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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第三章 ルルーンの街
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伯爵家2

 アルムがベッドで寝ているのでアルムが起きない様に窓側に設置された丸テーブルで囲んで話すこととなった。


「ミリとスフィアさっき気になることを言っていたわね」

「気になることですか?」

「遺跡のことかしら」

「そうだけど、魔法少女って何なのよ。遺跡の中にそんな存在がいたの?」

「魔法少女はいたというより見たんです」

「そんなの遺跡の中にいるわけないだろう?いや。先輩冒険者と行った遺跡の中の各部屋にモニターが設置してあって魔法少女のアニメを見せたんだ」


 遺跡の中に魔法少女がいたら見てみたいが、アルムが魔法を使えるアルムが魔法少女なのではないか?つまらないことを考えている前に不思議に思っていたが魔法とは何なのだろうか?俺が使う念力などの能力とは違うと思う。魔法には魔力の概念があるらしいのに俺の能力には集中力を使うがエネルギーの概念がない。俺の研究資料を見ればもしかしたらエネルギーの概念があるかもしれないが地球へ戻る手段もないし、研究所に捕まる可能性があるから戻りたくはない。


「それで魔法少女にどはまりしちゃったわけね。どおりで可愛らしいポーズをしていると思ったわ」

「はまるのはいいけど人がいないところでやってほしいな。一緒にいる俺が恥ずかしいし、大きくなったらミリ達の黒歴史になっちゃうからね」

「タカシさんも中二病の黒歴史があったの?」

「中二病か。俺には今までそんな余裕なんて無かったよ。けどミリ達と一緒に発症させるのもいいかもね。我の聖剣とともに悪しき者を成敗。なんてね」


 冗談で拾い物剣を掲げてみたもののなれないことをするのは違和感があるし、ミリ達の前で俺なりの中二病ぽいポーズを取るのは恥ずかしいな。こんなの俺がすることではない。


「タカシさんカッコイイです。物語英雄見たいですよ」

「本当にお話の英雄に見えたわ」

「カッコイイけど服装がジャージなのがいけないね。ゴリゴリの鎧を着ていたらもっとカッコよくて雰囲気が出ると思うんだよね」

「ごめん。今のは忘れてくれないか?」

「何言ってるの?もっとかっこよくしてあげるよ」

「待ってくれ、フォスティアさん?今からどこに行くの?」


 三者三様それぞれの意見を言う。ミリとスフィアはカッコイイと褒めてくれるが、フォスティアは物足りなそうに言って足りない物を言う。

 三人に今のことを忘れてくれる様に懇願するがフォスティアだけが部屋から出ようとするので必死に引き留める。


 フォスティアは貴族だからきっと家に伝わる家宝のゴリゴリの鎧を持ってこようとしていたのだろう。

 持ってきても俺は着ないぞ。


「なんで止めるの?人が折角カッコイイ鎧を着せてあげようと思ったのに」

「いやいや、俺には荷が重いから無理。持ってきても着ないから」

「タカシさんの鎧姿見たいです!」

「私も見てみたいわ」

「だから鎧なんか着ないって」


 ミリ達もフォスティアのノリに乗って鎧姿を見たいと言い張るが断る。


「冗談はさておき、遺跡にモニターね。信じ難いことだけど遺跡に普通に拳銃が置いてあるんだからモニターくらいあっても不思議じゃないか。他には何か合ったのか詳しく聞きたいわ」

「いろいろありましたがありすぎて説明すればいいのかわからないです。料理が出る箱や服を洗う箱がありましたけどその箱をどのように言えばいいのか」

「そうね。見たことが無いものばかりだったものね。タカシは言っている物もあって使い方を教えてもらって使っていたから遺跡にあった物がいまいち理解できないのよ」

「理解していないものを説明するのはとても難しいわね。ミリが料理が出てきた箱は冷蔵庫で服を洗う箱は洗濯機かしら?タカシさんこれであっているの?」

「いや。洗濯機はあっているが料理が出てくる箱は知らなかったな」

「料理が出る箱ってどんな風な感じだったの。ほんとは冷蔵庫と勘違いしているんじゃないの?」


 台所の電化製品に興味があるのかフォスティアは異様に聞いてくる。前世では料理を作るのが好きだったのかは本人に聞かないと分からないが、料理が出てくる箱はフォスティアにとって魅力的な物かもしれない。

 俺もあの箱から料理が出てきた時は心底驚いた。あんな装置は聞いたことがなかったからフォスティアも初めて知った電化製品なのかもしれない。


「中身が空っぽの冷蔵庫は確かにあったぞ。見た目と大きさは電子レンジと違いがなかった。その箱は皿を入れてスイッチを押せば温かい料理から冷たいデザートまで出てきたんだ。あの機械は聞いたことも見たこともない」

「他には何か無かったの?ロゴと名前とか?特徴は?」

「ロゴのマークはタブレット見なちゃ分からないけどデリバリーマシーンって書いてあったな。それとタブレットに接続して装置からツールをインストールした後に料理を注文したよ。このツールだよ」


 タブレットのデスクトップのデリバリーマシーンと書かれたツールをフォスティアに見せてツールをタップして見せる。

 当然ツールをタップしても起動するが「近くにデリバリーマシーンがありません」とポップアップが出るだけでその先は何もない。


「そうだと思ていたけどそうでしょうね。こんな場所に電化製品があるわけないか。ちょっとゲームでもしてもいい?」


 デリバリマシーンのツールが使えないことで落ちんこんだのか、フォスティアはデスクトップにあるゲームフォルダ中の一つのトランプのマーク指す。

 元々タブレットに入っていた物なのか持ち主が暇を潰す為に入れた物かは定かではないが、ピンボールゲームにカードゲームが数種類入っている。フォスティアがゲームフォルダの存在を知っているのかギルド内で見せた時に見つけたのだろう。


「いいけど。でも中世時代の街並みにこんな物を持ち歩いていたら逆にビックリだよね。不老族の遺跡とかから持ちだされていそうだけど」

「不老族の遺跡だけど私が思っている遺跡とかけ離れているだよね。噂では武器庫だと思ったけどタカシさん達の話を聞いているとどうしても宿泊施設を連想しちゃうな」

「そうか?俺はホテルとか宿屋には止まったことがないからわからないや」

「なんでフォスティア様は遺跡にあった物に随分と詳しいですね。前に遺跡の中に入ったことがあるんですか?」


 フォスティアがするゲームを横で見ていたミリが疑問をぶつける。

 フォスティアの両隣りをミリとスフィアが陣取り、フォスティアがするトランプゲームを見ている。UNOをプレイしているようでNPCにドローを使われてしまって大量にカードを持つことになって負けているようだ。それを見ているミリとスフィアはルールを分かっていないようで勝っているのか負けているのか分からないままじっとゲームを見ている。


 そんな二人を少し可愛いと思う。


 傍からフォスティアが何者なのか知らないとそういう疑問を持たれる。この世界では別の人に生まれ変わるというのは宗教や価値観で見てどう思われるか分からない。もしかしたら悪魔や悪霊だと思われて殺されるかもしれない。

 フォスティアはだから家族に自分が転生者と言えていない。


「遺跡の中には入ったことはないよ。でもタカシさんが故郷に行ったことがあるだけよ。この話はここにいる人だけの秘密にしといてね」

「タカシが住んでいたところと言うと不老族の国ってことよね?」

「そうですね。タカシさんは不老族じゃないかもしれないと曖昧なこと言ってましたが、私は思うんですよ。少なくとも不老族に関わりがあると。そうならば不老族の遺跡に詳しいことも、不思議な力も説明できますよ。でもタカシさんはどこから来たのかは決して言わないですよね。スフィアちゃん、不老族の国で決めつけられないですよ」

「タカシさん、この子達には何も言っていないのね。自分がどこから来たのか。私もタカシさんの故郷に関しては予想は立てただけで何も聞いて無いわ」


 フォスティアの言った通り俺はミリ達にはどこから来たのか誰に追われているのか言っていない。追われている件については研究所ではなくなったけどサイボーグ少女達に追わる様になった。サイボーグ少女が所属する組織は俺などの能力者を保護する目的のようだが、アルムやスフィアとの約束を果たしていないからまだサイボーグ少女達の組織に保護されるつもりはない。ミリやスフィアの中ではサイボーグ少女は不老族の国から来ていて何らかの理由で俺を不老族の国へ連れて帰ろうとしていると思っているようだ。


 フォスティアは俺がこことは違う世界、地球から来たことは知っていても地球のどこから来たのか言っていない。俺が異世界から来たとは言わないフォスティアは俺の気持ちを考えて俺の口からミリ達に言うまで言わないつもりなのだろう。


「タカシがどこから来たのか教えてほしいけど言いたくないなら別に言わなくてもいいけど言ってくれるなら嬉しいわ。だけどどこから来たとかで偏見を持たれると思わないで、エルフは森に迷い込んだ者達を偏見無く家に招き入れる風習があるんだから、エルフである私もタカシがオークの集落から来たって言われても受け止める自信があるわ」

「私もタカシさんがどこから来ていても何とも思いません。獣人だってどこから来た人でも友達になれる種族なのですよ」

「だそうよ。ここまで言われちゃ言うしかないわね。前にもギルドでも言ったけど今は今で前は前で割り切っていいと思うわ。タカシの故郷には可能性がゼロに近いほど帰れる可能性が無いんだから前のことで引きづっていてもしょうがないじゃない」


 ミリ達どうしても俺がどこから来たのか知りたい、と言うよりも不老族の国から来たと答えて欲しいと期待しているが、ミリ達が言っている通り俺がどこから来ても受け入れてくれるだろう。研究所にいた自分は過去で今の自分がいる。過去の自分を捨てた今の自分がミリ達に受け入れているこれは決して逃げる行為ではない心の区切りだ。


「そうだね。地球にはもう戻れない。いや地球に行ける方法を見つけても破壊して行かない」

「破壊しなくてもいいんじゃない。誰かが頑張って見つけたかもしれないじゃない?私だって行きたいところがあるわ」

「俺じゃなくても同じ経験してえ来た被験者(俺の仲間)だって地球に行ける方法を阻むだろうから今のうちに諦めた方がいい」

「なんでよ。って言ってもタカシさんは簡単に答えてくるつもりはなさそうね」

「ああ、ごめんよ。理由は話したくないいんだ」

「で?タカシはその地球って言う場所?から来たって訳?」

「地球は街じゃないけど、たぶん俺は地球から来たんだと思う」

「また歯切れが悪いわね。それとまだ足りないことを言っていないんじゃない?」

「まだタカシさんは言っていないことがあるんですか?」


 物足りないと催促するフォスティアは俺が異世界来たと言って欲しいみたいだ。フォスティアがそう望むならミリ達だけなら言ってあげてもいいけどいきなり異世界と言われても実感がわかないと思う。俺も研究所の中でしか世界が知らなかったわけだし、フォスティアから異世界だと教えてもらうまでここが地球と思い込んでいた。

 そんな俺でもここが異世界と実感できない部分があるのにいきなり異世界から来たと言われても分からないと思う。言ったてしょうがないでもミリ達は知りたがっている。


「そのチキュウはどこにあるんですか?」

「聞いたことがない場所ね。国なのか、街なのか分からないわね。もしかして不老族がいる国の地名だったりして」

「タカシさん、スフィアちゃんの言ったことは本当ですか!」


 不老族にあこがを抱いているミリが目を輝かせながら言う。スフィアもチラチラとタカシを見ながら答えを待っている。

 二人には悪いが地球は地名ではない。(惑星)の名前だ。

 二人はガチのレベルで俺が不老族の関わりを持っていると思われているのでこれを期に二人に周知させるチャンスなのではないだろうか。今までも何度か不老族ではないと否定してきたが今度はちゃんと二人の認識を訂正させる。


「地球と言うのはこの世界とは別の世界(異世界)のことなんだ。信じられないと思うけどミリ達から見れば俺はこの世界から言うと別の世界から来たから異世界人ってことになるのかな」

「イセカイですか?」

「だから俺は不老族とは少なからず関係性を持っていても根本的なところでは不老族について何も知らないし、スフィアが言う不老族の国にも行ったことがないだよ」

「今の説明から言うとタカシはこのセカイとは違うセカイからやってきたと」

「そうそう」


 これで俺への二人の認識を正すことができた。アルムは今は寝ているがおいおい説明してくとしてミリとスフィアの二人が俺や地球について質問が増えるけど必要のない誤解を一つ消すことができたのは俺への不自然な思い込みが一つ無くなったということだ。


「そもそもセカイって何なんですか?」

 え?

 ミリの質問に目が点になった。

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