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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第三章 ルルーンの街
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転生者からこの世界が異世界だと教えられました

 小さな影はギルド長の部屋に入って早々にタカシにふんわりと押し倒し抱きついた小さな影に気づいたミリ達、(ロリっ子のみ)の間で衝撃が走った。


「タカシさんに会えて嬉しい」


 小さな影はフォスティアだった。

 タカシの胸に顔を押し付けて鼻を擦る仕草がこの上なく可愛い小さな闖入者ことフォスティアはタカシの膝に乗りタカシと向き合っている。


「タカシ!その子誰なのよ」

「むっ!おにいちゃんからはなれて」

「あっ!この子はあの時の貴族様!アルムちゃんこの子は貴族様だから止めて」


 スフィアが突然現れたフォスティアに驚き、アルムが幼い嫉妬を燃やしフォスティアの余所行きのドレスを引っ張る中ミリだけがフォスティアを貴族と気付き、ドレスを引っ張るアルムを止める。

 等のフォスティアはミリ達を見る。


「こんなに幼女ハーレム要員がこんなに。私が入る隙なんてないじゃないの。いえ、これから私の時代よ。メインヒロインの座は私の物」


 と日本語で呟くもタカシから離れない。周りはフォスティアの未知の言語に首を傾げる。


「フォスティアか。なんでこんなところにいるんだ?」

「タカシさんがいると思ってお父様に付いてきたの。だって街に着いたらギルドで冒険者登録するのは定番中の定番。初めてのクエストで大量のモンスターの部位を持ち帰ってギルドの受付嬢の度肝を抜かすの」

「言っている意味がわからないけどフォスティアの家を出てから次の日、沢山の魔石を売りに行ったら驚かれたけどね」


 フォスティアにいきなり抱きつかれて早々に異世界マンガのテンプレを言われた。あまりそういうマンガは好んで読んでいなかったから最初何を言われているかわからなかった。しかし、ここで会うのは奇遇だな。フォスティアはこういう品の無い場所とは行かないと思っていたのだが。


「タカシさん?貴族様はなんて言っているんですか?私には何を言っているのかわからない」

「え?何を言っているって」

「くっ!猫耳幼女が。私が堪能しているんだから順番待ちしてよ」

「フォスティア何か言った?」

「いいえ、何も言ってませんわ。それよりもお父様が私達を助けてくださったタカシさんに是非ともお礼がしたいと」


 フォスティアはタカシの膝から降りて手を引く。

 オジさん達はフォスティアが権力者の娘だからか黙って見ている。


「何よ。不老族の言葉に似た言語をしゃべっていると思えばちゃんと話せるじゃないの」

「アルムあのこきらい」

「まぁまぁ、アルムちゃん。タカシさんを取られた気持ちはよくわかりますがここはお姉さんらしくいきましょうよ」

「アルムはおねえさん?」

「そうですよ」


 フォスティアはアルムより背が低く、一才年下だったが、しかし話し方や振る舞いはフォスティアの方が年上に見える。


「ところでフォスティア一人なのか?アシュティアとは一緒じゃあないのか?」

「お姉様は隣国の王都の学園に入学予定だから家庭教師とお勉強中だからいないよ」

「学園か」

「タカシさんは学園に行きたいの?」


 学校に行きたい気持ちあるが俺にはアルム達の約束事があるし、そもそも研究所から逃げている身だ。数ヵ月程一つの街にいるかもしれないが何年も一ヶ所に留まることはできない。


「いや、ちょっとだけ興味があるだけだから気にしないで」

「ふーん。ところでタカシさんのアイパッドを貸して」

「アイパッド?あ!タブレットのことか。別に構わないよ」


 リュックサックモドキからタブレットを取り出してフォスティアに渡す。

 タブレットの中身はフォスティアが喜ぶ物はあまり無いと思うのだが、中身のほとんどが数日撮ったミリ達の写真ばかりで物珍しいのは入っていない。

 フォスティアは渡されたタブレットの中を見る為にまず、フォトフォルダを開く。


 ススス、とカーソルを下にして写真を見る。見るすべての写真はここ最近撮ったミリ達の物しかなく、10個ぐらいは動画が混ざっている。フォスティアは動画も丁寧に確認していく。

 フォトフォルダの中身が見終わると次はロックがかかったフォルダに興味を持ったらしい。


「パスワードは?」

「正直に言うとそのタブレットは盗んだ物だからパスワードなんてわからないよ」


 権力者の子供に盗んだと正直に言うのもどうかと思ったがパスワードがかかっているフォルダの中身は見てはいけない物だと俺の感がアラームを発している。

 俺の回答を聞いてフォスティアは他のフォルダの中のメモを重点的に調べ始めたが数分程チャレンジするも最終的にパスワードを解くのを諦めてくれた。


「タカシさん、聞いてもいいですか」

「ん?何かな改まって?」

「写真のフォルダの中身全部あの子達ばかりだけどもしかしてタカシさんってロリの方が好みなの?」

「ちち、違うよ。ほら、ミリ達があまりにも可愛すぎるからついつい写真におさめちゃうんだよ」

「ほんとにー?声が震えてるよ。タカシさんはあの子達に手を出して無いの?」

「てて、手を出すって何を言ってるのかな?」


 しどろもどろになりながらもフォスティアの攻めに耐えた。こんな小さい子なのに抜かり無い。

 小さい子が下ネタ紛いを言うのはいろんな意味でヤバい。彼女はどこでそんな知識を覚えたのだか、性教育を覚えるのはまだ早すぎる。

 フォスティアの親は何を考えてフォスティアに教えているのか。


「あっ、タカシさんに言いたいことがあった。私ね転生者なの」

「転生者?フォスティア、それはマンガの読みすぎだと思うよ」


 転生?一度死んで別の誰かとして生まれ変わったってフォスティアは言いたいのか。そんなのはあり得ない死んだらそこで終わり、その先はけして無い。俺は死んだことがないから確証が持てないが、人々が崇めるような神がいないように死ねば人生がそこで終わる。そこに天国や地獄へ行くって言うのは人々の宗教的価値観だと俺は思っている。

 研究所の中にはいろんな宗教を信仰している研究者や監視員がいたが、回りで仲間達が死んでいった俺の価値観で言わせてもらうと死の先には何もないと俺は思っている。


「マンガの読みすぎって、タカシさんは転移者じゃないの?今だって日本語が通じているのに?」

「フォスティアが何を言いたいのかわからないがここが日本では無いことなら知ってる。さすがにフォスティアは一度死んで生まれ変わったことは信じられない。別にフォスティアの宗教的価値観を否定してる訳ではないよ。ただ死んで別の誰かに生まれ変わるっていうのが信じられないだけだ」

「だけど私は前世の記憶を持っているし、ここが異世界だとわかる。私が元々いた世界では魔法という名の概念なんて小説とかゲームの中だけの話しだった」


 タカシさんもそうだったでしょ?と上目遣いで見上げる彼女の瞳はとても綺麗でとても嘘を言っているようには見えない。もし、仮にここが異世界だというのなら研究所の職員達が言っていたことに対して思うところがあるが色々と噛み合う部分が出てくる。


「この世界はスキルとかステータスみたいなゲーム感のある概念は存在しないけどね」


 フォスティアはおどけた様子で言う。


 しかし、研究所の外に広がる世界を知らない俺は少しだけ素直に信じられないでいるが、あることに気づいた。例え、ここが地球だろうが、異世界だろうが俺にとって二つの世界は外の世界でしかない。


「どっちにしろ。俺にとっては地球だろうと異世界だろうと外の世界と言うことには変わり無いか。ここが本当に異世界いうことならあの組織に付いて心配することがなくなるな」


 ここがフォスティアの言う異世界なら研究所から逃げ回る意味が無くなり、本当の意味で地獄だった日々から脱したことと言えた。

 心が軽くなり、俺は膝から倒れた。


「えっ?どうしたの!?大丈夫?」


 タカシがいきなり倒れこんで驚きの声をあげるフォスティアはしゃがんでタカシの顔を伺う。

 ポツポツと床に雫が落ちる。安心と嬉しさが心から溢れて涙としてタカシの目から溢れ出たのだ。荒んだ心が綺麗に洗われる感覚と身体から力が抜ける。

 タカシは初めて嬉しくて涙を流した。研究と言う名の拷問から逃れ、これから始まる平和な日常に期待して。


「タカシ!探したじゃないのって」

「タカシさん!どうしたのですか?」

「おにいちゃんないてるの?この子にいじめられたの?」


 ドタドタと足音を発てながらミリ達が駆け寄ってきた。アルムは状況を見てタカシがフォスティアに苛められていると思ったようだ。


「別にフォスティアに苛められて泣いている訳じゃない。フォスティアから聞いた話で嬉しくて泣いているんだ」


 念のため、フォスティアが転生者と言うことはミリ達には伏せておいた。俺が転移者と言うことを黙っていたから俺もフォスティアの秘密を話すわけにはいかないとね。

 異世界から来たことはミリ達に伝えてもいいんだけど今の状況で話すのは俺の気持ち的には家に帰ってからでも話そうと思う。その方がゆっくり話せると思う。


 フォスティアは今の家族にも知らせてないことは後で知った。


 研究所から追われていないことがわかったがサイボーグ少女や宝石男は俺をどこに連れていくつもりだったのか。

 あの三人組が言っていたことが本当に真実なのか、研究所とは全然別の組織なのかは今の俺には判断つかない。何かしらあれば向こうから接触するだろうからその時にでも聞いてみるのもいいだろう。

 心配そうに見つめるアルムの頭を優しく撫でる。

 フォスティアが私も撫でてもらいたいと小声で言っていたがフォスティアには悪いがスルーさせてもらう。


「おにいちゃんだいじょうぶなの?」

「あぁ、もう大丈夫だ。心配かけてごめんね。つい嬉しくて泣いちゃったよ」

「ふーん。嬉しいことね」

「それよりも貴族様はタカシさんをどこに連れていくのですか?」


 フォスティアに向けてミリが尋ねた?


「お父様のところに。タカシさんには姉共々、助けていただいたご恩があるから。タカシさん、お父様はこっちの部屋に来ているからついてきて」

「待ってください。私達の話はまだ終わっていませんよ。タカシさんを連れていかないでください。アルムちゃん、私達も行きますよ」

「うん」


 フォスティアに手を引かれ、フォスティアのお父様、この街を取り締まるフローレイティ伯爵の元へ案内された。


「あっ、お嬢様。ギルドに入るなりいなくなって、いったいどこにいらしていたのですか?旦那様がとても心配されていましたよ」


 扉の前に立ったメイドに小言を言われるフォスティアは少し煩そうな表情していたがほとんど聞き流している。

 メイドの後ろにある扉の向こうに伯爵が待っているのだろう。


「うん。わかったから通して」

「お嬢様いつもいつもそうやって私めの話を聞かないで、おや?後ろの子達はどなたでしょうか?」

「タカシさんは私やお姉様を助けてくれた人。その後ろにいる女の子達はタカシさんの友達」


 とフォスティアはメイドに俺達を紹介したが、ミリ達の紹介は少しトゲと言うか意図して言っている気がした。


「まぁー!この少年がルーカが言っていた方なのね。旦那様がお礼を言うために探していたようですが見つからなかったのに」

「タカシさんは仕事で遺跡の調査をしていて丁度今街に帰ってきたの。そして街で噂の空の魔剣師なの」

「えっ?えぇ?街を救った空の魔剣師がこの少年?こんな未成年の少年が千を越える魔物を蹂躙したと言う」

「うん。そう」


 あれ?なんで俺の話になんっているんだ?魔物の群れの件は別に隠していた訳ではないが前ぶれなく、その話になっているのか理解できない。フォスティアは俺について説明しているつもりだろうが、まるで自分の自慢話をするかのように得意気に話している。後ろのミリ達はそれを嬉しそうに聞いている。

 フォスティアの説明聞いたメイドはあんまり信じていないポイ。

 それはそうだ。フォスティアはまだ幼い子供だから話を盛っていると思われていそうだ。いや、話が本当だったとして(本当のことだが)フォスティアの中で何倍に膨れ上がっていると思っている。

 俺に対してメイドの見る目が怪しい者を見る目になっている。俺がフォスティアを唆したと思われたようだ。


「だから私とタカシさんを通して」


 フォスティアは説得し始めた。

 俺的にはこのまま追い返してもらった方が個人的にいいのだが、どうもフォスティアは俺を父親に会わせたいらしい。

 あー、権力者に会うことより早く帰って寝たい。


「騒がしい、いったいなんなんだ。お?フォスティアどこに行っていたのだ?私から離れるなと言っただろう?で、メア。これはどういう状況菜のだ?」


 扉から出てきたのは30過ぎたか過ぎてないかくらいの男性が現れた。口元には少しだけ髭を残しており、髭を伸ばそうと見える。


「はい、旦那様。お嬢様がこの少年をどこからか連れて来てお嬢様達を助けた恩人申し上げまして、旦那様に紹介したいと」

「こんな薄汚い子供がね。どう見ても孤児の集まりだろう」


 と伯爵は俺とミリ達を見て言う。

 伯爵の言う通り、俺が着ている白いジャージは泥や砂で汚れている。ミリ達に関しては服も比較的に綺麗だと思うしお風呂にだって入ったから多少綺麗なはず。


「お父様、タカシさんは私やお姉様を助けてくれたの。そんな酷いこと言わないで」

「私の可愛いフォスティア、私がいったいいつ酷いことを言ったのかね。しかしフォスティアよ、その少年が本当に助けたのか私はとても信じがたいのだよ」

「私が本当のことを言っているかなんてルーカに聞けばわかること。それでお父様、タカシさんを屋敷に招待したいの」

「なるほど、それでルーカにアシュティアの護衛を頼んだのか。そこまで見えていたとは家の娘はとんだ策士だ」

「ダメー?」


 フォスティアの何かに驚いた伯爵は俺を屋敷に招待するべきか迷っている。迷っている伯爵を見てフォスティアは可愛い声を出してお願いのポーズをする。


「タカシさんが屋敷に来たらお姉様もきっと喜ぶよ」

「今回だけ孤児達を招待しよう」


 フォスティアの最後の一押しに負けて俺達を屋敷に招待をしぶしぶ許可してくれた。

 面倒なことに招待せれてしまった。相手はこの街の権力者で断ることができない。俺達が休める一時はまだまだ先になりそうだ。

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