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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第四章 不老族
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盗賊のアジト

 俺達は青年から詳しい話を聞いた。


「なるほど。王都への帰り道の途中たまたまここの岩場を抜けようとしたところで盗賊に襲われたのですね?」

「そうだ。冒険者連中は盗賊の噂を知っていたようで迂回するようにソイド様に頼んでいたがソイド様は冒険者の忠告を無視してこの道に進んだのだ」


 盗賊が出るって噂の岩場を通った経緯はわかった。

 ちなみに青年が言うソイド様は貴族で地方での仕事を終わらせて王都へ帰る途中だったらしい。

 その貴族の一存で冒険者の忠告を押し通した。


「なんできしのひとたちはいやだっていわないの?」

「我ら騎士は主の命令に従い御守りするのがお仕事なんだ。お嬢ちゃん。腕利きの冒険者を雇ったから並みの盗賊には負けないと踏んでいたんだがな。それに不老族を雇ってふぬけてたのかもしれない。盗賊風情に後れを取られるとは」

「不老族!不老族も一緒にいたの!」


 不老族の言葉に食いついたスフィアだ。

 アズサの能力を見た彼女は少し興奮しているが火に油を注ぐ如く、さらに不老族と会えることに興奮が爆上がりだ。

 ミリも不老族と会えるかもしれないことに嬉しそうにしている。1泊泊まった村で俺の知り合いに会えなかったことでがっかりしていたからその分嬉しいのだろう。


 そして悔しそうにするなら腕利きの冒険者の忠告は従おうよ。


「あぁ、ソイド様が言うには村にいたから雇ったと言っていたな。あの娘が君達と同じ腕輪をしていたけど何一つしゃべらなかったな。後村に出るとき村人の視線が気になった」


 青年が漏らす。

 村にいた不老族か。もしかして。


「その村って、あっち方向にある村のこと?」

「そうそう。半日行った先にある村にいたらしいんだ。俺は旅の疲れで宿で寝ていたからわからなかったが、ソイド様が連れて来たんだ」


 村にいた不老族と。

 村長が言っていた貴族がそのソイドという貴族か。そいつが連れて行ったのか。


「で?その貴族様と不老族は」

「盗賊共に連れ去られてしまった。おのれ盗賊共め」


 そして貴族の次はその貴族と一緒に盗賊に連れていかれたのか。何回も連れ去られていくな。

 それは際なんだな。アイツにとってもその貴族にとっても。

 なおかつ言葉が通じない相手に二回も連れて行かれたんだ。心身ともに満身創痍のはずだからすぐに連れ戻しに行くか。

 もしかしたら三度目もあるかもね。二度ある事はなんとやらで。

 とりあえず視界を飛ばして盗賊達の根城を探すか。

 盗賊達は貴族と不老族を丁重に扱うだろうから今の内は大丈夫だろう。人質と商品という扱いで。

 この世界では人身売買が普通に行われているから闇ルートで売り飛ばせば不老族は高く売れるだろう。俺が読んでいたラノベにも人質を人身売買の連中に売り飛ばすシーンがよくあったから盗賊達もその考えはあるのだろう。


「タカシ、これどういう状況なの?僕は言葉がわからないから説明してよ」

「えーと、簡単に説明すると彼の上司が盗賊に誘拐されたそうだ。この辺りはよく盗賊が出ると噂がたえない場所らしくそこに倒れてる男達も迂回しようとその上司に懇願していたがそれを無視したから自業自得なんだけど、どうも被験者も連れていかれたらしいんだ」

「タカシは貴族とか不老族って言ったのは何なのさ?」

「貴族はそのまんまの意味だよ。この世界では貴族とか王族がいる国がほとんどらしい。不老族ってのが俺達被験者のこと」

「王様と貴族ね。ファンタジーな世界だこと。地球で比べると凄く遅れているってことなの?」

「科学方面で言うと遅れていると思うけどこっちの世界には魔法が発展しているから遅れているとは言えないし、世界の至るところに不老族の遺跡があるらしいく遺跡の中は現代風の施設状になっていたぞ」


 この間入った遺跡は玄関部分は古い倉庫みたいな感じだったけど隠し扉から奥に入ると快適な異空間がそこにあった。

 俺が見たことの無い物もあったがほとんど現代の家庭設備だった。


「なにそれ。あたかも入ったような口振りじゃん?」

「確かに入ってきたぞ。玄関部分は派手に荒らされていたが遺跡の中は普通に綺麗でお風呂と食堂があった。個室にはテレビもあって電気も生きていたから快適だったぞ」


 個室のテレビでいろんな物を見たがうちの子達は魔法少女物のアニメに刺さってドンハマりして今も時々そのアニメの魔法少女のポーズを真似てポーズを決めている。

 大きくなったら黒歴史にならないといいが。


「その遺跡は昔被験者が隠れる為に作ったのか、はたまた被験者達の国がこの世界の調査の為に作ったのかは俺にはわからないが旅の合間の宿代わりに使えるからこれからも泊まると思う」

「えっ?ちょっと待ってこっちの世界には被験者達の国があるの?」

「そうみたいだ。こっちに来た被験者を保護する仕事をしている男から聞いた。俺は訳あってその国から逃げているがアズサがその国に行きたいのか?」

「そうじゃない。クーと行動している時被験者に襲われたんだけど、その人達ってそこの国の人達?」

「恐らくな、俺も説得されたがやることがあったから行くことを断ったら襲われた。そいつらを何とか蹴散らして逃げ回っている最中だ」


 俺を説得しに来たサイボーグのガーナと顔を隠していたラニーニャはどうしても俺を自分達の元に置きたがっていた。被験者はこの世界にとって害悪と言っていたがあの国いたとしても状況は変わらないはずだ。

 あの国に俺達の被験者の能力を抑える、もしくは無力化する物があるのだろうか?

 害悪と言うのなら被験者を別の惑星に島流しするのか?それか自分達の法律に従って管理下に置くのかは知らないが俺は自分がやらなくてはいけない約束を果たすまではあの国には行かない。


「その人達の目的って何?」

「俺を説得しに来た人達は被験者の保護だのなんだのって言っていた。この世界は魔法文明が栄えているから外来種である俺達が我が物顔で世界を荒らさないように文化の保護と被験者の保護をかねているかもな」

「文化の保護か。突然文明レベルが上がれば戦争が起きるって昔研究者が暇潰しに語っていたしそうかもしれないね」

「そこに行きたくなったか?」

「ううん。その国が本当そうなのか今の段階は憶測だからとりあえずタカシ達に着いていくよ。その国が安全なことを確認できたら行くかもしれないけどね」

「追跡者にもその内会えると思うからそいつに聞くといいよ。アズサが行くと決めたなら止めない」


 その内ヒロやらサイボーグ少女やらが来る。アズサはそいつらから話しを聞いてゆっくり考えればいい。

 話しが本当ならいいが、嘘ならば研究所の中の生活に逆戻りになる。それは自分での選択肢で自分で決めなくちゃいけない。


「タカシさんとアズサは何を話してるのですか?」

「ん?アズサに今の現状を説明してたんだ。それと俺達が置かれている状況を含めてね」

「そうなのですか?これからどうしましょうか?貴族様を放って置くわけにもいかないと思うんですよ。でもまだ倒れている人もこのままにしておくわけにはいきませんし」

「何とかなるんじゃないか?」

「えっ?」

「ゆっくりと起きるまで待とうよ」


 待っている間盗賊の根城を探して不老族と貴族を助けて連れ戻すのでミリ達は座って冒険者や騎士達の看病に専念してもらいたい。馬車の上で昼寝していてもいい。


 視界を飛ばして数分、三人の男達が洞窟の前で隠れているのを発見した。男達は先ほどのチンピラと似たようなカッコをしていたから盗賊達の根城に近づく者がいないか見張っているようだ。

 ということは男達の後ろの洞窟が盗賊達のアジトということになる。視界は男達の間を通り抜けて洞窟に侵入する。

 洞窟の中は案外浅く、少し進むと部屋になっており複数の男達が酒を飲んで笑いあっていた。

 笑いあっていた男達を念力を使い無力化する。何人かは仲間の異変に気づいて逃げ出そうとする者が何人かいたが気づいた時点でもう遅い出口は念力で塞いで出られなくなっているから一人一人無力化に専念した。

 洞窟内の盗賊達を全員無力化したところで盗賊内を探索をして部屋の中で小さな入り口を発見し、入り口先は小部屋になっていた。

 そこに狭苦しそうにおっさんと二人の子供が宝と食糧に詰められていた。二人の子供は俺が見知った顔だった。

 めちゃくちゃ驚いたがよくよく確めてみると片方の子供にはバーコードの腕輪がしてあり、被験者だとわかった。


 驚き過ぎて変な声が出てしまってミリとスフィアに心配させてしまった。

 ここは異世界だし、そいつと似た顔の人物がいてもおかしくないよね。比べると肌色と髪の毛の色が違うから区別がつくが隣に並んでいると似すぎている。

 地球とこっちの世界では同じ人物が存在しているのではないのだろうか?こっちの世界の俺に会えるかもしれないな。


 三人を小部屋から出してそれから洞窟からも出してと、見張りの男達を無力化するのを忘れていた。

 三人が洞窟から出したら見張りの男達も三人に襲いきってきたのでそのまま洞窟へゴーしてお仲間とご一緒に無力化してスヤスヤと寝てもらった。

 小部屋から出した三人は困惑しているがお構い無く念力でこちらに引き寄せる。三人に近づく生き物は事前に片付けて三人の邪魔にならないように道の端に寄せている。

 三人がここに着いたらミッションコンプリートだ。


「なかなか起きませんね」

「じっとしてられん。叩き起こして早くソイド様をお助けせねば」


 痺れを切らした青年は騎士仲間と冒険者起こし始めた。顔をベシンベシンと叩いたりして起こしている。

 中にはなかなか起きない人もいたが起きない人は鼻と口を塞いでの工夫をして起こしていた。

 なんて手荒な起こしかただろう。


「皆起きろ!ソイド様の危機にゆっくり寝ているか!」

「なんだよ。何の騒ぎ、ん?そうだ。俺達は盗賊と戦っていたんだ」

「ふがっ。ゲッフゲッフ」

「あ!俺は盗賊共に腕を切られたんのに腕がある」

「それよりもまだ寝ているを起こせ。自分の身に起こったこと思い出すのはその後だ!」


 倒れていた騎士と冒険者はそれぞれの反応を示すが老けた騎士の一言でまだ寝ている者達を次々と起こした。


「全員起きたな。皆も覚えていると思うが我々は盗賊共に襲われた。そしてソイド様が連れ去られてしまった」

「これから盗賊共のアジトに向かうのだな。ソイド様をお助けに」


 全員起きたところで盗賊のアジトに乗り込もうと話し合っている。

 もうすでにその貴族様を助けた後で今こっちに向かっている。俺が誘導して別な方向に行かないようにしているが順調に三人はこっちに近づいているから騎士達がアジトに行く必要がない。

 俺の口から言ったところで貴族様がこっちに向かっている証拠はないから騎士達を止められないが。


「タカシも盗賊のアジトに行くの?」

「俺は行かないよ。行く必要はないからな」

「でもタカシさんも行った方がいいのではないのでしょうか」

「アルムはおにいちゃんといっしょ」

「仮に行ったとしてもアルム達は連れていけない。それからもう遅いから俺達はここで待つだけでいいと思うよ」


 盗賊達のアジトは凄く臭う。食糧の一部は腐っていたし、盗賊達の体臭も酷かった。

 そういう意味でとても女の子を連れていく場所じゃない。

 行く必要がなくなったから貴族様達がここに来るのを待つだけで済むんだけどね。


 騎士達がアジトに行く行かないはどうでもいいが場所はわかるのだろうか?


「しかし、剣や鎧は盗賊共に奪われてしまって無いぞ」

「待って、あの馬車に装備があるではないか」

「俺の相棒の形見の剣もあった。盗賊に奪われたままだったら相棒にできなかった」

「剣を持って盗賊共のアジトに乗り込むぞ」


 チンピラ達が剥ぎ取った武器を乗せた馬車を見つけた騎士達は自分の武器を手に取り盗賊達のアジトに乗り込む準備をし始めた。

 騎士達が意気込んでいるちょうどそこに自力で盗賊達のアジトから逃げたしてきたと思われる貴族様達が到着した。

 ちなみに貴族はたいした怪我はしていないが服に付いた血と息切れをしているから見た目が命かながら盗賊のアジトから逃げてきた感が半端ない。

 息切れしているのは念力で背中を押して急かしたからで貴族の後ろにいる二人もゼイゼイと息切れしている。


 急かした理由は盗賊のアジトまで行くのがめんどくさかったからだ。それに貴族を助けに行く場合騎士達はアジトの場所がわからない。俺がアジトの場所まで案内すると面倒なことになる恐れが発生するから視界を飛ばして遠隔方法で救出することにした。

 今、三人は岩場に到着したのである。


「ソイド様!」

「よくぞ御無事で。盗賊共はどこに?」

「ウム、我輩も何が起きたかわからないが何とか助かった。不老族の娘に助けられたのかもしれないが盗賊達は倒れていた」

「酔って寝ていたと言うことでしょうか?」

「知らぬ、逃げることに必死でそれどころではなかった。そういえば、見張りの者達は何かに引き寄せられるように洞窟の中へ消えていったな。この娘に助けられたのかもしれないな。屋敷に着いたら礼をしなくては」


 貴族が不老族の少女に頭を撫でた。

 少女は息切れしている中、貴族達が何を話しているのか分からず困った表情をしている。


 そして少女は俺の予想していた人物はジュンだった。

 貴族とジュンと一緒にいたもう一人の人物は女の子だ。ただジュンとそっくりな女の子がジュンの隣に不安そうに貴族と騎士のやり取りを見ていた。

 少女はジュンと顔の形や口元が似ているが髪の毛の色と肌の色が違うから見分けられる。ジュンは金髪に褐色の肌なのだが、少女は黒髪に白い肌でジュンより身長がでかく胸もある。

 胸の話しは置いといて三点ほどの違いがあり、少女にはバーコードがないから被験者ではないのが分かる。


「そっちの子供達は何者だ?」

「ソイド様、我々はこちらの子達に助けられました。五人の内二人は不老族でございます」

「なんとまた不老族か!」

「はいそうでございます。その証拠に彼らの手元には縞模様の腕輪が付いてあります。我々は運がよかったのです」


 貴族は俺とアズサが不老族であることに驚いて騎士の話を聞いている。貴族の視線は俺とアズサの腕輪をロックオンしている。


 目があったので会釈をした。

 相手は権力者だ。俺達はとりあえず挨拶はしとくか。

 アズサはこっちの話が通じないから


「始めましてタカシと言います。こっちがアズサです。手を見えば分かると思いますが不老族です。後ろの子達はこの子はミリ、こっちはアルム、そしてエルフのスフィアです」

「ウム、我輩はヘッグナ子爵家当主。ソイド ヘッグナだ。この度臣下を助けたことに礼を言う。こんなに服が汚れていては我輩が貴族だと信じてもらえないと思うが」


 付け加えて「王都へ戻ったら謝礼を出すから楽しみにしているといい」と貴族は言った。

 俺達は謝礼目的で助けたわけではないのだが、くれるのであれば遠慮無くもらう。


「ちょっとタカシ!あんたこっちの言葉分かるの?!っていつからいたのよ」

「久しぶり、ジュン」


ジュンはようやく俺に気づいた。

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