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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第四章 不老族
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連れ去られた不老族

 宿を探して数時間。

 オレンジ色だった空は明るさを失い夜へ変わった。

 俺達は宿屋と不老族(被験者)の情報を求めて村の中を歩き回った。宿屋の場所は村人から聞き出したが不老族について問いかけると聞いた村人全員がシラをきるように質問の答えはあやふやなものだった。


 村人達は何か隠したいことでもあるのだろうか?それとも研究所の奴らから隠れる為に村人達に自分の存在を隠すように言っているのかもしれない。

 マヤさんから聞いた話しだと言葉が通じないそうだからまだあいつはここが異世界だと気づいて居なさそうだ。


「タカシさんもう遅いですし、探すのは明日にしましょう」

「そうだね。アルム達も旅で疲れているだろうから今日はここまでにして宿に止まるか」

「そうしましょう。あなたが馬車を猛スピードで走らせるからもう疲れたわ。アルムちゃんは寝てるし、宿でゆっくりしたいわ」


 スフィアの言うとおりアルムは馬車でベスを枕にして寝ている。猛スピードで走る馬車はアルムにとってジェットコースターのような感じで楽しんでいた。はしゃぎ過ぎて疲れていた。

 その上俺はリンと出会ってミリ達に不信感やストレスを与えていたのかもしれない。


 リンと会うのは俺一人で会うべきだったのか?逆に別ベクトルで不信感を与えてしまう。俺とリンの会話の内容は聞こえていなかったから変な風に思われたかもしれない。


 世間一般では不老族は謎が多いが為、ミリ達から見たらタカシの行動も不老族の奇行として受け入れられている。

 そして森で出会ったリンはタカシと対話していたことからスフィアに取って森の精、もしくは森の守り神として見えていた。

 精霊、守り神はエルフの神話上、声にならない声で語りかけてくると言い伝えられている。声にならない声で話すといった矛盾したことがエルフ、守り神信仰者達の間で当たり前に伝わっている。

 なのでエルフのスフィアはタカシに声にならない声で語りかけてきたリンを精霊と思っている。

 なお、本人には声が聞こえていない。


 俺達は村の宿で一泊することにした。

 宿の馬屋に馬車を預けて、寝ていたアルムを起こして宿の食堂でしょっぱいシチューとクッキーみたいなパンを食べた。

 しょっぱいシチューは何とか食べられたけどクッキーみたいなパンは固かった。昔、食べた煎餅よりはマシだったけどあんなのはパンとは呼べない。ちょっとした煎餅だ。


 俺はいつ煎餅を食べたのだろうか?食べた記憶は消された記憶の中にあったのか?食べた記憶が消されているなら食べたことがある認識はないはずなんだが、全部が全部消されていないと言うわけなのか?

 時々感じる疑問や違和感は途中半端に消された記憶の影響で感じるのか?


「この村に本当に不老族がいるのでしょうか?こんなに探し回っているのに一切の情報が入って来ないなんて外から人を呼び込むための嘘なのでは?」

「それはないと思う。冒険者のマヤさんが言う不老族の特徴と俺の知り合いの特徴がすごくマッチしているから本当にいると思う。ただ」

「村の人達、なんか隠しているよね。悪いことでも隠しているのかしら?」

「わるいことをしてるの?」

「そうではないと思う。その不老族からのお願いされて匿っている可能性がある。だから村人は不老族のことを隠しているからと俺は思っている」


 ここが異世界だと知らないのなら今も研究所から見つからないようにしなければならない。俺があいつなら自分を探しにきた人がいるなら身を隠すし、危険が多い森の中へ逃げ込む。


「明日、マヤさんに会って話を聞いてみよう」

「そうね。村にいる不老族のことを知っているみたいだし、もしかしたら、どこにいるのか知っているかもしれないわね」

「村にいる不老族はタカシさんの友達ですよね?どんな方なのか教えてほしいです」

「アルムもききたーい」

「私もタカシが言う子がどんな子なのか知りたいわ」


 ミリ達はこの村にいるかもしれない知り合いについて聞きたがっていたので暇潰しがてらミリ達が眠るまで話した。


 俺もあんまりあいつのことを知らない。なのであいつの性格を話した。ツンツンした性格について語り、臆病な部分を話した。


 ミリ達は疲労が溜まっていたからか眠気がピークなって眠りについた。


『パス、ここの監視を頼む』

『はい、マスター』


 パスにミリ達の監視を頼んで俺は宿屋から出た。

 俺が向かった先は村で一番大きな家だ。そこはマヤさんが向かった村長の家だ。

 俺は視界を飛ばしてマヤさんを監視していた。

 マヤさんは森での調査を村長から依頼を受けていた。

 そこまでは良かった。それから何気ない日常話していて問題は無かった。村長とマヤさんは叔父と姪の関係らしく街の方では何の作物が高く売れるのかなどを話していた。


 その後にマヤさんが何気ない疑問で村にいた不老族を聞いたところ村長の様子がおかしく、マヤさんには不老族の件を触れることを嫌い、他者には話すなと釘を刺されていた。


 俺は不信に思い村長の家に訪れたのだ。


 村長の家は簡単に侵入することができた。家の中は寝静まっていた。

 村長と思われる初老の男の部屋に入り、本人は寝ていたので起こすまで暗がりの中証拠らしき物を物色するが。部屋の中に大量に入った金貨の袋しか目ぼしい物がなく、他の部屋にまで探すことにした。ちゃんと視界での監視怠らない。


 くまなく証拠らしき物探す。

 あの金貨だけじゃ心もとない。もしかしたら汚い金じゃなく頑張って稼いで貯金したホワイトな金かもしれない。

 もっと探したら、契約書等が出てくるかもしれない。


「誰?ドロボー?こんな田舎の家に盗む物がないのに」


 家の中を探し回っていたら誰かに見つかってしまった。声の主は幼い少女のようだ。

 声の主の方向に声を振り向くとランタンを持った少女がいた。


「俺はこういう者だ」


 腕についているパスをかざす。

 この世界は腕についたバーコードを見せるだけで不老族と思ってくれる。何かあれば警戒されるが、幼い少女相手なら物語りのような話しを聞かされてミリ達のように憧れを抱いている。

 バーコードを見せることによって警戒を解いてくれるはずだ。


「あなたがロロアのことを治してくれた不老族ね。こんな真夜中にどうしたの?」

「ちょっと喉が渇いてね。それと君を治したのは俺じゃないよ」

「そうなの?おじいちゃんは不老族が治してくれたって言うからあなただとばかり」


 ロロアと言う少女の怪我を治したらしい。この村にいた不老族は治癒系の能力を持っているみたいだ。

 少なからず知っているこの少女から少し聞いた方がよさそうだ。


「俺以外の不老族について教えて欲しいんだけど何か知っているかな?」

「うーん。ロロアは会ったことがないの。魔物に襲われて怪我したから今まで寝ていたの」

「そうか。ありがとう。俺は村長とお話ししてくるから君は治ったばかりだから寝ているんだ」

「うん。あっ、ロロアことを治してくれた不老族の子に会ったらありがとうとって伝えて」

「わかった」


 ロロアを寝かせて村長の部屋に戻る。

 怪我をしたロロアを治したのか。今まで寝ていたらしいロロアはあんまり知らそうだったから村長から聞き出すしかなさそうだ。

 しかし、小さい子を寝かすのはなれてきた。ミリ達のお陰で寝むるまで誘導するのは難しくなくなった。


「おい、起きろ」

「ふはっ、何なんだ。体が動かん。いったいどうなっている」


 村長に念力で圧力をかける。村長は奇妙な圧迫感ですぐに起きてくれた。

 村長の体は念力で固定しているから首から足まで動かせない。俺は村長から見えない立ち位置にいるから村長に顔を見られることはない。

 明日、ミリ達と村長宅へ訪れるかもしれないからできるだけ口調だけ変えて会った時俺だと気づかれにくくしなければいけない。

 今していることは不法侵入だ。ここが地球だったとしても公的機関に逮捕される恐れがある。その前にロロアに見つかっていたんだ。


「起きてくれたか」

「お前は誰だ?」

「俺が誰なんてどうでもいい、強いって言えばこれだ。これがなんだか見ればわかるだろ?」

「そ、それは」


 村長にバーコードの腕輪を見せる。

 丁度、壁の隙間から月光が射し込んでいたから暗い部屋の中でもこれが不老族の腕輪なんて判断できる。

 これが不老族の腕輪って分かればこの村にいた不老族だと確定できる。噂話を信じてる疑っているのは別にして確証が欲しかった。

 ロロアの怪我を治したのは魔法でこの村にいたのは不老族の皮被る偽者かもしれらいからだ。


「お前も不老族なのか?あの子を探しに来たのか?」

「あの子と言うのはここにいた不老族のことか?」

「そうだ。ワシの不甲斐ないばかりに孫の命の恩人のあの子を貴族に渡してしまった。本当にすまない」

「やはり、この村にいたのは不老族だったのか。詳しく話してくれないか」


 村長から村にいた不老族について聞き出した。

 その子はこの村の出身の行商人が森の中で気を失っていたところを保護されてつれてこられた。その子は魔法とは別の力で行商人に雇われた冒険者の傷を癒したそうですぐに仲良くなったそうだ。

 ただ不老族とは言葉が通じず、会話ができなかった。

 そして村に着いて事件が起こった。村長の孫、ロロアが魔物に襲われた。ロロアの怪我は酷かったらしく並みの治癒魔法では治らない、街の司祭や貴族に雇われているような治癒魔法使いでないと治せないと村の薬師が言われて村長は諦めた。

 村には薬師がいても肝心な治癒魔法使いがいない。たまたま訪れた冒険者の中に治癒魔法使いが村にいたとしても軽い怪我を治せるくらいしかできないそうだ。

 ロロアを治せる治癒魔法使いに会うなら徒歩で三日かかる街に行くしかないが、その街へ行ったとしても治癒魔法使いに支払う金がない。そもそもこのまま状態では治癒魔法使いが来ても手遅れになると判断された。

 絶望の中にその不老族が連れて来られた。ロロアの怪我が嘘だったかのように簡単に治癒してくれたそうで村長はその不老族を村の一員として歓迎した。

 今日の昼、不老族がいる噂を聞き付けた貴族が無理にその不老族を連れ去ったようだ。


 村長は不老族の居場所を最後まで吐かなかったそうで貴族からの条件を一切飲み飲み込まなかったと言い訳気味に言っていた。


 不老族を連れ去られた後、貴族が残していった騎士から「このことは他言無用。不老族は我らのところに行くことを喜んだ」と言われたそうだ。


 話を終えて村長は悲しげに涙を流していた。

 村長は本当にその不老族に感謝をしているみたいだ。


 村長からその貴族は近くの街へ向かった後に王都に行くそうだ。


「近くの街は馬車なら早くて半日で着くが行く途中に最近しゃしゃり出た盗賊達の狩り場がある。貴族はそこは通らずに迂回するから四日後には街に着く」

「そんなことを言って俺にどうしろと?」

「同族を探していたのだろう?ワシにはどうしようもできないがお願いだ。あの子を自由にしてやって欲しい。あのような貴族は権力を増やすために何でもする。あの子もダシに使われて貴族の道具になんてことになる」

「俺は村に冒険者として来た。この意味わかる?」

「不老族の冒険者か?なぜに不老族が冒険者などに、変な詮索は止めにしよう。要するに対価を出せと言うのだな」


 話がわかるようでよろしい。


「そうだ。その対価は.....」

「そんなことでいいのか?他に要求するものがあるだろう?なんでそんなことだけに」

「そんなのあんたには関係ないというのは冷たいか。簡単に言えば俺の単なる気まぐれさ。その子を俺が助けるのは絶対とは言えないが、状況を見て助ける必要があれば助ける。その子が本当に望んでいるのであれば俺はその子のことは関わらない。そしてあんたは真相を知れるのは皆無に等しい、俺からの対価を守る守らないのはあんた次第ってわけ」


 俺が助けるのは決定事項みたいになっているが、その場の状況による。その子が喜んで貴族について行ったのなら知り合いとして会うだけでそれ以外は何もしない。

 村長は俺が介入したかどうか知る術はほぼない。村長の耳に入るのは全部噂話程度でそれが本当かどうか本人にはわからない。

 それで俺との対価を守るのは村長次第と言うわけだ。


「わかった。あの子に会えたなら伝言を頼む。孫を助けてくれてありがとうと伝えてくれ」

「わかった。俺はこれで出ていくぞ。一応言っておくが俺が手を出さなくても近いうちにその貴族から離れることになるがな」

「えっ?」


 祖父娘共々、伝言が好きなのか?父娘だから似たよった思考で伝言にいついたのか?

 イエスと答えてしまった以上はその子に必ず会わなくちゃ行けなくなった。もともと会う気でいたが、それが会いたいから絶対に会うに変わっただけだ。


 不老族を連れ去った貴族は街に着くまで何もしないが利用価値がある以上虐待、殺害しなくてもセクハラじみたことはやりかねないが、その価値を下げる行為は絶対にしないだろう。


 街へ行く道のりは馬車で1日半かかるのなら明日の昼でも出発すれば街に余裕で着くだろう。※空飛ぶ馬車が猛スピードで掛ければ三時間以内に着く予定。

 焦っても仕方ないから今夜は宿屋でゆっくりと休むことにしよう。


 俺は村長宅から離れ宿屋に戻るのであった。

 宿屋に戻り、明日のことを考えながらベッドの中へ転がりってミリ達に混ざって眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ねぇー?いつまで歩くのさ?」

「人の歩みを止めるのは死と挫折感。僕らはどちらも味わったことがない」

「何を言っているのさ。歩き続けて僕は疲れたよ」

「疲れたのなら休めばいい。進む先は川の流れの如く自然と僕らは向かっている。そう、治癒?」

「そう言うなら、先に行かないでおんぶしてよ。うわ!」


 僕の体が何もない空間の中で浮かぶ。

 僕達は何もない空間の中をただただ歩いていた。


 全く、クーと来たらいつものブツブツポエムが始まった。こうなると何を言いたいのかこっちはわからない。

 伝えたいことがあるなら普通に話してよ。

 いつになったらここから出られるのさ。クーもクーで前へ進むだけでもしかしたらここから出る方法がわからないからこうして無謀に歩いているだけなの?

 さっき被験者から逃げる時、クーがカッコよく見えたけど気のせいだった。


 何時間も歩いている謎空間は光源がないのにもかかわらず、辺りは明るい。そしてさっきまでの丸1日感じていた空腹感が消えた。

 ここは不思議だ。


 クーと僕はタカシを追いかけて地球からこの異世界に徒歩で来た道のりに比べて行き先が見えぬ、風景が変わらない謎空間は無限のように感じる。

 僕はクーの能力によってクーに運ばれている。


「行き先は決まっている。もうすぐ着く」

「さっきからそればかりじゃん。決まっているなら教えてよ」

「世界にとって急ぐことは命とり。行き先はもう見えた」


 僕達の前に空間の切れ目が現れた。僕達はそれを潜るとその先は。

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