間話 サイボーグ少女2
時が流れ、私がここに来て20年が経過した。
今の私は保護官として頑張っている。
どういう経緯でなった話は長くなるけど動機は私と同じ境遇の子がここで幸せになって欲しいからと頑張って保護官になった。保護官とは仕事はあっちの世界から被験者、私達の仲間が空間転移で研究所から逃げ出してこっちの世界にやって来る。
前回私達のように好き勝手にすればいずれ世界は壊れてしまう。だから私達はここで暮らしていく。
ここでなら何でもある。美味しい物、娯楽、暖かなベッド、わかりあえる仲間。
ここは私達が暮らす場所としてぴったりだ。理不尽な暴力や人体実験が全くない。
ただ3年前に世話になったモスギスが亡くなったことがとても悲しくなった。自分は何で歳を取らないのか疑問に思った。
死の別れはとても辛い。
あの時、モスギスの孫娘と一緒に泣いた。
私達が好き勝手に暴れればきっと多くの人が死ぬ。それで誰かが死んで誰かが悲しむと思うと刹那くなる。
だから私は後輩達をここへ連れて来る。
私達の国と外の国にとってそれが一番の平和にする方法だ。
私の日常は自室と職場を往復するだけの平和を丸っと体現した日常だ。
モスギスの孫娘、アニーは退屈でつまらないと言うが私はこのままでいいと思う。
今となってはアニーとは同じ職場で親友だ。
休みの日はアニーとカラオケやショッピングして遊ぶ程の仲だ。
「平和過ぎて死んじゃうよ」
「平和なことは良いことだよ。忙しいとこうしてお茶することも遊ぶこともできなくなるよ」
「それはそうだけど、これはあまりにもひどいと思うのよ」
とある喫茶店でアニーと二人でお茶をしていた。楽しい話からだんだんと仕事の愚痴になった。
私達の仕事はあっちの世界から被験者が来ないと始まらない。来るまでは仕事はない訳ではない。
一年に数回行われる外の国にある拠点の点検、国境付近の密国者の取り締まりをしている。けどそれらのことはあまりないのでほとんど暇である。
私達以外の保護官はほとんど暇過ぎてアルバイトしているようだけど。十分な給料を貰っているアルバイトをする意味がわからないよね。被験者が現れれば出動する保護官をアルバイトで雇うところは少ない。雇うところは深刻な人員不足だったり、コネだったりがほとんどである。
話が逸れてしまったが私達は暇潰しに喫茶店のスイーツをコンプに乗り出した。そして本日三件目の喫茶店のスイーツを気づけばコンプリートしていた。
三件目で一番人気のスイーツを食べてる時に私達の携帯が鳴り、確認すると上司からの緊急メールが入った。
これが私達の初の保護官としての仕事になった。
私達は急いで会計を済まし、私達が所属する班の事務所に向かった。保護官事務所から私達がいた喫茶店は近くにあり、歩いて20分で到着した。
私達が班室に一番乗りと思いきやすでに一人が椅子に座っていた。
「ひぇっ」
その人物に驚いて私の口から抜けるような小さな悲鳴が出た。
だってしょうがないじゃない。だってそいつは私を保護した男なんだから。
今でもドドッラの巨体が迫って来るトラウマが残っているからこんな情けない声が出てしまうのよ。
「ガーナは相変わらずドドッラ先輩のこと苦手よね」
「だって昔私が保護された時、必死で逃げてたらあの巨体が迫って来たのよ。それが今でもトラウマとして私のメモリーに残っているのよ」
「ハイハイ。私が悪かったから泣かないで」
アニーが私の頭を優しく撫でてくれる。
初めて会った時は私よりも小さかったのにいつの間にかこんなに大きく育ってこうして甘やかしてくれる。
昔のアニーは泣き虫で逆に私があやしていた。
「えっ?どうしたの?ガーちゃん」
そこにラニーニャが来た。
ラニーニャは私達の同期で私と同じ時期にこっちに来て保護されたうちの一人。私と違ってとても弱々しい性格をしているけどとても優しい子でも内気な性格のせいか顔を髪の毛で隠していてちょっとだけ不気味。
前に前髪を切って顔を出したらって言ったら断られた。
素顔はとてもかわいいのに。なんでだろう?
「ううん。何でもない。ラニー心配してくれてありがとう」
「ガーナは今でもドドッラ先輩のトラウマを引きずっているからね」
「アニー何でバラすの」
「ふふ、二人はほんとに仲良しでいつも一緒にいるね」
「全員揃ったな」
三人で楽しく話している間に班のメンバーが全員揃い、ミーティングが始まって私達に資料が配われた。
げっ、私達の班のリーダーってドドッラ先輩じゃん。
私、あの人の指示通りに動けるかな?
「まず本題から話していくと観測よって近々あっちの世界から26名が逃げたしてくるのが報告会で発表された。その内の17名が地図のこの地域に出ることがわかった」
上司が地図を指す。
そこが私達の担当地域だそうだ。世界地図で確認したけど私達が担当地域は小国で隣国から小さい攻撃を受けているからだんだん領土狙いの戦争が始まるって予知能力の子に教えてもらった。
外の国の支配階級は追い詰められると使える物は何でも使うから気づかれる前に早く保護しないと17人が戦争の道具にされちゃう。
「今回は前回より数は少ない。しかし、少ないからと言って気を抜いてると痛い目を見るぞ。それに我が班は新人が三人いるということで我が班は17名が表れる場所から東方面に温厚なヤツが移動するのがわかった。そいつが今回我が班の担当になる」
「ミーティングのところすみません。追加の情報が入りました」
扉を慌てて開けた女性の人が入ってきた。
「慌てるな。危ないだろう?それでどういう情報が入ったんだ?」
「すみません。A-1班からA-17班の担当する地域に11名が出現することがわかりました。そしてA-14班が担当する地区に2名が移動するらしく支部長命令で直ちに班員の追加が検討されることになりました。追加される班員が決まり次第、待機とのことです」
女性は次のミーティングへ向かう為に急いで部屋を去って言った。
「ハァー、支部長はいったい何を考えてるんだか。お前らは指示があるまで待機だ。俺は支部長に一言文句を言ってくる」
上司はため息を吐きながら部屋を後にした。
三日後、再び私達は呼び出された。追加で現れた11名の内の二人と私達が担当する子が激闘したことが報告があったからだ。
それで私達は激闘場所の周辺の調査に派遣することになり、現場から近い拠点に転送した。
拠点は世界各地に四桁以上あり、中にはステルス機能が破損しほぼ廃棄状態の拠点が約300件もある。その20%が外の国に荒らされてしまっている問題が上層部に上がっている。
そして現在、拠点に保管してあった武器を手に戦争している。
上層部はステルス機能の修復に専念しているけどそんな暇があるなら廃棄状態の拠点から武器の回収をした方が外の国での戦争の数が減ると言うのに何でわかんないかな?
「んー!ここって外国の森の中だよね?初めての外国だ!街が見たい」
外の国に初めて出たアニーが嬉しそうに息を吸い込む。
「コラ、私達は遊びに来たわけじゃないの。これは仕事なんだから」
「ガーナは仕事になると口うるさくなるよね」
「ガーちゃん、そう怒らないでよ。アニーは都会から一歩も出たことがないんだから。初めての自然に少しだけ嬉しいのよ。それとアニーも気をつけて行動すること」
「ラニー、あれは気を抜きすぎよ。人に見つかったらどうするのよ」
アニーを注意した私も久しぶりの森は少し空を飛びたい気持ちになるが私達は目立つ行動は控えることに専念する。
私達の誰かが何らかの理由で動きを封じられて外の国に捕まって私達の国の情報が漏れ出したら外の国で諜報活動している職員や被験者の子達にも危険が及ぶかも知れない。そういったことを踏まえた上で私達は慎重に行動しなければいけない。それなのに都会育ちのアニーは自然特有の解放感で慎重とは程遠い体で私達の国では生息していない魔物や動物、植物の写真をひたすら撮っている。私物のカメラで。
どっからどう見ても目立ちすぎのアニー注意されても止めずにいる。
「みんな待って誰かいるよ」
ルンルン気分だったアニーが人の気配を感じとって緊張した声で私達に停止させる。
「初の現地人か。大方俺達と一緒で激闘後の調査と言ったところだろう。ドドッラどうする?」
サブリーダーがドドッラに判断を仰ぐ。
「接触しよう。今は情報が欲しいな。だけどオイラ達は旅の途中の冒険者という設定を忘れるな」
今の私達の姿は外国の人の服装に合わせて鉄の鎧や胸当て、ゴワゴワする生地のシャツの姿をしている。腰と背中には剣や弓を装備している。
コスプレをしている気分だけどこれを仕事と思えばいい。
ちなみにアニーは自衛で小型の拳銃を装備している。
「そうだな。この国の言語を完璧に扱えるのはガーナだけだな。意志疎通できる人員が一人だけなのはこれはこれで問題だな」
私だけがこの国で使われている言語をインストールをして話せる。
私が接触要員確定である。何で私以外のみんなはこの国の言語を話せないのか疑問に思う。
ドドッラ先輩もそれに気づいたようだがそれ以上のことは言わなかった。
「接触するのは最低でも三人。そして三人の内の二人はアニーとガーナだ。それと俺も行く。残りはここで待機」
アニーが人の気配を高感度で察知できるので案内役なのはわかる。通訳役に私も行くのも理解できるけどドドッラ先輩も行くのは何故に?待機組の方は周囲を警戒できる人員が残っているから問題と思うけどドドッラ先輩は私達と接触するのは私達が心配だから?全身鎧で隠したドドッラ先輩は背中に背負った剣と合わさってRPGの戦士だ。それでドドッラ先輩の表情が一切見えない。
私も拡張パーツで機械染みた部分を隠して普通の少女の姿に胸当てを着けている。
アニーも私と似たよった格好で怪しまれないだろう。
「もうすぐだよ。何を聞き出すか大丈夫?」
「さっき言った通りに質問するんだ」
「わかったわよ」
二人は心配そうに私を見る。
待機組と別れてから何を聞くかちゃんとドドッラ先輩から聞いていたから問題ない。
森の中で木々が乱雑に倒れて開けた場所に出た。その場所の地面には鋭い刃が走った切り込みや隕石が落ちたようなクレーターがあった。
ここで激しい戦闘があったと物語っていた。
あっちこっちに人が調査していたので、その中の女性のに聞くことにした。
「スミマセン。お話大丈夫ですか?」
「なんだ?見ない顔だな。お前ら旅人か?」
「はい、そんなところです。ここはどうして開けているのですか?」
「そんなことこっちが聞きたいよ。私達は魔物群れの原因を調査する為にルルーの街から派遣された冒険者さぁ」
女性はうんざりしたように言う。
派遣されたがその原因が掴めていないようで魔物が来た場所を探っていたらこの場所に行き着いたことを話してくれた。
「魔物群れですか?」
「あぁ、そうさ。街に千の数を超える魔物が来たんだ。私達は死を覚悟したさ」
「それでそんな大量の魔物はどうしたんですか」
「一夜にして空の魔剣師が全部倒したさぁ。その証拠に街の回りに魔物どもの亡骸が転がっているんだ」
まだ残っているはずだからその目で確認してくればいいと追加で教えてくれた。女性はこの激闘の跡の原因について知らないことがわかった。他の人も聞いて回ったけどバカデカイ魔物が出ただの不老族が現れただのと意味が理解できないホラ話しを聞いただけで有力な情報はなかった。
私達は激闘跡地から離れた場所で聞いた情報をドドッラ先輩に話した。ドドッラ先輩は一夜にして魔物を倒したまくった空の魔剣師って言う人物が被験者と予想した。
隠し持っていた超小型の通信機で待機組に東にあるルルーの街で合流の指示を出し私達もその街に歩き出した。
「ドドッラ先輩は何でその空の魔剣師が被験者だと思ったんですか?」
「オイラのことは呼び捨てでいいし、ため口で構わない」
「えっ?わかった」
「それで何でオイラがその空の魔剣師というヤツが被験者だと思ったのはいたって簡単だ。空を自由に飛んで剣で切るところが被験者と思ったからさ」
ドドッラ先輩改め、ドドッラは何気ない感じで話してくれた。これは長年の感という物だと思う。
街の手前で待機組と合流してルルーの街の協力者の家の地下に泊まることになった。
ゲームのようなファンタジーな街並みに興奮したアニーをみんなで協力者の家に連行した。街の住民に奇怪な視線にさらされていたことは言うまでもない。
そしてうっかりアニーが私物のカメラを落としてしまったが親切なドレス姿の女の子が届けてくれた。
「いらっしゃいな。長い調査お疲れ様です。地下で御ゆっくりしてください」
協力者はにこやかに歓迎してくれた。
協力者はこう見えてアンドロイドで仲間のアンドロイドと一緒に冒険者で生計経ててひっそり暮らしているらしい。
ファンタジーな街並で暮らすアンドロイドが冒険者をやっている。いろいろと訳がわからない。
地下はファンタジーチックな一、二階とは違いテレビや冷蔵庫といった見られた家具があった。棚には協力者の趣味と思われる映画コレクションがずらりとあった。その中から去年上映されたSF映画をみんなで見だ後に私達女子三人は用意されていたベッドで眠り、別室で男達はソファーや床に敷いたマットレスで窮屈な中で寝たそうだ。
翌朝、ラニーに起こされた。
別の協力者から有益な情報と上司から担当の被験者の行動予測が入って急なミーティングが開始した。
協力者からの情報は私達の担当の子が二十歳前後の女性達や三人の幼女達と一緒に森にある不老族の遺跡に向かったそうだ。
後で聞いた話だけど不老族と言うのは私達、被験者を指すらしい。どういった経緯でそう呼ばれるようになったかは知らないけど私達被験者はDNAを操作されてテロメアが自動的に再生するようになって老けることができない。だから私達は寿命で死ぬことができないから呼ばれているのかも。
街の近くには複数の拠点があり、そのいくつかの廃棄状態の拠点に何者かが入った反応があったと追加で付け加われた。
それと上司からの情報は森の中で暴れ回る被験者の姿が予知が見えたらしい。
上司の能力は突然フワッとどこかの未来の光景が見れると言った予知能力だ。本人はその能力を自由に操れることはできないが的中率が高い。
私達は廃棄状態の拠点に一組三人で行くことになった。
私と組むのはラニーとドドッラになり、そして運よく被験者を発見するがその結果は...。




