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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第三章 ルルーンの街
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何も知らない

 扉を開けるとルーカさんと似たような格好をした男二人がいた。

 服装はルーカさんと比べると男二人の方が質が良く値段も高そうななのでルーカの上司と言うより騎士団長クラスのようだ。

 ルーカさんがどこの所属しているのかは知らないけど。


「私達は伯爵様の元で騎士団長を勤めている者で君達は昨晩何をしていたのか話を聞かせてもらいたい」

「何かあったのですか?」

「悪いが詳しい話しはできない」


 やはり騎士団長が事情聴取しに来た。

 屋敷に不審者が出たことしか知らないミリは不安そうな顔をして、ジャージの裾を握っている。そんなミリの表情を見てか、騎士団長達は自分達の口から何も言えないことをもう訳なさそうにしている。

 口止めされてなくても小さな子供に人が殺されたとはストレートに言わない。騎士団長達は俺達の様な子供が大人三人を殺害できないと思っているだろう。仕事で念の為に来て身元不明な子供4人から最低限の情報を聞き出すだけだ。


「昨晩ですか?僕達は部屋で寝てましたよ」

「寝ていたか。誰か怪しい人影を見たとか不審な物音や声を聞いたとかはないか?」

「私も寝ていたのでわかりません。お役にたてずすみません」

「いや、謝らなくていいんだ。ただ俺達は昨晩のことを聞きたかっただけなんだ」


 俺とミリは騎士団長達の質問に当たり障りない答えを返した。

 騎士団長達は伯爵の恩人の俺達を悪者にしたくないらしいく、今回の件も波風をたてずにそっと終わらせたいと思っているのかもしれない。


 屋敷の警備をしている者が不審者の侵入を許し、あまつさえ人が三人も殺されてしまった。他者に広まれば自分達の無能さが広まると同じ、伯爵の顔に泥を塗るかもしれないと。

 さっさと犯人を捕まえてこの事件を終わらせて闇に葬ろうと考えているに違いない。


「団長、待ってください。メイドの話しだとあと二人子供がいると聞いてます。その子供達にも話を聞かせてもらわないと」

「ああ、お前に言われなくてもわかっている。度々すまないがその子供は?」

「アルムちゃんとスフィアちゃんならベッドでまだ寝ていますが」


 ミリがベッドを指す。ベッドからアルムやスフィアのスウスウと寝息が聞こえる。


「起こしてもらってもいいか?俺達も仕事なんだ」

「あの娘達も十分寝たと思いますので起こしても問題ないと思いますが、彼女達に聞いても僕達と大差ないと思いますよ」

「それもそうか。なら俺達は失礼する。何かわかったらメイドや騎士達に声をかけてくれ」

「はい、わかりました」


 アルム達の安眠は守られ、騎士団長達はそう言うとメイド達が忙しく駆け回る廊下へと戻っていった。


「行きましたね」

「そうだね。不審者早く見つかるといいね」

「タカシさん、うのの続きをしたいのですがいいでしょうか?」

「ごめん、急に来たもんだから」


 リュックサックモドキにしまったタブレットを取り出してミリに渡す。タブレットはスリープモードで画面を閉じただけで続きからプレイできるのでミリは朝食までやり続けた。


「うーん。おにいちゃんどこ?」

「ファワー。良く寝た」


 騎士団長達の事情聴取が終わってから数時間経ってようやくアルムとスフィアが起きた。


「二人ともおはよう」

「おにいちゃんおはよう。ベスもおはよう」

「タカシおはよう。何かあったの?部屋の外が騒がしいようだけど」


 朝の挨拶を交わし、アルムは寝ぼけた眼でタカシに駆け寄り、大事そうに抱えたベスもおはようと答えるようにプルルンと揺れる。スフィアは部屋の外が気になるらしく不思議そうにしている。


「不審者が出たみたいだよ。時間が経てば静かになるさ。それまで俺達は大人しくしているしかないかな」

「そうなの?不審者が出たとは思えない慌ただしさを感じるけど」

「気のせいじゃないのか」

「そうかしら」


 本当は殺人が起きたのはミリ同様に二人には絶対に秘密だ。小さな女の子には人が死んだと言うには重すぎる。例え、ミリ達にとって全く知らない人でも精神衛生的に問題であり、心苦しい思いさせると思う。


「ねぇ、おにいちゃん。ミリおねえちゃん何しているの?」

「UNOだよ。昨日、フォスティアがやっていたゲームと同じ物しているんだよ」

「うわ!アルムちゃんいきなり体重を掛けないでくださいよ。ビックリしてたぶれっとを落としそうになりましたよ」


 アルムがタブレットを抱えてUNOに熱中するミリに気付いてタブレットを覗き込んでいた。熱中しすぎて回りが見えてなかったみたいだ。

 ミリはようやくアルム達が起きたことに気付いた。


「昨日の貴族の子がやっていた物?」

「そうだよ。次、ミリから貸してもらいな」

「つぎはアルムがやるの!ミリおねえちゃんつぎ、アルムね」

「わかりました。もうすぐ終わりますから変な所に触れないでください。あっ!それ二枚一緒に出せたのに」


 アルムはUNOに興味津々でミリがプレイしているタブレットに食い付いて、誤ってタブレットの触れてしまい場に変なカードを出してしまったようでそれを起因にNPCに負けてしまったらしい。


「負けてしまいました。約束なので次はアルムちゃんですね」

「ありがとう。ミリおねえちゃん。これってどうあそぶの?」


 当然アルムもルールも遊び方を知らないので俺がミリに教えたようにミリからアルムに遊び方を伝授している。二人の隣でスフィアがミリの説明聞いてアルムがプレイする画面を見ながらルールを覚えようとしている。

 その後、アルムとスフィアが二回ずつプレイしたのを確認した。


「今度はみんなで遊べる物にするか」

「みんなできる物があるんですか?」

「ああ、もちろんある。それも一つじゃない」


 タブレットの中には暇つぶしのゲームから複数で遊べるゲームまである。元持ち主の趣味でこんなに入れてあるのかは不明であるが、今は数多くのゲームが入っていることに感謝している。


「トランプとかも面白いと思ったけどみんなでタブレットでやると限られる物でしかできなくなるし、これかな」


 タブレットのゲームフォルダの中に入っている『スゴロクゲーム』と書かれたサイコロのロゴをタップする。


「それは何なの?」

「タカシさんが言う、みんなでできるゲームなのですか」

「とらんぷ?」


 三者三様のリアクションする。


「これはスゴロクって言って大勢で遊ぶゲームなんだ」

「どうやってあそぶの?」

「それはな、説明していくと一人一人順番ずつこのルーレットを回して1から9までの出た数字の分だけマスを進める」


 進めるマスは自動で進む。数字が読めないミリ達も安心だ。


「で止まったマスにはイベントがある。例えばこのゲームだと何マス進むとか戻るとかだな。悪ければスタートマスに戻る場合もあるが。先にゴールマスに辿り着いた人が勝ちだ。簡単にこのゲームを説明するにはこんなもんだ」


 UNOと同様にザックリとした説明だが、みんながこれで理解してくれると助かる。


「結構、面白そうじゃない」

「それはそうとタカシさん、ずっとテーブルの上に置いてあるこれはなんでしょうか?中に入っている液体が変な色をしているのですが」


 ミリが言っている液体というのはヒロが何本か置いていったジュースである。中のジュースの色は赤や緑、青など彩り緑な色合いをいて美味しそうである。


「それ?飲み物だよ。甘くて美味しいから飲んでみなよ」


 ジュースの蓋を開けてミリに渡す。俺が口をつけたジュースではない方を。

 ミリは受け取り、一口含み飲む。


「甘くて美味しいです」

「ミリおねえちゃん、アルムものみたーい」

「ミリちゃん私も」

「その青いジュースも飲んでいいからね」


 アルムとスフィアがジュースをの飲み、タカシは自分が口をつけたジュース飲んでいると。


「おにいちゃんがのんでいるのってあれと同じもの?でも色が違う」

「同じやつだけど味が違うよ」


 ミリ達が飲んでいるのは赤いジュースで俺が飲んでいるのは緑色だ。俺が飲んでいるのはパッケージにメロンソーダと書かれている。ミリ達のはイチゴソーダと書かれており、イチゴの味するのだと思う。

 アルムは自分達が飲んでいる物とは違うジュースをタカシが飲んでいることに気付いて興味を示したようだ。


「飲む?」

「うん。のむ」


 イチゴのジュースはもうすでに飲み干されており、ミリとスフィアが青色のジュース、ブルーベリーソーダを味わって飲んでいた。


「むぅ。これあかいのと同おねじあじがする。なんで?ベスわかる?」


 このジュースは甘い炭酸で科学着色料をつけただけのただ甘い飲み物だ。メロンとかイチゴといった味はその色合いで果物の味感じるだけで本当の味は甘い味しかしない。見た目の色合いで騙されているだけで本当はイチゴやメロンの味はしない。

 イチゴソーダとメロンソーダを飲み比べて同じ味だと思ったアルムはもしかすると味に敏感なのかもしれない。


 アルムは味を調べる為にベスにもあげているがスライムであるベスにジュースを飲ましても味の感想を聞けることはない。そもそも口の位置がわからないのに味覚を聞いてもしょうがないと思うのだが。味覚があるのか怪しく思う。

 言葉を発することができないベスはプルプルと震えるのみでタカシはベスは何を言っているのかわからなかったがアルムはベスが言わんとしていることがわかるようでベスに話しかけている姿を度々目撃している。

 今回もベスはアルムの腕の中でプルプル震えるだけでアルムがそれを何と解釈して「ベスもそうおもうよね」と語りかけている。

 ジュースを飲み終えて空になったペットボトルはリュックサックモドキにしまう。

 空になったペットボトルは今後、水筒として使っていくつもりだ。丁度水筒を何処かのお店で買おうとしていたのでラッキーである。


 タカシは知らなかった。この世界で出回っている水筒として使われる水袋は大型動物の膀胱や胃袋を加工した物が主流のことを。そしてペットボトルも十分なオーバーテクノロジーであることは数日後に気付くのであった。


「タカシさん美味しかったです。あの飲み物は何なのですか?!」

「そうよ。私だって初めて見たし、美味し過ぎるわ」

「ソーダって言う飲み物だよ。ちょっとした知り合いからもらったんだ。ソーダを飲んだことは秘密だからな」


 三本のジュースはヒロから持ったものだ。屋敷の人達に見つからずに中身だけを消費させたかったし、ミリ達の多少腹の足しになっただろう。

 不審な液体が入ったペットボトルなんて怪しすぎる。どこで手に入れたと問われたらヒロ達のことをみんなに話すことになってしまう。


 ミリ達は特に誰から貰った物とか気にしていなく、美味しそうに飲んでいたのでジュースのことは秘密にしてもらった。

 このまま帰りたいところだが、この状況で帰ったら何か裏があるのではないかと疑われる可能性が出てくる。

 俺達は待つことになったのはいいが余りやることがない。いつになったら解放されるのかはさだかではない。


 人生ゲームを三人に説明しながら遊んで時間を消費させていく。

 4人で遊ぶ時間が楽しく経過して、終わりの知らせるノック音と声が部屋に響く。


「お客様、朝食の準備ができたので来てください」


 タブレットをリュックサックモドキに素早くしまう。


「もう終わりですか」

「あっとちょっとで一番で抜けたのに」

「後でできるから早く行こうよ。伯爵様達が待っているから」

「おにいちゃんそれほんと?やくそくだよ」

「ああ、約束だ。帰ったら遊ぼう」


 ミリとスフィアはゲームが終わりとわかるとがっかりしていた。

 家(廃墟の地下)に帰ったらいっぱいできる。それまでは我慢して欲しい。

 俺達四人はメイドの案内の下食堂に付くと伯爵達が先に椅子に座っていた。 伯爵はむしゃくしゃしている雰囲気を漂わせている。アシュティアは不安そうにしているがフォスティアは昨日と変わらず平然としているが、食堂の中はギクシャクしていた。


「ようやく来たか。ギアル朝食を持ってきてくれ」

「はい、旦那様」


 伯爵の一声でメイド達がテーブルに料理を並べる。


「騒がしくてすまない。ちょっと揉め事があって」

「揉め事と言いますと?何かあったのですか?」


 ルーカさんやメイドから聞いたから多少知っているが何も知らないでいる方が俺達が疑われる可能性が引くくなる。俺にしゃべったルーカやメイドが上司に怒られることはないだろう。


「つまらないことだ。タカシが気にすることではない」

「わかりました。僕が知らない方が良さそうですね」

「そう言ってもらえるとこちらとして助かる。朝食が並べ終わったな食べようか」


 伯爵は事件について話したくないようで無理矢理に話を誤魔化して終わらせた。

 俺が不審者が出たことを教えたミリは空気を読んで黙っている。寝ていて知らないアルムとスフィアも俺やミリの顔を見て黙っている。


 朝食はシンプルに普通のパンとサラダだ。

 殺人が起こったことを知らない体でいる俺は朝食を食べる。

 パンは何もつけてないのでパンオンリーな味しかしなかった。サラダは塩とオリーブオイルを混ぜたドレシッグがかかっており、さっぱりした味わいで美味しかった。


「これからタカシはどうするんだ?」

「冒険者なので魔物を狩って暮らしていく予定です」

「タカシは冒険者なのか。どうだ?私に仕える気はないか?」

「旅をしていろいろな物を見て回りたいのでお断りします。僕みたいな得体のしれない人物なんかよりギルドで紹介された人の方がいいかと思います。例えば地道に活動して有名になられた方とか」


 やっぱり俺を勧誘してきたか。

 最初に断る理由を延べてから断った。アルム達の約束もあるけど安定した職につけるのは嬉しく思う。


 この世界が異世界なのがわかったうえでの大きな理由は一つの場所に長く止まるとヒロ達所属する組織に見つかる恐れがあるからだ。

 昨晩はヒロが見逃してくれたが次は誰が来るかわからない。ヒロ達が被験者の保護を掲げているが保護する方法が説得などの平和的な手法だけではないはずだ。

 暴力的な過激な方法を取る人間が少なからずいるかもしれない。拉致のような誘拐的な手法が得意な被験者だっているかもしれない。

 なので街に止まるのは危険である。

 街の住人が惨殺される可能性を含めて俺が街にずっといるのは街にとっても不幸でしかないから次の街にいくしかないのだ。


「そうか。タカシ達は次はどこに向かうんだ?」

「まだ考えていませんでしたが、いろいろな物が集まりそうなこの国の首都ではなく王都に向かおうと思います」


 王都だと情報が集まりそうでスフィアの故郷やアルムの家族について得られそうなので向かうことにした。


「数日はこの街にいるのか?」

「はい、旅の準備もろくにしていないので三日後には街から出ていくつもりです」

「そうか」

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