あれの正体
前回、更新を滞って済まないと思っている。
今度最新刊が発売される緋〇のアリアを読み直していて次話を書き終えれなかった。
みんなもすごく面白いから緋〇のアリアを読もう。
『マスター気を付けてください』
『わかったよ。それを撃った人はまだいる?』
『はい、マスターからは見えにくい所にいます。マスターから見て右斜め方向にある木の影で驚いた表情をして固まっています』
パスが言った方向に視界を飛ばすと確かに木の影に数人の男がビックリした顔で俺を見ていた。
男達の顔に見覚えがあった。さっきギルドで絡んできそうだったから、念力でテーブルとイスに縛りつけた男達だ。ギルドで絡めなかったからここまで着いて来たのか?
「どこから飛んできたのよ。タカシ!」
「他の人達の流れ弾?でも僕達あんな派手に暴れていたから近くにいる人は気付いているはずだから知っていながら撃ったかな?それともただの事故?」
「わからない」
俺の隣でミリ達の狩りの練習を見ていたジュンが肝を冷やした顔で言うが、アズサは多少の怪我をすぐに直せるからか冷静に状況を飲み込もうとする。
喋らないユンは今何か起きたのか理解できず固まっている。馬車の上はジュンだけがギャーギャー騒いでいる。
『面倒なことの対策で面倒なことになるとは思わなかった。パス、矢を貸して』
『はい』
パスが俺の頭に当たる直前に止めていた矢をパスから受け取り、あれが迫り来てる方向に投げた。
俺が矢を別方向に投げるのを見て男達はニヤリと口を歪めた。そして次の矢を引き始めた。
俺の周囲を狙えば何らかの方法で止められるのを理解したのか、今度の狙いは俺から少し離れているミリ達だ。
せっかくミリ達の狩りの練習をしているのに邪魔をしやがって、俺を狙うのは我慢できるが友達を狙うのは許せない。今は被害はないからあれが来る前にそうそうに退場してもらおう。
男達の剣や弓矢をねじ曲げたり、折ったりして男達の武器を全て念力で使えなくした上で奪い取って、今少し離れた場所に念力で掘った穴に放り投げて埋める。
男達の足を引っ張って三体の中型犬の魔物の前に放り投げた。
男達は一瞬の出来事に状況を飲み込めずパニックを起こしていた。そこにあれから逃げていると思われる中型犬が現れた。
現場はカオスそのものと化した。パニック状態の男達と絶対的な存在から逃げている最中の中型犬の魔物。お互い目を交わした瞬間思考回路が固まった。
一つ目の面倒なことは片付いた。もう一つの面倒なことに手をつけるとするか。
「タカシさん。大丈夫ですか?」
「何?敵襲なの?」
「おにいちゃんダイジョウブ?」
「うん。大丈夫だよ。敵襲なのかはわからないけど矢を撃った人は逃げたみたい」
馬車にかけよってきたミリ達の頭を撫でて安心させる。
敵だったのか男達の目的が何なのか知らないけど魔物の前に捨ててきたからもうここに来ることはないだろう。
「ちょっとタカシ。あっちから何か来るわよ」
スフィアが異変にいち早く気付いた。あれが来る方向にいた鳥などの生物が何かに追いたているかのように一斉に飛びたつから空を見ていれば気付けるが、俺達はどこからか飛んできた矢(ミリ達にはそういう風に思ってほしい)に気を取られていたから気付けなかった。
男達を遠ざけ、あれの様子をチラチラ見ていたからスフィアがあれが来る方向にを指差すまで鳥が空に飛び立っているなんて気付かなかった。もしかしたらスフィアは森の中で育った影響で森の中の異変に気付きやすいのかもしれない。
なぜかあれの後を追って冒険者も来ている。そもそもあれをなんて呼べばいいのか正直わからない。口が長いから見た目で言えばいいのかな。
「何か来ているみたいだね。その後ろに冒険者が追いかけてるね」
「何かって何なのよ。スフィアちゃんが指した先に何があるのよ?あんた命狙われたばかりなのに何もなかったことのようにしているのよ」
「まぁまぁ、ジュン落ち着いて。命を狙われたタカシが何も思っていないのはその程度だからじゃないかな?私達はあんな所から逃げてきたじゃんさぁ。あんな場所にいたからいくつもの死んで当然な実験をこなしていたタカシは命を狙われた程度で動じなくなったんじゃないかな?」
まだ矢がどこからか飛んでくると思い込んでいるジュンが騒ぐ中で、ジュンを落ち着かせようとアズサが研究所時代のことを持ち出してジュンに納得させようとしている。
俺はアズサの言う通り自分が死んでしまっても構わないと思っている。この考えは研究所時代からついたのかそれとも記憶改竄ですり付けられたのか自分でもわからない。俺が死んでもいいと思っているより矢が飛んできた程度だからこれで死ぬことはないだろう。
生物には生存本能がある。たぶん普通は死ぬことを恐れる本能だと思うが俺の場合は死の要因となる凶器が肌を抉り、身体の中にねじ込まれた瞬間無意識で念力を使い凶器を身体の外に排出する動きが実感したことがある。
研究所時代、目隠した状態でどこから飛んでくるかわからない拳銃の弾を止められるかと言った何を目的にしているのかなわからない実験させられた時、目隠して状態では弾丸を止められることはできなかった。ただ弾丸が俺の中に捩じ込まれた瞬間、俺は痛みを感じ気付けばいつの間にか念力を使い弾丸を止めていた。
手足のように念力を使うことができるがさすがに俺の頭で何も見えない状態の上どこから飛んでくる弾丸を止める芸当はできない。しかも、痛みを感じた瞬間に念力を使うこともできない。俺の思考速度では肌に弾丸が触れられたら止めることができない。
キャァァァーー。
甲高い声をあげながらあれが俺達の姿を表した。その後ろに人影らしい物が見えるのは冒険者だろう。
あれの正体は蜥蜴なのかヤモリなのか、はたまたドラゴンか。呼び方がわからないけど俺が見てきた中で一番体長がでかい魔物だ。
「おお、大きいね。ドラゴンかな?でも羽がないからただの大きい蜥蜴?」
「ちょっ、何なのよ。あれ大きすぎよ。アズサ観察してないでミリちゃん達を馬車に乗せなさいよ。タカシ早く馬車を出しなさい」
アズサがあれを見上げるのを尻目にジュンとユンが必死に先ほど駆け寄って来たミリ達を必死に馬車に乗せている。
キャァァァーーーー。
あれは俺達を見て喜びの雄叫びをあげ、尻尾を振り上げてが尻尾は俺達に届くことはなかった。俺が念力で尻尾を弾いたからだ。
「タカシさん!」
「大丈夫、心配しないで。これくらいの魔物なんてすぐに倒せるからミリ達はそこで見てて」
ミリが青くした顔を見て心配させまいと笑いかけて馬車から飛び降りてあれを凝視する。
旨そうなエサを前にして先に食べる個体を選んでいるかのように舌なめずりをする。あれから見てタカシ達、人の子供は凄く旨そうなおやつに見えるのだろう。人数は7人で自身の飢えを満たすのに十分で弱々しく見えたから迷いなく尻尾を振り上げたが何かに当たった感触をしたが狙った場所に当たることはなかった。
あれはたまたま固い何かに偶然当たったのと判断して地面スレスレの高さで尻尾で凪払う。
「無駄なことをして馬車に届くと思っているの?」
人が移動手段で使う馬車を破壊するために尻尾を走らせた。馬車に乗せているジュンとユンが死を覚悟し、アズサとスフィアとアルムがスポーツ観戦しているかのように俺の雄姿を楽しげに見ていた。ただミリは目に涙を浮かべ心配そうにタカシの背中を見つめていた。自身に危険が迫りくるよりタカシの想い、一緒にこの場所から逃げてほしいと願った。
タカシは丸腰であれを見上げている。尻尾が横から迫りくるのをわかっていて涼しい表情をしていた。
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タカシ達より先に森の中に入っていた冒険者は最近、森ので出没するグラウンドドラゴンの調査をしていた。
グラウンドドラゴンは名前にドラゴンとは付いているが体の大きい蜥蜴である。本物のドラゴンは千年より長い時間を生きて言葉や魔法を操り、空を飛び回る存在とこの世界では常識であり誰でも知っている。
ただこのグラウンドドラゴンという蜥蜴はドラゴンの名を持つ理由は口から灼熱の息や凍土の息を出すことからドラゴンと呼ばれている似非ドラゴンである。
通常のドラゴンは似非ドラゴンと一括りにすると不快に感じ怒り出すと言われているが、一般的な人間とっては両方とも脅威的で尻尾を軽く凪払うだけで大怪我をおってしまう。
言葉や魔法が使えない蜥蜴の調査を請け負った冒険者五名は王都で有名なパーティーである【白き大剣】は死を覚悟して森の奥へ足を踏み入れた。
最初はグラウンドドラゴンの痕跡を肝を冷やした五名。大型の魔物を狩った経験のあるプロの冒険者でもドラゴンと名を付く魔物の痕跡を見ただけで悪夢を見ているのかと思うほど脅威な存在で倒したのなら英雄として祭りあげられるような魔物だ。
【白き大剣】の依頼内容はグラウンドドラゴンと思われる魔物の調査と行動範囲の確認といった内容だった。
調査をしている内に行動範囲は森の最深部を中心がテリトリーだとわかった。森の入り口部分を主に狩り場をしているルーキーや薬草を採取に来る孤児が襲われることはないだろうと【白き大剣】一同安心した。
後はそこら辺に落ちている鱗を持ち帰るだけで今回の仕事は終わる。後は自分達が持ち帰った情報でギルドと王国で話し合って魔物を討伐する作戦を話し合い、傭兵や冒険者と少ない人数の王国騎士で討伐作戦になるはず。
なるはずだった。自分達の前にグラウンドドラゴンが姿を表した。自分達の死を覚悟して剣を構えたがグラウンドドラゴンは【白き大剣】を無視して森の入り口方面に走り出した。
走り出した先には先ほどから魔法を騒がしく放つルーキーと思われる冒険者がいた。最近森の様子がおかしいことから森に近づくルーキーおろかベテランの冒険者すらいないはずなのに森がおかしい噂を知らない王都に来たばかりの田舎者かバカを呪った。
バカをグラウンドドラゴンが食らった後は目に見えている。森の入り口を抜けると王都と近くの都市を繋ぐ街道が見える。
グラウンドドラゴンが街道を通る商人の馬車を襲い、その次に王都に矛先が向けられるのは不味いと思って、ギルドへ現状を報告するために仲間を一人王都に向かわせた。残りのメンバーはグラウンドドラゴンの後を追った。そしてグラウンドドラゴンに追いついたメンバーは絶望な状況を目の当たりにする。
グラウンドドラゴンが馬車に乗った子供達を襲っていた。しかし、様子がおかしい。グラウンドドラゴンの尻尾が振り下ろされたが受け流された挙動で馬車の隣に土埃をたてて外した。子供達の方も二人ほどグラウンドドラゴンに怯えている様子だが他の子は落ち着いているように見える。
大の大人でもグラウンドドラゴンを前したら何もできず泣きべそかいて逃げ出すレベルの魔物だぞ。子供が落ち着いていたら、グラウンドドラゴンに自分達を食べてもらうのを待つようなものだ。
馬車に乗った一人の少年がおりたった。
最早自殺行為に等しい行動をとった少年はグラウンドドラゴンを見上げた。グラウンドドラゴンは少年の態度が気にくわなかったのか、それとも振り上げた尻尾が馬車に当たらなかったのが不気味に感じたのか。グラウンドドラゴンは力任せに尻尾で凪払った。
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あれの尻尾がタカシや馬車に届くことがなかった。それどころかあれの尻尾が体から離れていく。
空の魔剣師と異名を持つ俺は念力を使い、剣であれの尻尾を切断した。あれの尻尾は宙を舞ってあれの頭にぶつかった。
キャァァァァァァァァーーーーーー!!
あれが尻尾を失った痛みで悲鳴をあげる。あれは己の尻尾を切った相手を探すかのように辺りを見回す。
毛ほどもタカシが切ったと思っていないようだ。
切る手段を持っていない丸腰のタカシがそんなことできるはずがないと判断したようだ。
あれは賢いようで自分の尻尾を切断できる物を持った人物を探す素振りを見せるがもう遅い、今度は頭と首が離れた。
体に命令を出す頭を失ったあれの体は無意味に暴れ出した。体で痛みを感じているかのように捻れ回るがタカシがミリ達に被害がでないように念力であれの体を事切れるまで押さえ付けた。
「終わったッと。さてと魔石を回収したし王都に戻るか」
あれのお腹を捌いて魔石を取り出した。念力であれの胸の辺りを探ってたら魔石だったから見つからなかったら見つかるまであれの体をぐちゃぐちゃに探していた。そういう意味で今回は運が良かった。
獲物の横取りしちゃった感じになったが最後に倒したのは俺達だから一番高値で売れる魔石は持っていくとして残った死骸はあの冒険者が処分してくれるだろう。あんなにでかい魔物だから皮とか鱗それなりの値段で売れるだろう。
「待ってください。角ウサギがまだです」
「そうよ。依頼がまだ終わってないわ。このまま帰れば失敗になるのじゃないの?」
「スフィアちゃんそれは違いますよ。今回の依頼は4日ほど猶予がありますから失敗にはなりません。私が言いたいのはまだ時間も余裕がありますからもう少し探せば角ウサギが見つかるかもしれませんと」
「それもそうだけどさすがにこのまま探すことはできると俺も思うけどさすがに大きい魔物が暴れた森の中角ウサギを探すのは無理だよ。巣穴の奥に隠れているだろうし、このまま森に残れば面倒くさいことになりそうだから今は止めよう。角ウサギの代わりの角ウサギに似た魔物を狩れたし王都に戻ろう」
本命の角ウサギがまだ狩れてないとミリやスフィアが難色を示した。スフィアは依頼の角ウサギを狩っていないから失敗になると言うがミリが言うには猶予期間が4日ほどあるから失敗になることはないそうだ。
猶予期間なんて依頼書にそんなことかかれていたんだ。4日もあるのだから後日森来て狩ればいい。今回はミリ達の狩りの練習に来たから今回はこんなもんで良いだろう。
それとミリはまだ時間的に余裕があるから探せば角ウサギが見つかるかもしれないと。視界を飛ばせば数時間で簡単に見つかるかもしれないがあれを倒したことによってあれを追ってきた冒険者と揉め事になりそうだ。
冒険者達はグラウンドドラゴンがあっさり倒された事実に口をあんぐりして固まっている。しかも年端もいかない少年が倒した現実的にあり得ない光景で自分達には見えない、馬車の影に凄腕の冒険者、もしくは名の知れた騎士や剣士がいたのではと考えていた。
魔石も無断で持ち出したし、不味いことになりそうだよね?魔石は高値で売れるから持ち帰りたいだよね。
だからあの人達が固まっている間に森から出たいんだよね。
「そうよね。タカシは命を狙われたわけだし、森の中もおかしいから出直すのが良いわ」
「そうですね。タカシさんがもういないと言ってもタカシさんの命を狙った人達がまだ森の中にいるかもしれませんので帰った方がいいですね」
「アルムもかえるー!」
ミリ達が納得してくれた。アズサとジュンに帰る理由を説明して王都へ向けて馬車を走らせる。
ジュンはこのまま王都に帰ることを話したらめちゃくちゃ喜んでいた。あれを前にしてゾッと疲れたそうだ。
次は6/30に間に合うようにしますので次回をお楽しみください。
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