表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第三章 ルルーンの街
38/126

お礼とサイボーグ少女再び

 俺達はテーブルに並べられた料理を美味しくいただいた。俺達四人はテーブルマナーを知らなかったけど伯爵は気にしないでもらえた。最後まで伯爵側から特に何も言われることのなく食事が終わった。

 ミリ達も今までに食べたことのない料理ばかりでしゃべることを忘れて料理を食べることに集中していた。


「タカシ、料理の味はどうだったのかね」

「とても美味しかったです。特にトロトロのスープがクリーミーな上に入っていたお肉がとても柔らかくて美味しかったです」

「そうか。気に入ってくれて良かった」


 食べ終わり、食後に出された黄緑色のお茶を飲み、伯爵に料理の感想を求められて一番美味しかったスープについて感想を述べた。


 食後に出された黄緑色のお茶はほんのりと上品な甘味があり食後のデザートの代わりとしては物足りないが美味しく飲めた。

 金銭的な問題がない貴族の屋敷では食後のデザートが出てきそうだがデザートが出てくる様子がない。上流階級の家では食後に甘い物を食べる文化がないがその代わりに甘いお茶を楽しむみたいなことなのだろう。

 漫画でも食後の後にお茶を飲むシーンがいくつかあったから食後にお茶を飲むのは珍しくないが食後にお茶を飲みながら話しをするのは一般的なことなのだろうか。

 後で食文化や風習をフォスティアにでも聞いてみよう。


「あのタカシ様、来ているなら教えてほしかったです。聞けばフォス、フォスティアはタカシ様達とお部屋で楽しくお話をしていたようで私も混ざりたかったです」


 アシュティアがフォスティアをギロリと睨む。


「それはお姉様がお勉強をなさいましたから邪魔をするのは不味いと考えまして、それにメイド達からにもお姉様のお勉強の邪魔をしてはいけないと釘を刺されていましたの」


 元々、言い訳を用意していたのかフォスティアはアシュティアを呼ばなかった理由を説明した。

 勉強は大事だから俺なんかよりも優先でやるべきことだ。勉強を終わらせてその後に遊べばいいと思う。


「それでも教えてほしかったですのよ。フォス」

「お姉様ごめんなさい。次、タカシ様が遊びに来たらお姉様もお誘いします」

「次は私のことを忘れずにですよ。それとタカシさんも来るときは私にもお知らせくださいね。この事は使用人にも伝えますから。絶対ですよ」


 姉妹の仲のいい光景を目にすることができたが、何故だか知らないが遊びに来るときはアシュティアに知らせることになった。


「それはいい考えだ。タカシなら家にいつでも歓迎しよう。それとギアル例の物を持ってきてくれ」

「はい旦那様。こちらがフローレイティ家の家紋が彫られたペンダントと50万ニヤドになります」


 俺達を食堂に連れてきた執事のギアルがトレイの上に中身がぎっしり詰まったどでかい皮袋とペンダントを乗せて持ってきた。


「タカシこれが私と愛娘を助けてくれた謝礼金と我が家紋のペンダントだ」

「ニヤド?」


 50万ニヤド?50万は数字でわかるが、ニヤド聞いたことのない単語だ。数字の後に付いていることは単位なのは予想できるがそれは何の単位なのか検討もつかない。ミリ達を見てもみんな?を浮かべている。


「タカシには大金過ぎて実感がわかないのはわかるが私達はそれほどタカシに感謝しているんだよ。だからお礼として受け取ってほしい」

「お父様、タカシ様達はそれで首を傾げているわけではないと思いますわ。平民のほとんどはニヤドの硬貨を白金貨、金貨、銀貨、銅貨、鉄貨と枚数で認識していると聞きます。それでタカシ様達は困惑しているのかと思いますので簡単に説明してみてはどうでしょうか」

「お?、仕事の癖でうっかりしていた。すまないタカシ。簡単に説明するとニヤドとはこの国を含む7ヵ国で流通している通貨なのだ」


 俺達は金貨1枚2枚と数えていたが通貨に単位があるなんて初めて知った。


「通貨ですか。ニヤドは今までに聞いたことがなかったのですが何故なのでしょうか?」

「私にも深く考えたことがないくてな。わからないが平民の間の中でその数え方が最もわかり易いのではないのか。この国に学園がないのが起因している。通うにも隣の国に数ヶ月の長旅が必要で平民でも大棚の商会の所の子供がその国の学園で学ぶのがやっとだろう」


 伯爵の言葉を聞いて平民で文字の読み書きができて充分な感覚なのだろう。そして計算できるのはごく一部。酷ければ読み書きができない大人がいそうだ。

 そして下級貴族や貧乏貴族でも長男長女を学園に通わせるのがせいぜいらしい。下の子は王都で男なら騎士に、女なら侍女になるのが定着しているとのこと。

 一握りの中には変わり種で冒険者の道に進む子もいるがその多くは親に反対されるケースらしく、親の元から逃げ出して冒険者になるらしい。


「タカシ様。鉄貨が1ニヤド、銅貨が10ニヤド、銀貨が100ニヤド、金貨が1000ニヤド、白金貨10000ニヤドと数えるんですよ」

「そういうことはあの皮袋の中身は」

「そうとも、中身は白金貨50枚が入っている。それとペンダントなのだが、これをタカシが身に付けることによってタカシの後ろにはフローレイティ家が付いていることと身元を保証していると意味をしている」


 やはり執事のギアルさんが「フローレイティ家の家紋が彫られている」と言った時に薄々勘づいていたのだが、先手を打たれてしまったようだ。

 そう言われて今さら「結構です」と断れ難い。俺にはそういう勇気を持ち合わせていない優男だ。

 それに大金で注意を反らしてペンダントを渡すのは少し嫌らしいさを感じる。

 もし、俺がそのペンダント付けた状態で他の貴族に見られたら、フローレイティ家に支えていると思われても不思議ではない。

 しぶしぶ受け取るしかない。


「ありがたくいただきます」


 お金が入った袋を受け取り、リュックサックモドキの中にしまい。ペンダントはジャージのポケットにしまった。


「お父様、夕食が終わりましたのでもうお部屋に戻ってもよろしいでしょうか?」

「ああ、いいとも。タカシ達も疲れているだろう?今夜はゆっくり休んでくれたまえ」

「タカシ様、先程はフォスと、フォスティアといっぱいお話をしましたが、今度私も混ぜてください。みんなでいっぱいお話ししましょう」

「お姉様それはとてもいい考えです。眠りに落ちるまでタカシ様には冒険の話をしてもらいしょう」

「コラコラ、あんまり夜遅くまで起きないてくれよ。誰か夜遅くに娘達が寝たのか確認してくれ」

「かしこまりました。私目がお嬢様方がいつもの時間にお休みになられたのか確認しますので今日は旦那様もお早めにお休みください」

「ああ、わかった。明日も予定があるしな。ギルド長から預かった資料を確認したら休むとしよう」


 伯爵は執事のギアルを連れて食堂から去っていた。


「タカシ様、私の部屋に行きましょ。あなた達も」

「俺は寝たいんだが」

「えっ!タカシ様、フォスティアから聞きましたが夕食までお昼寝していたことを知っているんですよ」

「それはだな」


 昼寝をした理由を話そうとしたがうるっとしたアシュティアの瞳を見ていると罪悪感が沸いてきたので理由を話すのをやめて大人しくアシュティアの後ろに付いていく。

 ミリ達はアシュティア達の部屋が気になっているようで大人しくフォスティアの後を付いている。


 貴族のお嬢様がどんな暮らしをしているのか気になる気持ちがわかる。

 どんな家具があるのかとかベッドはフワフワで凄い寝心地なのかとミリやスフィアは小声で話をしているが聞こえた。アルムは興味は無さそうだが二人が付いて行くから自分も一緒に付いていっているようだ。


「そういえば、そこのエルフの子は初めて見ましたがお名前はなんでしょうか。街に入る時にはいませんでしたよね?フォス」

「はい、お姉様。スフィアちゃんは街に入る時はいなかったけどタカシ様の話だと悪い大人達に故郷から誘拐されてタカシ様によって助けてもらったようです」


 気を利かしてフォスティアはアシュティアに論点をずらした紹介してくれた。ストレートに奴隷商で助けたなんて言えないし、フォスティアは嘘を付いてない。

 故郷から誘拐されてタカシが助けのは間違いない。ただ不要な部分を省いた紹介なのだ。スフィアはタカシと出会うまでは奴隷の身であったが助けた後はスフィアが奴隷だった証拠がない。スフィアに付いていた首輪には魔法が付与してあり、内容は所有者には完全服従と物理破壊不可能であったが、いとも簡単にタカシは魔法が付与された首輪を触れただけ(念力で)で破壊したのだ。

 タカシは内心ではフォスティアにスフィアとの出会いの経緯を話しただろうかと首を傾げつつ姉妹のやり取りを傍観していた。


「あら、フォスったら、私を差し置いてもう仲良くなったの?エルフの子はスフィアさんと言うのね。初めまして伯爵家長女のアシュティアと言います」

「こちらこそ、スフィアです。よろしくお願いします」


 スフィアはスフィアで内心、奴隷だと指摘されるではないかと気が気じゃなかった。フォスティアはアシュティアに曖昧にスフィアを紹介した。

 転生者であり、猫を被るフォスティアにとってはスフィアを姉に紹介するのはつい最近知り合った知り合いに友達の知り合いを紹介するようなことと同じ心境であった。そして、タカシとスフィアが出会った場所や経緯を知らないがスフィアを雰囲気と街の中で奴隷のエルフが逃げたした噂を聞いてふんわりとスフィアが置かれてた状況を理解していた。自分が好きな漫画のシチュエーションを噂にプラスして、フォスティアなりの言葉に置き換えて姉に紹介した。


 エルフの子は奴隷として高値で取引されてスフィアのように誘拐され違法奴隷のエルフが後をたたないのでエルフの奴隷を見かけるのはそんなに珍しくないが逆に正規で手に入れたエルフの奴隷が非常に珍しい程だ。タカシ達がいるこの国の周辺国の半分は亜人種の違法奴隷を発見しても罪になることはない。そんな国から流れる違法奴隷は正規の奴隷として扱われタカシ達のいるルルーンの街に流れてくる場合が多いが、奴隷事情を詳しく知らないアシュティアはスフィアが奴隷に落とされる前にタカシが助けて出したと解釈した。


「スフィアさんも私と同じくタカシ様に危ない所を救っていただいたのですね」

「まー、はい。あの時は何が起きたのかわからなかったけど目の前にはタカシがいて助かったって思いました」

「固苦しい挨拶は置いといて楽しい話でもしようよ」

「ええ、そうね」


 お喋りはアルムがコクコクと睡魔に負けるまで続いた。お喋りと言ってもアシュティアが質問して俺達が答えるといった流れが続いて時々、フォスティアの横やりが入ったり入らなかったりといったものだ。


 アルムを抱えて客間に戻り、四人で一つのベッドで眠ろうとするが、ミリ達がベッドに入ったところで気づいた。

 ベッドが四人で寝るには狭すぎる。アルムと昼寝した時はまったく気にしなかったが、ベッドの大きさはミリ達三人がギリギリ寝れるぐらいの大きさしかなく俺が寝れる場所がない。

 ミリとスフィアはベッドに入ってすぐに睡魔に負けて寝息をたてている。


 彼女達の睡眠を邪魔をするのは心が痛むのでフォスティアとお喋りしたテーブルとイスが目に入り、窓を開けてイスに腰かけた。

 窓からひんやりした風が入り込むが、ミリ達にはかけ布団を被せているからあまり寒くはないだろう。

 窓から見たルルーンの街は昼間に起きた出来事を忘れたかのように静まり、かえって別の街と間違えそうな程昼間との印象が違う。


「貴方も黄昏える時があるのね?新人君」


 声がする方向に視線を向けるとサイボーグ少女と髪で顔を隠している女と見たことがないイケメンが空いていたイスに座っていた。


「こ、こんばんわ」

「やぁ、君寒いから窓を閉めてくれないか?これをプレゼントするからさ」


 あたかも元々いたかのように髪で顔を隠した女以外の二人はゆったりと寛いでいる。

 イケメンはジュースのような液体が入ったペットボトルをテーブルの上に置いた。


「何しにきた?」

「やめてくれよ。そんなに見つめられると照れるな。そんなに見つめられても何もでないぞ」


 タカシがイケメンを睨むが、イケメンは何を勘違いしたのか爽やかに笑いながらもう一本同じペットボトルをテーブルに置いた。


「もう一度聞くが何しに来た?」

「ひっ!ガーちゃん」


 問いながら念力で窓を閉めると髪で顔を隠した女がか弱い悲鳴を上げた。


「ラニー、あれぐらいで驚かないでよ。まったく先が思いやられるな」

「だってガーちゃん窓が勝手に締まっただもん。それに暗い」

「これで満足か?」


 テーブルの中心に炎を発生させて髪で顔を隠した女のわがままを叶える。


「ひっ!」

「うん、ありがとう。僕が冷え性なのをよくわかったね。うーん暖かい」


 イケメンは何を勘違いしたのかタカシが自分の為に炎を出したのだと勘違いされた。追加にもう一本テーブルにペットボトルが置かれた。


「もう二人とも真面目にやってよ。ここには仕事で来ているんだよ。自覚してよ」

「ハイハイ」

「ごめんなさいガーちゃん」


 サイボーグ少女はプリプリと怒り、自由に寛ぐイケメンはから返事をし、髪で顔を隠した女は申し訳なさそうに謝る。


「まったくもこれもらうわよ」

「いいよ」

 サイボーグ少女はテーブルに置かれているペットボトルの一本をプシュッと開けて中身を飲む。

 中身は炭酸らしい。


「私達が来たのは貴方を説得して私達の国に連れ帰る為よ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ