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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第三章 ルルーンの街
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バーコード

 伯爵家で起きた事件は俺達は無関係であるがいろいろ知りすぎたことを悟られることなく伯爵家から脱出することができた。

 伯爵も今の状況を回りに知らせたくはないだろうから俺はミリ達に美味しい物を食べさせてもらったから伯爵家であった出来事を言いふらすつもりはない。


「タカシさん、仕事に出かけるのですか?」

「この街から出ていくまで少しでも稼ぎたいからな」

「貴族様からあんなにお金もらっといてまだ欲しいの?」

「おかねもっとほしい?」

「伯爵様からもらったお金と自分で稼いだお金を合わせてそれなりの金額になったけどまだ足りないって思うんだ。だから今日は仕事を探しにギルドに行くよ」


 伯爵から大金ももらったから数年レベルでの暮らしも困りしなくなったがニートになるつもりはない。

 それと金は有限で使っていけばいつかはなくなる。だからいい暮らしをミリ達にさせたいならば仕事をしなければならない。


 俺達はギルドに行く前に荷物を置く為に家に向かった。

 台座の隠し扉のスイッチを押して梯子を降りた小部屋には人がベッドに座っていた。


「誰ですか?」


 座っていたのは昨晩刺客として伯爵家で出会ったヒロだった。

 ミリ達は自分達の秘密の場所に知らない人がいることに不安な顔をする。


 無理もないミリ達はヒロとは初対面であの時はミリ達はぐっすり寝ていたのだから不安になるだろう。


「やっと来た。ここに来ると思ってずっと待っていたのにずいぶん遅かったじゃないか」

「ヒロ、何しに来た。お前は俺を見逃してくれたんじゃないのか?それとも上司に怒られて俺を捕まえに来たのなら無理にでも諦めてもらうぞ」

「えっ、タカシの知り合いなの?ってことはこの人も不老族!」

「不老族!!」


 どうして初対面の俺の知り合いが不老族なのか説明してもらいたい。ヒロも被験者だから不老族ってあっているんだけど。


「タカシの恋人かな。みんな幼いね。タカシってもしかしてロリコンなのかな?」

「ふざけたことを言ってないで答えろよ」

「まぁまぁ、そんなにイライラしないで。この国の言語はほとんどわからないけど小さい子達がなんて言ったか想像はつくな。これでしょ?」


 ヒロは左手首についている被験者を表すバーコードの腕輪を見せる。


「シマシマのうでわだ!」

「タカシさんと一緒ですよ」

「彼もタカシと同じ不老族なのね!」


 ヒロがバーコード腕輪を見せただけでミリ達のテンションが上がる。


「で?用件は何?それともシマシマのブレスレットを見せつけに来ただけなの?それなら用件はすんだから帰ったらどう?」

「タカシはつれないな。小さい子達はこんなに喜んでいるのに君はどうしてイライラしているのかな。もしかしてヤキモチかな。僕に小さい子達を取られて焼いているのかな」

「帰らないと飛ばすよ?」

「ちょっと茶化しただけじゃないか、そう怒らないでよ。君に教えたいことがあるのにな。あっ!それと僕の言葉は小さい子達にはわからないよ」

「何故ミリ達にはわからないんだ?」

「君は全ての言語が一つの言語として理解できるから実感はないだろうけど僕がしゃべっている言語と小さい子達が使う言語が違うから僕がこうしてしゃべり続けても彼女達は理解できない」


 ヒロとミリ達が使う言語が違うからミリ達はヒロの言葉を理解できない。だが俺は同じ言葉に聞こえる。

 俺が二つの言語が同じ言語にとして聞こえる原因がなんなのかヒロは知っているようだ。


「なぁ、コイツがなんて言ったかわかるか?」

「なんて言ったかですか?いえ、私にはわかりませんでした」

「アルムにはわからないよ」

「私達が不老族の言葉を理解できるわけないでしょ?それとしてなんの話をしているか詳しく話しなさいよ」

「スフィアの会う通りです。タカシさんのお友達の不老族がなんでここにいるのか知りたいです」

「不老族の言葉も教えないさいよ」


 ヒロが言った通りミリ達にはヒロの言葉がわからないみたいで本当に違う言語ようだ。


「僕が言った通りでしょ?でも僕はこの国で使われている言語を話せるんだ。コンニチハ、ボクノナマエハ、ヒロトイイマス。キョウハ、タカシト、オハナシニキタ」

「あっ!私達の言葉話せるんですね」

「私はスフィアって言います」

「アルムっていうの」

「二人ともズルいですよ。私はミリって言います」


 ヒロは急に片言で喋り出すとミリ達が嬉しそうに反応した。特に不老族大好きなミリとスフィアが。


「ほらね。って言っても実感がないからわからないか。僕は少しだけ話せるし、彼女達の話していることは少しだけわかる。君にこんな話をし来たんじゃないんだけど、あーこんな時間になっちゃったよ。こんなことならタカシを迎えにいけばよかったかな。用件だけ言うよ」


 ヒロはどこからともなくポケットサイズの超薄型タブレットを取り出して時間を確認すると眉を歪ませる。


「なぁ。用件ってなんなんだよ?」

「そう嫌な顔をしないでよ。もしかしたら君にとっていい話かもしれないじゃないか」

「いい話なのか?」

「それは言わないとわからないよ。用件って言うのは君のバーコードのことなんだ」

「バーコード?」


 俺が付けているバーコードの腕輪を言っているのか。昔から付けているが特に変わった様子はない。思い付くおかしな点があるって言えばあるんだが、おかしいと言うより不思議な現象だ。

 数日前に空気のヤロウに復讐して返り討ちあった時、両足と右腕を切断された時だ。たまたま通りすがりの被験者に腕の欠損を直してもらってバーコードがついているはずがないのに切断された腕についていた腕輪が直してもらった腕に付いていた。そしてアシュティアが付いていた方の腕を持って来たのを確認したがその腕にはバーコードが付いていなかった。いや、違うな、アシュティアが持っていたのは右腕だ。バーコードが付いていたのは左腕のはずだからたまたま通りすがりの被験者は左腕を拾って付けただけなのか?


 バーコードについてヒロは何を話すと言うのか。


「そう。君のバーコードは意思を持っていると思うけど僕が所属している国は勘違いしたようであの娘達の中に何かしらの能力を持っているって思っているようなんだ」

「待って、俺の聞き間違いなのかバーコードが意思を持っているっているって言わなかったか?」

「あぁ。言ったとも。君のバーコードは意思を持っていて何かしらの能力を持っているってことも。昨晩君と会って気づいたけど僕は君のバーコードと話すこともできないし、バーコードの能力なんてわからないよ」


 ヒロが言っていることがわからなくなってきた。ヒロが言うには意思を持っていて、被験者と同様に能力を持っていると言う。聞いていてもだんだんわからなくなる。

 この際能力云々は置いといて、生き物じゃないのに意思がある。機械のAIなら理解できるがただの腕輪が意思を持つなんてあり得ない。ヒロが俺をからかうために嘘をついているに決まっている。


「そんなのあり得ないぞ!」

「えっ?君がそれを作ったんじゃないの?試しにバーコードを問いかけてみたら?物に意思を生み付ける能力を持っている友達が言うには物に意思があるという認識で問いかけると話せるようになるらしいよ。やってみなよ」


 どうやっても嘘をついているようには見えないヒロに騙されたと思ってバーコードに意思があると頑張って思い込んで心の中で問いかける。

 前にやったことがあるようなないようなと思いながらバーコードに問いかける。


『...ちはは...』

「うわっ。しゃべった!」


 バーコードの声は脳内に直接語りかけてくる感じがした。

 ヒロが言う通りにしたらバーコードから声が聞こえた。男声なのか女声なのかわからない中声的な声で俺を呼んでいた。


「あれ!タカシ気づいてなかったの?それとも研究所で記憶を消されたのかな?もしかしたらタカシ自信で消したかもしれないな。僕は用件が済んだから帰るよ。気をつけてね」


 ヒロがなんで知っているのか不思議だが、そんなのはどうでもいい。このバーコードに聞きたいことがある。

 研究所で過ごした記憶がいろいろ矛盾しているからその件と俺の能力が複数あるということ。その二つの件を聞きたい。

 ヒロは煙のように消えて帰った後、俺はバーコードに話しかけた。


「バーコードお前は一体なんなんだ?なんで意思を持っている?いつから意思を持っていて研究所で起きたことを覚えているのか」

『父母、そんなにいくつも質問されると回答に困ります。まず一つずつからお願いします』

「そうだな。すまなかった」


 バーコードに謝る。


『それでは父母の最初の質問に答えましょう。私は父母から自己意思をいただきました。ただの腕輪です』

「俺がお前に?」

『はい、私は父母の話し相手として一人の友達になれるようにと父母の力で意思を数年前に与えられました』

「研究所ののことは覚えているのか?」

『いいえ、私はただの腕輪なのでご覧の通り目や耳がありませんので父母の精神に接続して父母の目と耳を借りないと周囲を見ることができません。父母が他者に私を見つかるのを恐れていたので私を隠す為に接続を切断させた状態でしたので父母の部屋以外はわかりません』

「そうか」


 俺がこの腕輪に意識を与えた?作り出したのは本当のようだ。この腕輪に細工した記憶はないが不思議と懐かしさを感じる。

 もしかしたら俺はあらかじめ研究所から記憶処理を受けるかもしれないと思っていたら前もってバーコードに情報を託していたりして、もしくは長い間一緒にいたようだから俺の能力を把握しているかもしれない。


「俺に教えることはないのか。例えは俺の能力ですか」

『そういえば、伝えなければならないことがありました。研究所の奴らは俺を殺すことはデメリットがありすぎるからしないだそうです』

「俺を殺すことがデメリット?」

『はい、父母の能力を考えてデメリットがあるとか言ってました』


 研究所の奴らが俺を殺すことを渋る程のことなのか。一体俺の能力は一体なんなんだ。


「タカシさん!一体どうしたのですか?ヒロさんが消えてから一人でぶつぶつ言っていましたよ」

「おにいちゃんもうすこしやすむ?」

「えっ?ヒロが消えてから?」

「そうよ。いきなり一人で誰かと話しているように一人でしゃべり出したじゃないの。誰と話していたのよ」


 どうやらバーコードの声は直接脳に語りかけているから回りにはバーコードの声が聞こえないようだ。

 それにしても俺はぶつぶつと一人でしゃべっていたなんてとんだ狂人だ。三人が俺を心配する理由が頷ける。


「誰って、それは」

『父母待ってください!私のことをこの子達に話すのは止めた方がいいかと』


 ミリ達にバーコードについて話そうとしたがバーコードからストップがかかった。


『私のことを話すと私に意識があることを信じてもらえず父母が狂人として扱われるおそれがあります。信じてもらえたとしても第三者の耳に入ってトラブルの原因になるかと思われますので話すのはベストではないと思います』


 ミリ達が誰かに話すとは思っていない。そしてバーコードについて話してもミリ達は必ず信じてくれるはず。(特に不老スキーなミリとスフィアは絶対に)ただ長年腕に引っ付いているバーコードの助言だ。無視するのは俺の中でいいことではない気がする。


「いや、なんでもない。ちょっと寝すぎてボーとしていたみたいだ。今は目が覚めたから大丈夫」


 無理に誤魔化した。


「それならいいですが何かあったらちゃんと言ってくださいよ」

「ほんとにー?ベスはどうおもう?」

「変な誤魔化し方してタカシは何か隠しているんじゃないの?ヒロって言う不老族から何を教えられたかは知らないけどそれで誤魔化しているつもりなの?」

「えっ?何か隠しているのですか?」

「まっ、そうなんだけど今は言えないから。ヒロとのやり取りは忘れてほしいな」

「アルムしりたーい」


 ミリ達はヒロの言葉がわからなくても俺の言葉がわかるってことを忘れていた。俺の口から聞いたのは断片的な内容で幼いアルムを除いてミリやスフィアでは何を指しているのか理解できない単語があったはずだから俺がぶつぶつとバーコードと話していた時もただ単に独り言を呟いていたように見えていたと思われる。


『私と父母は精神的に接続しているので声を出さずとも脳内で会話が可能ですよ』

『マジか。それを先に言ってほしかったよ』

『すみません。久々の接続だったので少しだけ舞い上がりました』


 バーコードから久々に俺と話しができて嬉しいと言われた。

 今はミリ達から知られないようにバーコードとのやり取りは脳内で話し合うことになった。バーコードが言うには不確定要素とトラブル発生起因があるから今は話すべきではないそうで、もう少しこの国のことやヒロ達が所属する国の情報が少ないからミリ達に話すのはある程度の情報が集まってからがいいそうだ。


「また、ぼーとして本当にどうしたのよ?」

「ごめん。もう大丈夫だから安心して。荷物を置いたしギルドに仕事探しにいこう」


 隠し部屋の扉をしまったのを確認して廃墟から出ていく。


『父母待ってください。出口に何人かいます。気を付けてください』

『何人かいるって、俺達が出てくるのを待っているってことか?』

『はい、父母が廃墟に入ってから集まって父母達を待っている挙動が見られます』

『あのさ、俺を父母と呼ぶの止めてくれないか?バーコードに意識を与えたかもしれないけどもっと他の呼び方ってあるでしょ』

『では父母も私をバーコードと呼ぶのを止めてください。前見たいにパスと呼んでください』

『わかった。じゃあ俺をマスターと呼んでくれ。出口にスタンバっている奴らがいるのは本当なんだな?』


 バーコード改め、パスとお互いの呼び名を決めて本題に入った。


『はい、動く気配がありませんから敵対者からの待ち伏せかもしれません』


 敵対者か。昨日、伯爵様が乗る馬車を貧民街に移動させた奴らが仕返しに来たか。


「外に誰か集まっているぞ。三人は俺の後ろに隠れてくれ」

「外に出てないのになんでそんなことわかるのよ」

「スフィアちゃんそれはタカシさんですからしょうがないですよ」

「おにいちゃんがいうからほんとうにそとにだれかいる」

「昼間なんだから外に誰かしら出歩いているでしょう。大げさじゃないの?」

「出てみればわかる。ちょっと外を見てくる」


 外から気づかれないように窓から様子を見る。パスが言っていた通り外には複数の人影が見える。だがスフィアに言われた通り俺は少し大げさだったようだ。


「お前ら人の縄張りで許可なく勝手に住みやがって、覚悟は出来ているだろうな」


 俺はミリ達を引き連れ複数の人影の前に出る。

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