王都までの道のり2
「お前達はフローレイティ卿の者達だったんだな」
「言っていることはわからないですがルルーンの街の貴族様を助けたお礼にいただいた物です」
貴族は何について言っているのか理解できなかった。
俺は門番にアシュティアのお父さんからもらったペンダントを見せただけだ。門番達とさらに後から来た文官の人に俺とアズサ達の不老族組の腕に付いているバーコードの腕輪を見せたら納得してもらった。
文官は貴族と顔見知りだったようで俺を含めた不老族組とミリ達普通の女の子組は何も言われずにすんなりと通してもらえた。
やはり貴族が言っていることがわからない。このペンダントはアシュティアのお父さんが俺達の身元を保証する物だと言っていたが、アシュティアのお父さんと知り合いなのかもしれない。
そしてあの文官が最初からいたらペンダントとバーコードの腕輪を見せなくても良かったのではと思ったが、文官の方も小声で「休みなのに」と愚痴っていた。それを聞いたら申し訳ない気持ちになった。
街の中へ入ったら一緒にいたはずの冒険者の人達が待っていた。
なんでかなと聞いたところ、俺達が入った門は貴族や貴族の従者用だったらしく、列を作っていた門は一般人用の門で冒険者達だけそっちの門から街に入ったそうだ。
一般人用があるなら早く教えて欲しかった。
とりあえず街に入ったがいいものの、どこに向かえばいいのか?
貴族に聞いて見よう。
「どこに向かえばいいですか?」
「うむ、アネン男爵の屋敷で頼む。我輩が来たことは門番が知らせに言っているはずだ」
「わかりました。初めての街なので道案内お願いします。それとそこに送ったら俺達は宿を取るために自由行動を取りますね?」
「わかった。許可しよう」
日が沈み始め街がオレンジの光が包まれる中、俺は貴族の道案内で馬車をゆっくり進めた。進む街道は馬車を物珍しげな目で見られながら、歩く騎士達に合わせている。
「タカシ!あれは何?」
「あれは何の建物何なの?」
「俺も初めて来たんだ。わかるわけないだろ。運転の邪魔をするな」
「ただ聞いただけじゃない」
「まあまあま、二人ともミリちゃん達みたいに楽しく観光しようよ」
ジュンとアズサは初めて街に入ったようで街中を眺めながら呑気にあれは何だと俺に聞いてくる。当然俺はこの街に初めて来たから全部わからないと返している。
ミリ達もジュンとアズサが指す物に反応して見ているがルルーンの街と差ほど変わらないから過ぎていく街並みを黙って眺めている。
明日は多分王都へ出発するからノンビリ観光していられないよ。
早く貴族を置いて宿を探さないと店がしまっちゃう。7人で泊まれる宿あるかな?
「タカシ。止まれここがアネン男爵家の屋敷だ」
「ここですか?」
アシュティアの家に比べ一回り小さい屋敷の前に馬車を止めた。
屋敷の前にはアシュティアのお父さんと同じ服装の男と執事が出迎えていた。アシュティアのお父さんと同じ服装をした男がアネン男爵なのだろう。
あの服装こそがこの国の貴族の服装なのだろう。小綺麗で上品な生地をふんだんに使っているようだ。
「アネン男爵、出迎えご苦労」
「ヘッグナ子爵。盗賊に襲われたという話しは本当のようで」
「不運なことに賊共に襲われたが命は助かった。そして微運にも配下の騎士達は誰も欠けることはなかったがな」
「お疲れでしょう。ささ、中へ」
「ウム、世話になる。タカシまた明日に」
「はい」
貴族と別れた。貴族は執事に催促されて屋敷の中へ入っていた。
「明日の朝まで自由時間ができた分けたが先に宿を探すか、食堂に向かうかどうする?」
「そうね。食堂がある宿がいいわ」
「一番なのはホテルがあるといいんだけどさぁ」
「いいわね。ここにホテルがあるのかは謎なんだけどね」
「ミリちゃん達の意見も聞いてみたいなぁ」
みんなにこの後どうするのか聞いてみた。ジュンは食堂のある宿と言う。アズサはホテルを提案するがここにそんな物が存在するはずがない。ヒロ達が所属する国に行けばあるかも知れないがホテルなんて街並みを見る限りなそうだ。
「ミリ達はどこがいい?」
「私はタカシさんが選んだ宿ならどこでもいいですよ」
「アルムはごはんがおいしいところがいい」
「アズサちゃんやジュンちゃんはなんて言っているの?まずは話が聞きたいわ」
「食堂がある宿がいいってさ。街の中を探せば見つかるかも知れないが7人で止まれる部屋があるかは知らないが」
「大きな宿に行きましょうよ。そしたら全員で止まれる宿がきっとあるはずです」
「全員が無理ならそれか3:4で別れて泊まるかだな」
「あなたはどうですか?」
ミリが黙って俺達のやり取りを見ていたジュンに似ている女の子に意見を聞いたがその答えるを言わず、自分に意見を求められ自分にみんなの注目が集まってソワソワしている。
「あなたって喋れないの?」
女の子にスフィアが聞くと女の子はコクコクと頷く。
「泊まる宿は私達が決めるけどいい?」
女の子はコクコクと頷く。
それでいいようだ。
あとミリは俺が決めた宿でいいと言う。アルムはゴハンが美味しければどこでもいいようでスフィアにアズサ達の提案した内容を伝えた。
ホテルの話しは説明がめんどいから省いた。
アズサとジュンにミリ達が話した内容を伝えた。
通訳も大変だ。
「それと馬小屋があるところも忘れずに」
「それはなんで?」
「はい、馬小屋はほとんどの宿にはあるものですが、馬小屋がないと宿の裏に置くことになりますよ。それだと盗まれる危険が出てきますので馬小屋がある宿も視野に入れといてください」
なるほど、前は宿屋の少年ジョズに聞いて馬屋に馬車を置いたが、馬小屋が無いと盗まれる可能性が出てくるのか。ぼろい方の馬車を盗まれても困らないが荷物を積んでいる方のはルルーンの街で買った物で盗まれたくはないが、宿泊代が高い宿ならあるだろう。
それなりの宿に泊まりたいからな。
「ここで話し合っても仕方ないじゃない。もうすぐ夜なんだから早く探してゆっくりしましょう」
「僕は馴れない馬車に乗ったからお尻が痛いよ。ごはんがおいしい宿ならどこでもいいから早く決めて欲しいな」
「とりあえず探すか」
ということで宿屋探しが始まった。
屋敷前から人々が行き交う商業地区へ馬車を進めた。
そこになら宿もいくつかあるだろうと踏んで俺達は人が騒ぎたてる街並みを見ながら宿を探した。
途中露店街に行き着き肉串を買い腹を満たしたり、人数が増えたから食料を追加で買ったりしていた。
「結構、買ったわね。来たばかりなのにどこで大金を稼いだの?それとも盗んだの?」
「人聞きの悪いこと言うなよ。この金は俺がちゃんと稼いだ物だ。決して盗んだ訳ではない」
「あの子達を助けた謝礼金って訳かな?」
リュックサックモドキから取り出した大金でいろいろ買うものだからジュンは疑問に思ったようだ。
ジュンには俺が稼いだ物と説明したが、ほとんどの金はアシュティア達助けたお礼だ。
そしてアズサは俺がアシュティア達を助けたことを知っているのかそんなことを言った。
「タカシ、あそこがいいんじゃない?」
「どれだ?」
「ほらあそこの宿」
「北風の宿って書いてある宿ですか?」
「そう、大きくて私達全員で泊まれる部屋がありそうじゃない?あなたもあそこでいいわよね」
スフィアが指した建物は言うように大きくて人々が出入りしていた。ジュン似の女の子はスフィアに肯定するかのように首を縦に振った。
中には馬車に乗った男が従業員と思われる少年と共に隣の小屋に入っていく。
あの小屋が馬小屋なのだろう。
あそこに馬車二代を置いて中に入ろう。
「あそこにするか」
「えっ?あのお店にするの?」
「大きいね。いいんじゃないかな。それなりにお金かかりそうだけど」
アズサとジュンに北風の宿に泊まることを伝えて馬小屋から出てきた従業員と思われる少年に声をかけて馬車を馬屋に置いて俺達は店内に入った。
「らしゃいっ!北風の宿へようこそ、って子供ばかりじゃないか。冷やかしなら帰って欲しいな」
「冷やかしじゃない。俺達はきちんとした客ですから」
また、入ったとたん厳ついおっさんの店主に子供って言われた。
俺達を子供って言われるのを何回も言われて馴れてきたからそこについては何も言わない。そう見えるからしょうがない。
ちゃんと客として扱ってもらえれば文句はないが元々こういう性格していようが相手が子供で冷やかしに見えるとしても店員としての態度があると思うんだ。
ちょっとイラッとしたがこういうときは身分を証明できる物を見せればいいんだ。
身分を証明する物と言えば、アシュティアのお父さんからもらったペンダント以外にルルーンの街で作ってもらった冒険者の証を門番に見せるの忘れていた。
「身分を証明する物を持ってるんだけど」
店主にペンダントと木製の冒険者の証を見せた。
「若い小人族の冒険者か?それにこのペンダントはなんだ?種族を示す物なのか?冷やかしじゃないならいい。どのくらい泊まっていくんだ?」
「7人で一晩泊まる予定で食事は済ませているからいらない」
「それなら銀貨5枚だ」
「銀貨5枚。500ニヤドか」
おや、前止まった宿は金貨一枚1000ニヤドだった。それの半分の金額じゃないか。いや前に泊まった宿はこことグレードが少し上ぐらいだと思うが食事付きだった。それと街によって金額が変わるのだろう。
「鍵だ。部屋は階段を上がってすぐの左の扉が大部屋だ」
渡された鍵を手にすぐに部屋に向かう。
「ちょっとタカシと一緒の部屋なの?」
「嫌だった?」
「嫌じゃないけど普通男女別じゃないの?アズサもそう思うでしょ?」
「えっ?僕は一緒の部屋でも気にしないよ。タカシと一緒の方が安心じゃないの?僕達こっちの言葉がさっぱりだし、何かあるったら困るじゃん」
「確かにアズサ何かあると困るわね」
ジュンは俺と同じ部家で泊まるのに疑問を思ったようでアズサに聞いてみたら自分と比べて気にしていなかったからか俺と同じ部家に泊まることを受け入れてくれたようだ。
二人に始めに同じ部家で泊まると伝えれば良かった。
「タカシ何かしたら許さないからね」
「別に何もしないよ」
「タカシさんどうしました?何か問題でもありましたか?ジュンさんが怒っているようですが?」
「ううん。大丈夫だよ」
ミリに聞かれたのでジュンとのやり取りを軽く説明した。
「どうしてジュンさんはタカシさんと一緒に泊まるのを嫌がったのですか?」
「別に嫌がってはいないだろうけど一種の照れ隠しのような物と言うのかな。ここら辺はちょっと難しいからうまく説明できないな」
「はいそこ!私の心境の説明をしなくていい。小さい子にいらない知識を与えるな!」
ジュンに怒られてしまった。
ミリとジュンは同じ背丈で同じ歳に見えるから二人とも小さい子なんだけどなと言う言葉を飲み込んだ。
俺って偉くね?
部屋に入って部屋の中を見回した。大部屋と聞いていたがそれほど大きい部家ではなく、ベッドが左右に三つづつ並んで少し荷物を置けるスペースがあるだけの部家だった。
どおりで安いわけだ。
騙された、とは思わない。ここら辺でのこのくらいの部屋の金額が500ニヤド(食事抜き)が普通なのかもしれないし、宿と言うものは食事と睡眠が取れればいいとの認識で快適さを求めるなら高級の宿に行けなのかも。
とりあえずミリ達は騎士と冒険者の治療と旅の疲れでくたくたになっているはずだから早めに寝かせよう。
「村のベッドに比べてなしね。私はもう寝るわよ」
「僕も馬車での移動でかなり疲れたから寝るね」
アズサとジュンがよほど馬車での移動が疲れたのか俺達と合う前のことで疲れたのか早々とベッドに横たわり眠りについた。
「私達も寝ましょうか?」
「そうだね。今日はいろいろとあったし、明日にはこの街から出発しなくちゃいけないから早めに寝よう」
「わかったわ」
「アルムもねるー」
『パス悪いがまた馬車の見張り頼めるか?』
『はい、大丈夫です。それとマスター達見張っている者がいますがいかがしましょう?』
『俺達を見張っている?』
『はい、貴族を送った屋敷からずっと見られてます』
アズサ達を見習ってミリ達も眠りについたのを確認して馬車の見張りを忘れずにパスに頼んでおく。
パスからの報告で貴族を送ってから見張られていたようだ。
『ちょっと見に行ってくる』
視界を飛ばした。
外はまだ仕事終わりの者や依頼から帰ってきた冒険者が歩いている。その中で怪しい奴を見つけるのは難しかった。
物陰にいる奴は物乞いや貧乏人ばかりでパスが言う俺達を見張っている者を見つけられなかった。
真夜中になれば動きを見せるだろう。
『まぁいい。馬車を盗む奴とか無理に部屋に入ろうとする奴がいたら軽く撃退してくれ、あまりにもしつこかったり、対処ができない場合は起こしてくれ』
『わかりました』
俺は空いているベッドに入り込ったが、パスに頼んだもののストーカー野郎のことが気になって眠れない。
外はまだ日が暮れたばかりで人がいるから今はストーカー野郎の動きが見せない。
「スフィアおねえちゃん、おきて」
「ん、どうしたのアルムちゃん?」
俺がベッドに入ってから一時間後にアルムがスフィアを起こした。
「おこしてごめん。スフィアおねえちゃんにおねがいがあるの」
「お願い?」
「うん。アルムにちゆのまほうをおしえてほしいの」
ほう、アルムが治癒の魔法を教わりたくてスフィアを起こしたようだ。みんなが寝静まった頃に言うことではないと思うのだが、アルムもみんなに知られては恥ずかしいと思うのかもな。
「聞くけどどうして教えて欲しいの?」
「アルムね。きょう、ぼうけんしゃのひとのけがをスフィアおねえちゃんがなおしているところをみておもったの。アルムなにもできない、なんのやくにもたっていないって。だからスフィアおねえちゃんにひのまほうをおしえてもらったときのようにおしえてほしいの」
今日の一件でアルムも思うところがあったのか。
自分は見ているだけでミリとスフィアは治癒の魔法で冒険者の傷を癒していた。アルムはただ見ていただけではないが、冒険者の傷に薬を塗ったりしていたから役にたっていないとはない。
「アルムちゃんの気持ちはなかったわ。でも今無理。タカシ達を起こしてしまうから、今度機会があれば教えてあげるわ。だから寝なさい」
「わかった。スフィアおねえちゃんやくそくだよ」
アルムはスフィアに「ぜったいにおしえてね」と約束して先ほど入っていたベッドに入った。
アルムが寝たのを確認したら、ジュンに似ている女の子と目があった。
また存在を忘れていた。六つあるベッドうち五つから寝息が聞こえるからその子にベッドを譲ろうと小声で伝えたがその子は顔を横に振る。あたかも「気にしないでと言うように」。
「わかった。一緒に寝よう」
自己主張が乏しいこの子を無理に念力で引き寄せて俺の隣に寝かせた。
スフィアとアルムのやり取りを聞いていた俺は気持ちが和んでストーカー野郎のこは忘れ、ジュンにの女の子と一緒になって眠った。
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「本当なのか?あそこの宿に入っていった子供が不老族がいるって」
「それを俺に聞くなよ。男爵様の話だと王都のソイド様を魔法ではない不思議な力で助けたらしいから本当かどうかの確認の為に俺達が見てこいって言われたんだろうが」
怪しげな男二人が道の物陰から北風の宿を見てこそこそしているが街道にいる宿や食堂から出てきた人々は気づかない。
「でも今のところそれらしい動きがないぞ。ソイド様は騙されたんじゃないのか」
「だからな。まぁいい。あの中に男の子がいただろう?」
「いたがそれがどうした?」
「そいつが貴族の紋章を持っていたって話しだよ。それを含めて調査だ。取り込めるなら取り込めろのお察しさ」
「相変わらず無茶な注文だ」




