更なる面倒事
暑いよ、暑くてペースが上がらないよ
「ワァッ!何なのよ?ここ暗くて見えにくいじゃないの?あれ?私達誰かに襲われてって、私達はこんなところで寝かされていたの?えっ?アズサは何をしているの?」
「何って僕もタカシに起こされたばかりだから状況あんまりわからないけど、起きたら急にタカシがミリちゃん達を起こしてって言うからこうしてスフィアちゃんとアルムちゃんの体を揺らしているのさぁ。でもなかなか起きないんだ」
「薬でも盛られているんじゃないの?薬の効果が無くなるまで待つしかないと思うわ」
ミリ達を起こしている内にジュンが起きてきた。
起きたジュンにアズサが軽く状況を説明している。
俺達被験者は実験で薬を盛られることが多かったからかそれなりに耐性ができていたから眠り薬を盛られたとしても回復が早いかもしれない。
今はタカシを含む不老族組の3人は起きたが未だに気持ちよさそうに寝息たてるミリ達は起きない。体を揺すり声をかけると少しの間だけ寝ぼけた様子で簡易的な返答が帰ってくるがすぐさま寝てしまう。
効き目が強い薬を使用されたようで完全に起きるには時間がかかるようだ。
「タカシどうする?スフィアちゃんもアルムちゃんも全然起きないよ」
「タカシ何しているのよ。こんなところでボーッとしてタカシもミリちゃん達を起こしなさいよ。あんたが言い始めたことでしょ?」
「ごめん。外の様子を見てたんだ。起きないならこのまま運ぶしかないか。ところでアズサとジュンは頭を打っているかわかる?」
「何よ。急に?そんな簡単なことわかるわよ。人の体液を舐めるだけでその人の体の情報が頭に入ってくるわ。それがどうしたの?」
「僕はわからないよ。見た目の傷や欠損は治せるけどただそれだけ。中身のことなんかは専門外さ。タンコブ程度なら治せるけどね。そんなこと聞いてどうしたの。頭とか打ったの?打ったのなら傷とか腫れるよね?」
「いや、ミリ達が起きないのはここに連れてこられたときに乱暴に牢屋に入れられて頭とか打ったから起きにくいのかなって思ったから聞いただけだよ」
もしかしてミリ達が起きないのは薬の他に頭を打ったから起きないのかって思ってアズサやジュンに頭の中の傷とか見れるかと聞いた。ジュンは相手の体液を口に含むことでその相手の体の状態を知ることができるから頭にダメージを負った場合も知ることができるようだ。
アズサの方は目視で確認できる外傷を治せるが頭の中のキズはさすがにわからないみたいだ。
「タカシって時々ボーッとしているけどその時も外っていうか回りを見てるの?」
「そうだよ。前にちょっと話したと思うけど俺には遠く離れた場所から壁一枚挟んだ向こう側まで全部見えるんだ。それと念力を使っていろいろできるよ。まぁ、わからない部分が多いけど」
「わからない部分って何が?複数の能力を持っていることのことかなぁ?クーから聞いた時はびっくりしたけどやっぱり自分でも把握しきれてないんだね」
「えっ?タカシって何個も持ってるの!?」
「そうみたいだ。とある子に何個か使い方を教えてもらったけどまだ知らない部分があるみたいなんだよな」
アズサ達にパスのことを伏せて視界について語った。
それを聞いたアズサは空気からタカシが能力を何個も持っていることについて聞いていたらしくそんなに驚きはしなかった。そもそもタカシは今までに何回かアズサ達の前で複数の能力を持っているような思わせ振りなことを話していた。
それなのにジュンはタカシが能力を何個も持っていることに驚いていた。タカシも自分と同じように能力の幅が広いと思っていたらしく遠くの物を見える能力は念力の一部の特殊効果な物と思っていたらしい。
空気のヤロウと行動していたアズサの口振りから空気のヤロウは俺について何かしら知っているのは前から思っていたが本当にアイツは何なんだ?
俺が知らない俺を知っているのはパスぐらいしかいないと思っていたが、研究所から逃げている途中で偶然俺のデータを見たとか?ありえそうだけどあの騒ぎの中で被験者の個人のデータを見ることが可能なのか?貴重なデータにはロックが掛かっていると思うから無理に近いと思う。
メチャクチャ気になるが、本人に会って直接聞き出すのが一番早いけどアイツがどこにいるかわからないし、会ったとしてもアイツは何を言っているのかわからない。
「とある子って誰?ヒロって言う子やクーじゃないよね?タカシが話していたサイボーグの女の子の仲間だったりするの?」
「その子については今は話したくない。時期が来たら話すかもしれないけどとりあえずずっと俺の側にいるってことだけ言おう」
「ずっといるって怖いこと言うわね。タカシは幻覚や幻聴でも見えるの?」
「幻覚幻聴じゃないし、今までに何回か助けてもらったぞ」
ジュンにストレートにそんなことを言われた。他人には姿が見えなくて俺だけが視認できる時点で幻覚幻聴と言われてもおかしくない。
ただパスは意思がある腕輪だ。幻覚幻聴じゃないと否定しておいた。
今はパスを紹介したくはないから次回に使用。ミリ達が寝ていることだし。
「ねぇ?外の様子を見てたんだよね?何か気になることでもあるのさぁ?」
アズサが気を利かせて話題を変えてくれた。
「俺達の荷物を探してたんだ。どこにあるかなーって、今馬車と一緒に見つけて、念力を使って馬車を移動してここの裏に停めてある」
『パス、ごめん手柄横取りしちゃって』
『いえ、構いません』
視界を飛ばしていた理由は上にいる人がどうしても気になって様子を見ていた。アズサ達にそいつを説明するどうかも迷っていたし、そいつは俺を警戒しているのか牢屋の部屋に来るのを迷っている様子で上の部屋で階段を見ていた。
何も知らないならちょっと怖い顔で階段を睨み付けるのはやめてほしい。うちの子びっくりしちゃう。
それと馬車と荷物について言う必要があった。
馬車はパスに指示を出して倉庫の裏、隠し部屋の壁を破壊すれば馬車に乗り込めるようにしてある。
上にいるそいつがいなくなればすぐに壁を壊して乗り込めるんだがな。
ただここから脱出する際に隠し部屋の壁を破壊したら都合よくここの裏に馬車と荷物があったらびっくりすると思うんだ。犯人の罠か何かだと思うから事前に説明しておく必要があったと思う。
誘拐犯は倉庫の部屋の片隅に移動済みだ。あとは上に陣取っているそいつがいなくなれば。
「準備いいわね?ところで私達をここに連れて人達はどうしたの?」
「僕達を起こす前にタカシが一人で片付けたってさ」
「上で寝ているよ。たぶんもう俺達にちょっかいかけてこないと思う」
「こういうのって警察を呼んだ方がいいんじゃないの?犯人を無力化したのならなおさら」
「もう呼んだよ。呼んだ方法はご想像に任せるけど早く脱出した方がいい」
視界でチラっと見たが鎧を着た人達が倉庫の入り口に集まっていた。パスに頼んで捨ててもらった誘拐犯を調べている。
その中で意識があった誘拐犯の一人から情報を引き出して倉庫の中を警戒している。その誘拐犯は鎧を着た人達に「中に化け物がいる」だの「助けてくれ」と被害者ずらしていた。倉庫の中を調べればそいつらが誘拐犯だとわかって逮捕してくるだろう。
「ここはどこ?それに君達は誰なの?」
ミリ達を念力で担いでここから脱出しようとしたときに別の牢屋で寝かされていた体を鱗で覆われた子が起きてきた。
「ここは誘拐犯の隠れ家だ。俺達は君と同じ被害者だ。誘拐犯はもう片付けたから俺達はもう行くからね。今度会う時はこんな薄暗い場所じゃなくてマシなところで会おうな」
鱗に覆われた子は這いずりながら寄ってきた。
子は立てないが足に外傷がない。生まれつき足が悪いのかもしれない。
「待って僕も連れてって。その子達を浮かせているのは魔法でしょ?僕は足が悪いけどその子達と一緒に運んでよ。お願い」
「連れてって言われてもな」
困ったタカシは頭を掻いて悩んだ。
コイツを一緒に連れていくのは問題ないのか。更なる厄介事を呼び込む起因になるのではないかと。
「タカシ、あの子は何を言っているの?」
「自分も一緒に連れてってだってさ。あの子は足が悪いからジュン見てやってくれないか?」
「えっ?あの子ケガしてるの?」
「ケガしてるには見えないけど生まれつき足が悪いみたいだよ」
不思議そうに見ていたジュンに頼んで鱗の子の足を見てもらうように頼んだ。同じ被害者だし、ケガを治せる手段を持っているのにほっとくにはあんまりだと思うけど、治せる治せないのはいいとして生まれつきで足が悪いのをジュンが治せるのかわからないけど見てもらうのはアリだよね?
「口の中に指を入れさせてもらうよ」
ジュンは文句を言わずに鱗の子に近づく。ケガ(生まれつきの障害)をして困っている人がいれば診察するみたいだ。
さすがに今回はキスをするのは控えたジュンは鱗に覆われた子の口の中に指を入れて唾液を採取して、そのまま自分の口に迷い無く指を入れて悪い部分の情報を読み取った。
口の中に指を入れた鱗の子供はきょとんとした表情でジュンを見つめた。ジュンが言ったことは通じないからいきなり口に指を突っ込まれた状態だ。
「うーん。歩けるには歩けるけど左足の膝から下の神経が通ってないわ。これじゃ一人で立つことは難しいわね。悪いけど身体の障害は私には治すことができない」
生まれつきの障害はジュンには治せないか。
「乱暴なやり方だけど足を切断してみたら?そしたら私が治してあげるよ」
「何を言っているのよ。いきなり恐ろしいことを言っているの!」
サイコパスじみたことを言ったアズサは簡単に言う。
アズサが言ったことを要約すると悪い部分を切り落として切り落とした部分の先をアズサの能力で再生させる。
すごくサイコパス的なことがアズサは近いことを研究所にいた頃に実験として何回かやらされた。
その方法を使えば障害を治すことが可能と言っていた。初対面の子供にいきなり足を切断するのはヤバイのでアズサの話しは置いといた。
「いきなりなりするの?」
「ちょっと調べさせてもらったんだ。左足が悪いみたいだね」
「何でわかるの?」
「悪いがそれは秘密なんだ」
ジュンに言われた鱗の子の障害を話した。左足の障害を言い当てられた鱗の子は驚いた。
鱗の子になぜわかったのか聞かれたタカシは口に人指し当てるポーズをした。
ジュンの能力について言うのを戸惑ったのだ。知らない子供に簡単に仲間の能力を言うことはできない。
「何で一緒に連れてってほしい理由を聞いてもいいか?それを聞いたら連れて行くか考える」
「僕はドラコニア族という種族のタント言うんだ。僕はドラコニア族の呪い子だから死ななくちゃいけないけどやっぱり死ぬのは怖くなってドラコニア族の村から逃げたしてきたんだけど、呪い子の僕を殺そうとするドラコニアの大人達が来るから一緒に連れていって欲しいんだ!」
「俺達と一緒に来ても状況は変わらないぞ?その大人達が俺達のことをお前の仲間だと思って攻撃してきたらどうする?そもそも俺達もとある組織から気逃げてる最中なんだ。悪いけど余計なお荷物を増やすことができない」
困っている子供に対してこういう言い方は酷いと思うが面倒事を避けるためにはこうすることも必要だ。
困っている人全員助けていたはキリがない。俺はこういうことをするために自由を手に入れたわけではない。が助けられる者はできるだけ助けたい気持ちもある。人助けは俺にとって償いだ。今まで殺してきた仲間達への。
だが、この子を助けられるのは俺じゃなくてもいいはずだ。この国の警察(?)関係者に頼みこんで保護してもらえるはず。
その足では無理だろうが王都の貧民街で見つからないようにひっそりと暮らせばいい。
「そういえばお前の姿に似た人を見たぞ。顔はわからないけど怪しいヤツだった。そいつがお前を殺そうとしているヤツか?」
「わからない。でもドラコニア族なら呪い子の僕を殺すんだ。僕のことは隣村まで話が広がっていたから僕のことを殺しに来る」
このままここに置いてきたら上の部屋にいる鱗の人に殺されるかもしれないし、鱗の人と関係がなくても同じ部族の人が来て殺されるかもしれない。ここに残したら夢見が悪くなるな。
この子から聞いた話をアズサとジュンに話して、助けるかアズサ達に決めてもらおう。




