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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第四章 不老族
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ヒロ再び

 リュックサックモドキを部屋の角に置いてベッドに腰掛ける。

 屋敷の状況を確認するために視界を飛ばす。まずミリ達はこの部屋の隣の部屋に集まっている。荷物はリュックサックモドキと買い与えた武器しか持ってないから一つの部屋に置いているようだ。七つも部屋があるのに勿体ない。みんなで一緒にいると安心するのかな。

 今晩も俺が泊まる部屋で集合して寝るのかな?

 そしてアズサとジュンはどこにいるというと。


「タカシは何してるのさ?タカシの目の前に何かあるのようには見えないけど疲れちゃった?先にタカシが言っていた地図が見たいんだけど」

「そうよ。カバンを置いて一目散にベッドに座り込んでないでこの世界の地図を持っているなら見せなさいよ」

「わかったよ。ほら、壊さないでね」

「これってタブレット?」

「そういえば奪ったって言っていたわね。でもこんなものここで使えるの?」


 念力でリュックサックモドキから取り出したタブレットをアズサ達に渡した。

 アズサはタブレットを見て驚きを見せるのとジュンは俺がこの世界にタブレットを持ち込んだのを知っているからさほど驚きはしなかったが異世界でも機能が使えるか怪しんでいる。


「十分使えるさ。ここに来てからもそれのお陰で道に迷ったことはないし、いろいろと使えるんだ」


 例えば、ゲームで遊んだり、写真を撮ったりと便利だ。それにまだまだ俺が知らない機能や使い道があるかもしれない。

 便利すぎて手放せない装備品な上に充電知らずで今までの旅で傷一つついてない。不思議な物だ。


「マップのツールを開いてみて」

「これね?うわここどこなの?」

「ねぇ。ジュン貸して」

「はい、アズサ操作方法わかるの?」

「ありがとう。見ててよ。画面を縮小させてと。ふーんこの矢印が私達ってことだよね」

「じゃあここがこの街なの?」


 アズサ達はタブレットに集中している間、飛ばした視界の方に集中を戻す。ミリ達はまだ隣の部屋にいるようでこちらの部屋に来る様子はない。四人で話し合っている(ユンは喋れないから頷いているだけ)みたいで今はそのままにしとこう。

 話している内容は壁一枚挟んでも俺の耳には普通に聞こえるし、何かあればすぐに対象できることもない。

 ミリ達は久々に会った不老族仲間と言うことで気を使っていてメイドさんが呼びに来るまで隣の部屋にいるようだ。


 次にソイドさんはまだ書斎にいてメイドさんや執事行が運んできている山積みの書類に目を通している。

 出掛けていた分の仕事が溜まっていたみたいでそれを消化作業に没頭している。

 ソイドさんの娘さんはベッドの上で横になっていた。病み上がりということで安静にしているが自分の病気を治してくれた人に会いたいと部屋にいたメイドさんに説得している。

 その説得はうまくいっていないようでせっかく病気が治ったばかりだから安静にしているようにと逆に説得させられていた。


 他に屋敷の中を見て回るとメイドさんや執事が掃除をしていたり、料理人が今晩の料理の準備していたりと特に気になることがなかった。

 屋敷の中を探索をしていたが屋敷の中は異常が見られない。ソイドさんが処理している書類が気になるが俺はこの世界の文字を読むことができないから視界を止めた。

 やることが無くなった俺はタブレットをいじってるアズサ達に話しかけた。


「地図はどう?」

「何よ。タカシ。ボケーとしているのは終わったの」

「あれは俺の能力の一つで何でも見ることができるんだけどちょっと気になることがあったからそれを見てただけだよ」

「ふーん。でもなんで地球じゃないのにタブレットに異世界の地図が入っているわけ?」


 そんなの俺が知っているわけない。研究所の人から奪った物だからこの世界の地図が入っている理由なんてわかる訳じゃないが、もしかしたら研究所の人達もこっちの世界に来たことがあるのかもしれない。

 でもヒロは研究所の人はいないって言っていた。ヒロの言葉がどこまで信用できるか俺には判断できない。研究所の人達は別世界があるとか異世界に行ける被験者がいるとかは聞いたことがないからおそらくはいない。


 いないことを俺の中で願っているからそう信じているのかなる


「これって研究所から逃げる際に警備の人から奪った物なんでしょ?だったら研究所の人がこっちの世界の研究していたからタブレットに地図が入っている理由がしっくり来ない?」

「でもこっちに来てから研究所のマークや白衣が着た人なんて見たことないわよ?」

「ジュンは知らないと思うけどこっちの世界には俺達被験者を保護している団体があるんだ。俺は何人かと会ったんだけど俺達が言う研究所の人はいないってさ」

「それ本当なの?」

「それって誰のことを言っているの?」

「ジュンにはまだ話してなかったな。アズサには前に話したことがあるが不老族の遺跡って呼ばれている場所で襲われた被験者三人組の仲間にヒロって言うやつが言っていたんだ。こちらの世界には研究所の組織はいないって。それが本当なのかはわからない。俺を無理に連れて行こうとした奴らだから信じていないが

 それが本当なら嬉しい話だな」


 似たようなことを何回も言ったことがあるがヒロが所属する組織はどう言うものなのかは知らない。でもヒロは組織の命令を無視して俺を自由にさせているのも事実。アイツがどういうヤツなのか不明な点が多いがヒロの仲間が言っていた被験者が地球でもこの世界でも異常で害があるのは理解できるんだけどヒロはヒロで何を考えているのかわからない。

 今は距離を置いている状態だ。


「タカシが会った被験者ってどういう人達だったの?」

「ん?一人はサイボーグの女で俺を何してでも連れて行こうとしてたな。何とか逃げられたけどそれと長い黒髪に顔を隠した気味の悪い女と髪の毛から爪先までの全身が宝石でできた男の三人が俺を襲った三人組だ」

「ヒロって人はどういう人だったのさ?」

「なんか怪しいヤツだったよ。例えるなら空気のヤロウに狂った部分を引いて怪しさを追加した感じのヤツだよ。どんな能力かは知らないけど」

「僕とクーを追いかけてきた人達とは違うみたいだね」


 そういえば、アズサは空気のヤロウと行動しているときにヒロの仲間らしき人物に追いかけられていたって言っていたな。


「アズサも会ったことがあるの?」

「一応僕もだけどタカシと出会う前に一緒に行動していたクーって子にいきなり攻撃してきたんだ。クーは襲ってきた被験者の攻撃を軽く避けていたけど僕はそのせいでチラッとしかその被験者が見えなかったよ」

「なんでチラッとしか見てないのよ?そいつから逃げたんでしょ?」


 ジュンが疑問に思ったことを言う。


「だってクーたら襲われると同時に空中に黒い穴を作って僕を押し込むんだもん。それが本の一瞬の出来事だから見えなかったのさ」

「アズサが言う空気のヤロウはどうやら自由に空間を操れる能力を持っているみたいなんだ。その力を使って自由に地球とこっちの世界に行き来しているらしい」


 補足として空気のヤロウについて説明する。今言ったことは全てアズサから聞いたことなのだが。


「何よ。そいつ。能力に目覚めてからすぐに研究所から逃げたして自由に出歩いていたって言うの?」

「それは本人に聞かないとわからない。あのヤロウ相当行かれているし、研究所の組織について少しだけ詳しかったからそうとは限らない」

「へー珍しいタカシがクーの肩を持つなんて」


 俺がアイツの肩を持つ?何をおかしなことを言っているんだ。ただでさえアイツのことなんて考えたくないが今は話題に出ていたから俺なりの考えを話したに過ぎない。


「それはない。あのヤロウのイカれかたは研究所で培われた物だ。前に似た壊れ方のヤツを知っているから言っているだけであって俺はアイツの肩を持っているとは思ってない」

「どうだかね」


 アズサがニヤニヤした表情で俺を見る。

 あんなイカれヤロウとは一生関わりたくない。よし、次会ったら絶対ぶん殴ってやろう。


「タカシやアズサは襲われたのになんで私の場合は誰も来ないのかしら?」

「さあ、大人しくしていたからじゃないのか?俺はいろいろ目立つことをしでかしたし、アズサは元々目をつけられていた空気のヤロウと一緒にいたわけだからそれで接触してきたと思う。それに比べてジュンはこっちに来てから目立つようなことは何もしてないだろ?」

「それはそうだけど」


 ジュンが何か言いたそうにしている。自分だけヒロ達の組織に接触してないことに自分だけ仲間外れ的な気分なのか?

 相手は国という組織で動いているみたいな話しをしていたが、組織が大きかろうが小さかろうがこちらに来たばかりの被験者を保護を目的に活動しているなら俺はミリ達が平和に暮らせられるその時までヒロ達被験者保護活動組織から逃げてやる。


「逃亡ライフを楽しんでるかな?」

「「誰?」」


 噂をすればなんとやら。俺達の前にヒロが現れた。

 初対面のアズサとジュンはいきなり現れたヒロに向かって警戒した様子だ。


「ヒロか。今度はなんだ?」

「この子が今言っていたヒロって言う人なの?」

「そうなの?この子がタカシを襲った被験者なの?そうには見えないけど」


 襲ったのはサイボーグ少女達の方でヒロは三人組の仲間だけどまだ襲ってはいない。逆に助言をくれたり、俺を現在進行形で見逃しているみたい今のところは無害な男だ。


「えっ?なんの話をしていたのかな?もしかして部下のガーナ達の話をしていたのかな?それに初めて見る被験者の二人だね。初めましてヒロっていうんだ」


 ヒロはおどけた感じで自己紹介を始めた。相変わらず怪しさ満点の男だ。


「で?用事は?」

「タカシ冷たいじゃないか。前に僕のお気に入りのジュースをブレゼントした上にガーナ達を説得して見逃してあげたのは誰のお陰かな?…冗談さておき、来たのはただの様子見の経過観察だけに来たのに行方不明だった被験者二名も一緒だなんて驚きだよ」


 俺の様子を見に来ただけではない。何か裏があるはずだ。

 こんななあなあな態度でふざけているいようなヤツが被験者の保護をいているのは怪しい裏で何か目的があるに違いない。


「タカシが言ほど危ないヤツには見えないけど?本当に悪いヤツなの?」

「ああ、昔こういう性格の研究者がいてな、最初はいい方の研究者だと思ってその研究者の指示に従っていたがある日別の研究者と知らない被験者と一緒に部屋にやってきたんだ。そいつが被験者をナイフで刺したと思ったら俺に被験者の血を飲ませやがったんだ」


 この記憶ももしかしたら記憶弄られたときに植え付けられた記憶かもしれないが、脳の奥底からこういうヤツは信じてはならないという気持ちが沸いてくる。

 本能として嫌悪感がある。


「だから俺はコイツやその仲間が信じることができない。アズサやジュンがそいつについていくなら俺は止めない」


 ミリ達が平和に暮らせることができたら行くかもしれないが今はヒロに見逃してもらっているような形だ。

 例え最後には行く可能性があるとしてもヒロ達の元へ行かない意思表示としてヒロ達とっての敵対的な態度をとっている。


「僕はまだタカシと一緒にいようかな?正体不明な組織に身柄を預ける怖いからタカシ達と世界を見て回っている方が楽しそうだし」

「私もアズサと同じ意見だわ。コイツについていったら研究所と同じ場所でしたじゃ笑えないわ。それに来たばかりの世界を見て回ってみたいの。例え追われることになっても」


 アズサとジュンはヒロ達が所属する組織がどのような組織なのかわからない以上ついていったら危険と判断したようだ。念願だった外の世界を見て回りたい気持ちがあるようでいろいろ自らの目で自由に出歩きたいみたいだ。

 元々、俺達は研究所から処分されることや追われることを想定、覚悟して研究所から脱獄してきたんだ。一応追われていることとヒロという組織の一員の中で見逃している者がいることを知ってそう簡単に自由を手放すことは勿体なく感じてしまう。


「タカシが研究者達に血を飲ませられたんだ。ふーんいいこと聞いちゃった。タカシがまさか噂の被験者だったなんてね。面白くなりそうだ」


 ヒロはヒロで気持ち悪い表示で何かを納得している。

 俺は何か言ったのか?


「じゃあ、僕はもう帰ろうかな?楽しくなりそうなこと聞けたし。タカシ次も来るからその時はよろしくね。それとこれ前と同じお土産。バイバーイ」


 ヒロは前と同じジュースを7本置いて消えていった。最後に意味深なことを言い残して。


「なんだったの?アイツ」

「それより何か置いてったよ?何かな?」

「それはジュースだよ。アイツがはまってるんだってよ」


 アイツが置いていったジュースを冷やす為にボール状の器と氷を生成して、器に氷を入れる。そこにジュース刺しておく。

 あとでみんなで飲めるように。


 ヒロがいなくなったのならいいだろう。空気のヤロウとは別のベクトルで何を考えているのかわからないヤツだが自由にさせてもらっている間はできるだけ関わらないようにしよう。

 アイツから関わってくるのは別として、その内また来そうだし。

次の投稿は3/15に更新します。


自分の都合により2月の後半は休ませていただきます。

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