表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第四章 不老族
54/126

思わぬ再開

 次の日、俺達は宿屋をチェックアウトして村の中を歩き回っていた。

 朝早く不老族スキーなミリとスフィアに起こされたのだが、アルムは馬車の中でベスを抱いて寝ている。

 可愛らしい寝顔を見れて嬉しい。

 朝食は宿屋のおばさんから四人分の弁当を作ってもらったからいつでも食べられるからアルムが起きるまで食べない。みんな一緒に食べた方がうまいもんな。


「村の皆さん話してくれませんね。やはり何かあるのでしょうか」

「本当ね。もう諦めて村から出た方がいいのかしら。タカシはどう思う?」

「そうだな。何かしらの口止めをされているのなら聞かない方がいいだろう。この村にトラブルが起きていてそれが口止めされていることなら自分から面倒事に首を突っ込むことは危険だ。その上、知らない村でなら尚更だ」


 俺は既に情報収集は済ませている。村長から聞き出した話を元に村から出るのは遅くても今日のお昼過ぎでもギリギリ街に着ける。 それも盗賊が出る道を通る話しだ。


「そうですね。無理に聞いて村の人達から不信感を持たれても困りますし、不老族の情報がさらに聞きにくくなります」

「このままうじうじしても仕方ないけど何も情報がないままだと不老族に会えないじゃない」

「何も情報がないままでいいじゃないか?村人がこんなに隠しているなら不老族も何かしらの問題があるのかもしれない」


 例えば、貴族に無理に連れて行かれてその貴族から不老族がいたことを隠せと脅されたり、ある組織から不老族を守るために匿ったりして口止めをしているかもしれない。

 マヤさんや村長からは言葉が通じなかったって聞いているから不老族から匿ってと懇願されることはないと思う。


「村が落ち着くまでは不老族の話は聞けないと思うからこのまま村にいても無駄だしさ、村から出て近くの街でこの村の噂話を集めた方がいい」

「村の人達が何も話してくれないのならタカシさんの言う通り村にいても無駄ですね」

「街に行っても不老族の情報があるのか疑問だけどそうね。街へ向かいましょう」


 三人で話し合って村から出ていくことになった。

 この村には立ちよっただけですぐに出ていける準備は住んでいる。準備らしい準備はしていない。一日しか滞在してないし、荷物は馬車から下ろしていない。

 だからすぐに出ていける。


 村から出ていくことになったのは思ったより早かった。ミリ達はもう少し村の中を探索して村長やマヤさんから情報を聞き出した後に出ていくと思っていたが、村人の様子を見て不老族の話しを聞くことができないと判断したようだ。

 村長やマヤさんは見かけなかった。村長は昨晩の話のことで考え込んでいるかもしれないが、マヤさんはまだ宿屋で寝ているからか見かけなかった。


 馬車で道を走り出した。

 マップを見て街へのルートを確認して、スピードをミリ達が怖がらない程度に上げた。村長が言っていた盗賊が出る場所は後もう少しで通りすぎる。

 その盗賊達は岩場を獲物の狩り場に使っているらしく。岩影に身を隠して獲物が来るのを待ち構えているそうだ。

 盗賊達がいないか視界を先に飛ばしてその岩場の様子を見る。


 視界の先は酷いものだった。

 騎士と冒険者が何人か倒れていてそれを物色している盗賊のような汚ならしい男達がいた。男達は倒れた人達から金になりそうな物を集めて馬車に積み込んでいる光景が見えたが汚ならしい男達以外はいないみたいだ。


 倒れている人達は辛うじて生きているがそのままにしておくと危険なので汚ならしい男を無力化する。

 無力化と言っても念力で押さえつけるだけのこと。やられた本人達は体が動かなくなるだけで怪我はしないから少し離れた岩影に男達の馬車と一緒に運ぶ。


 現場に到着して倒れた人達を手当てしていく。倒れた人達の着ていた鎧は男達に剥ぎ取られていたから手当てはしやすかった。


 ちなみに手当てに使った薬や布などはミリ達が怪我した時ようにルルーンの街で買っておいた物だ。


「君達は誰だ?」

「俺達はこういう者だ」


 倒れた人達のうちの一人がまだ意識があったらしく問われたので腕輪バーコードを見せた。


「不老族!」


 俺が不老族とわかると驚いたまま気を失った。


「もう見てられない。私がやるからタカシはどいて」

「スフィア何をやるの?」

「魔法で治療するのよ」


 そういえばスフィアは治癒の魔法を使えるって言っていたな。手作業で手当てするよりも魔法で治療した方が効率的で早く回復するだろう。

 治療はスフィアに任せる。ミリもかすり傷程度の傷しか治せないがいい勉強になるだろう。

 何もいないがミリ達の安全のために視界で見る。


「怪我人は頼んだ。俺は辺りに誰か倒れていないか見てくる」


 俺は近辺を確認すると言って念力で無力化している汚ならしい男達の元へ行き尋問する。そのために男達を岩影に隠した。


「体が動かね。毒を盛られたわけ覚えはないが急に体が浮かんだと思えばここに運ばれたぞ。魔法なのか」

「おい!変なカッコのガキが来たぞ」

「テメーか。俺達にこんなにことをしたのは。俺達を誰だと思ってる。ここいらを縄張りにしてる盗賊一味だ。さっきだって騎士と冒険者を八つ裂きしてやったんだ」

「バカ、ペラペラしゃべるな」


 男達は体が動かないことにギャーギャーと騒ぎたてている。いくら騒いでも体が自由にならないのに男達は必死に踏ん張っている。

 俺が姿を表したら、感づいた一人がペラペラと喋って仲間に止められたが最初に聞きたかったことは全部聞いた。


「へー、あの人達をやったのはお前達で盗賊なんだ」

「だからなんだって言うんだ。もう喋らねぇぞ」

「ふーん。そうなんだ」

「俺達を自由にしろ!さもないと仲間達が来るぞ」

「自由にしろなんて俺に言われてもな。その内動けるようになるんじゃないの?」


 聞きたいことを聞いたからこの男達にはもう用がなくなった。このまま遠くへ投げて捨ててもいいと思うがここら辺は岩場だから山なりに投げて岩の上に落ちて死ぬかもしれない。どう処分するか。

 今すぐに解放したら、襲ってくるか、逃げ出しすのが目に見えている。襲ってくるのはいいがミリ達の方に逃げられては困る。

 やはり遠くに投げ捨てるのが一番か。


「ガキ惚けやがってお前の魔法なんだろ?これは」

「早くしろよ。馬車の積み荷を分けてやる」

「おい、勝手なことを言うな。お頭バレたら殺されるぞ」

「ガキ黙ってないでなんか言えよ。それか俺達にビビったのか?」

「そいつは間違いないぜ。俺達は盗賊なんだ。ガキ一人がビビるに決まってら」


 よし、思いっきり投げてやろう。

 コイツらが死のうが一生歩けなくなる怪我をしてもかまわない。


「じゃあね。俺はもう行くから」

「うお!」

「また浮いたぞ」

「やっぱりお前だったのか」

「俺達をどうするんだ」

「どうするもお前達を捨てるんだ。君達は遠くに飛ばして生きられるかな?」


 脅しかけると男達の何人かが下腹部を濡らしたので臭くてたまらない。

 早く捨てよう。


「バイバーイ、せーの」

「待ってお前は不老族だろ?根城に不老ぞ」

 ザン!


 振りかぶって投げる寸前、男達の塊に見えない斬撃が撃ち込まれた。男達の肉片を地面に捨て、辺りを見回るがスフィア達と冒険者達以外誰もいない。

 どこから撃ち込まれたのかわからない。男達の死に際の「根城に不老ぞ」が気になる。

 もしかしたら、盗賊に不老族が捕まっているのかもしれない。騎士と冒険者達の回復を待つしかない。


『マスター上から何か降ってきます』


 ミリ達の元に戻ろうと体の向きを変えるとパスが上から降ってくると言う。上を向くと二つの影が落ちてくるのが見える。

 影が近づくに連れて二つの影が人と認識できた。


「嘘だろ!」


 影に向けて視界を飛ばしてみたら見覚えのある人物だった。二つのうち小さい方の影を念力で受け止める。

 もう片方も知っている奴だったがどうなろうが俺には関係ないから知らない。


「キャアアアアーーー!ってあれ?止まってる?」

 ストン!


 小さな影をゆっくりと地面に下ろした。片方の影は自分の能力を使ったのか重力を無視して地面に綺麗に降り立った。

 二人の人物は見覚えのある顔で地面に降り立った一人が空気の野郎で、もう一人が死んだはずの幼い少年だった。


「本当に死ぬかと思ったよ。こんな能力があるなら先に使ってよ」

「治癒、そんなのは持ったことはない。持っている能力は空だけだ」

「クーじゃないなら誰なんの?」

「お前生きてたのか?」

「えっ?タカシじゃんか。なんでここにいるの?」


 思わぬ再会だ。死んだと思っていた幼い少年がこうして目の前に存在している。夢なのか。それともこの少年は幻覚か幽霊の類いなのか。


 確めた。頬っぺたをグニグニとコネクリまわして感触と体温を確めた。

 ちゃんと触れられて温もりが感じられた。実在していることがわかる。そして何かが込み上げて目から液体が出てきた。


「タカシ?!どうしたの?大丈夫?」

「今の全知全能は理解不能。そして情緒不安定。人の涙は喜怒哀楽の象徴」

「クーは意味わからないことを言ってないでこの状況をどうにかしてよ」


 俺が目から液体を出したことにより幼い少年が困惑している。空気の野郎がまた、意味不明な妄言を言う。


「いや、大丈夫だ。あまりにも君が生きてたのがびっくりして」

「それは生きているから生きてるんだよ。何を当たり前のことってそういうことね」


 俺が言わんとしたことを察した幼い少年から俺と別れた後の研究所の説明を聞いた。

 空気の野郎に首を落とされて俺が去った後、自分の能力で頭と体を繋ぎ治して回復に必要な材料を探していると空気と再びあったらしく、そんな流れで一緒に行動しているらしい。

 回復に必要な素材は血肉が必要であの時、研究内では被験者と研究所の職員の遺体が至る所に転がっていたからすぐに回復できたそうだ。

 空気の野郎と俺を追ってこの世界に来たそうだ。


「本当に生きていてよかった。だから銃に撃たれた程度の怪我は自分の能力で治せるから先に言っていたことって本当だったのか?」

「まーね。痛かったけどあれくらいの欠損は簡単に治せるけどクーに首を落とされるなんて思わなかったんだ。余計に時間がかかってさ、首と体を繋げてまともに動ける為に這って死体を漁ってたら研究所が爆発するから僕もこれまでだなって思っていたらクーが現れてタカシがこの世界に行ったって言うからクーの能力で僕もこの世界に来たんだ」

「あの世界には全知全能がいないから価値がなくなった。治癒もそれを理解した上でこちらの世界に来た。それは全知全能がいることによってこちらの世界の価値があり、面白みがある」

「クーが何を言っているのかわからないけど、僕はタカシのことが心配だったからこっちに来た」


 幼い少年がこっちに来た方法はわかった。だが疑問が出てくる。

 幼い少年は自分の首を落とした相手となんで行動してるんだ?自分の能力で死ぬことは無かったとしても意味不明な妄言を放ちながら他人の首を落としにかかる人物だ。個人の偏見かもしれないが空気の野郎はそういう奴だ。


「なんでコイツと一緒にいるんだ?こっちに来た経緯はわかったがその後もずっと一緒に」

「タカシは知っているかもしれないけどこの世界の言葉って私達がいた世界にはない言語なんだよ。私って相手が何を言っているかわからないと不安になるんだよね」

「空気も妄言ばかりで何を言っているのかわからないのと一緒じゃないか」

「ううん。そういう意味じゃないの。クーだと一つ一つの単語だけならわかるからそれらを私なりに考えてクーが言いたいことはこういうことじゃないかなって少し理解できる。だけどこの世界の人は何を言っているのか一つの単語の意味さえわからない。それが不安なの」

「これも人の手で神を作り出そうした愚かな探求者の結果、心に歪みを作りだした」

「空気。それは精神的な病気って奴か?」

「別名ではそうとも言うが歪みは何かの拍子でいつの間にか治るかもしれないが何をやっても永遠に治らない」


 相変わらずイカれている野郎だ。言っていることが少ししかわからないけどニュアンス的に読み取ると精神的な病気は何かの拍子でいつの間にか治るかもしれないが何をやっても治らないと言っている。

 幼い少年は心細いから空気の野郎と一緒にいると言うことか。


「俺は言葉通じるけどな」

「それ本当?クーなんてこっちの世界と地球を何回も行き来しているのに言葉通じないんだよ」

「自分の意思で地球に戻れるのか?」

「うん。そうみたい。数年前から自由に行き来してるって聞いたよ」

「自らの翼で空を飛びたてるのに誰かの思惑で飛びたてないとはおかしい話し。だから自らの翼で空を飛び、世界を超えられたが、コミュニケーションの壁に阻まれた」


 うん、意味がわからない。うーん、要するに簡単に世界を行き来できるけど言語はいくら頑張ってもできなかったと言いたいのか?

 コイツと話していると頭がおかしくなる。それよりも自分の意思で地球に行けるのか。

 地球に戻る気はないが世界の行き来は便利そうだ。


「タカシはここの人達と喋るのって頑張って勉強したの?」

「最初からだ。俺にとっては別の言語を話している自覚はない。俺達が話している日本語?英語?と同じに聞こえている」

「それってタカシの能力ってこと?」

「そうだ。俺達が使っている言語って日本語なのか?英語なのか?」

「そんなこと僕がわかるわけないよ。タカシと同じで研究所から出たことがないんだから僕に聞かないでよ」


 幼い少年には悪いが確めてもらった。

 幼い少年もわからないと言うことは俺達が使う言語は被験者には元々知らせていない。どういう意図があるのか謎があるものの、俺達が今話している言語は間違いなく日本語だ。

 これはフォスティアに教えてもらって確証は取れてる。


 フォスティアは地球で死んでこの世界で生まれ変わった。前世の記憶を多少残っているから日本語とこちらの世界の言葉を話せる。


 使っている言語がわからないのは元々で俺の記憶の消去には関係ないことがわかった。研究所の大人達は被験者に自分達の言語という概念を教えずにただの言葉として使わせているのは謎だ。

 地球に戻ることはないから気にしても無駄に終わる。


「俺達が使っている言語は日本語なんだけどな」

「わかっているならなぜ聞いた?」

「全知全能は無惨な記憶処理を受けている。自分の頭の中が不安定なことになって自らの記憶を多少疑っている」

「それは記憶を消されているってこと?」

「記憶処理は消すだけの行為ではない。一部消して付け足したり、無い記憶を植え付けたりする行為。ただ単純の消去だけなら全知全能はここまで精神を不安定させているはずがない。あの場所に入れば何人かは記憶処理を受けている」


 俺の心当たりの無い記憶があるのは俺が研究所で記憶処理を受けたわけか。

 妄言ばかりの空気の野郎が珍しくわかりやすい言葉を使っている。だんだん雨が降るんじゃないのか。


「なんでお前がそんなことを知っているんだ」

「経験があるあれは酷い拷問のようだった」


 空気の野郎も経験者だったのか。それが原因でこんなに思考が歪んでいるのか?


「あっ!空気!お前さっき斬撃をとばっ」

「全知全能これで。また会おう」


 空気は消えてどっかに行ってしまった。幼い少年を置いて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ