若い子は大変だよね」
「あの子は真面目っていうか一直線っていうか回りが見えてないから一つの仕事を必死にやっているから他の仕事が貯まるんだよね」
「ドルナが買ってきたお菓子を直接ギルドマスターが持って行ってたよ。いいとこどりしたのはギルドマスターとして珍しかったけど」
そうか。ギルドの人は俺達に気を使ってお菓子を持ってきてくれたのか。それよりかは俺やアズサ達、不老族の為に持ってきていた。俺はあんまり食べてなかったが、アルムがいっぱい食べていたんだけど。
俺達の為にお菓子を持ってきてくれていたのはかわりないか。
そのお陰で買い出しに行かされる職員がいたのか。それは不運って言うか。まぁ、今度お菓子のお礼として何かしらの何かを持って行こう。
「話がちょっと変わるんだけどね。昨日夜遅くに運ばれてきた魔物の素材なんだけど、これが面白い噂があって」
「噂?」
「もしかして森に出たグラウンドドラゴンの話かい?それのお陰で夜帰りが遅くなったな」
「そうよ。その話。そのグラウンドドラゴンを倒したのが孤児に混ざって雑用している子が倒したらしいのよ」
「それは凄いじゃないか。素材を見てわかったが相当でかい個体だよ」
「子供だけで大きい魔物倒すなんて不老族って本当にすごーい種族なんだね。でもグラウンドドラゴンの素材を持ってきたのは王都の兵士やベテランの冒険者達だったよ。それっておかしいよね?」
グラウンドドラゴンってあのでかい蜥蜴のことか?あの場には何人かいたし、その人達からの情報がギルドに入ってきたのか。
あんなに大きな魔物は念力が使えない人にとって到底あの場にいた人達だけで運ぶことはできない。大人数で運ぶしかないか。
一度王都に戻ったのか、あの場にいた人達以外で人を呼んでいたのかは知らない。王都から結構な人数を呼んで王都まで運ぶのに夜までかかったのか。
「そうだよな。もう一つ気がかりなことがあって持ち運ばれた素材の中に魔石が無かったんだよ」
「そんなの簡単よ。昼間大きな魔石が持ち運ばれてきたじゃないの」
「それは誰よ?」
「それが不老族よ。って言ってもあの孤児達が持ってきたのよ。大きな魔石をね」
「グラウンドドラゴンが王都の近くに出ていたら今頃、王都の外には出られなかっただろう。数十人の犠牲者を出してやっとラウンドドラゴンを追い返しただろうな」
あの蜥蜴はそんなにヤバい魔物だったのか。被害が出る前に倒して良かった。




