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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第四章 不老族
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宿屋

「買い物はこれくらいとして今日でこことはおさらばだから宿に泊まるか。みんなどこの店がいい?」

「えっ?宿に泊まるの?」

「ゴハンが美味しいところがいいですが急に宿を取るなんてどうしたのですか?今晩もゴハンだけは外で食べて夜はあの古びた教会で寝るんじゃないのですか?」

「アルムもゴハンがおいしいとこがいい」


 疑問の声を上げたのはミリとスフィアだ。ミリは今夜も廃墟で泊まるつもりだったようだ。前もって話してなかった俺が悪いがスフィアに関しては宿に泊まると知った途端戸惑うように見えた。

 スフィアはこの街で奴隷として売られてた子だ。もし、奴隷商に見つかったら檻の中に戻されると思ったのだろう。

 今さらながら町中を歩き回って誰もスフィアに話しかけてこなかったのに今その心配するか不思議である。


「お金が溜まったから宿に泊まろうと思ったんだ。それにあの廃墟の部屋って暗くてジメジメしてたから寝ずらかったんだ。だから俺は追われているみたいだけど今夜だけは高級な宿は無理だけどそこそこいい宿に泊まろうと思うんだ」

「今晩だけといいましたが次の街では宿に止まらないのですか?そもそも私達子供だけで泊まれるのでしょうか」

「そうよ。タカシが追われているみたいだし、私だって元奴隷なのよ。そこは大丈夫なの?」

「子供だけでって言うけどこれを見せてお金さえ払えば宿って泊まれるんじゃないのか?」


 冒険者の証を取り出す。

 一応、身分証みたいに使えるって聞いたけどこれさえあれば宿に泊まれると思うんだけど。泊まれるよね?


「この街をぐるぐる歩き回ったがスフィアにちょっかいかけてきた奴がいたか?いなかっただろう。俺が空の魔剣師と知ってか、パーティーの勧誘があったがそれは置いといて。次の街に泊まるかはその街で決める。以上」


 街中を歩いてスフィアに声を掛けようとした大人は一人もいなかった。逆に俺は冒険者と思われる大人達にパーティーの勧誘がしつこいほどあった。俺のことを知っていたかわからないが中には馬車を譲ってくれって言う大人もいたけどその大人達は力ずくで馬車を奪おうとしたからお空の旅にご紹介してあげた。

 その後どうなったかは俺は知らない。みんな仲良く鳥になって楽しげな絶叫を出していたから母なる大地のクッションでペシャンコにはなっていないことを祈ろう。


「タカシさんは今晩どの宿に泊まるかは決まっているのですか?」

「いや、今探しているところだが」

「まだ決まってなかったの?あそこなんていいんじゃないの?何人か店の中に入っていったからそこそこ人気じゃないかしら」


 スフィアが指を指した古めの店はそこそこ人が入っていくのが見える。老舗で少し高くてもミリ達が喜んでくれるのならそこでもいいと考えたタカシはミリ達を引き連れてその店に入った。あそこがまだ宿と決まったわけではない。入ってみないとわからない。


「いらっしゃい!何人だい?」

 店の中に入り強面の男が定員をやっていた。

「四人です。ここは宿屋ですか?」

「宿と食事場をやっている『朝の木々』だよ」


 宿もやっていたと思ってホッとした。しかし、受付の人がこんな強面の男だとは思わなかった。

 知っていたら入らなかった。


「で?子供四人冷やかしじゃないなら帰りな」

「泊まる場所を探してまして、僕はこういうものです」

「ん、なんだいそれは、冒険者の証か。坊主が噂の空の魔剣師って言う奴か。俺は客なら文句はないよ。どのくらい泊まるんだい?」


 男は俺達が客だとわかると態度が少し軟化した。


「四人で泊まれる部屋を今晩だけでお願いします」

「坊主達は夕食は食べるだい?」

「はい、お願いします」

「わかった。四人晩飯付きの一泊で金貨一枚だ」


 金貨を出す。


「確かに金貨だ、ほら鍵だ。部屋を案内させるから荷物を置いたら食事場に来な。ジョズ!客四人の大部屋に案内だ!」


 奥から受付の男と目元が似た少年が気だるそうに来た。きっと息子なのだろう。


「お父さん、そんなに大声で呼ばなくても聞こえるよ。お客さんね。大部屋ってことは階段の部屋だね。お客さん僕についつて来て」

「わかった。それと馬車はどこに置いとけばいいんだ?」

「馬車なら宿の右隣が馬屋だからそこに置いとくといいよ」


 言われた場所を確認したが宿の隣にはいくつもの馬車と数頭の馬がいたのでそこに今日買った馬車を入れといた。

 少年ジョズの案内で今晩泊まる部屋に荷物を置く。部屋と馬屋の両方に監視カメラ代わりに視界を置くのも忘れない。


 視界を置くのは部屋に置いた荷物が盗まれると困るからだ。俺が盗まれると困るのは金とタブレットだが、ミリ達は買ってあげた装備を大切にしているようだからそっちも見ておこう。

 鍵を掛けるから大丈夫だと思うけど念のためだ。


「君達って小人族の人なの?」


 少年ジョズから変な質問が投げられた。


「私達は小人族ではないですよ。なんでそんな質問をするのですか?」

「だって子供だけで宿に泊まるなんておかしいからさ、だから君達が小人族なのかって思ったの」

「君は俺達が小人族に見えるのかい?」

「ううん。小人族なんて見たことがないからわからないよ。お父さんが家に子供だけで泊まらせることが不思議だったから聞いてみただけだから気にしないで」


 少年ジョズはそれ以上は聞いて来なかった。余計な詮索は客を不愉快にさせると親に教わったのかこちらが答えを濁すと聞いた理由を述べて「気にしないで」と言った。

 言える範囲を話そうとしたが宿屋の息子なので客が嫌がることをするとは思えないが言ってもメリットがないので少年ジョズ含む俺達5人はそのまま宿屋の受付(宿屋の主人)の元に向かった。


「お父さん、お客さんに部屋へ案内してきて連れてきたよ。この後は食堂に案内すればいいんでしょ?」

「そうだな。リオナが客に出す料理の準備を終わらせていたから案内しろ。それと部屋にいる客全員に声を掛けてくれ」

「はーい。じゃあ食堂はこっちね」


 少年ジョズに案内で受付の隣の部屋が食堂らしく既に俺達以外の客が料理を食べていた。


「空いている席に座って、僕はお父さんに言われた仕事がまだ残っているから行くね」


 俺達は部屋の隅の空いている席に陣取った。

 少年ジョズからはメニューは聞いていなかったがこういう宿屋の店に出てくる料理は今日のオススメが出てくるのだろうか。

 他の食堂の店では注文するシステムだったがどうなんだろう?他の客の様子を見よう。


「リオナ!まず酒をくれ!」

「こっちもよろしく!」

「はいよー!」


 次々と食堂に入ってくる客は酒を頼んでいくが誰も料理を頼む気配がない。やはり強制的にオススメの料理が出てくるのかもしれない。


「お待ち、家の宿特製のシチューとパンだよ」


 それぞれのテーブルが仕事の成果と乾杯の騒動を上げていると俺達のテーブルに食欲を誘うシチューと黒いパンが運ばれてきた。

 この宿屋のシステムはオススメの料理が運ばれるようだ。


「それにしても子供だけで家に泊まるなんて珍しいね。家の旦那はこういうのに少し煩くてすまないね。まっ、旦那が認めたんなら客だよ。熱いから気を付けて食べなよ」


 料理を運んでくれた給仕の女性は受付にいた男の奥さんらしく受付の男は普段は子供だけ泊まらせることは許さないらしい。

 身元がわからない子供なんてトラブルのもとだからその子供がやらかして責任を取ってもらう親御さんがいないから子供だけで泊まらせるのが嫌らしい。


 知り合いの近所の子供が家出してきたならその子供の親に連絡すればいいが俺達のような金が持っていて親がいない浮浪児は怪しさがプンプンだそうだ。

 受付の男の言葉を借りると俺は身分証として使える冒険者の証を持っているから俺が面倒を見ているミリ達も泊まれるらしい。


 出された黒いパンは固くて食べずらかったけどシチューはクリーミーで具材の肉が柔らかくて美味しかった。ミリ達は黒いパンを普通に食べていたが俺はもう食べなくてもいいかな。


「ごちそうさま」

「「「ごちそうさま(でした)」」」

 食べ終えた俺達は部屋に戻った。

「明日から街から出るからそれに備えて早めに寝よう」

「わかりました。今日色々見て回って疲れましたしね」

「アルムもつかれた」

「そうね。今日はもう寝ましょう」


 彼女達は買い物のために街の中を歩き回ってくたくたのようなので我先にベッドの中に潜りこんだ。

 それも一つのベッドの中に。

 みんな人数分のベッドがあるんだからそれぞれで寝ようよ。そしてベスは鞄の中を漁らない。魔石は全部売ってしまったのでその中に入ってません。代わりに俺が残した黒いパンでも食べていなさい。

 ベスが鞄から離れないのでベスから鞄を奪うと魔石が二つほど入っていた。売った物の残りだろうか?そのくらいならベスに食べさせてもいいか。その魔石をベスに食べさせて黒いパンもついでに食べさせた。

 俺とベスは彼女達の隣のベッドに入った。


『パス』

『はい、マスター』

『悪いが馬屋の監視を頼む。今日買った荷物を盗む奴が出るとは思えないが今日、あの馬車を奪おうとする大人達がいたから、俺達の馬車に盗むと思う人物がいたら排除の方も頼む』

『わかりました。それとマスターこの部屋を監視する輩がいるようですがいかがいたしますか?』

『部屋の外?あの子は気にしなくてもいい。あの子以外で入ってくるようなら排除も頼めるか?』

『はい構いませんが大丈夫でしょうか?』

『あぁ。大丈夫だ』


 馬車と部屋の監視をパスに頼んだが何やら心配しているようだ。

 部屋の外には少年ジョズが私物の玩具を持ってスタンバっていた。素早く仕事を終わらせて部屋に戻った俺達と遊ぶ気でいたようだ。

 年もミリとアルムと近いから仲良くできるが少年ジョズには悪いが家の子達はもう寝息をたてて寝ているんだ。諦めてくれないかな。


 数分が経過して部屋から物音が一切しないからか眠ったと判断して両親の元に戻って行った。視界を送って一部始終様子を見ていたからわかる。

 その後、俺はパスに監視を任せて眠った。


『マスター、早く以前の記憶を思い出してください』


 馬屋を監視をするパスはタカシが記憶が元に戻るように以前のタカシに戻るように愛おしく願った。


 日が昇り朝になり、タカシは目を覚ましてミリ達が眠るベッドに目を向けると三人仲良く寝ている。


「朝か。パス何か変わったことがあったか?」

『はい、深夜に馬車を盗む輩がいましたので排除しました。それ以外は何もありませんでした』

『そうか。何もないならいいか』


 なんで大人達はあんなどこにでもあるような馬車を欲しがるのだろうか?俺の力で動かしているだけだから特別性でもない中古の馬車を。積んでいるのは基本的に食料しかないから盗むにもメリットがない。

 普通に見ればただの馬車に見えるのに大人達は魔法具とあの馬車を言うがその心がわからない。

 馬車が盗まれないでよかった。


 ルルーンの街にある噂が流れた。何でも朝の木々の馬屋に泥棒や闇ギルドの連中が入ろうとすると怪我をするというのが流れた。噂の元は定かではないが、あるの日晩に朝の木々の前で裏稼業で有名な冒険者や賞金首の闇ギルド職員が大量に倒れていたのを街人から多くの目撃情報が寄せられていた。

 噂が流れ始めてから数日後、朝の木々は商人や冒険者達の人気の宿屋となった。


「タカシさんおはようございます」

「おはよう。ミリ込み合う前にゴハンを食べて街から出発するからスフィア達を起こしてくれないか?」

「はい、わかりました。スフィアちゃん、アルムちゃん起きて」


 元気な挨拶と共に起きたのはミリだった。ミリには隣で寝ているスフィアとアルムを起こすように頼んだ。

 俺は朝食買うために外に出た。

 食堂の方は何やら街の警備の人達が来ていたので朝食の準備どころではなかったようなので適当に屋台から朝のゴハンを買うことにした。


 近くに事件でもあったのだろうか?最近、物騒だな。フォスティアの家でも殺人があったし、宿屋で起きたことなんて俺には関係ないことだからこのままスルーで決めこむ。


 朝食を買って宿屋に戻る帰り道に警備の人達が柄の悪そうな大人達を連れて行くのが見えた。その大人達は手足があり得ない方向に折れていた。

 あの大人達は悪いことをして現行犯で捕まったんだと思う。あの怪我は警備の人との闘いで負った怪我だろう。警備の人は無傷だった。警備の人は強いのかな?


「今戻ったぞ」

「あ、タカシ。おはよう」

「おにいちゃんおはよー!」

「おはよう。何故か警備の人が宿屋に来ていてから食堂がやっていなかったから朝ごはんを買ってきたぞ」

「ありがとうございます」


 三人に先ほど屋台で買った物を渡した。朝から串肉はどうかと個人的に思うがこれしか売っていなかったからしょうがない。食堂がやっていなかったことにクレームを入れようかなと思ったがふっと脳裏パスが浮かんだから止めた。

 さっき警備の人に運ばれた人達って馬車を盗もうとしてパスに排除された人達ではないよね?食堂がやっていない原因がパスではないよね?

 知らないことは知らないままでいいよね。余計な首を突っ込まない方がいいよね?


『そうです。マスター、先ほどの怪我をした大人達は昨夜馬屋に侵入して馬車を盗もうとした者達ですか?どうかしました?』

『余計なことは知りたくなかったよ』

『それはどういう意味なのでしょうか?』

『いや、深い意味はないから気にしないでくれ』

『そうですか』


 なんと原因はパスだった。さらっと聞き流していたが馬車を盗もうとした大人が何人もいたとは思わなかった。

 パスは何も無かったようにさらっと言わないと。聞き流していた俺も悪いけど不法侵入も結構大きなイベントだから報告は大事だから。


『申し訳ございません』


 気を取り直して朝食を食べ終えて荷物をまとめる。

 ほとんどの荷物は馬車に積んであるのでリュックサックモドキから取り出した物をリュックサックモドキに仕舞い戻して部屋から出た。

 偶然、廊下の掃除をしていた少年ジョズとばったりあった。

 荷物をまとめた俺達を見て少し寂しそうにすると。


「もう行っちゃうのか?」

「うん。この街にまた来たらこの宿に泊まらせてもらうからそのときまた会おうな。それと警備の人が来ていたけど何かあったのか?」

「それが店の前に悪い人達がひどい怪我をして倒れていたんだ。それでお父さんがロンロのお父さんを呼びんで来てもらったんだ」


 要約すると宿屋の前に悪い人達が怪我をして倒れていたから友達のお父さんに来てもらったそうだ。その大人達が有名な悪い人達で賞金が掛かっていたらしくその金が両親の懐に転がりこんだそうで両親共に大喜びだった。

 イレギュラーで入った金はとても嬉しいだろう。自分達が知らない内に賞金首の犯罪者達が宿の前に倒れていてそれで知り合いの警備の人に来てもらって対応した。ほとんどの何もしていないで手に入れた金は特に。


「そうか。それはよかったな。それと部屋の鍵は君に返しとくからご両親に渡しといてくれ」

「わかったよ。また来るのは約束だよ」


 また来ると約束をして少年ジョズに部屋の鍵を渡し、馬屋にいって馬車に乗り出発した。

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