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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第三章 ルルーンの街
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タカシの能力

 ぞろぞろと三時間かけて森にたどり着いた。浮浪児達を引き連れたことにより予想より時間がかかった。しかし、浮浪児達は長い道のりを歩いたのに疲れを見せていない。

 街の仕事をしている中で体力が鍛えられたのか一番小さい子さえへばった様子はない。森への行き来はへっちゃらの風体だ。


「森に着いた。ここら辺に生えた薬草を集めろ。サボったヤツはしっぺの刑だから覚悟しろよ」

「わかったよ」


 浮浪児達のリーダーことハンリーは浮浪児達に指示を出し、自分を含め薬草を集め始めた。そして俺達はハンリー達を森の入り口に置いて少し森の奥にある開けた場所に向かった。

 ここら辺から浮浪児達の様子が見えるから何かあれば呼びにくるなりの知らせがくるだろう。


 俺達は森で何をするのというとミリ達の魔法や狩りの練習をしようと思っていた。魔物や獣が出たら念力で動かないように固定して的当てゲーム方式でやらせようといていたが肝心の的が現れなかったので自作することにした。

 能力を使い、土や氷で即席の的を10個ほど作り出した。形は犬みたいな動物をイメージしたがイメージしたのとは違い、造形はでこぼこした見た目になってしまった。

 固体で作ろうとすると細かい部分が難しい。


「土が集まって石像ができましたよ。これもタカシさんの力ですか?」

「ああ、そうだよ。これから魔法の練習の的として作り出したんだ」

「魔法の練習ね。森の中だから火の魔法は止めないといけないね」

「スフィアちゃん、なんで火の魔法は森の中で使ちゃダメ何ですか」

「それは火の魔法で森が家事になるからよ。アルムちゃんには火の魔法しか教えてないから別の魔法を教えないといけないわね」

「アルムはほのうのまほういがいのまほうおぼえたーい」

「スフィアちゃん、私も教えてもらっていいですか」

「ええ、モチロンよ」


 スフィア先生のもと生徒のミリとアルムが魔法を教わる。森の中ということで今回教わるのは土と水の魔法のようだ。

 どうやらミリは魔法があまりできないようで拳サイズの土の玉をふらふらと飛ばすが威力がない。そのぶんアルムは高圧ジェット並みの水圧の水の魔法で木々を薙ぎ倒している。


「私は魔法が使えないのでしょうか?」

「ミリちゃん大丈夫よ。人には得意なことと苦手なことがあるからいっぱい練習すればいつかアルムちゃんのように使えるようになれるから頑張ろうね」


 自分の弱い魔法を見て凹むミリをスフィアが必死に慰める。

 スフィアの言う通り人には得意不得意があるからミリには魔法だけにとらわれず他のことにも手を出してほしい。

 プレゼントした剣を活かした戦い方をしてほしい。それでももっと魔法を上手くなりたいと言うなら止めないけど。


 俺はスフィアの要望で的を念力で時々動かして魔法を外させるイタズラ染みたことをしていた。スフィア曰く、魔法をまっすぐ打つのではなく、的を追う魔法の練習だそうだ。


「ムウー、まとがうごいたからはずれた。なんでおにいちゃんこんなイジワルするの?」

「イジワルじゃないよ。これもアルムの魔法の練習の一種だよ。スフィアにお願いされたことだけど」

「そうよ。アルムちゃんだって痛いとわかってて魔法を当たりたくないでしょ?」

「いたいのやだー」

「でしょ?魔物だって痛い魔法がくるのにじっとしていると思う?」

「むー。よけるとおもう」

「タカシさんはアルムの練習を手伝っていますよ。これをイジワルって言ったらタカシさんが可哀想じゃないですか?」

「おにいちゃん、イジワルっていってごめんなさい」

「ちゃんと謝ることができてアルムはえらい。別に気にしてないから大丈夫だよ」


 アルムは動く的に向かって魔法を打つ練習を文句を言うことはなくなった。


『パス、頼みたいことがあるがいいか?』

『はい、マスター。何でしょうか?』

『浮浪児達は何をしている?』

『子供達は一生懸命に多種類の草を集めてます』

『そうか。何かトラブルが起きたら教えてほしい、それと魔物や人が近づく気配を感じたら教えてくれ』

『了解しました』


 薬草を集めている浮浪児達に何か起きればパスが知らせてくれる。これで俺がいながら浮浪児達が怪我することはなさそうだ。それとパスに魔物と人が近づくことを知らせるのを頼んだのは魔物の場合は狩るためとして、人の場合は人気がない森の中で子供だけでいると変なのがくるおそれがある。例えば人身売買に手を出している大人とかね。そういった懸念があるからコードに頼んだ。


『どうやってパスのように周囲がわかるようになるんだ?』

『マスターもできると思いますがこれもマスターからいただいた力の一部です。私の場合はマスターの精神に接続しないと使えませんがマスターも簡単に使えると思いますよ』

『パスの能力はいつか確認するとしてパスは俺に繋がないと使えないのか。俺に接続してどういう風に使うんだ?』

『簡単に説明しますとマスターから常に周囲に向けては出ている脳波を利用して私の感覚をのせているんです。マスターはさらに簡単に周囲に出している自分の脳波を読み取れば半径10メートルほどなら今すぐに使えると思いますよ。他者から発生している脳波を感じとるだけで目を使わないで10メートル以内にいる生き物を把握できますよ』


 パスは簡単そうに言うが聞いているとスゴく難しく聞こえるのは気のせいだろうか?

 脳波って周囲に向かって出ている物なのか?そこは置いといて周囲を把握するのは簡単にできそうにない。

 使えるようになれば色々と活用できるはずだ。


『ダメだ。何も感じない』

『マスターは何かを見ようとしているで上手くいかないのです。私がサポートしますのでそれで徐々に感覚を掴んでください』

『わかった。よろしく頼む』


 パスのサポートのもと俺は周囲を感じ取れるように集中する。

 俺を中心に知覚の触手が掴まえて無理やり周囲に伸ばしているイメージがある。感覚を掴んでいるのはパスがサポートしてやっているのだろうと予想する。


『マスターどうですか?何か見えてきませんか?』

『だんだん知覚が広がっていくのがわかるがまだ何も見えてこない。あともう少しでいけそうな気がするな』


 あと一歩のところまで来ているがどうしても周囲が見えてこない。何かが足りないような、最後のピースがどこを探しても見つからない。


『わかりました。マスターの精神に私が見ている物を見せますが、マスターが周囲を見えるようになるまでこの状況を維持していきます』

『すまない。早くコツを掴めるように頑張るよ』

『いえ、私は以前のマスターに早く戻ってもらいたいのでできる限りのサポートはしていきます』

『昔の俺と今の俺ってもしかして違うのか?』

『はい、今と昔のマスターを比べますとどこか違いますがその違う部分ははっきりとわかりません』


 パスが言うには今と昔の俺はどこか違うらしい。どこが違うのか本人はわからないと言うがそれは相違点を見つけられないだと思う。


『マスター私が周囲を視認している感覚をのせてみましたが上手く周囲を見れていますか?』

『ああ、何でも見えるし感じる』


 パスが周囲を見ている視界は自分を360°見ることができるのかな?それもどんな角度からでも見ることができるようで上から下まで自分の姿を見た。そして自分の瞳を見た。目と視界が見つめあったが瞳に映るのは何もいないのにそこに視界があり、そこにある視界には触れられないのは不思議だ。

 パスの視界は面白い。少し離れた場所を見よう。


『マスター?何をしているので?』


 視界はミリ達を捉えるとすぐさま近づいてじっとり見る。さらに視界は複数に分裂することができ、三つに別れてミリ、アルム、スフィアを360°を見る。

 凄い。三つに別れた視界は動く監視カメラのごとく三つ同時に視認でき、自由に操作できる。


『マスター、もう私のサポートは必要ないようですね。私よりも上手く視界を操作することが確認できました。それに私にはできなかった視界の分裂をできるようになりました』

『ありがとう。自由に動かせるのはこれは周囲を視認できることを自分の物にしたのか』

『いいえ、その能力は昔からマスターが使っていた能力ですので私がサポートをしたきっかけで使い方を思い出したのだと思います』


 これがあれば遠くにある物を視認できる。何かを見張るのに向いている能力だ。視界は大抵見つかることはない。そこに何もないのだから見つからない。

 被験者なら気づけるヤツがいそうだが、視界なら誰が見ていたかわからないだろう。

 視界の一つを浮浪児達の所に飛ばしたことで驚くべきことが判明した。視界には聴覚があることがわかった。視界はリアルタイムでその場所の映像や音声を知ることができる本当の眼には見えない監視カメラだ。


 パスも分裂した視界を操作可能だが、一つだけしか操作できないようで少し残念そうだった。

 視界を活用することにより念力の稼働範囲が広くなった。俺がその場にいなくても移動可能な視界で見ている範囲内で使えるようになった。なので宇宙空間だろうが真空空間だろうが、水の中火の中どこでも念力が届くようになった。

 どこまで届くのか視界を森の奥に飛ばして見せた。


 視界は実体が無いので木や虫をすり抜け、森の奥へ奥へ進む。進む先に歩く木々や古ぼけた檻あったがそれらを目に止めず、森の奥へ視界を飛ばし続けた。

 森の奥と思われる場所には渓谷と言うべきか地面に地下深い地割れがあった。下層には金属ぽい球体があったが空がオレンジ色になりかけており、もうそろそろ街へ帰る時間になった。

 手土産にたまたまそこを通りかかった大人ふた回り以上がある牛の魔物を念力で掴まえてすぐに首の骨を粉々に粉砕した。


「ブモッ?!」


 牛の魔物は短い断末魔を絶てて息絶えた。


『マスター、何か良いものでもありましたか?』

『魔物を掴まえたんだ。金になるかは知らないが、食べられそうな魔物だ』


 牛の魔物を念力で浮かべながら視界を俺達がいる場所に戻した。


「キャー、空から魔物がきました!」

「まものきた。スフィアおねえちゃんにおしえてもらったアルムのみずのまほうでたおしちゃう」

「ミリちゃんちょっと待って、あの魔物首が変な方向に曲がってない?アルムも何の確認をしないで魔法を撃とうしないで」

「ごめん。俺が今倒した魔物なんだ。もう死んでいるから安心して」


 ミリ達に何も言わずに魔物を持ってきたから驚かせちゃった。倒してすぐに言うべきことだった。


「えっ、タカシさんずっと私達と一緒にいましたのにどうやって魔物を倒しに言ったんですか?」

「俺の力で倒したんだ。この力については今練習して覚えたんだけど今色々言えないことがあるからまた聞かないでくれるとたすかるよ」

「説明になってないわよ。タカシは不老族なんだから不老族の不思議な力を使ったんだろうど倒した魔物を持ってくる時は話なさいよ。こっちがビックリするから」

「ごめんよ。次からは気をつけるよ」


 スフィアに怒られてしまった。魔物嫌いのミリがいるんだからミリに対しての気遣いが足りなかったなと心の中で思った。


「タカシさんが持ってきたのですね。魔物が襲って来たんじゃないかと思いましたが安心しました」

「おにいちゃんどうやったの?アルムにだけおしえて」

「あまり話したくないけど言える範囲で言うならたまたまそこにいた魔物の首を俺の物を触れずにへし折ったんだよ」


 この話しは小さい子に話す内容じゃない。グロい部分をオブラートに包んで話せば良かった。目の前に首から上がだらりと垂れ下がった牛の魔物があったんじゃどう話せばわからないけど。


「今日の稼ぎはまずまずと言うことで浮浪児達を集めて帰るぞ」


 浮浪児達と合流して牛の魔物を浮かせて街へ持ち帰ることにした。宙に浮く牛の魔物を見た浮浪児達は物凄く驚かれた。死んでいることがわかるとそれ以上のリアクションはなかった。

 帰りに三時間以上かかるのは困るので浮浪児達が集めた薬草や木の実を念力で浮かせて街まで運んだ。


 念力って持ち運びに便利な能力だ。


 街に着く頃には日が沈みかけており、青白い空が広がっていた。そして街の門も閉まりかけていたのでギリギリ、街の中へ入ることができた。

 そのままギルドに直行して今日の成果を買い取りテーブルに乗せた。


「受付けのお姉さんこれ全部買い取りお願いします」

「はいっ、えっ」


 受付けのお姉さんはテーブルの上に乗った牛の魔物を凝視した。

 牛の魔物は首の骨が粉砕かているからか首がだらりとテーブルの外に血を垂れ流している。それ以外の外傷が無く綺麗な死骸であった。


「これがあなた達のような子供が倒したのですか?いえ、君は空の魔剣師。ということは空の魔剣師が倒したのですね。一緒の野草はその子達が採集きてきた物ですね」


 受付けのお姉さんは俺の顔を見てなにやら納得したように頷いた。魔物は俺だけが狩って、草はミリ達を含む浮浪児達が取ってきたと解釈したようだ。

 ほとんど正解に近かったので指摘はしなかった。


「すみません。空の魔剣師様、こちらの魔物は初めて見る魔物でして調べるために少々お時間をください。ちなみにこの魔物はどこで狩ったのでしょうか?」

「この魔物は森の奥で歩いていたので狩りましたが?」

「森の奥ですね。魔物の群れが起きた森は魔物が一匹もいない報告があったのでその森の反対側の森の奥の魔物ですね?」

「はい、そうです」

「わかりました。調べてきますのでお待ちください」


 受付けのお姉さんはギルドの奥に消えていった。


「おにいちゃん、ギルドのひとどっかいっちゃったよ」

「いっちゃったね。あの魔物を調べるためらしいよ。少しだけ待ってよう」

「アルム、おなかすいたよ」

「アルムちゃん我慢してください。ここが終われば帰れますから」

「はやくおわらないかなー」

「私もお腹空いたわね。タカシ、今日は何を食べるの?」

「今日は屋台で買おうと思ったけど食堂に行くのもありかなって考えていたよ。財布が温かいからね」


 待っている間ミリ達と今日の夕食について相談する。


『パス、気になっていたんだが俺はどうやってパスに能力を渡したんだ?俺がパスを作り出した時か?』


 ミリ達と話している間、脳内ではパスに聞きたかったことや疑問に思っていたことを聞いた。ヒロ達の組織の目を撹乱させるためにあることを思い付いた。


『私は覚えていませんが、マスターが私の体に血を注入したって聞きました』

『なるほど、俺の血であげることができるのか』

『はい、マスターが私に与えたい能力をイメージして血を注入したと言っていましたので今のマスターなら簡単にできるかと思われます。あの子達にマスターの力を与えられるのですか?』

『いや、そうしたらミリ達もヒロが所属する組織に追い回されることになる。ヒロ達がどう組織なのかわからない。ヒロ達の言葉をそのまま信じられるかは信じきれない以上、ミリ達も能力を持ったらその組織に保護として監視下に置かれる。それが幸せなのか、不幸なのか、俺にはわからない。俺が今できるのは現状維持だ』

『そうですか。何故にこの事を聞かれたのですか?』

『ちょっとしたことをしようとするからね。今俺がやろうとしていることは本人にとって今だけは感謝されるだろうと思うけど今後本人に恨まれるかもね』

『そうですか。マスターが決めたことに従います』


 ハンリーに能力を与えようと思っているが与えたことによってヒロ達がどう動くのかわからない。ヒロ達がどう動くのかによってミリ達に能力与えるかどうか変わってくる。

 俺はハンリーをヒロ達に対しての撒き餌にする。

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