王都の面倒事2
何やら面倒くさそうな人が入ってきた。
勢いよくギルドの扉を開けて最初の一声が「不老族がいると聞いてきってやったぞ。不老族はどこだ」と傲慢にも程がある。その人は豪華そうな服を着て煌びやかなアクセサリーをつけてギルドを図々しく見回している。
俺達の相手をしてた受付の人を見ると嫌な顔して見なかったふりをしてギルドの奥へ下がった。同僚のギルド職員も忙しいふりを装っている。そして回りの冒険者も知らんぷりをして入ってきた人の行動を楽しそうに見ている。
とろくなことをやらかすとわかっているかのように。
関わらない方がいいと考えてスフィア達がいたテーブル席に大人しく座る。
「なんだ!王都有数のバント商会がじきじきに足を運んだのに誰も応えんのか?おい!そこの冒険者不老族はどこにいる?」
「オレすか?噂だと朝早くに森に行っているみたいっすよ?夕方頃に戻るんじゃないすかね?」
「そうか。出かけているのか。なら不老族が戻ってきたらバンド商会にくるように言伝てを頼む」
冒険者がクスクス静かに笑う中、入ってきた人は仲間達と酒を飲んでいた冒険者に話しかけた。冒険者はバカにしたように答えたが、入ってきた人はイラっとした表情をするがバカにされたことを言及すること無く話しかけた冒険者に一枚の銅貨を渡し伝言を頼んでギルドに去っていく。
「ダッハッハ!」
「おいおい、今の聞いたかよ。ケチなバント商会様が不老族をお呼びだそうだ。傑作だな」
「誰か教えてやれよ。あそこのガキがお前が探している不老族だってよ」
「絶対いやだろ?またケチられるに決まっている」
入ってきた人改めバンド商会の人が去った直後ギルド内が爆笑に包まれた。耳を澄まして爆笑している冒険者の話をいて聞いてみるとどうもあのバンド商会は冒険者達に嫌われているようだ。
嫌われている理由はギルド規約ギリギリセーフのクエストや冒険者に直接無理難題の指名依頼を出すわ。ギルドにいちゃもんじみたクレームを言うわで相当嫌われることをやっているそうだ。
いっそのことギルドから出禁すればいいのではと思うが簡単にいかずギルドに対して何かしらの手を打っているらしくてなぁなぁの関係でいるようだ。
だから冒険者にバカにされたのにイラっとするだけで怒りもしなかったのはそういった背景があったから怒らなかったのか。
あの場で感情的になれば商会側に何かしらのデメリットが生まれるのかもしれない。
俺にとってめんどくさい人間って言うのは変わらないけど。
「変なのはもういなくなったし、宿を探すか」
「タカシ今の人なんだったの?」
「あの人がどこかに行った後みんな大笑いしたけど何かネタやコントでもしたの?」
「回りの冒険者が言うにはさっきの人は嫌われている人らしく、あの人がマヌケなことを言うもんだからみんな爆笑したようだよ」
「へぇー、あんなにバカにさせているのがわかっているのに怒らないなんて変わった人ね」
今の状況が把握できてないアズサとジュンが聞いてきたから適当に答えた。大勢に嫌われているならなおさら関わらないようにしよう。
俺達は爆笑を溢れるギルドを出て馬車に乗って宿を探す。
「でも何であの人は不老族を探していたのでしょうか?」
「悪いことを考えてそうな商人ぽい人だったから不老族の不思議な力を悪用しようと考えていたんじゃないの?」
「あのひとわるいひと?」
「それはわからないよ。アルム。あまり関わりたくないけど人を見た目で判断するのはよくないよ。あんな見た目でも良いことしているかもしれないからね」
そう、本を表紙で判断するなって言われるように人も見た目で判断するのは差別かもしれないし、あの人は不老族を探していたのも何かしらの用があったのかもしれないけど関わるのはちょっとめんどくさい。
正直アルムが見た目で人を判断する子になってほしくない。
念のため、視界を飛ばしてバンド商会の男の後を追い監視している。今のところ悪いことをしているようには見えない。
人の考えを読めない以上無駄なことだし、少し考え過ぎだったと思い視界を止めた。
「宿も探さなちゃいけないけどみんなは今日は何が食べたい?」
頭の中の考えていたことを変えるためにみんなに話題を振ってみた。
「何が食べたいと言われましてもタカシさんが選んだ物なら喜んで食べますし、他のみんなが食べたい物があればそれでいいですので私はなんでもいいです」
「そう言われても困るな。アルムは何が食べたい?」
「おにくがたべたい!」
「どんな肉の料理がいいの?」
「かむとしるが出るのがいい」
ミリはなんでもいいらしいけどそう言われると困る。何がいいのかわからないから聞いているのに俺が選んだ物でもみんなの食べたい物でもいいって一番困る解答だ。
アルムは肉が食べたいようだ。どんな料理が食べたいかさらに聞いてみると噛むと肉汁が出てくる物が食べたいようだ。
ハンバーグかな?俺は噛むと肉汁が出る料理なんてハンバーグしか知らないぞ。
子供はハンバーグが好きだし、それしか思い浮かばない。
「最近肉の割愛が多くない?肉料理もいいけど野菜も取った方がいいと思うわ。フルーツいっぱい入ったサラダが食べたいわね」
「そうか?毎日肉ばかり食べてるけど野菜も食べてると思うよ」
スフィアはフルーツが入ったサラダが食べたいそうだ。しかし、最近肉の割合が多いのか?毎日食べてるけどその分野菜も買ってくるぞ。昨日の野菜串もそうだし、かなりバランスがいい食生活をしていると思っていたがあれでも肉が多かったのかな?
「タカシ、私はハンバーガーが食べたい」
「美味しそうだね。ポテトもつけていると最高だね。僕はお店のハンバーガーとか食べたことないけど一度だけでも食べてみたいね」
さすがにハンバーガーとポテトはないだろう。
研究所時代から薬の味がしない漫画に描かれているようなお店のハンバーガーとか憧れていたけどこの国にハンバーガーショップがあるのかというと無いに等しい。
「それはさすがにないだろ。アルムがハンバーグが食べたいって言うからそれにするぞ。それとフルーツいっぱいのサラダにする」
アズサとジュンの求めてる物はさすがに叶えることができなさそうにない。なのでハンバーガーに似た物で代用しよう。
ハンバーグなら探せば見つかりそうだ。もし、見つからなかったとしても材料を買って自分達で再現すればいい。挽肉に小麦粉と一緒にこねて焼いた肉料理だろ?簡単に作れそうだ。
そもそも、ハンバーグがあるならパンに挟めばいいのでは?お店のような味が出せなくても満足してくれると思う。
「おにいちゃんハンバーグってなに?」
「ハンバーグというのはね。こねる肉を楕円状に平たく焼いたお肉の料理なんだ。噛むと肉汁が出できて美味しいんだ」
「アルムそれたべたい」
『パス、ハンバーグを作っていそうなお店探して欲しい。ないなら似た料理でもいい』
『了解しました』
アルムにハンバーグの説明したらヨダレをジュルリとさせて食べたいと言ってくれた。今夜の夕飯が決まったことなので視界を飛ばしてハンバーグをメニューとして出しているお店を探すようにとパスにお願いした。
「ねぇ?タカシちょっといい?」
「ん?どうした?美味しそうな屋台でもあったのか?」
ハンバーグを探しつつ馬車を商店街へ向かっている途中にアズサに呼ばれた。
「ううん、そうじゃないんだけどさぁ。気になる子がいたんだけどあっちの方によってもらっていい?」
「気になる子?まっ別にいいけど」
「たぶん迷子だと思うのだけど」
今日の予定がないのでアズサが迷子を見たそうなので指した方へ向かう。先に視界を飛ばして見に行ってもいいが、もし迷子がいなかった場合俺が能力でいなかったって、言ってもアズサは俺が迷子なんてめんどくさいと思って信じないだろう。自分の目で確かめるまでは。
すでに通り過ぎたので馬車をバックしてアズサが見かけた場所に戻ってみる。
「いたいた。あの子なんだけどたぶん迷子だよね?」
「んー?どうだろう?」
確かに子供がいた。不安そうにキョロキョロと回りを見回しているし、誰かを呼んでいる風に見える。
「ミリ?あの子迷子に見える?」
「あの子ですか?えぇ見えます。どこかの旅人の子供でしょうか?それで道を戻ったのですね」
「そういうこと。ありがとう」
ミリを代表として聞いてみてあの子が迷子に見えるか聞いたところ迷子に見えると答えたので馬車から降りてその迷子の子のところまでかけよった。馬車に視界を残して。
「こんなところでどうしたの?迷子なの?」
「そうなの。友達と遊んでいたらいつの間にかここにいて、どうやって戻ってもここに来ちゃうの」
「わかった。とりあえず俺達と一緒に来て見覚えがある場所まで送る」
「お兄さんありがとう。そして無断し過ぎだよ」
「えっ?」
迷子の子が針を取り出して俺の腹に刺した。その後は痺れる感覚と落ちていく意識の中で建物の影から複数の大人達が現れるのを見えた。
くそっ。相手が子供だから無断した。子供に襲われるとは思わなかった。パスもハンバーグ探しに頼まなければこんなことにはならなかった。というより前に命を狙われた時もパスに忠告を受けたのに学習しなかった。
こいつらの狙いはいったいなんなんだ。
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タカシが気を失った後、建物の影から現れた大人達は笑いながらタカシに近づいてタカシの懐を漁ったり、爆笑して仲間達と馬鹿話を始めた。
「ケケケッ、コイツが噂の不老族だってか?捕まえるのに手こずると思っていたが拍子抜けだな」
「おう、そうだな。馬車に乗っていた子供の方が少々骨があったぞ。チンピラの何人か魔法や剣で怪我をしたがそれだけだがな」
「でもよう。あの馬車は馬がいないから魔法の馬車だと思ったのに魔法具に詳しいヤツに調べてもらったが詳しいただの馬車じゃんか。あんなの売れねわ」
「まーいいじゃねぇか。珍しいエルフの幼女や魔法を使っていた幼女は高く売れそうだし。売った金額を想像するだけで笑いが止まれねぇ。ケケケ」
「お前もよくやってくれたな。これが報酬だ」
タカシを刺した子供が渡された金貨を受け取り、中身をチラッと見てその場から立ち去った後、その場に残った大人達はタカシを担いでアジトに帰った。
タカシ達は何らかの組織に捕まってしまった。
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目覚めたのは暗闇だった。目隠された状態+手足に拘束器具を付けられた状態で。
そんなのは俺にとって関係ない。念力で簡単に外せるからこんな拘束なんてあっても無くても変わらない。外れにくいアクセサリーみたいな物だ。
目覚めた時に声が出そうになったけど違和感を覚えて声を押さえた。猿轡を噛ませられているけど。
『パス、ごめん。また油断しちゃった』
『えぇ。わかっています。そうでなかったらこんなことにはなっていなかったはずですけど?』
『トゲを感じるけど怒っていらしゃいます?』
『いいえ、マスターがこれを気に学習してくださることを願っていますだけです』
俺がまた油断したからパスがお怒り中でした。
そうだよね。数時間前に忠告を受けたのにすぐに俺が油断して今にいたるからパスだって怒るよね。
『俺が寝ている間の状況を聞いてもいいですかね?』
怒ってらしゃるパスさんに恐る恐る伺うと。
『ハイ、マスター達は王都の倉庫ような場所に運ばれたようです。拐った人達はマスター達を売るとか言ってました』
『人身売買か。それで俺達はその商品ってことなのね』
『ハイ、マスター達は不老族だから高値で売れるとすごく喜んでいました』
不老族だから高値で売れるとすごく喜んでいたのか。それは喜んでいいのか、個人的にわからないな。
大金の元だから逃げ出さないように厳重に身動きが取れないようになっているのか。
『視界を飛ばしてここの様子を見てみるよ』
『それはすでに終わっています。先ほどここは倉庫と言いましたが』
『はい、それで』
『倉庫の地下のようです。脱出経路は確認済みで現在マスター達は牢屋のような場所に寝かされています。見張りは二人います。殺害しますか?』
いきなり物騒なことを言ってくるな。殺害なんてしなくていいよ。殺されるのは仲間を実験で手にかけてきたからなんとか受けられるけど拐われただけでそれ以外に害がないなら殺すことはない。
痛い目にはあってもらうけど。
『ミリ達は?』
『はい、マスターや被験者は一つの牢屋に拘束器具を取り付けられた状態で寝かされていますが、それ以外は一つの牢屋にまとめて寝かされています』
『わかった。後は自分で何とかするからパスはここに警察官?衛兵?なんでもいいからそれみたいな仕事をしている人達を連れてきて』
『わかりました』
自分が油断してヤられた面倒事だから俺のプライドで脱出は俺の力でここからの脱出はヤってやる。なんでもパス任せにしていられないしね。
視界を飛ばして自分を見る。
ガッシリと手足を金属の拘束器具で拘束されている自分が狭い牢屋の中で横たわっている。
拘束器具は鍵を破壊すれば簡単に外れそうだ。牢屋の外はパスが言った通り、見張りが二人いる。
見張りの一人は静かに刃物の手入れをして、もう一人は出口と思われる扉の前で突っ立っている。
牢屋は複数あるが中身の確認はここを探索したら後でいいだろう。
扉の先は階段があり、それを上ると大人達が酒盛りをしていた。誘拐犯の一味だろう。
俺達を売った金で盛大に娼館で遊んでやるとかくだらない話で盛り上がっている。それを抜けると箱や樽に馬車が数台があった。見るからに普通の倉庫だが、誘拐犯達が酒盛りしている部屋は隠し部屋になっていたり、倉庫の回りには誘拐犯の仲間と思われる男達が何人かいた。
誘拐犯グループのメンバーは把握したから一旦、牢屋の部屋まで戻り、複数ある牢屋の中身を確認する。
何人か入っている牢屋の中身はミリ達だろうけど俺達以外にも被害者がいるかもしれないからね。
一つ一つの牢屋を確認していき空な牢屋もあったが俺が入っている以外の牢屋で一人が入っている牢屋が四つ あった。その内の二つはアズサとジュンが入っていたが、後二つの牢屋は入っていた子供は角とか肌が鱗で覆われていたが手首にバーコードの腕輪をしていなかったから不老族ではないようだ。
それ以外の牢屋は空っぽだったり複数の子供達が押し込まれていた。




