街への帰り2(襲撃)
「よしぃ!帰る準備は終わったなぁ。街へ帰るぞ」
俺達はオジサンの掛け声共に出入り口の扉を開けて、扉から出てきた黒いモヤが体を包む。
黒いモヤが消え、瞳に映るのは棚が立並ぶ小部屋へと戻ってきた。
後ろを振り返ると俺達が出てきた扉は綺麗に無くなって、そこには無機質な壁があるだけ。
棚の足下に光るスイッチが関係しているのはここに来たときに気づいたことだが、この光るスイッチは俺だけしか見えないらしい。どういう理由で俺だけが見えるのかがわからない。
周りを見ればオジサン以外のみんなは名残惜しそうに扉があった壁を見続けている。あんな便利な場所から離れたく無いのだろう。
アルムだって遺跡からヘンテコな生き物のフィギュアを一つだけ思い出として持ち出して大事に抱えてる。
そんなアルムを見たベスは拗ねて俺の体にヘバリ付いている。
ひんやりして気持ちいい。
「ガルダさん、本当に街へ戻るんですか?私達」
「後、1日いや、半日だけ居ましょうよ。お風呂に入りたいですよ。それでもダメですか」
「二人ともくどいぞ。ガルダさんが決めたことだ。私達はそれに従って帰るんだ」
「でもロゼットだってお風呂には入りたいんですよね。毎日している水拭きじゃなくて数年振りのお風呂に」
「それは...」
「ほらー。ロゼットだって私達と同じじゃん」
エリーとトトはお風呂に入れなかったことに悔やんでいてまだ諦めていないようだ。
「小娘ぇ共、次の探索隊に参加すればいいじゃないか。今回を気に領主様はここの遺跡を念入りに調査するハズだぁ」
「その時に空の魔剣師も参加してもらえばまた入れますね」
「ロゼット。何よ、その言いぐさは。それだと貴族様の息が掛かった人が付いて来るじゃん。それに誰が参加するのか全くわからなくて私達以外のメンバーが全員男だったらいやだよ」
エリーは駄々をこねているが街に戻ろうとするオジサンには逆らえないようだ。
次の探索隊の話だが、もしかして俺ももう一度ここに来ることが決定なのか?遺跡の扉を出現させる鍵として行くはめになるのは嫌だな。
ここはお風呂に、洗濯機や冷蔵庫などの電化製品に、料理が無限に出てくる俺が知らない電化製品(?)があるとても便利な場所だ。
ただ欠点なのは回りが街からほど遠い森の中だ。そして研究所の関連施設の可能性だってある場所だ。
そんな場所にわざわざ戻ってこないのが普通だ。もし、収集されたら領主様とやらの娘であるアシュティアから頼んでもらう。愛する娘のアシュティアとフォスティアの命を助けたのだから首を縦に振るだろう。
「街に帰らないといけないのですね。もう少し居たい気持ちはありましたがしょうがないですね」
シャキ!
「そうね。もう少しテレビを見ておきたかったけどまた来れば見れるからね」
シャキ!
「おにいちゃん。またきてまほうしょうじょプリティーちゃんみようね」
シャキ!
「そうだね。またこれたら見に行こうか」
テレビを付けてオジサン達に呼ばれるまでミリ達は魔法少女のアニメにはまった。悪と戦う魔法少女の姿に憧れたのかフリフリした魔法少女らしい可愛い衣装を気に入ったのかは本人達に聞かないとわからないがとにかくはまって今では魔法少女のアニメキャラのポーズを真似るようになってしまって見ているこっちがほんの少しだけ恥ずかしい。
呪文を言わないでポーズだけなのかと言うともし呪文を言って魔法が発動してしまったら大変なことになると言っていた。最初の内はミリやスフィアの二人だけは呪文も真似ていたがアルムが呪文を真似ることを嫌がったので二人もアルムに合わせてポーズだけを取るようになった。
「空の魔剣師?あの子達どうしたの?」
「物語の登場人物のポーズの真似をしているだけなので気にしないでください」
「あー!物語の英雄のポーズってカッコいいもんね。私も読んでいた本の主人公の真似をしていたことがあってね」
ミリ達の不可解なポーズに疑問を抱いたトトに聞かれてとっさに物語の人物を真似ていると適当に答えたのはアニメの魔法少女のポーズを真似ていると答えなかったのかは一から説明をするのが面倒だったからだ。
トトは本に出てくる英雄の真似をしていると納得して誤魔化せたようだ。
遺跡の外は天高い位置にある太陽は雲に隠れている曇り模様で、いつ雨が降ってもおかしくない。
そんな天候中で俺達の前におかしいな三人組が現れた。
一人はオジサンより頭三個分位背が高く、がっちりした体が宝石のように見える特徴的な人物だ。
二人目はオジサンと同じ位の背丈で顔は漆黒の黒髪に隠れており見えないが独特な不気味さがある。色白な体はスレンダーて胸やお尻が丸いみを帯びているから女性だろう。
そして最後の三人目が一番気味が悪かった。
体中の部位が機械でできていて人間だとわかる肉肌が見える部分はほんの少ししかない。まるでサイボーグのような少女だ。
「初めまして新人君。私達はあなたの敵ではない。むしろ同士だよ!」
とサイボーグ少女は機械ような声で言うと三人揃って左手首を見せた。そこには俺と同じバーコードの腕輪があった。
「私達と来ればいいことがたくさんある。同じ境遇の仲間がたくさんいるし、あなたと共に逃げ出した友達も数人私達の元にいるから君も一緒に来なさい」
サイボーグ少女は手を差し出しながら一緒に来いと言うものの近づこうとしない。
近づこうとしない理由は俺の能力が不明で危険性があるから距離を取っている。だから俺も相手が同じバーコードをしている被験者と思い距離を取っている。研究所に飼い慣らされている被験者はいたからコイツらは初めて俺の前に現れた研究所の刺客だ。コイツらの目的はきっと俺の捕獲か処分だ。
彼女達が言うことが本当ならなら一緒に逃げた仲間達は処分を恐れてまた研究所に戻ったみたいだ。
「坊主どうした?知り合いか?」
「なんなの?髪が長いあの子はともかく、大男の体が宝石のゴーレムみたい?それとあの女の子は体中に金属が埋め込まれてる」
「髪が長い人不気味だね。ロゼット」
「そうだな。不気味ではあるが見たところ魔物では無さそうだ」
オジサン達はあの三人の異様な姿を見て気味悪がっているがいきなり攻撃をかますのはしないようだ。とにかく大人しくしてほしい。
「すみませんが少し静かにしてください」
「そこにいる大人達が君を脅しているのかな?ドドッラやってきなさい」
「何でオイラが?オイラは君達二人の新人の物理的攻撃から守る為に派遣されたけど。それにオイラは君達より先輩なんだよ?わかってる?」
サイボーグ少女は宝石男に物騒なことを命令するにが宝石男はそれを断った。
「そんなこと知っているわよ。じゃあラニー、大人達を眠らせるだけでいいから。お願い」
「ガーちゃん、わた」
「そこの大人達だけでいいからお願い!」
「........」
ラニーと言われた顔が髪の毛で隠れた女は一端断ろうとしたが押しに弱いのかサイボーグ少女に強くお願いされて声にならない奇声をあげた。
彼女が奇声を発したら不思議と体がよろめいたが倒れるまでも無かったがオジサン達四人はバタバタと倒れた。
今、無事なのは刺客である三人と俺とミリ、アルム、スフィアの四人が倒れないでいる。
「タカシさん!オジサン達が倒れました!」
「何でよ?あの人と同じ不老族とは思えない!」
「おにいちゃん!」
オジサン達が倒れたことによってミリ達が混乱し始めた。
「大丈夫だから後ろに下がって!いや、遺跡の中で隠れていて」
ミリ達を比較的安全な遺跡の中へ避難させる。刺客の前で念力を使うわけにはいかないのでオジサン達は悪人ではないがそのままにしている。
俺の指示を受けてミリ達は遺跡の中へ戻っていった。
「なるほど君の能力は言語通訳系か」
「待ってガーちゃん。能力は一つだけとは限らないよ。私みたいに二個持ちかもしれないよ」
「わかっているよ。小さい子を庇っていたところを見る限りは防御系か攻撃系の能力って予想はしていたから。こう見えて私の脳に埋め込まれているチップ全て最新のアンドロイドより出来がいいの」
少し自慢げに言うサイボーグ少女は平たい胸を強調するポーズを取った。
それもよりもサイボーグ少女から耳を疑うことを言っていた。俺の能力が言語通訳系と。
俺はずっと念力と思っていたが、まさか言語通訳系だったとは思ってもいなかった。髪の毛が長い女の言っていた「能力は必ず一つとは限らない」と。
俺は能力を言語通訳系と念力の二つを持っていたということか。いや違う。二つじゃない。イメージ一つで手から火や氷を出すことができた能力があった。あの時はなんとなく出していたがあれも能力だとすれば俺は能力を三つ持っていることになる。
これから三人と戦うことになったら最後の切り札として念力を伏せておいて、三つ目の能力(今後、イメージ一つで火を出す能力をエレメントとこれから呼ぼう)エレメントで戦うとしよう。
「小さい子達は行っちゃったけどなにするつもりなの?良かったら一緒にあの子達も連れて来てもいいよ」
「えっ?ガーちゃん?あの小さい子も連れていくの?」
「ちょっとラニーは黙っててよ」
はっ?ミリ達と一緒にあの地獄に行く?俺だけならともかくミリ達にはあの地獄の体験をさせるわけにはいかない。
そもそも俺は研究所には戻る気はない。
やっと手に入れた自由を自ら手放すなんて愚かなことはしたくない。
「っで答えは決まった?」
「俺の答えは研究所には戻らない。あんな場所に戻るなら俺はお前達と戦う」
「ん?君は何か勘違いをしているよ」
「前に出すぎだ!」
俺は三人の目を眩ます為に三人へ向けて炎を放って体を念力で引っ張って森の中へ逃げた。
一瞬のことだったから見えなかったはず。見えていたとしても炎の爆発的な威力を利用して森の中へ転がり込んだように見えたと思う。
三人の目的は俺の処分、もしくは確保だ。頑張って念力を隠しつつ森の奥へ三人を誘い、ミリ達から遠ざけたと判断したら振り切って遺跡のところまで急いで戻る。そしてオジサン達を叩き起こしてオジサン達は四人で戻ってもらい。
俺は念力でミリ達を担いで空から街へ帰る。
三人の前には宝石でできた壁が地面から突き出している。これは宝石男の能力が炎から防いだのだろう。
「アイツ、私が優しくしているからってこんなことをして」
「ふっ、ふっは」
「何笑っているのさ」
「昔のお前みたいだなって思ってなぁ。そんなどうでもいいことは置いといて、アイツを追いかけようか」
「昔の私みたいってどういうことなのよ?」
「ガーちゃん。そんなことをしているうちにあの子を見失うよ」
「ラニー心配しなくても大丈夫よ。ちゃんとロックオンしているから。えーと、時速20キロで森の奥に移動中よ」
「誘っているな。それともこれで全力で逃げているつもりなのか」
「それ冗談で言ってる?予想通りの速さと方向で移動よ。聞いていないことがあったけどあなたも例の地点でちゃんと捕まえてよね」
サイボーグ少女はタカシより速いスピードで森の中に入った。残った二人も作戦従って、タカシが通る予定の場所に向かった。サイボーグ少女は半透明の翼を広げて追いかけて来る。その速度は俺より少し速かったが追い付いた時に少し落としている。あたかも俺に速度を会わしているようだ。
「ねぇー。君そんな飛び方でよく飛べるね。もうちょっと安定した飛び方すればもう少し早く飛べると思うよ」
「うるせー」
サイボーグ少女の言う通り、現在俺の体勢はヘンテコだ。手の平と足の裏を後ろに受けて炎を出しているだけ。
どんな奇跡が起きたとしてもそれで飛ぶことは不可能ことは見ればわかる。念力でコントロールして飛んでいるように見せているがサイボーグ少女はこれで俺が飛んでいると思ってくれた。
俺と言う餌で釣れたのは彼女だけだった。残りの二人はあの場に残ったのかは知らないが、コイツらはミリ達には興味はないはずだから遺跡の中は安全だ。
「このまま宛もなく逃げても無駄に終わるだけだよ。諦めて私達と来なよ」
「無駄なわけじゃない。狙いがあって逃げているんだ」
「まっ、君のその狙いも無駄に終わるよ」
「知った口を。俺の狙いが当たったら覚えてろよ」
三下が言うような捨て台詞を吐いて飛ぶ速さをあげて、手から煙を出してサイボーグ少女を目眩ました。
「ニギャ!」
猫が尻尾を踏まれた鳴き声に似た短い悲鳴を上げて木に激突をした。
「あれー。どうしたの?このままだと俺逃げちゃうよ」
「このー!」
木に激突したサイボーグ少女に対して挑発をかけて速度を上げる。怒りを現れにしたサイボーグ少女が上げた速度に合わせて追って来る。
「ほらほら、ここまでおいで」
「舐めないでよ。ギャッ!」
彼女は挑発に乗りやすいようで目眩ましをしておちょくったりすると何も考えていないのかそのままストレートに突っ込み習性があり、合計三回も木や岩に激突した。
彼女は相当頭に来ているようで顔部分からレーザー光線を発射し、木々を薙ぎ倒し、岩をレーザー光線の熱量で真っ二つにしている。
気を抜いていると俺も真っ二つになりそうだ。おっと。
迫り来るレーザー光線を紙一重でかわす。
今のはさすがに危なかった。体を念力で上に引っ張っらなかったら腰から下を失っていたと思うと肝がヒヤッとする。
そのお陰で目の前にあった木々は全てなくなったから動き易くなったのは追いかけてくるサイボーグ少女も一緒だ。それを証拠に先ほどまで使っていた手はあまり引っ掛かりらなくなった。その分問答無用でレーザー光線を発射してくる。
サイボーグ少女め、少しは環境について考慮して森林伐採してもらいたい。レーザー光線をバンバン撃っているとそのうちここら辺が丸坊主になる。森に住む動物や魔物が居場所無くして人里に出るかもしれないと言うのに何を考えているんだ。
「このー!待ちなさいよ。ちょこまかと飛んで、私怒ったんだから」
「逃げているのに素直に待つ人はどこ探してもいないよ」
彼女は木々に激突することがなくなったがおちょくるとストレートに突っ込むのは変わらない。
邪魔な木々が無くなってサイボーグ少女は速度を上げ、俺を捕獲にかかるが念力を使い意図的に紙一重でかわしていく。
ギリギリの攻防戦を繰り返し、彼女から「ムキー!」や「あともう少し!」と悔しげな声が聞こえる。
(さて、十分なほど遺跡から離れたし、ここら辺で撒くころあいか?サイボーグ少女の仲間二人が気になるけどサイボーグ少女はここでお別れだ)
逃げながら森を観察する。
レーザー光線に驚いて魔物姿は見れなくなった。(ただし、レーザー光線の餌食になった魔物は二桁は越えている)
「お?」
俺から見て斜め右方向に洞窟を発見した。
あの洞窟を使って眩まそう。
「鬼さんこちら、火を吹く方へ」
と挑発して再度サイボーグ少女に炎と水のコンボをお見舞いする。炎と水なので彼女に火傷する心配はないだろう。
速度上げて洞窟に駆け込み奥へ入ったと思わせて洞窟の天井に貼り付く。
予想通り彼女は俺が天井にいることに気づかずに奥へ入って叫んだ。
「後は任せたわ」
は?
俺は咄嗟に洞窟内の違和感を感じ慌てて洞窟の外に出た。
上空へ逃げ見下ろした。
洞窟の入り口は赤いの宝石で閉じられており、洞窟の入り口周辺に驚き顔の宝石男の姿があった。




